マクロビオティックの指導現場から(6)間違いだらけの玄米選び

毎月「玄米の炊き方秘伝(愛クラス)」を開催していると、たくさんの学びがあります。
学びというのは、何かを伝える側にも受け取る側にもありますが、玄米の選び方についてきちんと把握していない人が圧倒的に多いという現実が私の学びです。
私もマクロビオティックを始めた時にはそうでしたが、どんな玄米を選べば良いのか詳しくは知りませんでした。
ですから、教室で使っていたもの、あるいは教室に併設された売店で扱っている玄米の中から食べた感じで選んでいました。
そのうちにお米関係のつながりも増えるようになって、選択肢の幅は広がりますが、明確な基準があるわけではありませんでした。

そんな経験も踏まえて、むそう塾では玄米の炊き方を教える時に、必ず塾生さんが使用される玄米とお塩を少し持参してもらっています。
仮に毎年同じ生産者から購入されていても、その年ごとで微妙にお米の仕上がりが変化していることがあるからです。
それは土に原因があったり、お水に原因があったり、気候に原因があったり、あるいは生産者自身に原因があったり、もっと大きな環境(空気を含む)が原因だったりします。
それで塾生さんが再受講であったとしても、毎回玄米を見せていただくのです。
玄米を入手するまでは例年通りだったとしても、保管方法が変わっただけで玄米の品質は変化しますので、その辺の細かな差を炊き方に反映させるためです。

玄米を召し上がっていても、白米を召し上がっていても、炊き方はお米に合わせるのが常です。
ということは、まずお米のことを詳しく知らなければなりません。
でも、その辺のところが多くの人は無頓着だったり、文字の情報だけを鵜呑みにしていて、お米そのものを見ていない人が多いです。
お米を触ったり握ったりしながらその見極めをするのですが、参考のためにいくつか列挙しておきます。
これらはすべて経験済みで、受け売りではありません。

【1】玄米にゴミや籾殻が混じっているものは避ける。
これは玄米を洗う前にこれらのゴミ類を取り除くための手間がかかり過ぎるためです。
脱穀機の性能が悪いとこのような混じり物が多くなります。
このような場合は、玄米が汚れていることも多かったりするので要注意。

【2】自然農法米は一長一短。
自然農法米は白米でいただいたらとても美味しいのですが、玄米でいただくと炊き方が難しくて、かたく炊きあがってしまう人がほとんどです。
しかし、高度な炊き方を使いこなせば、強いエネルギーをいただくことが出来ます。
ただし陽性タイプの人には重く感じることもあります。
生命力の強さが重さになるのでしょうね。

【3】棚田米も難易度高し。
棚田米は棚田の厳しい環境をまともに受けますので、炊く技術としては難しいのですが、強さのあるエネルギーが秘められています。
細心の注意で丁寧に炊き上げなければ、かために炊きあがります。

【4】平地のお米は炊きやすい。
棚田や自然農法米とは違って、生育にエネルギーを使わないので、のほほんとしたお米が出来上がります。
何だか人間と同じですね。
ですから、玄米としてはこれが一番やわらかく炊き上がります。

以上が玄米を選ぶときの主な基準ですが、まだまだ選択のポイントはあります。
でも、ブログでお伝えできるのはこの程度でしょうか。
体の負担にならない栽培方法と、玄米を炊き上げる技術の両方がタッグを組んで初めて、玄米はその力を発揮できるのです。
お米だけ理想的なものを入手しても、炊く技術が幼稚園並みでは、体への負荷は大きくなり、場合によっては白米を食べた方が良い体調になってしまうことがあります。
こういう人は結構多い現実があります。
ですから、玄米を食べる場合は、体に良い状態で召し上がってほしいと思います。

まずはご自分の玄米炊飯の技術に見合った玄米を選び、それから難易度の高い玄米に挑戦して行くのも良いかと思います。
むそう塾ではそれぞれのレベルの玄米に対して、異なった炊き方の指示を出して、消化吸収の良い玄米ご飯を炊き上げるように二人三脚で炊き方を追究しています。
玄米はちゃんと体に吸収されなければ、白米以上に体に負担になりますから、炊き上がりの硬さまで見究めたうえで炊飯方法を確立してほしいと強く思っています。
なぜなら、玄米の選び方が間違っている人が次から次とむそう塾に来られるからです。
少しでも柔らかい玄米ご飯が炊きあがるようにと思ってこの記事を書きました。
皆様の玄米ご飯が少しでも改善できますように。

 
 

玄米ご飯 マクロビオティック むそう塾

(玄米ご飯 料理:中川善博)

 


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マクロビオティックの常備食材 キャベツ

マクロビオティック食材 キャベツ

(無農薬キャベツ)

マクロビオティックで欠かすことの出来ない食材としてキャベツがあります。
我が家でも四季を通じて必ずキャベツが冷蔵庫に入っています。
生はもちろんのこと、漬物にしても、お味噌汁に入れても、煮物にしても、焼いても、蒸しても、炒めても万能です。
写真のように陽性エネルギーと陰性エネルギーが見事に調和して、独特の流れを作っています。
美しささえ感じます。

土から切り離されても長い間新鮮さを保つことが出来、雪国では雪の中でも鮮度を保って越冬キャベツとして甘さを増します。
芯の部分は保存時でも陽性エネルギーが満ち溢れ、逞しい生命力を感じます。
マクロビオティックの陰と陽の勉強をする時に、キャベツはとても判りやすい見本となります。
特に胃の弱い人や便秘がちな人、さらに貧血気味の人も、お薬代わりにキャベツを食べると良いです。
お肉を食べるときにはレモンをギュッと絞って、酸味とともにいただきましょう。
肝臓を労ります。

しかし、ジュースにすると、私の場合は胃が痛くなります。
りんごジュースを加えても胃に来ます。
繊維ごと摂ることの大切さを痛感します。
一物全体ですね。
ですから、野菜不足だからといって市販の野菜ジュースに頼らないようにしましょう。
モグモグと噛みながらいただくことに意味があるのですから。
唾液の役割も見逃せません。

部分食と全体食の差は、のちのち心身に影響を及ぼしてきますが、そのことを陰陽で説明したのがマクロビオティックの考え方です。

 


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プロの料理人ならではのポテトチップス

包丁の砥ぎ方を習い、包丁の使い方を習い、野菜の切り方を習い、揚げ物のコツを習い、一つひとつ階段を上って行くと、このようなポテトチップスが手切りで作れるようになります。
無農薬のじゃがいもを圧搾法の一番搾り菜種油で揚げた最高品質のポテトチップスです。
味・歯ごたえともに文句なしのマクロビオティック料理。

ポテトチップス マクロビオティック料理 中川善博作

ポテトチップス むそう塾1 マクロビオティック料理

(ポテトチップス 料理:中川善博)

とかくマクロビオティックではじゃがいもを敬遠する傾向がありますが、お肉の入っている人には毒消し効果のあるじゃがいもがお勧めです。
おビールのおつまみにご機嫌になるご主人も多いことでしょう。
温かいポテトチップスはお子さんも大喜びで、そんなお料理が出来るお母さんをお子さんは大好きなはずです。
作っているところは、こちらでご覧ください。

 
 

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さつまいもの天ぷらをほおばる人

マクロビオティック料理 さつまいもの天ぷら

 
 

さつまいもの天ぷらって美味しいですよね〜。
私も大好きです。
小さい頃、母が天ぷらを揚げているそばで母を見上げていると、お口に揚げたてを入れてくれたものでした。
あの熱々の美味しさが忘れられません。
母の想い出の原点です。

今月の幸せコースは、天ぷらの精進バージョンです。
お野菜をカリッと揚げて、サクサクいただいています。
写真は中川さんのデモで揚げたさつまいもの天ぷらを試食しているところ。
美人さんの色っぽさが増します。
「僕、さつまいもになりた〜い♡」なんて声が聞こえてきそう(笑)

マクロビオティックでは野菜の食べ方の一つとして、天ぷらに人気があります。
油は摂り過ぎはいけませんが、適量はむしろ必要なものなので、油の質をマクロビオティックの基準で選択して、上手に取り込んでください。
ホルモンを作るために欠かせないものです。

 
 

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マクロビオティックの基本理念 「桜沢如一の遺産(上)」より

<マクロビオティックの基本理念 桜沢如一>

生態学である。
大気や土壌は作物を生み出し成長させ、その作物は動物に食べられ、血液、細胞、組織、器官となるもので、人間は土や植物の変化したものである。人間は生物の中で最も自由と適応能力を持つものであるから、あらゆる環境に添うことが大切である。

生命の経済学である。
人は大きな収益を得るために自然生活の基本を破り、不自然な農作法や添加物、合成製品を無限に生み出し利便さのみに追われている。生命の経済点から見れば、大切なことは、自然農法をおこない生活上のあらゆる資源はもとの大地に還元できるものが最も経済的なのである。

陰陽の原理である。
これは人生行路の羅針盤・コンパスであり実用的な道具である。無限宇宙の世界における私達の位置を定めてくれる。精神(陰)に作用する食物や環境の適、不敵を判別させて健康と幸福の道案内をしてくれるものである。

生活の芸術である。
知識をかき集めるのが科学であり、実験とデータとの証明の積み重ねである。マクロビオティックの原点は、常に変化(易)を続ける現象世界に巧みに適応して、宇宙の秩序に従って生きることである。一瞬たりとも停止しているものはこの世にはなく、常に他との共存共栄の条件のもとで微妙に動き続け変化しているのである。顕微鏡下にあるものは、停止、あるいは他との関連をすでに断たれている現象である。撮影や検査も変化中の一部分である。従って一度の結果数値にいつまでもこだわり、同じ薬を連用するのはおかしい。人間そのものが肉体、精神的にも人生という絵を描き続けている芸術家のようなものである。人まねではなく自らの実行と確かめ、楽しみながら面白おかしく生きていけば良いのである。

感謝を知るものである。
人は他人に与えたことはいつまでも忘れずに恩を着せたりするが、人様から与えられたことは忘れがちである。私達は誕生以来、空気、太陽の光、水や風をずっとタダで与えられ、一度だって天は請求をしない。しかしその恵みにお礼を言わずとも、なお生かし遊ばせてくれる。私達は宇宙の無限の慈愛と慈悲と寛大さを忘れている。
一粒の米や一切れのパンにも感謝して、それを表現出来る人間になろう。
苦痛も病気も人の不寛容さえも、感謝を持って受け入れることを学びとしよう。
健康でも不幸な人は大勢いる。鳥は一粒の米粒を大地に落として数千倍の実りをもたらし、魚は数十億の卵をお返ししている。これが自然の法則である。
命と人生を与えてくれた親や周囲の人々に感謝をすべきであり、東洋ではこれを知恩という。報恩とは尽きぬ幸せを限りなくばらまく喜びなのである。人はとかく己の感情に走って、愚痴、小言、怒り、立腹、暴力、蔑視、不遜の言葉や態度を知らぬ年月の間に繰返しているものである。

信を生み出すものである。
陰陽にかなった食事を始めると赤血球に変化が起こり、最初は体の好調さに喜ぶが、人によっては体調が悪化する場合もある。それは細胞間にある体液は変化しやすい流動的なものであるが、細胞そのものは旧態を維持しようとする力が強いからである。それは保守的な老人と柔軟で急進的青年との摩擦に似たようなもので、人はそのような時に疑いや迷いが生じるものである。しかし冷静に無限宇宙が生みだす創造のすべてを考えてみれば良いのである。
無限界の神の世界から陰陽の二つのエネルギーが生まれ、素粒子、元素、植物、動物となるスパイラルの中心にいるのが私達であり、連続的なつながりの中にいるのである。言いかえれば、闇の世界の無から、光、空気、水、穀物、野菜、海藻、豆類、木の実、魚類、果実、塩、動物の順序を認識して、これに準じて食事をすれば良いのである。また口の中にある歯の構造を考えれば、穀物を噛むための臼歯(二十本)、植物を噛む門歯(八本)、動物の肉を裂く犬歯(四本)の順に歯が定められているから、これに従って量は5・2・1を外さなければ良い。
確実な信念を持っていればうろたえたり、迷ったり途中で止めたりすることはあり得ない。本当の信仰とは主義や信条などではなく、宇宙にある見えない世界の無限界(陰)と、見える世界の有限界(陽)のつながりをはっきりと見定めて調和をとりながらすべてを受け入れ、深い慈悲の心を持って精神界に生きることである。

道楽である。
道は中国語でタオと言われ宇宙の秩序の意味である。道楽とは、いつでも、どこでも感謝しながら道を楽しむということ。道楽は趣味を意味することであるから、人生を趣味で生きれば成功も失敗もない。
「人生をあまり生真面目に考えないことである。なぜなら現実界での経験は夢のようなものであるから、人生におけるあなたの役割を楽しむことである。ただそれがあなたの役割であることを忘れないことである。」(パラマハンサ・ヨガナンダ)
徹底して楽しみ生きることが道楽である。あなたが誠の道楽者であれば何を食っていようと、そんなことは問題ではない。

<桜沢如一の遺産(上) ー陰陽を解明した男ー 256〜259Pより>

 
 

マクロビオティック 桜沢如一の遺産

 
 

書名:桜沢如一の遺産(上)
著者:兎龍都(うだつ みやこ)
発行:アートヴィレッジ
定価:1,800円+税

 
 

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