マクロビオティックの本では、玄米を炊くお鍋を何種類か紹介しているものが多いです。
主に圧力鍋と土鍋ですが、電気炊飯器が登場する本もあります。
しかし前の記事で書いたように、玄米は白米と違ってお米の生育状況が如実に炊き方に影響するため、玄米を炊くお鍋もまた白米と同じでは陰陽バランスの悪いものとなってしまいます。
一般的に硬いものを軟らかくするには、①水を含ませる、②熱を加える、③圧をかけるということが頭に浮かびます。
玄米炊飯にはそのどれもが必要なのですが、問題はそのバランスです。
【1】圧力鍋
一番陽性で玄米の旨味を引き出せる鍋ですが、陽性体質の人は長く食べ続けられないことがあります。
しかし、これは炊き方で解消出来ます。
【2】土鍋
陰性な鍋なので、時間という陽を補って陰陽バランスを取ろうとしますが、玄米の良さが引き出しきれずに旨味に欠け、圧力鍋には負けます。
しかし、陽性の強い体質の人はこの焼き上がりを好む場合があります。
そんな人でも長く食べ続けると体調に陰性な面が増えて来ます。
白米なら美味しく炊き上がるんですけどね。(でも陰性)
【3】電気炊飯器
これはもう国民病を招く元凶ではないかと思うくらい困った鍋です。
つまり、熱源が陰性なんですね。
ですからお焦げが出来ません。(最近はうっすらとお焦げのつくものが登場して来たようですが)
電気炊飯器で炊いたおこげのつかない白米ご飯を食べ続けていると、長い間に陰性に偏って行きますし、陽性のおかずがほしくなって来ます。
これで玄米を炊くと、玄米モードであったとしても炊き上がりが硬いです。
胃腸の弱い人には絶対お勧めできない炊き上がりです。
他には電気圧力鍋や発芽玄米も作れる電気炊飯器、特殊な形の土鍋も試しましたが、いずれも陰陽バランスの問題と炊き上がりの不安定さがあります。
玄米を炊くには材質の関係で土鍋を選ぶ人がいますが、玄米の中(胚乳部分)と皮の部分では硬さが異なるため、土鍋ではそれに対応しきれません。
玄米ご飯が体に悪影響を与えるのは皮の部分なので、その硬さがなくなるように最後まで炊き方を工夫しなければなりません。
その原因は気温なのか? お米の種類なのか? お米の栽培方法なのか? お米の保存方法なのか? お水なのか? 火加減なのか? 圧力なのか? 塩の種類なのか? 塩の量なのか? はたまた炊く人の精神的な問題なのか?
そんなことを総合的に検証して炊き上げれば、まさに玄米は健康に最短距離の主食になりえます。
しかし、炊き方やお鍋の選定が間違っていると、体調を崩す一因になってしまいますので、目的に合ったお鍋を選んで、陰陽バランスのとれた炊き方をマスターしましょう。
なお、むそう塾では上記のような視点から、圧力鍋で玄米を炊くことをお勧めしています。
今のところ、最新のおすすめ商品はeコントロールビジョン(2.5リットル)です。
ドイツのシリット社から輸入したものです。
このお鍋の特長は遠赤外線が多く出ることです。
鍋の周りに何段もある筋状の線がそれを表しています。
このお鍋は圧力鍋の陽性さは持ちつつも、玄米をふっくらとさせる力が優れています。
しかし、同じビジョンでも3.0リットルや4.5リットルはお勧めしていません。
お鍋の形状の陰陽によります。
なお、写真のお鍋はむそう塾生のみが購入出来ます。
昨年の中川式稲荷寿司講座でもこのお鍋が大活躍しました。
中川式稲荷寿司は、玄米ご飯が50点以上(パスポート取得レベル)の炊き上がりでないと美味しく仕上がりません。
第一の理由はご飯にお酢がスッと入って行けないからです。
ご飯が硬いと米粒のまわりに水分がまとわりついて、ベチャベチャしてしまいます。
そんな稲荷寿司は美味しくありませんね。
美味しい稲荷寿司の基本は玄米ご飯にあるのです。