マクロビオティックで体調不良になった時 〜指導現場から〜

昨日はマクロビオティック相談について記事を書きましたが、その後メールのやり取りをして、主食がとんでもないことになっていることが判明しました。
本を片手に玄米ご飯を炊き上げても、その炊き上がりが著者の伝えたかった炊き上がりかどうかを確認するすべもなく、ただひたすら「玄米が体にいいんだ」と思い込んで食べているのです。
危険ですね。

私がびっくりしたのは、土鍋で炊いたあとの玄米ご飯を冷凍しておき、それを解凍してお弁当に持って行くということです。
冷凍おかずを凍ったままお弁当に詰めるのが普通に行われている今の時代では、そういう発想も当たり前なのかもしれません。
当然、玄米ご飯はかなりポロポロしているそうで、夜は解凍した玄米ご飯をオーブントースターで温めたり、少しのお水を加えて温めたりしているということでした。

私がとても悲しく思うのは、人生で一番輝いているはずの年齢で、こんなにも心が冷えるお食事をしていることです。
お食事は本来楽しい時間のはずなのに、彼女は頭でっかちになっているので、玄米を口にすることで安心してしまって、美味しさは忘れてしまったのでしょう。
でも、主食はとっても大事なんです。
毎日食べるものだからです。
ですから、その主食だけは最高の状態に炊き上がったものを口にしてほしいし、その炊き上がりが食べる人の体調に合っていることが一番健康的です。

当然のことながら玄米ご飯を炊くお鍋の陰陽も考えるべきですし、その前にそのお米が彼女に合っているかどうかも考えなければなりません。
玄米であれば何でも同じではないのです。
白米ならそこまで細かく考えなくても大丈夫なのですが、玄米は白米と同じ考えでは体調にピッタリ合わない人が出てきます。
そこが玄米炊飯の難しいところでもあります。

そういうことが背景にあるので、彼女には玄米を食べることをストップしてもらいました。
まずは白米で栄養補給をすることが先決の状態だったからです。
でも、多くの人がここで「えっ?」と思うんですよね。
玄米の方が栄養価があるのに、なぜ白米に?って。
確かに栄養成分表では玄米の方が栄養的にはすぐれていますが、それは体がきちんと吸収できればの話です。

マクロビオティック的にはもっと玄米から離れない食べ方をアドバイスする指導者もいらっしゃるでしょうが、彼女のような場合は一度一般的な和食の良さを思い出してほしいのです。
そして、精神的にほっこりと出来る状態まで戻す必要があります。
良好な人間関係のためにも。
生きることも含めて、日々が輝いて楽しい毎日が送れるようになってもらうため、まずは仕切り直しをしましょうとアドバイスをしました。
その上で、本当に彼女にふさわしい玄米ご飯を食べられるようになって、真の健康と考え方を味方につけて、人生を謳歌してほしいと思います。

*   *   *

全国には彼女と似たような人がたくさんいるはずです。
そういう人たちのために、あえてオープンにしてこの記事を書きました。
体調に合っていない玄米を食べて、かえって体調を悪くしてしまっているのに、好転反応だと思って突き進まないでください。
ここを乗り越えれば良くなるなんて素人判断をしないでください。
前の記事のAさんのように、腎臓に負担がかかっている状態は危険です。
以下にAさんの文章を抜粋します。

最近は好転反応なのか足がひどくむくみ、感情もうつむきがち。
好転反応が出ているときは特に食事に気を付けたほうがいいそうなので、
当分の間は菜食でいこうと思っております。
マクロビオティックとは何なのか、何を食べればいいのか、
病気は治るのか……悩みが多くて、勉強も身に入らないです。

悩みとしては他に、体力がなくなったことです。体重も減りました。
体力的にも精神的にも、動きたいのに動けないのは辛いです。

いかがですか? 危険ですね。
一般的に野菜は体に良いと思っておられるでしょうが、彼女のように緊急を要する場合は、案外と動物性を摂る方が早く効果が出ます。
野菜はもともと体内でエネルギーになるために時間がかかることと、傷ついた胃腸では吸収力が劣ってしまうからですね。
ですから、この場合は菜食で行くなんて呑気なことを言っていないで、好きだった動物性を召し上がってほしいと思います。
最初は動物性を頭が拒否するかもしれませんが、そういう感覚から抜け出ることが一番の解決法です。

マクロビオティックは素敵な考え方だけれど、食べ方を誤ると悲惨な結果になります。
そのことをしっかり認識しましょう。
私はAさんのような人をたくさん見てきました。
でも、白米を食べるようになって、笑顔が増えて、生理が再開して、妊娠もしてくれて、幸せに暮らしているとの報告が寄せられています。
Aさんに似た人はとても多いですし、腎臓に負担がかかっている状態は危険ですから、そういう人はこの記事を参考にして、早く対処してくださいね。

 
 

里芋の海老そぼろ餡かけ マクロビオティック京料理教室 むそう塾

 
 

(里芋の海老そぼろ餡 料理:京料理人  中川善博 マクロビオティック京料理教室 むそう塾)

餡は体の芯から温まるので、寒い季節にはピッタリのお料理です。
冷え性の人にはおすすめです。

 
 

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カテゴリー: マクロビオティックの指導現場からシリーズ | 2件のコメント

マクロビオティック相談より

マクロビオティックのメール相談なのですが、多くの人に一緒に考えてほしい内容なので、記事にさせていただきます。
相談者は19歳の女子大学生で一人暮らし、お名前をAさんとしておきます。
あなたが相談されたおつもりで、一緒に考えてみましょう。
そうすることによって、マクロビオティックのことや陰陽のことがよく理解できるようになるのです。
ご本人には私からすでにアドバイスを差し上げましたが、この記事を読んでより客観的に考えることをしてほしいと思っています。
なぜなら、こういう人が増えるからマクロビオティックは間違っているとか、マクロビオティックは危険だというようになるのですから。
マクロビオティックをうまく生活に活かすポイントは、陰陽を知って極端にならないことです。
そして、体に合っていないことはしないことです。
そんなことを考えながら、ご自由にコメントをなさってくださいね。

 
 

<Aさんからのメール>  抜粋

若杉友子さんの本をきっかけに、9月末からマクロビ生活を始めました。
「一汁一菜子育て法」「子宮を温める健康法」を読みました。
マクロビオティックを始めようと思ったのは、
小さい頃からの便秘と冷え性、
中学生の頃の無理なダイエットとストレスによる無月経を
改善したいと思ったからです。

5,6年前から健康法について色々と学び、
肉、魚、卵、大豆からタンパク質を積極的に摂取すること、
生野菜や果物から酵素を取ることなどをしてきました。
現在まで続けていることは、
市販のお菓子や加工食品、添加物のものをほぼ食べないこと、
間食をしないことです。(代謝が悪く夜までに消化できません)
2年前からは朝に固形物を取らないようにする
一日二食生活を始めました。これは石原結實先生式です。
黒糖を入れた生姜紅茶を主に飲んでいました。
どの食事法も便秘、冷え性、無月経を改善しようと
思って始めたものですが、効果は出ませんでした。
マクロビ生活を始めてからは、かつお節以外の動物性は食べていません。
(現在はかつお節もやめました。)
今は若杉さんの本に従い、玄米、味噌汁、漬物、野菜のおかずを食べています。
おかずは蒸し野菜や煮物です。
ナッツやゴマ、きな粉が好きで、時々モリモリ食べてしまいます…。
あと、お味噌も時々スプーンですくってそのまま食べることも。
砂糖は使わず、甘みが欲しいときはみりんしか使いません。
甘いものが食べたいときは、カボチャやサツマイモを食べます。
空腹感がないと不安になるので
一日二食は今でも続けており、苦痛ではありません。
朝は白湯か醤油番茶を飲んでいます。
昼は梅干し、だし昆布入り味噌汁、茶碗半分の量の玄米です。
これだけでもお腹にたまります。
夜は前述のとおりです。夜にしっかり食べます。
学校があるので食べ終わるのは21時頃になります。

今の食生活としては、このような感じです。
もともと肉、魚、卵、大豆製品、陰性の食品は好きなものでした。
今は特に欲してはいません。
ただ、実家に帰ったときに動物性食品を食べないことは
親に反対されるのでできませんし、
お正月にお寿司を楽しみたいので困っています。
マクロビ=菜食のように思っておりますし、
「~しないほうがいい」「控えたほうがいい」というものは
食べることにかなり抵抗してしまう、融通の利かない性格なので
とても勇気がいります。
最近は好転反応なのか足がひどくむくみ、感情もうつむきがち。
好転反応が出ているときは特に食事に気を付けたほうがいいそうなので、
当分の間は菜食でいこうと思っております。
マクロビオティックとは何なのか、何を食べればいいのか、
病気は治るのか……悩みが多くて、勉強も身に入らないです。
悩みとしては他に、体力がなくなったことです。体重も減りました。
大学に入ってから運動量が減ったことも原因だと思います。
食事量が減ったことも原因だと思います。
体力的にも精神的にも、動きたいのに動けないのは辛いです。
今はただ、便秘も冷え性も無月経も解消され、
元気に活発に動いて生活することを願っています。

ちゃんと伝えたいという気持ちが強かったため、
長々と書いてしまいました。申し訳ありません。
御返事はいつでもかまいません。
どうかお助けください。よろしくお願いします。

*   *   *

<マクロ美風より>

結論から申し上げますと、あなたの場合は体調が悪くなって行く段階であって、好転反応だと思うのは間違いです。
好転反応だと思って症状が悪化して、病院に担ぎ込まれる人が多いので気をつけてください。
今している健康法をすべてストップして、まずは標準的なお食事をされることをおすすめします。
栄養不足による体調不良が考えられます。
白米でもよいですから、和食を中心にして少しずつ胃腸を快復させる方向で頑張ってください。
そして、帰省されたらご家族と一緒にお寿司も動物性のものも喜んで召し上がってください。

健康法というのは、何か一つだけが特効性を持っているのではなく、全体で底上げしていく方法が一番確かです。
メールでアドバイスした方法を実行して、その結果を教えてください。
もちろんメールでかまいませんが、お会いしていない段階ではアドバイスに限界があることも知ってくださいね。
まずは「脱マクロビオティック」です。
一旦マクロビオティックとは距離をおいて、仕切り直しをしましょう。

玄米ご飯は、こんなふうに柔らかく炊き上がっていない限り食べない方が賢明です。
皮の部分が胃腸に悪さをしますから。

 
 

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カテゴリー: マクロビオティックの指導現場からシリーズ | 5件のコメント

「陰陽を感じる日々の暮らし」を更新しました

サイトの「陰陽を感じる日々の暮らし」を更新しました。

パンのお取り寄せから玄米お取り寄せへ〜(2)(93-3 まりー)

かつてはお腹がパンパンになるほどのパン食だったまりーさんが、今では中川式玄米ご飯とお味噌汁と糠漬けで体調がとっても良いだけでなく、素晴らしい心身の安定感を保っておられます。
最初に通われたマクロビオティック教室での玄米の炊き方が、そろそろ体に合わなくなってきた頃にむそう塾に出会えたのもラッキーでした。
彼女のように長い年月をかけて玄米ご飯を食べ比べると、心身への影響が実感として納得できると思います。

マクロビオティックは頭で理解するだけではなく、五感で感じるもの、気づくもの。
そのことをいつも記事にしている私ですが、まりーさんはそのことをよく実感されていると思います。
これからの彼女のさらなる変化が楽しみです。

 
 

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(料理:京料理人  中川善博)

あっという間に作った中川さんのお惣菜。
意外な組み合わせが美味しかったです。
写真で見れば一目瞭然のお料理ですが、マクロビオティックに凝り固まっていると、こういうお料理は出来ませんね。
香りの楽しみもお味のうちであることを思い出させてくれるお料理です。

 
 

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<必読>幸せコースの皆様へ 煮物のお持ち帰り容器持参について

11月の幸せコースは煮物の授業です。
煮物のお持ち帰りがありますので、色々な大きさの密閉容器を持参なさってください。

注意点は次のとおり。
・煮汁の出ないように、しっかりフタが閉められるものであること。
・重ねると形が崩れるので、浅いタイプの容器も揃えること。
・予備として小さい容器も持参すること。

最低限必要な容器の大きさは次のとおりです。
・1000cc 1個
・ 500cc 1個
・ 300cc 1個
・ 200cc 1個

 
 

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(昨年度の例)

 
 

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中庸のマクロビオティック 実践編 Aさんの場合

今月「むそう塾  煮物コース  夏秋編  2016」を修了した塾生さんからの復習メールが、まさに「中庸のマクロビオティック」そのものだったので、記事にして皆さんと共有させていただきたいと思います。
お名前をAさんとしておきます。

<Aさんからのメール>  抜粋

わたしの最近の率直な気持ちです。
わたしは経済的にすごくお金持ちになっていませんが
誰より美味しい料理を教えていただき
それはお金より豊かな財産である、という事に気がつきました。
豊かな料理ができる自分がいるのです。
こころ強いです。自分。
それを伝えていただいた中川さんに感謝です。
ありがとうございました。

こころは大金持ちです。

 
 

<マクロ美風より>

Aさんは毎回きちんと復習をされて、包丁研ぎも合格をもらって、最後の授業メニューの一つを投稿されました。
そこにこのような感想を書いてくださったのです。
中川さんも私も何が嬉しかったかというと、「美味しいお料理がお金より豊かな財産である」ということに気づかれたことです。

「美味しい」を追求すると、グルメを連想される方もいらっしゃるでしょうが、実は美味しいって人の心を豊かにするんですよね。
しかもその美味しさとは、お金をかけるものだけではなく、ふだんの何気ない食材からでも生み出せます。
「美味しいものは外に食べに行かなくても、自分の手で生み出せる」というのが、むそう塾が伝えたかったことであり、それが財産になることをずっと言い続けて来たのでした。
ですから、Aさんの文章が本当に嬉しかったのです。

マクロビオティックの考え方には異論のある方もおられるでしょうが、むそう塾はマクロビオティック京料理教室として、伝統的な京料理をさらに美味しくさせるためにマクロビオティックの陰陽を最大限に活用しています。
陰陽というのは見事なまでにお料理に反映しますね。

むそう塾おすすめの「中庸のマクロビオティック」は、こうして美味しい煮物を作れた時により一層感じるのかもしれません。
これが煮物のもつ中庸のエネルギーの結果なのです。

 
 

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(五目豆 料理:京料理人  中川善博 マクロビオティック京料理教室 むそう塾)

この五目豆は誰でも知っているお料理ですが、京料理人中川善博の作り方は違っていました。
陰陽をよく考えたうえでの作り方です。
その結果、一般的な五目豆とは大違いの美味しさに仕上がったのです。
他にも五目豆の復習をされた塾生さんから、次のような感想が寄せられています。

五目豆があまり好きではなかったので、一番最初に復習しようと思ったのが五目豆だなんて、我ながら驚きです。

マクロビオティック的にもお馴染みの食材ですが、こんなにも美味しく仕上げるのは、やはり常々「澄んだ煮汁」にこだわり続けた料理方法だからです。
その料理方法とは、気がつけば「中庸」だったということです。

 
 

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