「お弁当」
この言葉であなたは何を連想されるでしょうか?
今では外国でも日本のお弁当が知られていて、「bento」というデータベースアプリまであるほどです。
日本文化の海外での受けとめ方に驚くと同時に、なぜそれほどまでに人々が惹きつけられるのか考えていたところ、たまたま目にした文章にこのようなことが書いてあって、面白い視点だなと思いました。
<弁当と日本文化(Bento (Lunch Box) and Japanese Culture)>
Maria RODRIGUEZ DEL ALISAL(マリア・ロドリゲス・デル・アリサル) スペイン・マドリード国立外国語学校助教授/日本学研究所
「序」より抜粋
ー引用開始ー
日本史や、現在の日本人の生活、社会の変化などを学ぶ場合に、弁当文化の研究は非常に有益です。日本人にとって、弁当箱は「グループ意識を失わずに自己を表出できる方法」ではないかと私は考えます。人々にとって、これは他人とのつながりを強調しながら、しかも自分のアイデンティティを主張できるチャンスなのです。それでもやはり、人々は弁当によって自分が所属するグループの中での自分の役割と位置を意識させられます。豊かで洗練された食文化から生まれた道具である弁当箱は、社交の有用な歯車として働きます。そして最後に、弁当箱を通じて、日本社会、日本文化の中に「遊び心」がどのように育ってきたのかを知ることもできます。この「遊び心」は、長い間戦争や国際紛争、国内の動乱などに苦しんだ後で、日本人がいま満喫している平和と大きな関連があります。
ー引用終わりー
私はこの中で次の部分がとても良く表現されていると思います。
1.他人とのつながりを強調しながら、しかも自分のアイデンティティを主張できるチャンス
2.社交の有用な歯車
3.「遊び心」
何と奥深くお弁当のことを研究されているのでしょう。
この論文の表現は硬いのですが、むそう塾ではまさにこれを具現化したことが毎日起きています。
簡単に言ってしまえば、日本文化としてのお弁当を毎日作りながら、繰り広げられ、蓄積されていくことが、上の3つの体現にほかならないのです。
毎日続けているうちに、自分のアイデンティティや社交や遊び心が育って、気がついたら文化の担い手になり、そしてそれを次世代に伝え残すことのできる自分になっているわけです。
むそう塾の目的の一つに「日本文化の伝承」があります。
お料理はもちろんですが、そのお料理を約束事を守りながら美しく盛り付けることも力を入れて教えています。
そこには単なる技術ではなく、まさに先に挙げた3つの視点が絡んでくるのですが、多くの塾生さんがその盛り付けを苦手としているため、どうしたら盛り付け指導ができるのかを探っていました。
そんなある日、塾生のむつみさんがTwitterにお弁当の写真を載せました。
たまたま中川さんがその写真を目にして、お弁当の盛り込みで気になるところをTwitter上でアドバイスしました。
すると、それからお弁当の写真をツイートする人が増えて、中川さんの気になる盛り込みの写真がどんどん登場するため、中川さんと塾生さんのやりとりは日を追うごとに賑やかになって来ました。
どんどん内容が高度になり、まるで弟子でも育てているかのようです。
そこには「お弁当」の魅力が世界で認識されだしたエネルギーと同じものを感じます。
心地よい陽性さを持つ日本文化の魅力です。
お弁当はあらゆる無駄を省いて、必要最小限の中で遊ばなければなりません。
そこには機能美や安全性まで求められます。
陽性でなければそれらはクリア出来ません。
それでもお弁当作りが楽しいと言って、中川さんに叱られ(笑)にやって来る塾生さんが後を断ちません。
「みんな正しく覚えたいのね」とTwitterを眺めていて感じました。
苦手なことを克服したい。
そんな積極的な氣の溢れるむそう塾のTwitter仲間が残した「お弁当ツイート」を、最初からまとめて記事にします。
次の新記事からスタートです。
いつまで続くことになるか分からないシリーズ記事の誕生です。
なお、日々のツイートを記事にすることが可能になったのは、むそう塾生の舞さんと祐衣さんのご協力のおかげです。
お二人に心から感謝いたします。

(鮭の幽庵焼き 料理:中川善博)
「極上お弁当のすべてお持ち帰り講座」では、鮭の切り方からお教えしました。
串の打ち方もそれぞれが実習して、体で覚えてもらいました。
お弁当のおかずとしては難易度の高いお料理ですが、お魚のおろし方から教えている幸せコース修了のむそう塾生なら、必ず出来ますから復習をしっかりしてください。
サービスにもう1枚写真をアップしておきましょう。

(お弁当盛り込み例 料理&盛り込み:中川善博)


















