マクロビオティック関連の本や教室では、玄米ご飯の炊き方を取り上げますが、著者や教室によって炊き方はまちまちです。
白米に比べると驚くほど炊き方の違いがあります。
むそう塾の中川善博は、京料理人として白米の炊き方も相当研究していますが、その実力があっても、皆さんに最高に美味しい玄米の炊き方を伝授するまでには、300とおりほどの炊き方を研究したといいます。
それほど玄米は炊き方によって差が如実に出てしまい、それが体調に反映するので、白米と同じように思っていると知らず知らずのうちに、玄米が原因の体調不良になることがあります。
玄米の良さを最大限に取り込むためにも、玄米の良い面と悪い面をきちんと把握して、目的に応じた炊き方をおすすめします。
ところで、炊いた玄米をあなたはどのように保存されていますか?
マクロビオティックの教室によっては、炊いた玄米ご飯を冷凍して、食べる時に蒸すと教えるところが多いですね。
あるいはおひつに移して、おひつで保存すると教えるところもあります。
問題は、冷凍保存してそれを自然解凍した場合は、でんぷん質がβ化して消化に悪い状態であることです。
つまりこの場合の玄米ご飯は陰性になっているわけです。
冷蔵庫で保存した玄米ご飯も同じく陰性です。
ですから、こういう玄米ご飯を食べ続ければ陰性になっていきます。
まさか冷たいご飯を食べる人はいないでしょう?と思われるかもしれませんが、世の中には色々な人がいますので、そういう人が実際にいるのです。
何しろ、前の晩に作ったお弁当を冷蔵庫に入れておいて、そのまま家族に持たせる主婦もいるのですから。
腐敗防止目的とはいえ、マクロビオティックの陰陽を知っている人なら、ゾーッとするお弁当になってしまいます。
冷凍したおかずをそのままお弁当に詰めて、お昼には解凍されているからと平気でいると、著しい陽性の人でない限り、食べた人は段々陰性になっていきます。
では、冷凍した玄米ご飯を蒸すというのは、でんぷん質がα化しているから良いのでは?と思われるでしょうが、炊きたての玄米ご飯に比べて陰性になっていますね。
それに美味しくありません。
主食が美味しくないのは悲しいですから、もう少し陽性を加えた料理方法にして、主食はいつも中庸を保てるようにしましょう。
そこまでして初めて中庸の安定を得られるのです。
食べ物の陰陽を食材段階では神経質に考えるのに、料理方法や保存方法まで気がまわっていない人を多く見かけます。
しかし現実には、お口に入るときが最高の陰陽バランスでなければ意味がないので、そこまで陰陽を考えるように誘導してあげなければ、マクロビオティックの本や教室としては不親切といえるでしょう。
でも、その不親切な本や教室が多いので、マクロビオティックが正しく伝わりにくいのです。
* * *
話を玄米に戻します。
本によっては、あるいは教室によっては、玄米は陽性だと教えていませんか?
果たして玄米は陽性でしょうか?
白米に比べれば陽性だというのは間違いではありません。
昔の玄米は陽性の時代もありましたが、今の玄米は品種も含めて陽性さは薄れてきています。
しかし、しっかりした陽性の玄米を作っている人も知っています。
玄米を作った場所(土地)、作り方、作った人、気候、品種、それらの陰陽によって玄米の陰陽は変わるのです。
ですから、玄米を陽性だと決めつけずに、自分の購入した玄米が果たして陽性なのか、中庸に近いのかをはっきりと見極めましょう。
むそう塾ではその見極め方も教えていますが、これを文章で書くのはむずかしいです。
やはり、文字だけでは伝えられないことがあるんですよね。
次に玄米ご飯の美味しさについて書きます。
よく、モチモチしていることを美味しい玄米ご飯の代名詞にしている本や教室がありますが、それは偏っています。
玄米ご飯がまるでお赤飯のようなモチモチした炊き上がりでは、陽性タイプの人は美味しく感じません。
無理に食べたとしても、おかずで陰性なものを欲しがったり、玄米を食べたがらなくなります。
白米がなぜ毎日食べても飽きないかというと、モチモチしていないからです。
でも、お餅やお赤飯は毎日食べると飽きるでしょ?
「陽性な人は玄米が入らないから、そういう人は分づき米にしましょう」と書いている本やマクロビオティックの教室がありますが、それは玄米の炊き方をちゃんと研究していない証拠ですね。
陽性の人でもちゃんと食べられる玄米ご飯を炊けないと、陰性な奥さんや、陽性な子どもたちと一緒に同じ釜のご飯が食べられないですよね。
昔から「同じ釜の飯を食う」ということは、とても大切な関係なのです。
少なくても玄米の炊き方を教えたり、マクロビオティックの本を出すのなら、どんな人が食べ続けても飽きない炊き上がりにするだけでなく、体調が良くなる食べ方まで丁寧にアドバイスしてあげられる環境を整えるべきです。
そして、玄米は薬にも毒にもなることを肝に銘じて接するべきです。
【関連記事】
・マクロビオティックの指導現場から(6)間違いだらけの玄米選び 2014.1.22
・マクロビオティックの指導現場から(7)お鍋の陰陽と玄米の炊き上がり 204.1.23
(中川式玄米ご飯 料理:京料理人 中川善博 マクロビオティック京料理教室 むそう塾)
+ – + – + – + – + – + – +
【ご案内】
・これから開催予定の講座案内 最新版
【サイト内の記事】
・マクロビオティックの盲点
・塾生のきょうの100点お弁当
・陰陽を感じる日々の暮らし
・中川善博から娘へのお弁当
・中川善博厳選!おすすめ器具と食材