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アトピー・花粉症・生理不順・月経痛・フケと食べ物の関係
空気が乾燥してきました。
窓を開けていると、部屋の湿度が30%になっています。
こんなふうに乾燥してくると、アトピーの人はつらくなってきます。
アトピーでなくても、空気が乾燥する季節になると保湿と称してクリーム類をつける人が多くなります。
でも、本当に必要なのは油分ではなく水分なのです。
ということで、油分(クリーム類)ではなく化粧水(水分)を補う方が、皮膚にはやさしいのです。
食べ物ならこれからの季節には鍋料理や煮物がおすすめです。
仕上がりがウエットでしょ?
冬になるとお馴染みの鍋料理ですが、忘年会では定番ですよね。
(今年は忘年会の自粛なんてあるのかしら?)
ところで、花粉症の人は今頃から水分のとりすぎに注意です。
え? さっき水分を摂れといったのに、と思われるでしょうが、塩分を含んだ水分は保湿にまわりますが、甘味を含んだ水分は花粉症のもとになります。
つまり、炭酸飲料のようなものですね。
少なくてもゴクゴク飲む水分はあまり吸収されません。
尿として体外に出てしまいます。
水分はチビリチビリと飲むに限ります。
それから、乳製品が多い人は花粉症になりやすいですね。
チーズがお好きな人はフケも出やすくなります。
ということで、牛乳と炭酸飲料、それに甘いものを今から控えておくと、来年の花粉症の季節に間に合って、軽くなるはずです。
ちなみに私は、花粉症という言葉が一般的でない時から花粉症でしたが、マクロビオティックを知って甘いものと乳製品を摂らなくなったら、翌年の花粉症から軽くなって、2年以内に花粉症には無縁になりました。
フケの話も夫で実験済みです。
あ、そうそう。
発酵食品だからといって、ヨーグルトを毎朝摂っている人がいたら、それも花粉症の一因だと思って間違いないでしょう。
ヨーグルトで体を冷やすことの方が体へのダメージが大きくなります。
いえ、私はホットヨーグルトを摂っていますという人もおられるかもしれませんが、ホットでも乳製品ですね。
乳製品はたまに摂る分においてはいのですが、毎日摂るのはおすすめではありません。
日本人にはあまり合わないのですが、個人差がありますので、体の反応を見ながら調節してみてくださいね。
一番やめてほしいもの。
それはアイスクリームです。
寒い季節のアイスクリームなんて自殺行為に近いです。
もしあなたが月経痛や生理不順でお悩みだったら、まず最初にアイスクリームをやめてください。
そして、生理の日には絶対体を冷やさないように。
これだけでも月経痛が改善されるはずです。
(病気が原因の月経痛を除いて)
最後に、アトピーの人は徹底的に腸を改善しましょう。
そのためには乳酸菌の力を借りることが一番なのですが、腸を冷やさないことも大事なポイントです。
冷やすと血液の流れがスムーズでなくなりますから、腸の改善が遅れます。
温泉で多くの病気が快復するのは、泉質のミネラルの力もありますが、体を温める効果が大きいからです。
ということで、これから寒い季節に向かって、決して冷やすことのないようにしましょう。
あ、冷えてると自覚した時には遅い場合があります。
無意識に冷やしていることがとても多いのが今の時代です。
女性ならファッションの影響がとても大きいです。
ゆめゆめ寒い季節に肌を露出するようなファッションは選ばないように。
流行に流されず、体を大事に守ってあげてください。
自分の体は自分が守る!を合言葉に。
(かぼちゃの含め煮 料理:京料理人 中川善博 マクロビオティック京料理教室 むそう塾)
煮物にはたっぷり水分が含まれているので、空気が乾燥する季節にはイチオシでおすすめのお料理です。
この汁がまた美味しいので、飲み干す人が続出。
こういう汁が細胞に吸収される水分となります。
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カテゴリー: からだ, マクロ美風の体験的マクロビオティック
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「貧血」や「ビタミンB12」不足の解消には貝類が一番!
先日、塾生さんから「牡蠣の時雨煮」を習いたいという声がありました。
過去に何回も開催しているのですが、そういえば新しい塾生さんにはまだ未受講の講座でした。
そろそろ牡蠣も出回ってきて、これから春までずーっと牡蠣のお世話になりたいほど貴重な食材です。
特に女性は貧血の人が多いので、妊娠・授乳中の人はもちろんのこと、毎日でも貝類を召し上がってほしいです。
このブログはヴィーガンの方や、菜食主義の方も読まれていると思うのですが、その方たちで一番問題なのが、やはり「ビタミンB12」です。
これらの人は「ビタミンB12」が不足して、体調不良になる人が多いことが昔から分かっているので、海外のヴィーガンはサプリメントで補うのが普通になっていたりします。
日本でもサプリメントの普及が著しい時代になりましたが、私はサプリメントに頼らずとも、食べ方次第でいくらでも健康な体は維持できると思っています。
問題は、動物性を一切排除して、急に菜食だけの食生活を続けている人が、体調不良に陥っていることです。
いわゆるミネラル不足の症状が強く出て、起き上がれないくらい体調が悪くなる人も多く、精神的にも落ち込みがひどくなって、うつ症状を呈する人もかなりいます。
場合によってはその期間が長く続いて、消化吸収に問題が起きたり、激ヤセ状態になったりします。
立ちくらみ・全身の倦怠感・息切れ・動悸・吐き気などもミネラル不足の症状です。
鉄分は足りているのに、これらの症状がある人は、ビタミンB12不足を疑ってみましょう。
鉄欠乏症貧血とは別の貧血が考えられますのでね。
【貝類を食べましょう】
貧血というと、すぐ鉄分不足を連想する人が多くて、鉄のフライパンを使ったり、鉄鍋を買ったりする人がいるのですが、それよりは貝類をせっせと食べた方がよいのです。
動物性食品が苦手でも、貝類なら食べられるという人は多いです。
ビタミンB12は、葉酸とともに赤血球の合成に関わっているので、鉄分だけ摂ってもダメなのですが、貝類にはこのビタミン12がいっぱい含まれています。
この力を借りて血液が作られ、貧血が解消されるわけです。
日本のあちこちに貝塚があって、先人たちはこの貝で連綿と命をつないでくれたことに想いを馳せましょう。
なお、海苔もビタミンB12が多いのでおすすめです。
日本人の朝食には欠かせなかった海苔は、とても優れものだったことに気づきましょう。
【秋から冬の極上お弁当講座】
「牡蠣の時雨煮」は、「秋から冬の極上お弁当講座」でお教えしています。
こんなにたくさんのメニューが一緒に習えます。
(それにしても多すぎ〜笑)
1 ほうれん草菊花浸し
2 棒湯葉のたいたん
3 牡蠣の時雨煮
4 地鶏肉団子甘酢餡
5 蓮根叩き海老挟み揚げ
6 たたき牛蒡(2種)
7 小蕪のグラッセ
8 芽キャベツの胡麻辛子和え
9 サバの黒酢餡
10 塩サバとじゃがいものかき揚げ
11 しめじの伊風炒め
受講ご希望者は、TwitterやiMessageでお知らせください。
(牡蠣の時雨煮 料理:京料理人 中川善博 マクロビオティック京料理教室 むそう塾)
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ワーママさんだからこそお料理を作ってほしい 1つでもいいから
きょう午前中に、あるワーママさんとお電話でお話しをする機会がありました。
むそう塾生にもワーママさんはたくさんいらして、皆さんが上手に時間をやりくりしながら、むそう塾メニューを楽しんでいらっしゃいます。
忙しいと誰でも家事にかける時間を減らしたくなりますよね。
私もそうでしたよ。
子育て中はその最たるものです(笑)
でもね、長くその状態がつづくと、なんだか心に潤いが減ってくるのです。
潤いが一瞬満たされるのは、働いた対価としてお金を手にしたときでしょうか。
でもね、そのうち、お金では満たされないものが出てくるのです。
お金は万能のようですが、実はお金でもカバーできないことがあるんですよね。
それが心の潤いかなと思っています。
それは愛情であったり、優しさであったり、人が介在するものが多いです。
人間は自分にゆとりがないと、他人に優しくしたり、愛したりできない面があります。
その一つがお金であったり、不健康であったりするわけです。
女性がお仕事をやめて、何人も子育てをしていると、次第に心が渇いてしまう人がいるのですが、そんな女性を癒やしてくれるのは美味しいものです。
うんと疲れたり、頑張ったあとに「美味しいものでも食べよう!」と出かけた経験のある人はたくさんいらっしゃると思います。
「あ〜、美味しかった(๑´ڡ`๑)」と笑顔になって、疲れが吹き飛びますね。
それが人間の本能なのです。
実は私はワーママさんの味方なんです!
私自身、ずーっと働いてきたし、女性も仕事をもって一人の人間として価値のある一生を送るべきだと思っています。
さらには、男性の従属として生きるのをよしとしないからです。
このブログでも過去記事で書いていますが、男性と肩を並べる意識ではなく、女性の良さを前面に出してアプローチする働き方が一番無理がないと思います。
男女雇用機会均等法の施行以来、男性並みに働く女性が増えましたが、それは無理というものです。
女性には女性の特徴、男性には男性の特徴があるのですから、それを踏まえてお互いの良さを最大限に出すのが無理のない頑張り方ですし、これが本当の男女平等というものです。
そうでないといつか肉体的にも、精神的にも壊れていきます。
これをマクロビオティックの陰陽でいうなら、陽性のよさ、陰性のよさと端的に言い換えられるのが便利なところです。
じゃあ、ワーママさんは家で何を最優先にしたらいいの?という話です。
それはね、実はお料理なんです。
でも、多くのワーママさんはそこを避けますね(笑)
理由は時間を生み出すため。
お掃除の家事代行だけでなく、お料理も定期的に代行を頼んでいる人がいます。
それはそれでかまいません。
利用できるものは何でも利用したら良いと思います。
でも、むそう塾生のワーママさんは、自分で作っています。
理由は簡単。自分で作った方が美味しいから。
でもね、むそう塾に来られたときにはお料理が苦手だったんですよ。
危なっかしい手つきで、包丁も満足に持てなかったのです。
ところが、プロである中川さんから「忙しい人向けの料理法」を教わって、そのとおりにしたら、あら不思議?
美味しいものを作れるようになったのでした。
これには理由があります。
中川さんはプロですから、美味しいお料理を生み出すのは当たり前ですが、それをそのまま教えても素人は難しくてできません。
それを素人でもできるように作り方を翻訳して教えているのがむそう塾のお料理なのです。
ここが中川さんのエネルギーを最も必要とする部分ですが、なんでこんな面倒くさいことを中川さんがするかというと、それはひとえに「このお料理を食べて健康でいてほしい」という願いがあるからなのです。
こちらの記事にもありますように、中川さんは奥さんをスキルス癌で亡くしました。
それから男手一つで二人の子どもを育て上げました。
もちろん、仕事に通いながら家族のごはんを作り、子どものお弁当も作ったのです。
その時の忙しくても作るお料理や、子育て向きのお料理は、すべてワーママに当てはまるものばかりなのです。
それを塾生さんにお伝えしているので、むそう塾のワーママさんは、美味しいものを作りながら笑顔で働いています。
だって、お助けメニューがいっぱいあるから、あれこれ悩まなくてもサササッと作れてしまうんです。
しかも美味しい!
いや〜、美味しいお料理ってすごいエネルギーを持っているものだと思います。
忙しいのに作る気になれるのですから。
一番言いたいこと。
それは、多くの人がお料理を下手だと思っているけど、それはちゃんと習っていないだけです。
お母さんからも習っていない人がほとんどです。
そりゃあ、ちゃんとできなくて当然です。
もし今あなたがお料理苦手さんだったら、まずむそう塾で習ってみましょう。
プロの教え方はやはりレベルが違います。
そのお料理でご自分に自信を持って、お子さんに「お母さんの味」を伝えてあげましょう。
その味を受け取ったお子さんは、必ずそのお料理で癒やされる大人になってくれます。
自分も、そしてご家族も潤いをもらえるお料理。
そんなお料理がむそう塾にはあります。
ワーママさんにはそんな潤いが必要です。
「人は食べたもののようになる」といいます。
あなたの体や精神は、あなたが食べたもののみでできているのです。
だからこそ、何を食べるか? どのように食べるかはとても大事なのです。
もう一つ付け加えるなら、何を食べないかも大事です。
でも、そんな難しいことは抜きにして、なにか一つでもいいから作ってみませんか?
まずはごはんから。
次はお味噌汁を。
その2つができたら、もう峠は越えます。
あとはなにか一つだけ作ればよいのです。
それに漬物。
これでもう8割は達成です。
それで物足りなかったら、海苔でも納豆でもいいから補えばいいのです。
それで完成です!
(編笠大根 料理:京料理人 中川善博 マクロビオティック京料理教室 むそう塾)
大根を使ったお漬物です。
大根をスライスするだけ。
それなのに、びっくりするほど美味しいのです。
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15件のコメント
「米が主食の国のほうがCOVID-19感染率低い」渡邊昌氏の論文
まだまだ新型コロナのことで不安に思っておられる人が多いのですが、玄米を食べて元気に頑張っている周りの人たちを見ていると、この情報に納得する部分があります。
渡辺先生は先の記事でも取り上げたように、玄米に対する研究がたくさんおありで、なおかつご自身も玄米を召し上がっておられますので、なおのこと身近に感じられます。
後日のため、記事を転載させていただきます。
「米が主食の国のほうがCOVID-19感染率低い」論文がアメリカのオンライン研究誌に掲載
食品産業新聞社ニュースWEB2020年08月17日17時04分
米消費とコロナ感染者数の「負の相関関係」(横軸:国民1人あたり米消費量(kg)/縦軸:人口100万人あたりコロナ感染者数)
(画像はこちらからお借りしました。)
米を主食とした国のほうが、小麦を主食とした国より、COVID-19(新型コロナウィルス肺炎)の感染率が低い、との統計的解析結果が明らかになった。渡邊昌東京農大客員教授(元国立がんセンター研究所疫学部長、メディカルライス協会理事長)と飯沼一元(株)ライステック社長(工学博士)の連名による論文「Low COVID-19Infection and Mortality in Rice EatingCountries」のなかで明らかになったもので、論文は去る6月25日、アメリカのオンライン研究誌「Scholarly Journal of Food andNutrition」に掲載された。
論文によると渡邊教授らは米の消費量とCOVID-19感染者数(6月6日時点)の相関を、5大陸19か国(カナダ、アメリカ、メキシコ、アルゼンチン、イギリス、フランス、イタリア、ドイツ、スペイン、ロシア、中国、日本、インド、インドネシア、韓国、南アフリカ、トルコ、サウジアラビア、オーストラリア)で統計解析。横軸に国民1人あたり米消費量(kg)、縦軸に人口100万人あたりCOVID-19感染者数をとってプロットすると、「負の相関関係」にあることが分かった(決定係数0.5916)。また横軸を小麦消費量に置き換えると、「正の相関関係」にあることが分かる(決定係数0.4879)。 小麦消費とコロナ感染者数の「正の相関関係」(横軸:国民1人あたり小麦消費量(kg)/縦軸:人口100万人あたりコロナ感染者数)
小麦消費とコロナ感染者数の「正の相関関係」(横軸:国民1人あたり小麦消費量(kg)/縦軸:人口100万人あたりコロナ感染者数)
(画像はこちらからお借りしました。)
論文のなかで渡邊教授らは「米食者は腸内細菌がよく、免疫機能が高くなり、感染を抑制しているのではないか」と推定。今後のCOVID-19対策として、「特に玄米食や米糠の利用、全粒粉の普及など食生活の工夫や、農業政策にも目を配っていくことが望まれる」と指摘している。また「キスをする習慣(欧米)やマスクをする習慣(アジア)などを加味(補正)して計算すると、よりハッキリとした相関関係が浮かび上がってくる」とも。
〈米麦日報2020年8月17日付〉
論文:Low COVID-19 Infection and Mortality in Rice Eating Countries
日本語訳で読むことも可能です。
<マクロ美風より>
新型コロナに関しては、まだ断定的なことは言えないのですが、渡辺先生が書かれておられることは、私たちマクロビオティック界の人間としては、ごく当然のことと受け止めています。
免疫機能と腸内細菌は不可分の関係にありますし、むそう塾としても日夜そのことをお伝えし続けてきました。
ですから、やっとそれを論文として発表していただけたんだなあと、感慨深い思いになります。
「特に玄米食や米糠の利用、全粒粉の普及など食生活の工夫や、農業政策にも目を配っていくことが望まれる」というところは、待ってました!という感じです。
むそう塾を始めた時から大事にしてきたことは、新型コロナにも対処出来るものだと確信しています。
“玄米食、長い食経験こそがエビデンス” 渡辺昌先生のインタビュー記事
渡辺晶先生は、かねてから玄米の良さをエビデンスの本でも取り上げておられて、マクロビオティックのシンポジウムでも度々お話をされているので、ご存知のかたも多いと思います。
私もかつて先生の講演会に出席したことがあります。
先生ご自身が玄米食で2型糖尿病を克服されて、そのご体験も踏まえてお食事の大切さをあちこちで発信されています。
たとえばこの記事。
転載して記事を残しておきます。
“玄米食、長い食経験こそがエビデンス”
日本綜合医学会 会長
一般社団法人統合医療学院 学院長
渡邊 昌氏
(画像はこちらからお借りしました。)
今春より食品の機能性表示制度がスタートした。米国の機能性表示制度を参考にしたもので、「食」による予防で、膨れ上がった医療費の抑制を目指す。日本の和食はユネスコ無形文化遺産に登録されるなど世界的に注目が集まっているが、中でも見直されつつあるのが未精白米の健康効果。日本綜合医学会会長の渡邊昌氏に玄米の効用について伺った。
— 食品の機能性表示制度がスタートし、食品機能のエビデンス(科学的根拠)が指摘されるようになりましたが
渡邊:大方の人が臨床試験をやれば、それがエビデンスだと思っています。統計学的に有意差が出ればそれでエビデンスが出たという人がいますが、それは大間違いで、単にそれは稀な出来事が起きたということにしかすぎません。
臨床試験を短期間で行い、その研究論文が雑誌に載るといったことが機能性があるというエビデンスに使われますが、食品の機能性表示が企業の営利のためだけに利用されるようなことがあるとちょっと問題です。
食品についていえば、玄米食がよい例です。玄米食は、明治の軍医で食養の祖といわれた石塚左玄が広めましたが、玄米で健康になった、病気が治ったという人がたくさんいます。それこそがエビデンスではないでしょうか。
— エビデンスは、食経験の長さが問われるということですね
渡邊:私は1992年に国立がんセンターで疫学部長の職にあった頃、糖尿病になりました。糖尿病については専門外でしたので、どうしたものかと思いました。
それまで毎日ビフテキやハンバーグの生活でしたが、玄米菜食中心の食事に切り替え、運動を行い、糖尿病に挑戦しました。 私のⅡ型糖尿病は肥満が原因です。欧米型の食事は脂肪分が多いですから、まずそれを減らし、肉を魚に、野菜を多めに、小豆を混ぜて炊いた玄米を主食にし、納豆にワカメやきのこ類の具だくさんの味噌汁といった「一汁三菜」の和食にしました。
そうした食事と運動で78kgから60kgになり、検査値は全て正常になりました。1993年に東京農大に移り、食と健康の問題をとことん研究。2005年に糖尿病予防の司令塔を期待され、国立健康・栄養研究所の理事長に就任し、内閣府の食育推進委員会に加わりました。
その時、日本で「食育」という言葉を最初に使った人を調べていて、明治陸軍の薬剤官の石塚左玄にたどりつきました。
石塚は、食事が清浄であれば身体も清浄になると、食事の大切さを説き、玄米菜食をすすめました。この石塚の食養生で重度の結核から命を救われたのが桜沢如一です。その後、桜沢はマクロビオティックを世界に広めました。
石塚左玄の流れで、現在、玄米菜食の普及活動を行っているのが、日本CI協会、世界正食協会、久司マクロビオティック、日本綜合医学会の人たちです。全て合わせると1万人以上いるでしょうか。
ただ残念なことに、玄米が本当に身体に100%いいのか、朝昼晩食べないといけないのか、といったことをきちんと調べた研究がありません。
私は国立がんセンターの疫学部長の時に全国の保健所管内で14万人が参加する「厚生省多目的コホート」をスタートさせました。
コホートというのは、古代ローマ時代の百人隊や千人隊の単位のことですが、コホート研究では、例えば、喫煙の影響を調べる際、ある集団の生活習慣を10年、20年と追跡調査し、どんな人が肺がんになったかを確かめ、その病因を特定していきます。全国12保健所で14万人を対象に300以上の論文が出ています。
これまでのコホート研究で、白米を食べ過ぎると糖尿病になる、ということは分かっています。ただ、そうした調査では白米、玄米の区別がなく、玄米の実態については明らかにできませんでした。
それで、いろんな団体と協力して、玄米菜食の実態調査をと考えていたところ、姫路の開業医の先生で、昭和50年頃から玄米食のコホート研究をされている方と連絡がとれました。その方は、600人くらいの追跡調査をされていましたが、玄米食を食べ続けている人で90歳以上の人が結構いることもわかりました。
よく玄米食をしている人で100歳以上の人はいないといわれますが、それでも3人いました。ですから、玄米では長生きできないということではなく、おそらく食事の仕方が問題なのではないかと思います。
この玄米菜食の実態調査は今秋ぐらいからスタートさせる予定です。
— 玄米には適切な食べ方のようなものがありますか
渡邊:石塚左玄の後、玄米食の普及に努めたのが桜沢如一と二木式健康法で知られる二木謙三です。
桜沢は自身の結核を食養で治しましたが、高塩分食でした。二木は石塚左玄と同じく腎疾患でしたので、塩分は摂りませんでした。この為、玄米食に二流派あるような印象がありました。
桜沢の命日の忍ぶ会の時、50代の女性で水ぶくれの方がいらしたので、腎臓がお悪いですねと尋ねたところ、桜沢方式で玄米にゴマ塩をいっぱいかけて食べているとのこと。塩を1日20g以上摂っていたのです。
こういう摂り方は絶対にダメで、やはり人それぞれにあった玄米の摂り方というものがあります。桜沢、二木のいっていることだけを守るのがベストという考え方はよくないです。
— 玄米は治療食にもなれば、間違った摂り方で逆にもなるということですね
渡邊:玄米を治療食として積極的に用いたのは沼田勇(日本綜合医学会第4代会長)です。沼田氏は戦前は北里研究所の生化学室に属し、1935年にビタミンC酸化酵素を発見し、1941年にはビタミンB1分解酵素サイアミナーゼを発見しています。1944年には野草600種の栄養分析も行っています。
軍医として従事し終戦後の1947年に上海で兵隊と在留邦人の200万人の引き揚げ担当の軍医になった際、不衛生な慰留地で当時コレラが流行り始めました。沼田氏はコレラ菌を殺す胃酸の酸度を保つため食前食後30分湯茶を飲まないようにしたらどうかと提案しました。
水を飲まなければ胃酸濃度が高いためコレラ菌は死ぬはず、と考えたのです。それでみごとコレラを抑えこむことができました。これは沼田方式といってWHOも後に認めています。イラクでコレラが流行った時も、この沼田方式でコレラが治まっています。
— 戦後、GHQによる占領政策で日本の食事が替えられたといわれますが
渡邊:戦前は玄米が主食というより、3分搗きくらいのあまり精白していないものを食べていました。それが良かったわけです。未精白米の力はすごいもので、それに比べると白米はカスです。
玄米の糠の部分にはビタミンB1、ミネラル、食物繊維、葉酸などが豊富に含まれています。また、γオリザノール、アラビノキシラン、イノシトール、フェイチン酸、GABA、フェラル酸などの有効成分が含まれています。フェラル酸は認知症の予防にもいいといわれています。また玄米は抗酸化能も高いです。
玄米を摂ることで、腸内環境も良くなります。腸内には大量に腸内細菌が棲みつき共生状態にあります。腸に良い細菌がたくさんいて、ちゃんと機能していればみんな健康でいられます。
— 健康は食だけでなく心のあり方も大いに関係しますね
渡邊:私は全人的な医療、統合医療を提唱しています。食と心と体を軸にした正四面体モデルで、スピリチュアルライフを達成しましょうといっています。
スピリチュアルライフというのは、ただ本能の赴くままに生きるというのではなく人く、人間らしく生きる、我執を超えて他のために尽くすという生き方です。間らしく生きる、我執を超えて他のために尽くすという生き方です。
そして、「未病」を治すことを提案しています。「未病」とは「検査値異常はあるが、症状はない状態」もしくは「症状はあるが、検査値異常はない状態」のことです。
「未病」の状態は、それぞれの患者に応じた適切なアプローチを行えば、再び健康体に戻ると考えています。
ポイントになるのは、食事と運動を中心とした生活習慣の改善です。以前、私達のグループが長野県佐久市で250人を対象にした「食事と運動による介入試験」を行いましたが、この調査で実際にかなりの人が健康体に戻ることが分かりました。
食事については、「食品ピラミッド」というものを考案しています。これは90年にアメリカで発表された「フードガイドピラミッド」を日本の食文化に合わせたものです。
具体的には、穀物を1日400グラム、これは玄米がお薦めです。そして、野菜を350グラム、魚、肉類、大豆食品は100~200グラム、乳製品は100~150グラム、果物は100~200グラム。これで1日当たり1600~2000キロカロリーになります。メインは和食で、青魚や大豆、緑茶はがんや糖尿病、高血圧症、心臓病などの予防にもなります。
現在、生活習慣病が国民の医療費の約3割を占めるといわれています。こうした食事改善で10兆円の医療費削減も可能です。
日本綜合医学会は玄米食と健康をテーマにし、60周年になりましたが、4代目の会長を勤めた甲田光雄は、少食こそが世界を救う、といって「医・食・農」一致を説きました。私もその通りだと思います。
これからの時代はサスティナビリティ、私たちの社会や地球環境の持続のために、誰もが「食」を選択していく必要があると思います。
<マクロ美風より>
この記事を読む上でとても大事なことは、「玄米さえ食べれば健康になれる」とか、「玄米菜食をすれば癌にならないのだ」と早合点しないことです。
病気は食べ物だけが原因ではなく、精神面も合わせて考える必要があるからです。
特に癌はストレスの影響が大きいですね。
渡辺先生も「全人的な医療、統合医療を提唱して、食と心と体を軸にした正四面体モデルで、スピリチュアルライフを達成しましょう」と話しておられます。「スピリチュアルライフというのは、ただ本能の赴くままに生きるというのではなく、人間らしく生きる、我執を超えて他のために尽くすという生き方です。」とも。
ここがとても大事なところで、そのことについては書きたいことがいっぱいあるのですが、長くなりますので別記事に譲りたいと思います。
なお、玄米を食べる場合は、炊きあがりの結果が体調に大きく影響しますので、下の記事をぜひお読みください。
・玄米のエビデンスに頼っていると危険な場合がある 炊き方に注意! 2018.7.14
渡辺先生が監修された本がこちらに載っています。
医師たちが認めた「玄米」のエビデンス
・玄米とフィチン酸(IP6)情報の今昔 2017.1.12