マクロビオティックの指導現場からシリーズ」カテゴリーアーカイブ

キッチンで涙 お料理を作れる嬉しさともらう嬉しさは陽性の力 

今では京都にいる時間の方が長くて、埼玉の自宅に戻ると懐かしい感じがしてしまう私です。
先日、埼玉の自宅でキッチンのお掃除をしていると、急に涙がこぼれて来ました。

このキッチンで色々なお料理を作ったことが思い出され、今は家族にあまりお料理を作ってあげられないことを申し訳なく思ったのでした。
と同時に、料理好きな私がこのキッチンに立っていられないことにも、少し感傷的になってしまいました。

家の中で主婦が一番長くいるのはキッチンですね。
ですから、当然ながらその場所は時間が積み重なって陽性な場所になります。
と同時に、色々な想いもその場所に残ります。

キッチンに立つと、嬉しいこと、悲しいこと、さまざまな想いが胸をよぎります。
誰かに美味しいと言ってもらえたお料理は、それを作るたびに、その人のことを思い出します。
そんな想いの積み重なりも陽性になります。

*   *   *

昨日、中川さんからおせちが届きました。
その梱包の仕方が実に見事で、一滴の汁も漏れていないし、届いてからも美味しくなるようにして包まれています。
こういうお料理をいただくと、心から感謝の思いが溢れてきます。

それは、そこに費やしてくれた時間だけでなく、「その想い」が伝わってくるからです。
ですから、むそう塾で習ったお料理を誰かにお渡しして喜んでもらえた経験のある人は、最高のプレゼントをしてあげたのだと自信を持ってほしいと思います。

では、なぜそれらのお料理に心が動かされるかというと、そこにはお料理に費やした陽性さがあるからです。
(陽性の力は人や物を動かします。)

過去にお弁当にまつわるこんな記事を書きました。
お弁当に自分を詰める 沢村貞子さんのこと 2014.2.19
お弁当とは「自分」を持って行ってもらうもの 2014.8.19
「夫婦の時間を大切に育んで行きます」 塾生さんのメールより 2018.1.14
マクロビオティックの指導現場から お弁当が育てた子どもの心 2021.5.19

 
 


(ガパオライス弁当 料理:京料理人 中川善博 マクロビオティック京料理教室 むそう塾)

 
 
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適度なゆるみはあなたを助けてくれる よい陰性のススメ

私がマクロビオティックを始めたとき、それまでの生活が一変しました。
もともと調味料は厳選していたし、食材もかなり選んで購入していたのですが、限られた料理方法と食材の中で、とても窮屈な感じは否めませんでした。

でも、息子のアトピーを治してあげたい一心で、厳格に実践したのです。
その結果、体も考え方も結構陽性になって、その変化が面白かったのですが、恩師から見れば陽性になりすぎていたようです。

そこからですね。陰性の必要性を強く認識したのは。

*   *  *

むそう塾では、「自由人コース」で洋菓子をお教えしていますが、これが物凄く好評で、ご家族の皆さんで喜んでくださっています。
(満足コースや秘伝コースでは和菓子をお教えしています。)
それらのお菓子は陰陽はもちろんですが、体に負担のない食材や作り方なので、本当に体が楽なのです。

私は中川さんの生クリームなら食べられます。
でも、一般的な生クリームは気持ちが悪くなるから嫌いです。
そうしたら、実際に習った塾生さんやご家族さまの反応が同じでした。
多かったのですね、生クリーム苦手という人が。

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マクロビオティックの飲み物に「穀物コーヒー」や「たんぽぽコーヒー」があります。
これらはカップに注いだときの色は一般のコーヒーに似ているのですが、お味や香りは当然のことながら別物です。

そして何より、原料が異なるので陰陽も異なります。
一般的に「もどき料理」といわれるものと同じように、陰陽が異なるところが私は気になるのです。

ですからむそう塾では、本物の食材がもつ陰陽をちゃんと知って、体に負担のないような形で楽しく取り入れることをお奨めしています。

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ある人の事例です。
食べ物や生活環境を最高の状態にしたのに、今ひとつ体調が完全ではない人がいました。
そこで、もしかしたら勤務先で飲むコーヒーが原因ではないかと考えました。

それで、自宅から中川さんのコーヒーを持参して、会社のコーヒーは止めてもらったところ、体調がよくなったのです。
会社では福利厚生として設置している自販機が、社員の健康にあまり役立っていなかったということですね。

体の反応にはもちろん個人差がありますが、自販機設置会社の利益も考えれば、その内容は推して知るべしだと思います。

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お菓子もコーヒーも陰性の代表格で、マクロビオティックでは避けるものとされていますが、それを好きな人はいっぱいいます。
じゃあ、それらが持つ悪いところを極力減らしたらどうなるの?
そんなところからむそう塾のお菓子やコーヒーはスタートしています。

物事も体も心も、急に変えると反動が来ます。
それは陰陽の理を考えれば容易に想像ができます。

じゃあ、今のすべてを受け入れて、それを少し良くしたらどうなるのかな?
もう少し良くしたらどうなるのかな?

そんな楽しみを伴った変化のあり方もよいのではないかな?
ここまでゆるやかに考えられるようになった私は、結構陰性を意識して暮らして来ました。
恩師の言葉を大切に実行して。

*   *   *

ここまで至るのに、16年以上の歳月を費やしました。
一つひとつ周りの人の反応(肉体的・精神的ともに)で確認しながら進んで来ました。

その結果、「適度なゆるみ」はかなり多くの場面で必要だと感じました。
そして、これこそが陰陽そのものであることを、何度確認したことでしょうか。

特に新型コロナウイルスで2年間も不自由を強いられている私たちは、かなり悪い陽性が積もっています。
意識的に良い陰性を取り入れるようにして、陰陽バランスをはかるようにしましょう。

それは飲食だけでなく、精神面を解放することによっても達成できます。
オミクロン株に惑わされることなく、人間本来の陰陽バランスで乗り越えましょう。
私たちの内側には秘めたる力があるのです。

 
 

(ブッシュ・ド・ノエル 料理:京料理人 中川善博 マクロビオティック京料理教室 むそう塾)

 
 

「ブッシュ・ド・ノエル」は、「自由人コース2」の12月の授業でお教えしました。

 
 
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梅人参からの贈り物 うれしかったこと

先日、「上級幸せコース」の授業で、「梅人参」(ねじり梅)をお教えしました。
毎年12月にお教えして、おせちの「炒り鶏」に入れられるようにしているのです。

 
 


(梅人参 料理:京料理人 中川善博 マクロビオティック京料理教室 むそう塾)

 
 

この「梅人参」、毎年苦戦する人が多くて、授業では大忙しになります。
今年もご多分にもれず、あちこちからお助けコールが(笑)

実は、できない理由は、桂むきがきちんとできていなかったからです。
中川さんは梅人参の説明に、よく下の図を使います。
5弁の花びらは、実はチョークのような円柱を5本イメージして作るのです。
その1本1本は、桂むきの授業で「チョークの細さ → 割り箸の細さまでむくんですよ〜」とエールを送った、あの細さなのです。
ここまで練習した人の梅人参はやはり美しいです。
面圧が理解できているからですね。

中川さんのブログには、梅人参の投稿記事がたくさんあります。
「梅人参」でブログ内検索をしてみましょう。

 
 

【うれしかった塾生さんからのお返事】

授業中に手順の段階で??となっている人がおられたので、これは復習できないと思って、私が大急ぎで動画を撮りました。
これで少なくても手順だけは正しく伝わると思ったからです。

その動画を「上級幸せコース」の皆さんにお送りしたのですが、ふと、先輩たちにも自信のない人がおられるかもしれないと思って、急遽ご希望者にお送りすることになったのです。
Twitterで告知して、すぐ反応のあった人たちにお送りしました。

iMessageでお送りしているのですが、お返事の中に嬉しい内容がありました。

 
 

コロナ禍の影響を心配して、ご家族から京都行きを止められ、コースの授業を1年以上も欠席されたMさんから、次のようなお返事をいただいたのです。

むそう塾のブログとTwitterは鎖国状態の私の心の支えでした。
秘伝には絶対通いたいです。

もう、嬉しくて涙が出ました。
遠い土地でむそう塾への思いを持ち続けてくださっていること、そして、その支えにブログやTwitterが役立っていたこと。
この事実を知っただけでも、私は大いなる励みをいただきました。
Mさん、お待ちしています!

 
 

ブログやTwitterをしていると、ついつい直接反応をいただいた方に目が行きがちですが、こうして静かに見てくださっている人がいることに、こちらが勇気をもらった感じです。

Facebookでもそうですが、直接のコメントがなくても、その向こうで何かを感じてくださって、シェアしてくださる人がいることに元気をもらえます。
私はこうして皆さんに育ててもらっているのだと、梅人参を通じて感じたことでした。

 
 

ここまで書いたところで、Kさんからも嬉しいお返事をいただいたので追加します。

むそう塾のおかげで、むそう塾で習えたレシピのおかげで、毎日、料理することで、元気にすごせることができていると、感謝しています。

Kさんは60代の美しい女性で、2年間むそう塾に通ってくれました。
満足コースでもっと美味しいお料理を!と思っていたところで、コロナ禍になってしまいました。
ご高齢のご家族のことも考えて、外出を自粛されていたそうですが、毎日お料理をすることでお元気さをキープされて、素晴らしいと思いました。

外に食べに行かなくても、家で美味しいお料理ができることに感動されていたKさんなので、きっとお孫さんたちにも腕を振るわれていたことと思います。

 
 

梅人参が何だか風のように、うれしい氣を運んできてくれました。
お返事をくださった皆さん、ありがとうございます。

そして、ブログやTwitterやFacebookの向こうにいらっしゃる皆さんも、ありがとうございます。
皆さんに支えられて、私も頑張ります!

 
 
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天然鮎と養殖鮎の違い むそう塾の鮎の塩焼き 瓢亭さんの場合 

今は養殖された海産物が多い。
そこそこのお料理屋さんでも養殖ものを使っていることが多い。
採算のことがあるからだろう。
デパ地下に並んでいるお刺身を見ても、天然物は少ない。
だから、子どもたちは養殖物を「普通」だと思ってしまうかもしれない。

たとえば鮎。
天然鮎は胸びれと尾びれが黄色で美しい。
天然鮎の口先は、養殖物より長めでちょっと尖り気味。
養殖物の口先は丸め。
これは自ら餌を取りに行くか与えてもらうかの違いによる。

 
 

では、天然鮎の塩焼きをご紹介しよう。

【むそう塾の秘伝コース8月の授業より】

(料理:京料理人 中川善博 マクロビオティック京料理教室 むそう塾)

 
 

瓢亭さん別館のランチで別注文料理より】

 
 

【子持ち鮎の場合 瓢亭さん本館のコース料理より】

 
 

【おせちに入れる子持ち鮎を焼いたところ むそう塾】

(料理:京料理人 中川善博 マクロビオティック京料理教室 むそう塾)

 
 

画像検索をしたら、こういう鮎の塩焼きが登場した。
せっかくの天然鮎なのに、この料理方法はもったいない。
鮎の美味しさがお塩で消されてしまうから。

 
 

ほんまもんの料理方法を知っておくと、どんな場面でも臆することがない。
大切な財産だ。

 
 
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「活け車海老の具足煮」と海老の鮮度 おせち料理

【車海老の具足煮は生きた海老でないとダメなのか?】

先日、「おせち料理三種とおせちの詰め方講座」を開催した。
まだ「秘伝コース」のおせち料理を習っていない人でも、この三種類を詰めれば、初めておせちを作ってもサマになる内容だ。

そのお料理の一つに「車海老の具足煮」がある。
煮る前に海老の下処理があるのだけど、生きた車海老をつかむのに抵抗のある人が毎年何人かいる。

逃げる車海老を追いかけるのも、この講座の風物詩みたいなもの(笑)
本当に半泣きになってしまう人もいる。
過去にもそういう動画をYou Tubeにアップすると、「かわいそうだから死んだ海老でやれ」とコメントがつくことがある。

その人のお気持ちは分からないでもない。
しかし、ここは生きた車海老が必要なのだ。
活きていないと、紅白の縞がきれいに出ない。
きていないと、煮たあとの車海老の形が「つ」の字にならない。
だから、背わたを取ったら大急ぎで煮る工程に移る

 
 

(車海老の具足煮 料理:京料理人 中川善博 マクロビオティック京料理教室 むそう塾)

 
 

鮮度の良い海老で作ると、こんなにキュッと丸まる。
このお料理は「腰が曲がるまで」をイメージするものだから、こうでなくては意味がないのだ。

 
 

【背わた取りの要領 かぎ針編み】

ちょっと当日の様子をご紹介しよう。
それぞれのお顔の表情が面白い(^^)

 
 

 
 

中川さんが背わた取りの説明をしているときに、「かぎ針編み」の例が出てくる。
「えっ?」と私は思った。
中川さんはいつかぎ針編みをしたのだろう?
小さい時、お婆ちゃんがしていたのだろうか?
はたまた、高校生の頃の彼女がしていたのだろうか?

「爪楊枝を入れたところから出す」を伝えたかったときの説明だ。
そんな細かい観察力と説明が、京料理人中川善博の世界でもある。

 
 

【背わた取りでいじりすぎると】

背わた取りで爪楊枝を入れた部分を広げてしまうと、その穴から海老の体液が出てきて白く、見苦しくなる。
(下の緑の丸の中)
みんなで背わた取りした海老を一緒に煮ているので、それが混じっていたのだろう。

 
 

 
 

【酸欠注意】

ところで、この講座の開催日は祭日だった。
前日に大阪から、酸素を供給しながら送ってもらっていたが、授業前に電池が消耗したらしく、数十匹の海老が酸欠で死んでしまった。
大慌てで錦市場のお魚屋さんに片っ端から連絡して、やっと活け車海老を入手できた。

材料の鮮度勝負のお料理は、いつもハラハラする。

 
 

【過去動画もどうぞ】

・活け車海老の背わたのぬきかた 2014.12.14

 
 

・京料理人が教える車海老の背わたの取り方 2017.11.13

 
 
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