マクロビオティック京料理教室 むそう塾」カテゴリーアーカイブ

好き嫌いが多いのでむそう塾のお料理を食べてみたい うれしかったこと

9月23日に「第3回 京料理人中川善博の料理試食会」を開催するのですが、今朝お申し込みいただいたAさんが、備考欄に次のように記入してくださいました。

初めてむそう塾に伺います。好き嫌いが多いのですが、苦手な物でも、むそう塾でなら「がんばって食べてみよう」と想って、申し込むことにしました。今から、少しどきどきしています。よろしくお願いします。

備考欄にご記入があると、すごく嬉しいのですが、初めての方なので嬉しさは倍増です(^o^)
ああ、好き嫌いの多いかたなんだなあ。
もし嫌いなお料理が出たとして、それを美味しいと思えて召し上がってくださったら、私も嬉しいし、なによりご本人が一番嬉しいだろうなあと思います。

今までむそう塾には、好き嫌いのある人がいっぱい来られました。
でも、不思議なことに、嫌いなはずのお料理を笑顔で召し上がっていて、「これは美味しいです!」なんておっしゃるのです(^^)
面白いですね、好き嫌いって。

 
 

過去に一番多かったのは、「煮魚嫌い」ですね。
これは塾生さん本人のこともありますし、ご家族のこともあります。
しかし、むそう塾の幸せコースではお魚の授業があって、そこで煮魚を教えるのですが、これがすごく美味しくて、煮魚嫌いさんが消えていきます\(^o^)/

過去にもいくつか記事を書いているので、ご紹介しておきますね。

煮魚嫌いのご主人様が皮までペロリと完食! 2018.3.11
煮魚嫌いのお父様がペロッと食べた中川式の煮魚 陰陽って凄い! 2018.3.7
玄米の炊き方そしてカラスガレイの煮付けに感動した塾生さん 2017.3.8
食べ物の好き嫌いとマクロビオティック料理 2016.9.6
食べ物の好き嫌いとマクロビオティック 2016.8.21
家庭料理だからこそプロの技術を! 2016.6.24

 
 

今度の試食会では、煮魚を召し上がっていただくのもいいかなあ?
でも、嫌いな確率の高いものをお出しするのは失礼かなあ?

 
 

(カラスガレイの煮付け 料理:京料理人 中川善博 マクロビオティック京料理教室 むそう塾)

 
 
カテゴリー: うれしかったこと, マクロビオティック京料理教室 むそう塾, 料理人 中川善博の陰陽料理, 体験談 | コメントする

中庸の食養生 20 か条がマクロビオティックでも参考になる

「マクロビオティックでは塩分の摂り方に絶対注意すること」で書きましたが、日野厚医師が残された「食養20か条」をご紹介します。

 
 

<食養20か条>

1 食品添加物に注意
2 農薬に注意
3 合成洗剤の使用は慎重に
4 精製度の高い(精白した)食品に注意
5 動物タンパクのみを尊重しない
6 緑黄色野菜の摂取に努める
7 海藻を常食する
8 油脂の過剰摂取に注意
9 ビタミン、ミネラルをバランスよく
10 できるだけその土地でとれた旬の新鮮なものを食べる
11 野菜の根も皮も葉も、魚の皮も内臓も食べ、全体食を心がける
12 アクの強いもの以外は、煮こぼしたり茹でこぼしたりは控え、米とぎも程々に
13 生がいいとか、長時間加熱がいいとかにとらわれない
14 塩分や水分の摂取量も、一つの流派の教えにとらわれない
15 合成調味料はできるだけ使わない
16 過熱、過冷、過刺激のものは控えめに
17 清涼飲料水、インスタント、缶詰の使用は慎重に
18 空腹ではないのに食べない。就寝前2時間は飲食を避ける
19 よく噛み味わって食べる
20 食事中、またその前後に湯茶を多量に飲まない

 
 

***

上の「食養20か条」の中で、14の塩分と水分の摂取量については、日野厚医師の苦い体験が元になっていることは当然です。
こうして桜沢先生のマクロビオティックが多くの人の経験を元に、少しずつ中庸になって引き継がれて来たんですね。

日野厚医師の「食養20か条」は、日野医師亡き後の食養内科を引き継がれた、長岡由憲医師の書かれた文章でも数多く見かけることがあります。
下の「中庸の食養生」の内容は、「むそう塾」を始めたときから大事にしている「中庸のマクロビオティック」と似た内容でもあります。
参考になりますので、ご紹介させていただきます。

 
 

<中庸の食養生>

食養内科を創設した日野厚先生は大正8年、京都の生まれですが、その当時日野家では ケーキをしっかり食べていたようです。父親は同志社大学の教授で、洋風の文化を取り入 れた家庭だったのです。

日野は6男ですが、生来虚弱で慢性の下痢に苦しむことになりました。下になるほど弱 い子が生まれ、日野の弟は生後すぐ亡くなりました。

日野の病気は通常の治療で良くなることはなく、もう治療法が無いと言う時、民間の食 事療法と断食を行って病気が治ったのでした。

民間の食事療法は桜沢如一が提唱したマクロビオティックです。日野はマクロビオティ ックを続けているうちに、今度は別の病気が発生し、それでもう一度苦しむことになりま した。

マクロビオティックもどこかが間違っていると気が付いたのですが、もう誰も頼る人は なく、誰も教えてくれる人がいないものですから、自分で間違いのない食生活を探り始め たのです。

ゼロからの出発だったのです。いったい何が正しいのか、何が本当なのか自分で見つけ るしかなくなったのです。玄米という物は食べた方が良いのか、それとも食べない方が良 いのか、これすら分からなくなります。

日野はこの疑問を解決するため、自分の体を使って実験研究を始めたのです。それはかなり大胆な実験だったようです。周りの人から、なんでそんなに過激なことをするのかと聞かれたとき、日野は人生は短いのだから、生ぬるい方法では早く結果が出ないからだと答えています。

研究の結果、これだけは確かであろうと思われる事柄を一つ一つ作っていったら 20 個できました。それが「生態学的栄養学に基づく食生活」のための 20 か条 です。日野は栄養素の不足も過剰も好ましくないと言っています。これは当たり前すぎる ほど当たり前なのですが、現実には健康法として、このようなことを言う人はいません。

半病人あるいは不健康人は不自然な生活を続けた結果、体質体調を悪くしたのです。不 自然な生活と言うのは、いろんな面の不足又は過剰が続く状態です。ですから、体質体調 を良くしようとしたら、いろんな面の過不足を解消すればよいのです。このように考える と健康法に極端なものが多いことが納得できると思います。

不足であれば過剰にすれば良いし、過剰であれば不足にすれば良いのです。昔は栄養不 足の人が多かったので、高カロリー、高タンパク質のような食事が健康食だったのです。 今は反対に、食べ過ぎ傾向の人が多くなったので、少食気味の食事が健康食になるのです。

日野が勧める食養生は中庸と言えます。多くなく少なくなく適量が良いという当たり前 のことですが、適量というのは決まった量ではなく、変化するものです。各個人によって 変わり、時間の経過と共に変わって行くものです。

日野の研究過程を見ていると、お釈迦様の修行過程と似ています。釈迦は子供のころ物 質的には満たされていて、何不自由ない生活をしていました。しかし精神面では納得行か ないことがあり 29 歳のとき家を出て、家族と別れ、真理を求める生活に入ります。それは 乞食と苦行です。苦行の1つに「1麻1米」と言うのがあります。1 日に 1 粒の胡麻と1粒 の米のほかは一切の食物を断つのです。

どんな厳しい修行を行っても真理に到達しないため、釈迦は修行を止めてしまいました。 そして、村の娘から乳粥の供養を受け、その後、座禅を組んで深い瞑想に入るのです。そ の瞑想によって悟ったと言われています。

釈迦が説いた教えに「中道」があります。これは両極端ではなく、その中間と言うよう な意味です。日野先生は食事療法について「道の真ん中を行く」という表現をしておられ ました。釈迦の言う両極端は快楽主義と禁欲主義です。どちらも人々を悟りに導くもので はないと退けられたのです。

私たちはいろんな欲望を持っています。その欲望が喜びの原因になったり、苦しみの原 因になったりします。欲望の赴くままに快楽にふけるのが快楽主義で、反対に欲望を抑え て自分を苦しめることに価値を置くのが禁欲主義です。

食養内科の食事を食べた時、美味しくなかったという人と、美味しかったという人と両 方の人がいます。

私は長い間、食養内科の食事を食べていますが、初めのころはずっと旨くないという感 じを持っていました。健康のためなら少しくらいまずくても仕方がないという思いでした。 それが最近はすごく旨いという感じなのです。私の体も変わったのだと思うし、また食事 の内容も少しずつ変わってきたのだと思っています。

平成25年10月22日 勉強会資料 食養内科 長岡由憲

 
 

(中川式玄米ご飯 料理:京料理人 中川善博 マクロビオティック京料理教室 むそう塾)

 
 
カテゴリー: むそう塾スタイル, マクロビオティック京料理教室 むそう塾, からだ | コメントする

マクロビオティックでは塩分の摂り方に絶対注意すること

先日、マクロビオティックの動画を見ていたら、ある先生が「生徒から味が濃いと言われて困っている」と話しておられました。
私も過去にこのような生徒になったことがあるので、「ああ、まだ昔のままなんだなあ」と思ったものです。

私がマクロビオティックの学校で習っていたとき、先生が「気づいたことを何でも言ってください」と仰ったので、私は「お味噌汁がしょっぱいと思います」と言いました。
するとその先生は、「それはあなたの側の問題ね」と答えられて、それでおしまいでした。

私は「自分の問題」ということにピンと来なかったのですが、味付けは学校で習ったようにしなくてはいけないのだと思っていました。
その後当然ですが、私は陽性が強くなっていき、睡眠時間も減り、行動的で調子のよい状態が続いていました。
ただ、痩せすぎるのでお洋服がどんどん合わなくなって困りました。

 
 

***

そんな過去を持つ私ですが、それは陰陽をまだ理解していなかった頃の話です。
マクロビオティックって何?
えっ、動物性を食べないの?
というレベルですから、まだ塩分をコントロールして体調管理するところまでは知らなかったのです。

というより、陽性になればいろんなことが思い通りになるのだといった、「陽性信仰」がありました。
私は当時熱心に桜沢先生の本を読み始めていて、それを読んでいると「陰性はダメ」というように感じたのです。
そしてまた、陽性を良しとする雰囲気が先生たちの言動から感じられたのも確かです。

しかし、マクロビオティックの勉強を進めていくうちに、もう一つのマクロビオティックの考え方を知ります。
こちらは塩分も油分も少なくて、陰性なお料理が並んでいました。
その味気なさにはビックリしました。

この頃には、陰陽を使って体調をコントロールすることを知っていましたが、一度染み込んだ陽性信仰は手強くて、なかなか陰性を取り入れることができませんでした。
なぜなら、体調が良いからです。
体調がよいと、現状維持で行きたくなるものですね。

でも、私の痩せ具合を見て、陰性を摂った方がよいと忠告してくれる先生がいらっしゃいました。
その頃はお洋服のサイズが、上は7→5号、下は5→3号で1号になろうかという状態でした。
でもね、しつこいようですが、元気なんですよ。

 
 

***

それから何年かして、マクロビオティック実践者とお会いする機会が多くなり、体調不良のご相談を受けることが増えました。
その頃は陰性なマクロビオティックが流行っていたので、陰性による体調不良の人が多かったです。

しかし、時々陽性になりすぎた人もおられました。
今は玄米菜食をされているといっても、すごく陽性なのです。
こういう人は大抵塩分の濃いお食事をされていて、お顔の色も浅黒いのですぐ判ります。

ある人は、私の顔を見るなり、「私、ワインを飲みたいんです。でも、お酒は極陰性だからダメだし、つらくてしょうがないんです。」とおっしゃいます。
それで私は、「陰陽をコントロールするのがマクロビオティックだから、正々堂々とワインを飲みましょう。生野菜も果物もどんどん食べてね。」と言いました。

その人は陰性を摂ることに罪悪感を持っていたんですね。
よく理解できます。
私も陽性信仰者でしたから。
最後にその人は、大泣きして脱力した表情になっておられました。

 
 

***

陰性の摂り過ぎで体調不良になった人は、比較的変化しやすいのですが、陽性の摂り過ぎで体調不良になった人は、変化に時間がかかります。
そこが「陽性の力」ゆえんですね。
強いものを突き崩していくには時間が必要なのです。

陽性の代表である塩は、ちょうどよいのが理想であって、多すぎても少なすぎても体調の変化をもたらします。
動物性を摂っている人は、塩分を強くしない方が良いですし、植物性が多い人でも陽性タイプの人は塩分を少なめか、2〜3日塩分なしというのも体験してみるとよいでしょう。

お料理は塩分だけで陰陽を決められるものではありません。
加熱時間や料理方法など、陰陽を決める要素はいくつもあるので、それらを総合して体調に合わせることが大事です。

ここで注意点があります。
お子さんは大人より陽性ですし、これから成長するために陰性の力も必要なので、あまり陽性にしすぎない方が、お子さん自身も楽かなと思います。
揚げ物や焼き物より、煮物のように中庸なお料理で育ててあげられたらいいですね。

しかし、焼いたり揚げたりしたものは旨味を感じやすいので、どうしても親はそちらを採用しがちです。
加えて、煮物が美味しくできないどころか、作り方を知らない人も多いことでしょう。
ぜひ、美味しい煮物を作れる人になって、ご一家の健康を守ってあげてほしいと思う日々です。

 
 

***

過去にこんな記事を書いていました。
むそう塾のサイトにも転載していますが、ご参考のためにお読みいただけたら嬉しいです。

マクロビオティックの落とし穴 胡麻塩の盲信 2013.5.30

 
 

なお、この記事で引用している「日野式食養生とマクロビオティックの違い」ですが、残念ながら平成27年に松井病院での「食養内科」が終わってしまい、それに伴って記事もなくなってしまいました。
日野厚先生は、桜沢先生の直弟子ですが、当時の食養料理の塩分の強さに疑問を感じ、独自に「日野式食養生」を作られた人です。
私はこちらの塩分の方がしっくりくるので、引用させていただいた次第です。

日野先生はご実家が裕福で、甘いものを食べて陰性体質だったため、10年間は煮干しすら摂らない食生活を続けたそうです。
日野先生は京都のご出身ですから、塩分が強くて水分が少ない食生活は大変だったろうと想像します。
その後体調を崩して、甲田光雄先生の断食で体調がよくなりますが、真逆の陰性を取り入れたと他の本に書かれていました。

日野先生が残された「食養20か条」については、長くなりますので、次の記事でご紹介させていただきます。

 
 

(慢性病の食養法  日野厚著 長岡由憲編集)

 
 
カテゴリー: マクロビオティックの指導現場からシリーズ, むそう塾スタイル, マクロビオティック京料理教室 むそう塾 | コメントする

2022年度のコースすべてがスタートしました 水無月も伝授しました

5月29日。「第1期 自由人(びと)コース3」がスタートしました。
これで、むそう塾の7つのコースすべてが始まったわけです。

・5/7 「2022年度(第3期)自由人(びと)コース1」 授業の様子はこちらから
・5/8 「2022年度(第2期)自由人(びと)コース2」 授業の様子はこちらから
・5/14 「2022年度(第8期)秘伝コース」 授業の様子はこちらから
・5/15 「2022年度(第14期)幸せコース」 授業の様子はこちらから
・5/21 「2022年度(第12期)上級幸せコース」 授業の様子はこちらから
・5/22 「2022年度(第9期)満足コース」 授業の様子はこちらから
・5/29 「2022年度(第1期)自由人(びと)コース3」 授業の様子はこちらから

 
 

毎週土日に2022年度のコースがスタートしていたのですが、昨日の「第1期 自由人(びと)コース3」は、今年はじめてのコースなので、その準備に中川さんは相当時間を費やしていました。
試作の段階で色々な工夫があって、ブログには書けない丸秘技術の裏話もありました(^_-)-☆

ところで、昨日は「水無月」が登場しました。
試作段階では違う材料も用意して、和菓子店と同じように作ったのですが、文句なしに中川さんの配合の方が美味しかったのです。
それで、塾生さんには「中川式水無月」が伝授されました。

 
 

(中川式水無月 料理:京料理人 中川善博 マクロビオティック京料理教室 むそう塾)

 
 

中川さんによると、中川さんがお料理屋さんを経営していたときにお出しした水無月より、さらに美味しく出来上がったそうです。
その理由を尋ねると、「歳をとったからだろう」とのことでした。

歳をとるというのは、単に歳を重ねるだけではなく、色々な味のお料理やその世界を体験したからということですね。
「人間も料理も一緒」だと、中川さんは話していました。

人生にも同じようなことが言えますよね。
ですから、何事も体験して無駄にはならないと前向きにとらえて、不満ではなくチャンスと思って生きられたらいいなあと思ったことでした。

 
 

なお、水無月については、ご存知ないかたもおられるでしょうから、宝泉堂さんのサイトをご紹介しておきましょう。
京都駅の2階にも宝泉堂さんがありますので、ぜひ召し上がってみてください。

 
 
カテゴリー: うれしかったこと, マクロビオティック京料理教室 むそう塾 | コメントする

「マクロビオティックガイドブック」 塾生さんの感想文より

先日、「マクロビオティックの陰陽がわかる本」を読んで 塾生さんの感想文 の記事を書きましたが、もう一冊本を読んで感想文を送ってくれた塾生さんがいます。
文章を書くのがお好きなようなので、そのような方はどんどん書かれたらよいと思います。
それは、文章を書くことで「内面を発散」させることができるからですね。
そして、書きながら自分の心を自分で客観視できる面があります。

反対に、文章を書くのは苦手という方もおられます。
それも陰陽なので、決して引け目に感じないで、「じゃあ、どこで陰陽バランスを取っているのかな?」と考えてみましょう。
面白い自分を発見できるかもしれません。

では、もう一つの感想文をご紹介しましょう。

 
 

<Ki(141-2)さんからの感想文>

「マクロビオティックガイドブック―体と心をはぐくむ食養生―を読んで」
幸せコース 第14期 142₋1 Ki

「食べる」こと
 ずっと「美味しそうだなあ、食べてみたいなあ」とスマホの画面から見ていたむそう塾のお料理。一度で良いから食べてみたいと、試食会に参加した。
 緊張しながら、むそう塾のドアを開ける。「こんにちは」と声をかけると、あたたかい笑顔で出迎えてくださった。初めて伺ったにもかかわらず、あまりにも家庭的な雰囲気で「ただいま」と言いそうになる自分がいた。

中川さんが、だし巻き卵や唐揚げを目の前で作ってくださり、五感をくすぐる。美風さんが、お茶碗にふわっと温かいごはんをよそってくれる。「おかわりしてね~」「たくさん食べてね~」と声をかけてくださりながら、食卓にできたてのお料理が並ぶ。小食を心がけていた私だが、今日はたくさん食べようと意気込んでいた。
でも、胸がいっぱいで、すぐお腹もいっぱいになってしまった。

マクロビを知ってから、常に心がけてきた「腹八分目」に、「よく噛むこと」(20頁)。内心は、もう少し食べたいな、噛むの面倒だな。そんな気持ちが渦巻いていた。
「マクロビのルーツは、日本の伝統的な和食」(6頁)とあるが、お料理を食べるときの雰囲気は、どのようであったろう。家族で囲炉裏を囲み、今日の労をいたわる温かな空気が流れていたのではなかろうか。22頁に記されている「グローバルな視点からのバランス」にある、健康的な膨張(陰)の「くつろぎ」「おだやか」「おもいやり」に当たる雰囲気である。
「食事中、一番食べているものは空気です。」と言っていた人が以前いて思わず、笑ってしまった。でも、そうかもしれない。楽しく、美味しく食べれば、おのずと腹八分目になり、よく噛んで味わいたくなるのだから。

 そして、陰陽の動き方やバランス(12・13頁)。「陰陽は、絶対的な中庸の状態はなく、必ず少しどちらかに傾いています。」「バランスがとれているというのは、一定限度の「揺れ」のある状態です。」とある。また、「二つの性質がほどよく保たれているなら、それらは穏やかでゆったりしたものになります。」ともある。

相田みつをさん曰く、「一番わかっているようで一番わからぬこの自分」なのだから、食養生で心身を整えたいときは、信頼できる人に客観視してもらう方が良い。また、時にブレブレになるのが人間なのだから、楽しく会話しながら食べることで、支えあい精神が生まれ、穏やかに日々を送れるのであろう。
「健康に良い物を食べる」ことと「心が喜びながら食べる」ことが乖離しないで、共にあると、体も心もきっと元気になっていく。

「料理する」こと
40頁からは、マクロビの基本の食事のレシピが載っている。
 先日のむそう塾でのこと。中川さんが、味噌汁をある温度まで温めてほしいとスタッフの方に伝えていた。私は、おそらく味噌を溶かす温度だろうと思った。念のため、中川さんに伺うと「皆さんに出すタイミングです。」と。「そうかあ、料理はできあがりの陰陽ではないのかあ。食べる人の体や心が、中庸になることが大切なんだ。私の考えは、いつもできあがりの段階で止まっていたな」と反省した。

 それからは、食べる相手のことをよく考えて作るようになった。お料理は、作る人と食べる人のキャッチボールのようだ。力が湧きたつような強さを欲しているのか、すーっとしみ込むような優しさを求めているのか。
 試しに、味噌汁の温度を中川さんのように調整して家族に出してみた。顔がほころんでいる。子どもの味噌汁は、適温で味わえるようにいつもの半分の量でよそってみる。おかわりして、また温かい味噌汁が味わえるように。

 食べる相手のことを考えて料理すると、「美味しかった」「ありがとう」という言葉が返ってくる。さあ、明日はどんなキャッチボールになるのかな。

 
 

***

<マクロ美風より>

Kiさん、感想文をありがとうございます。
全体を通して、今のあなたのお気持ちがすごくよく分かります。
なぜなら、私も過去に同じような気持ちになったことがあるからです。
おそらく、マクロビオティックを始めた人なら、誰でも感じることだと思います。

その後そのまま続ける人と、自分のやりやすいように変えてしまう人、離脱してしまう人に分かれますね。
私はそのどれでもなく、マクロビオティックの根源を知ろうと思いました。
その結果、解釈を深めることによって、陰陽を楽しむことができるようになりました。

Kiさんの文章から感じるのは、教えられたとおりに忠実に実行されようとしているのですが、現実を目の前にしてその対応に苦慮しているところだと思うのです。
私はむそう塾を始める前に、そのような人にいっぱい出会って、その苦しみもたくさん共有してきました。

でも、それではマクロビオティックの奴隷になっているだけではないのかな?
マクロビオティックは楽しいものだったはず。
そんな視点で勉強し直しました。
そこで出された結論が、今むそう塾でお伝えしているマクロビオティックです。

 
 

***

「中庸のマクロビオティック」
これがむそう塾のマクロビオティックです。

では、中庸ってどんなこと?と思われるでしょうね。
すでにKiさんも答えを出されておりますが、それは頭で理解したところだと思うのです。
ですから、これからそれを日々の生活において実践してみるのです。

陰陽は絶対的なものではないので、絶えず揺れ動いていますが、たとえていうなら、柳の木を思い浮かべてください。
(むそう塾のある京都の川端通りには、柳の木がいっぱい並んでいますね)
台風などで強い風が吹くと、柳は枝を揺らせて幹をしならせます。

そうやって陰陽バランスを取ろうとしているんですね。
その動きがあってこその中庸なわけです。
つまり、臨機応変に弾力のある対応ができてこそ、中庸といえるのです。
決して陽性一辺倒でもなく、陰性一辺倒でもなく、陰陽を上手に行き来するのがマクロビオティックなんですね。

そして最終的には、それらの過程が楽しくて、その結果も楽しいと思えるのがマクロビオティックということです。
ですから、苦行でもなく、忍耐でもなく、楽しくなければどこか間違っていると考えてもよいのです。

腹八分目にすることも、よく噛むことも、楽しければ実行すればいいし、いやなら他の方法を考えればよいのではないでしょうかね?
これらは個人差があるので、他の人に押し付けるのはよくありません。
「その個人差は陰陽的に何を意味するのかな?」と考えるのがマクロビオティックです。

 
 

***

中川さんのお料理に対する姿勢は学ぶことがありすぎて、この私自身が一番学びたくて「むそう塾」を開いてくれるようお願いしたほどです。
ちょっとしたところにも、ハッとするような気遣いがあって、その心意気に惚れることもしばしばです。

そんな中川さんのお料理の世界を、これからいっぱい吸収して、どんどん楽しんでみてください。
その結果、知らず識らずのうちに陰陽が身についてきますよ。
美味しいということは、陰陽バランスも影響するのだということを知ったら、Kiさんはすごくお料理が上手になりますよ。
楽しいですね。こんな陰陽の使い方って。

さあ、これからは、頭で知った陰陽を、実生活で確認していきましょう。
あ、どこまでも楽しくね(^_-)-☆

 
 

なお、むそう塾のサイトに「マクロビオティックの盲点」というコーナーがあります。
そこには、あなたにぜひお読みいただきたい記事がズラズラ並んでいますので、どうぞご参考になさってください。

 
 

(マクロビオティックガイドブック 体と心をはぐくむ食養生)

 
 
カテゴリー: マクロビオティックの指導現場からシリーズ, マクロビオティック京料理教室 むそう塾, 幸せコース感想文 | コメントする