お料理には実によくその人の特徴が現れるので、長所も短所も一気にさらけ出ます。
マクロビオティックの陰陽でいうならば、陰性の人は火加減が弱くなりがちですし、陽性の人は火加減が強くなりがちです。
ですから、そのお料理に適正な火加減を操ることが出来ずにお料理がまずくなります。
つい焦がしてしまう人は陽性か鈍感な人です。
計量のときにもその人の陰陽が影響します。
陰性の人はちょっと少なめに計る傾向がありますし、陽性の人は山盛りに計る傾向がありますので、液体だと表面張力で盛り上がっています。
サラッとすり切りで計ってほしいのに、左右に揺すったり、指で押し込んだり、トントンと詰め込んだりする人もいます。
またお料理にはスピードが必要なところが多々あるのですが、陰性の人はスピードとは程遠いので、アクのある食材を使ったお料理はことごとくまずく仕上がります。
さらに包丁を砥ぐときにもその人の陰陽がしっかり反映します。
本来包丁は力で砥ぐものではないのですが、陽性な人はつい力を入れてしまいます。
また陰性で不安がちな人も力を入れて包丁を寝かせて安定しているような錯覚をしています。
だから包丁砥ぎは陽性な人も陰性な人も難しいのです。
一方、教える側の問題では、私はお料理の指導って心の指導が大切だと思っています。
一方的に教えるのではなく、習う人の心と握手をしながら、習う人が萎縮せずに笑顔で取り組めるような状況にすることが必要だと感じています。
こんな細かいお話は、なかなか分かってもらえませんよね?
でも、美味しいお料理を作るためには、これらのことをすべてクリアしなければ駄目なのです。
コツコツと頑張りましょう。
(吉兆 伊勢丹店にて)