主食とおかずの割合と腸内細菌叢 マクロビオティックの指導現場から

新型コロナウイルスの影響で在宅ワークの方が多いと思います。
そして、4月からお子さんのためにお弁当を作っているご家庭も多いと思います。
どちらにも共通しているのは、主食とおかずの割合を意識していますか?ということです。

日本には幸いに「主食」の概念があるので、主食を中心におかずを組み合わせれば、理想的な割合にすることができます。
その割合を過去記事で書いているのですが、自宅で食事をしていると、ついついそのバランスを崩してしまいがちになるので、もう一度書いておこうと思います。
まずは過去記事から。

現代版マクロビオティック食事法(1)序 2016.9.10
現代版マクロビオティック食事法(2)食事バランス 2016.9.12
現代版マクロビオティック食事法(3)動物性の割合 2016.9.14
現代版マクロビオティック食事法(4)主食としての玄米 2016.9.14

 
 

【白米と玄米でおかずの量は異なる】

主食といえばまっ先に浮かぶのは「白いごはん」ですね。
つまり白米です。
しかし、マクロビオティックを知っている人は玄米が先に浮かびます。
どちらもお米なのですが、お米の成分や炊き方の違いが加わって、両者には陰陽差が出てきます。

結論は白米の方が玄米より陰性になるので、おかずは玄米のときより少し増やします。
(増やすと言っても、量より種類なのですが。)
つまり、玄米に含まれている栄養成分が白米ではかなりの部分が削られているので、その分をおかずで足すイメージですね。
でも、ごはんよりおかずが多くなってはいけません。
中庸を通り越して陽性に偏ることが多くなるからですね。

陽性が多くなると、食後に喉が渇いたり、肩こりが出てきたりするので要注意。
子どもなら、じっと座っているのが苦手になったりします。
まあ、子どもは元来陽性なので、そんなに陽性を意識したおかずにしなくてもいいのですが、お料理をする人がお酒好きだと、陽性のおかずを好んだり、ついついおかずが多くなりがちです。

なお、おかずは一日30品目を目指さなくても大丈夫です。
あれはもう間違った指針として削除されていますから。
一日30食品は過去の情報です 2011.6.15

 
 

【食べ物の種類が多いほど腸内細菌叢(腸内フローラ)が多様になる】

私はここでも糠床のこととリンクして考えます。
糠床の維持には豊富な乳酸菌が必要なのですが、いつも同じ野菜ばかり漬けていると、乳酸菌の種類が偏ってしまうんですね。
でも、色々な野菜を漬けると乳酸菌の種類も豊富になって、味もグッと良くなるのです。

これと同じことが人間の腸でも起きているわけです。
ですから、腸内細菌叢をより良くするためにも、おかずの種類を豊富にした方がよいのです。
しかし、どんなに食べ物が理想的であっても、ストレスを抱えていると台なしです。
コロナのことで心配ばかりしていると、完全に腸内細菌叢は影響を受けます。

最も影響を受けるのは抗菌性物質ですから、くれぐれもこの類の薬には手を出さないようにしましょう。
抗菌性物質の経口投与は影響が大きくて、腸内細菌叢をかく乱させて腸炎のリスクが高まります。
それから、下痢や便秘も腸内細菌叢に影響を与えます。
体の免疫システムの70%近くは腸管に存在するのですから、このことを意識して免疫システムを壊さないような暮らし方をして、コロナに負けないようにしましょう。

 
 

【手指の消毒】

おかずとは関係のない話ですが、塾生さんの同僚の話です。
20代の女性でマクロビオティックとは無縁の人だそうですが、手指の消毒ばかり要求されることに対して、「消息しすぎは、手が死ぬ」と言っているそうです。

いいですねぇ。この表現。
私たちは細菌やウイルスに勝とうとするより、共存できるギリギリのところで棲み分ける方がストレスなく生きられそうですよ。

だって、私たちの体の中には、100兆個、重さにして1〜2キロの細菌が常在しているのですから。

 
 

(麻婆豆腐 料理:京料理人 中川善博 マクロビオティック京料理教室 むそう塾)

 
 

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京都のおうどん屋さん「おめん」 味噌田楽の盛り付け

【おめんのうどん】

京都高島屋の隣にある「GOOD NATURE STATION」(グッド ネイチャー ステーション)。
その1階にある、「BIOマルシェ」
そこで見つけた冷凍うどんの製造元の味を知りたくて、昨日お店に行ってみました。

銀閣寺のそばにある「名代 おめん」
私は「三色野菜うどん 鯖寿司セット」で、息子は「おめん」のみを注文してみました。

 
 

【私】

 
 

【息子】

 
 

緑の枠で囲んだ部分を麺つゆに入れていただくのですが、薬味を入れる前に麺つゆを味見したところ、その時点でそのまま飲めそうな塩分だったので、これは味が薄くなるなあと思いました。
そのままかけうどんの汁としても、なんとか食べられそうな程度。
それで、なるべく水分を落とすようにして食べ進みました(笑)

蓋付きの入れ物には「白ごま」が入っていて、お好みでかけます。
なぜか金平牛蒡がついているのですが、その理由はわかりません。
甘いうえに、牛蒡独特の歯ざわりはなく、完全な煮物としての食感で、私好みではなかったので、申し訳ないのですが残しました。

 
 

<追記> 2021.6.3
こちらに正しい食べ方の記事があります。
後日、もう一度行って確認しました。

 
 

【京料理の甘さ】

おうどん屋さんでなぜ鯖寿司?と思ったのですが、開業された女将さんが京都出身ということだったので、味見をしてみたいと思って注文してみました。
やはりこれも甘くて、中川さんの鯖寿司で美味しさを教えられた私としては、「ああ、これが京都の甘さなんだなあ」と思ったのでした。

というのも、中川さんがよく「京都の料理の甘いところが嫌いだから、自分で料理するときにはそれを変えた」と話されていたからです。
砂糖がご馳走だった時代の名残が尾を引いているのだとか。
もともと甘い味付けがあまり好きではない私なので、京都のお店で注文するときには、そこがお店選びのネックになります。

でも、麺自体はまだ食べていない種類もあるので、今休業中の「四条  先斗町店」が営業を再開したら行ってみたいと思います。
銀閣寺本店は、入り口も窓もすべて開け放っていたので、東山の風が涼しくて、とても心地よい空間でした。
カウンター席も満席で、常連さんが多い感じでした。

 
 

【田楽の串の向き】

それから余談ですが、このお料理の串の向きに「ビビビ!」と反応した私と息子です(笑)
むそう塾では、田楽の串をこの向きで盛り付けるように教えているのですが、今は逆の向きのお店がほとんどなのです。
でも、このお店には古い仕事を知っている料理人さんがいらしたということなんでしょうね。

 
 

三色生麩の味噌田楽

 
 

<参照過去記事>
中川善博による盛り付け秘伝(生麩の田楽) 2015.1.11
「中川善博による盛り付け秘伝(生麩の田楽)」の解答記事 2015.1.12

 
 

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身近な微生物の世界 糠床から学ぶ生き方

ブログ内検索をしていたら、こんな過去記事が出てきた。
私がマクロビオティックを知ってよかったことを2つあげると 2019.2.1

写真を挟んで下段にこんな文章がある。

微生物の世界を前にすると人間は無力である
そこにある世界を受け入れるだけ
彼らのなりたいように合わせるだけ
人間の力でねじ伏せることなど出来ない
発酵の世界に教えられる人生もまたよし
人間は自然界の一部なのだから

 
 

この記事を書いたのは2019年2月だ。
奇しくもこの年の暮から「武漢ウイルス」→「新型コロナウイルス」と言われるものに人々は振り回されている。
今なお。

だが私は、このウイルスが騒がれ始めたときから、それまでと同じく考えは一定している。
2021年2月も人々は右往左往していた。
では、2022年2月はどうだろう?

 
 

自然から離れて、人工的なものに囲まれていると、限りなく不安が増殖する。
しかし、自然界はお手本をいっぱい示してくれている。
それを受け入れたら、心は穏やかになる。

この稀有な体験ができる時代に生かされている私。
もし、まだ生かされるのであれば生きればよいし、淘汰されるのなら、それもまた自然と受け止めればよい。

 
 

お金と生に固執すると不安はエンドレスになる。

 
 


(産膜酵母で真っ白な2014年9月25日の糠床 マクロビオティック京料理教室 むそう塾)

 
 

ウイルスは生物とは言い切れないが、微生物の仲間である。
だから、糠床の乳酸菌を意識した暮らしをしていると、ウイルスのことが少しは解りやすくなる。

 
 

こんな過去記事もある。
プチプチとした可愛らしい音が確認できるだろうか?
中川式糠床が発酵している音 2016.6.1

 
 

 
 

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お花が届いた 東急世田谷線の想い出

昨日の朝、教室に行ったらお花が届いていた。
塾生さんからだった。

授業の準備があるので、取り急ぎ水を吸えるようにしてあげた。

 
 

 
 

東京の世田谷にある「duft」さんというお花屋さんが扱ってくれていた。
松陰神社の近くにあるそうだ。

懐かしいなあ。
私は昔、「東急世田谷線」沿いで働いていたことがあって、よく国士舘大学の学生と電車で乗り合わせた。

ある雨の日。
うっかり手元から傘が落ちてしまった。
大きな荷物を抱えていた私が、すぐ手を伸ばせないでいると、近くにいた黒い服の男性が「取ってやれー!」と。
(結構大きな声にこちらがびっくりした)

すぐさま私の手元に傘をもたせてくれた別の男性がいた。
どうやら、国士舘大学の先輩と後輩のようだった。

それまでは、あの独特の黒い制服に異様な空気を感じていた私だが、ちょっと認識が変わった出来事だった。
もう40年くらい前の話だけど、一生忘れないでいる。

*   *   *

人生は一瞬一瞬の積み重ねでできている。
どんな一瞬があなたの脳裏に折りたたまれているのだろうか?

思い出したくない一瞬があるかもしれない。
でも、時の経過とともに、イヤな思い出は嬉しい思いで上書きされていくような気がする。

もちろん、イヤな思いの方が強かったり大きかったりすると、なかなか上書きがしにくい。
でも、必ず上書きのチャンスは来る。
そのチャンスをつかめるか、逃すかはあなた次第だ。

そんなときは、過去より未来へ。
スイッチを切り替えよう。

 
 

 
 

私の好きそうな色合いで統一してくれたお花たち。
これから開く芍薬も楽しみ♪

Kさん、ありがとう。
あなたのお気持ちに感謝。

 
 

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マクロビオティックの指導現場から お菓子が必要なときもある

【虎屋さんとお菓子】

お菓子に関する記事が目に入りました。
誰でも知っている「虎屋」さんです。

コロナで気づいた和菓子の価値  未曽有の逆境で虎屋のトップが考えたこと(前編)
先のことはわからない 与えられた場所で最善を尽くす 虎屋会長が語る500年の歴史をつなぐ心構え(後編)

前篇の記事「ゆるるか」というお菓子のことが書かれています。
お客様が、食が細くなってしまったお母様のために購入したお菓子が「ゆるるか」なのですが、それが人生の最期に口にしてもらったお菓子になったそうです。

この記事を読んで、私は父の最期の頃を想い出します。
2005年9月23日に95歳で父は亡くなったのですが、病院から自宅に戻っていたとき、旭川からやって来る姉が「夕張メロンゼリー」を買って来ました。
当時の私はストイックにマクロビオティックをしていましたから、「そんな甘いものを!」と思い、本当は父に食べさせてほしくなかったのです。

でも、姉は自分が39歳で乳がんになったにもかかわらず、甘いものは好きなのです。
父が美味しそうにゼリーを口にしている姿を見て、私はとても複雑な気持ちになりました。
その後のある日、姉と交替で父の看病をしていたとき、埼玉から北海道に向かった私は、千歳空港で「夕張メロンゼリー」を買って実家に向かいました。

食べることが大好きで、好き嫌いが何もなかった父なのに、母は「最近はあまり食べてくれない。ほしくないっていうの。」と寂しそうに言います。
それで、「ゼリー食べる?」と父に声をかけると、こっくりと頷きます。
嬉しそうに目を細めて口を動かす父は、まるで離乳食をもらっている子どものようでした。

「うまいな」

私がマクロビオティックを知ってから避けていたお菓子を、父は「うまいな」と言って喜んでいるのです。
帰りの飛行機の中で、あれこれ考えたのはいうまでもありません。

その次に北海道に行ったのは、葬儀に出席するためでした。
まさに私が父に食べさせてあげた最期の食べ物はお菓子だったのです。

 
 

【塾生さんとお菓子】

むそう塾では最初はお菓子を教えないのですが、コースのレベルが上ってくるにしたがって、「餡」の作り方を教えます。
おはぎなどで餡を使うことがあるためです。
マクロビオティックでは塩餡を作ったりしますが、伝統的なお料理方法を教える意味もあって、甘い餡を作ります。

幸せコースの頃から、甘いものは要注意と叩き込まれている塾生さんたちは、恐る恐る手を出すのですが、一口食べると嬉しそうな笑顔になります。
甘いものはこんなにも人を喜ばせる魔法で、やはり麻薬なんだと思ったりします。

「桜餅」「柏餅」「小豆ぜんざい」「パウンドケーキ」「ロールケーキ」「シフォンケーキ」などと進むと、笑顔が倍増します(笑)
「甘いものはダメ」と言って、子どもを純粋培養で育てるのは限界があります。
それならむしろ、本物の味を教えてあげた方が良いかもしれません。
そして、それは毎日いただくものではないことも教えてあげましょう。

お菓子作りは、作る人も癒やされます。
ふわふわとした手触りや、やわらかな口当たりは、癒やしそのものですが、それに頼ってはいけません。
陽性があっての陰性であることを、肝に銘じておきましょう。

そのうえで、お菓子が必要なときには、体に負担にならない作り方と食べ方を選びましょう。

 
 


(桜餅 料理:京料理人 中川善博 マクロビオティック京料理教室 むそう塾)

 
 

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