昨日(10日)、息子が通っていた高校の卒業式があり、夫と一緒に出席して来ました。
これまでの息子の人生を想うと、節目として記しておきたい気分になりました。
* * *
生後1ヵ月から発症したアトピーに振り回され、一番可愛いはずの時期はアトピーの悪夢で塗り固められた。
我が子よりひどいアトピーの子供は、ついに見かけなかった。
一度はキレイになったアトピーも、中学校の入学と共に再発。
幼かった頃とは比較にならないほど、それはそれは強烈なアトピーだった。
陰茎・陰嚢の皮もズルリとむけた。
朝は、息子も1時間早く起きて、アトピーのお手当てをした。
皮膚にしみるお手当てに、「ギャーッ」と叫び声をあげながら、体をのけぞらせて泣いた。
いたるところが包帯だらけで、異様な姿だ。
息子は、真っ直ぐ歩けないほど、フラフラしていた。
とても、勉強をする状態ではなかった。
「つらかったら休んでもいいよ」と言っても、「行く」と言って出掛けて行った。
目はうつろに宙を舞い、精神的に異常を来たしたのかと思うほど、心身ともどん底に突き落とされた息子。
それでも学校に行こうとする息子。
勉強は嫌いなのに。
泣き疲れて、虚脱状態のまま、鞄を背負って学校へ行く息子を見送って、私は「代わってやりたい!」と何度床に突っ伏して泣きじゃくったことか。
私も気が狂いそうに、つらかった。
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でも、そんな親子を、マクロビオティックと温泉は救ってくれた。
息子は、3年間、無遅刻無欠席で中学校を卒業した。
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それも乗り越えて、高校へ進学。
しかし、円形脱毛症の全頭型が彼を襲った。
これは、実にムゴイ症状だ。
体中の毛が抜けるのだ。
髪の毛、眉毛、まつげ、ヒゲ、腋毛、陰毛、すね毛。
ありとあらゆる毛が抜けて、ノペーっとしたオバケのようになった。
異常を通り越して、怖さを感じる体になった。
この時の息子の姿は、いつ想い出しても涙がドーっと溢れてくる。
息子は、毎日「死にたい! 死にたい!」と狂ったように泣きながら、床を叩いた。
本当に自殺するかもしれないと、真剣に思った。
高校に行っても、誰とも口をきくことなく、一日中下を向いたままだった。
上履きは何度も隠され、鞄がゴミ箱に入れられ、ひとりぽっちの休み時間。
電車に乗れば、射るような視線。
いつしか、制服のポケットにはナイフが入っていた。
つらかっただろう。
苦しかっただろう。
この時、私達夫婦は強く思った。
「生きていてくれるだけでいい」
「勉強なんて出来なくてもいい」
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そんな彼は、高校2年の時、校則違反をしてバイクの免許を取った。
そして、それまでに貯めた、彼の郵便貯金をもとにバイクを買った。
バイクに乗り出してから、彼の世界は変わった。
表情に活力が出てきた。
高校3年の夏休み、彼女も出来た。
ぷっくり太った背の低い子で、「へ〜、これが息子の好みかね〜」と思った。
その、ぷっくり彼女は、毎日のように我が家に出入りし、時々私達家族と一緒にお食事もするようになった。
玄米ごはんを不思議そうに食べていたけれど、そのうちにコンビニ食を持ち込むようになり、息子も仲良くコンビニ食を食べていた。
これには私もムムム・・・。
「せっかく今までマクロで育てたのに・・・」
そんな日々が続いて、息子の顔は、次第に妖しげな皮膚になって来た。
確実に食べ物が影響している。
あ〜、悲しいなぁ。
せめて、マクロビオティックを知っている家のお嬢さんとラブラブになって欲しかったなぁ。
後日、息子の話を聞くと、彼女のお父さんは、ちょっと前に死んだばかりだという。
??
まだ若いだろうに、何故? 交通事故?
聞けば、「糖尿病」で入退院を繰り返していたのだとか。
ムムム・・・・・。
よりによって、何故、糖尿病で亡くなる人の子供が、ウチの息子と・・・。
「あ〜、早く別れてほしいな、壊れてほしいな」。
「あの子の体型は、間違いなく糖尿病になりそうよね〜」。
夫も渋い表情に・・・。
しかし、次の瞬間、ハタと思った。
「そうか! あの子はこのままだと父親と同じ糖尿病街道をまっしぐらだから、私に出会う必要性があったのね! だから、息子の彼女としてのご縁があったのね!」と気づいた。
そして、一瞬たりとも、息子と別れて欲しいと思ったことを、心底恥じた。
あ〜、私は未熟だなぁ。
バカだなぁ。
自分達だけの幸せを考えていたんだなぁと、猛省した。
私は今、彼女の世代に、マクロビオティックの存在をお伝えする使命感があるような気がしている。
息子よ、息子の彼女よ、一緒に玄米を食べよう!
* * *
2007年2月22日のこと。
彼女とのおデートに神経が行っている息子は、大学側から出されている課題の提出をホッポリ投げたままだった。
28日の締め切り近くになっても手付かず状態の息子に、外から帰った私の往復ビンタが飛んだ。
「嫌なことでも、やらなきゃいけない事がアルッ!!」
「物事の順序を考えろ!!」
子供の頬を叩いたのは、これで3回目。
いずれも往復ビンタで、子供が中学生以降のことだ。
叩いてでも、絶対、人間として守ってほしいことを教えたかったから。
余談だが、子供が小さい時には、お尻を13回ほど叩いた。
いずれもペナルティの時だった。
悪さに応じて、子供がお尻ペンペンの数を自己申告する。
そこで、私の考えるお尻ペンペンの数と合わなければ、協議して数を決め、悪さの程度を納得してからペンペンする。
それ以外は、手をあげない。
* * *
息子は、高校も3年間無遅刻無欠席で通した。
帰宅してから、息子を私の胸に抱きしめて、3年間の頑張りを評価してやった。
息子も、私の体に手をまわして、ギュッと力を入れた。
思わず、息子が小さかった時のように、頭をナデナデした。
二人とも泣いた。
夫もドアの陰で目を潤ませていた。
普通の健康体なら、難なく通り過ぎる月日なのに、我が家の親子は、何倍もの月日を過ごしたような気がする。
でも、その分、強い絆で結ばれたと信じている。
4月から、息子は大学生。
マクロビオティックを、多くの学生に伝えておくれ。
そして、共に宇宙のゆりかごに抱かれて生きてみないか?
そこは、きっと、争いのない穏やかな世界だよ。
一緒に、地球のこと、考えよう。
イイ男になれ!
息子よ。