住まい方には流行があって、分譲住宅もそれを意識した設計をします。
多くの場合は、男性の設計者が「売れるため」の設計をしますが、そういう家は実際には使いにくいことが多いです。
私は家を建てる時、どうしても男性設計者の描いた図面が気に入らなかったので、キッチン専門の女性建築士に設計を依頼してみましたが、これが期待はずれでした。
女性であってもお料理をしていない人には、キッチンの設計はベストではないのだと知って、結局自分で思いどおりの図面を引いてキッチンを完成させました。
先日、家を建てようとしている塾生さんから相談をされたので、私は対面式キッチンは避けた方がいいよ〜とだけ言っておきました。
なぜなら、作業効率が著しく落ちるからです。
お料理を手際よく作るには、目の前の手の届くゴールドゾーンは、絶対逃したくない場所です。
パンフレットなどに、家族と会話しながらお料理が出来るとか、お子さんの様子を見ながらお料理が出来るとか書いてありますが、お子さんの成長は一時期ですし、お料理はそんなにのんびり作って入る隙はないものです。
それより、対面式キッチンの向こうで、のんびりテレビを見ている家族を見ながら、食後の洗い物を自分一人で頑張っている方が、なんだか面白くない気がしませんか?
それだったら、いっそのこと自分の目に入らない方が精神的に楽だったりします。
というわけで、私は対面式キッチンは採用しないのですが、そんな話を中川さんにしたところ、即座に「もちろん!」というお返事でした。
動線を人一倍考える中川さんと同じ結論で、意を強くしたものです。
ところで、中川さんのご自宅のキッチンは、とても効率よくまとまっていて、目の前の壁が見事に埋め尽くされています。
キッチンの広さは、むそう塾生の皆さんの方がよほど豪華で立派です。
いつも家事アドバイスをするときに思うのですが、空間や壁を上手に使えていない人がとても多いので、対面式キッチンもその一例になります。
あとは窓の位置も影響します。
匂いのこもり具合も考えなければなりません。
対面式キッチンの良さにオープン性があげられたり、今は引き出しが多いので収納力が増えたからいいのだという意見もありますが、腰から下にすべてが収納されると、いちいち屈まなければならず、妊婦さんや腰の痛い人はとてもつらいものです。
誰しも老化は避けられませんから、何歳になっても立ったままの姿勢であれこれ手に出来る方が絶対楽なのです。
というわけで、私は雰囲気でキッチンを決めるより、合理的に仕事場としてのキッチンを目指した方が使いやすいと思います。
お料理をあまりしない人や、時間がたっぷりあって、ゆったりとしたい人は対面式キッチンでもよいでしょう。
キッチンの設計って、家全体のうちで一番エネルギーを費やす場所です。
ここが効率よく決まれば、住みよくご機嫌な家が完成しますよ。
ちなみに今の私はマンション住まいなのですが、埼玉の自宅はクローズキッチン、京都のマンションはオープンキッチンです。
狭くてもやはり埼玉の方が使いやすいです。
ああ、生まれ変わったら建築士になりたいなあ。
(賀茂茄子と万願寺唐辛子の揚げ浸し 料理:京料理人 中川善博 マクロビオティック京料理教室 むそう塾)
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