こころ・想い」カテゴリーアーカイブ

子育てで悩んでいる方々へ 私と息子のアトピー体験から伝えたいこと

子育てに悩みはつきものですね。
月齢にしたがって、年齢にしたがって悩みの中身は変わりますが、それは基準がわからないためもあると思います。
昔は子育ての先輩の情報、今ならネットからの情報が錯綜して、目の前の子どもと比較してしまうのではないでしょうか。

私が子育てをしていた時はネットなんてありませんでしたから、ひたすら本と野口整体の指導が頼りでした。
しかし、野口整体の本どおりに子育てをしようと思うと、とても人手が必要で現実的ではない側面がありましたので、可能な限りという折り合いをつけながら実践しました。

初めての子育てはなんでも心配の材料になるのですが、2人目3人目を育てているお母さんは、まさに「生きているだけでいい」と達観した考え方が出来ていて、まぶしかったです。

私の育った頃、そして兄弟のことを考えても、親の過干渉はなく、生きやすい時代だったなあと思います。
でも、今は少子家庭が多いので、1人のお子さんにかける親のエネルギーがとても多いのだと思います。
それで、ボロボロになっているお母さんも多いですね。

でもね、親は子育てで消耗しすぎるのは良くないと思います。
元気な姿を見せられる限度内でいいし、子どもへの関わりはそれだけでも十分です。
ある意味、親はそこに存在するだけでいいのかもしれません。

子どものためを思ってあれこれしたくなる親がいますが、それはどんな子どもをイメージしているのでしょうか?

私はこの歳(71歳)になって、やっと子育てがわかってきたような気がします。
それは、子どもが10代や20代ではまだ子育ての極意がわかっていなかったなあということです。

つまり、30代以上の大人の特徴は、すでに乳児のときにかなり表れていて、そのときには親もそのことに気づけていないから、単に「困った」ことと認識しているのだと思います。
あるいは困った認識すらなく、「そんなもの」と思っているかもしれません。

そして、成長していく段階で、一つひとつその特徴を確認していくことになるのです。
ですから、本当に子育ての基準なんてないのが正しいのかもしれません。
一つだけあるとすれば、元気でご機嫌がよいことでしょうか。

つまり、子どもの「氣」ですね。
これに勢いがある育て方をしていれば、間違いないと思います。

*   *   *

下の写真は、息子が中学1年のとき、入学式で写したものです。
まだあどけなさの残る顔で、今の姿とは別人です。
実は、この写真を写したときには、すでにアトピーが刻々と再発していたのです。
左目の上下に少し赤みがかった腫れがあります。
朝はなんでもなかった顔が、帰ってきたらブクブクに腫れて、そこから地獄の苦しみが何年も続きました。
環境が変わったことによるアトピーの再発でした。
これは、幼児のときとは別のアトピーです。

 
 

 
 

私はアトピーを通じて息子と向き合って来たのですが、そこから子育てのあり方を学んだ気がします。
本当に良い氣がみなぎっているときには、アトピーは悪化しなかったからです。
息子はつらかっただろうけど、私には学びになった子育てでした。

ですから、今子育てをされている皆さん、どうぞお子さんの生きる力を信じて、良い氣でいられる時間を多くしてあげてください。
それが最良の子育てにつながると信じています。

 
 

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食べ方は哲学そのもの 生き方そのもの

今朝、塾生さんとメールのやり取りをしていて思うことがありました。
ああ、食べ物が変わるとこの人はもっと素敵になれると。
今は食べ物の組み合わせが分かっておられないけど、食べ物の陰陽が整理できるようになると、体調がもっと変わるから、早くそうなってほしいなあと思いました。

2016年の記事ですが、幸せコースの食事日記の添削を終えて書いた記事がありました。
この頃は食事日記の授業が今より遅かったのですが、皆さんの体調を考えて、早めた経緯があります。
ぜひリンク先に飛んで読んでみてください。(私にしては短い記事ですから^^)
食べ方は生き方そのもの 2016.10.1

マクロビオティックでは食べ方も哲学そのものなので、それは生き方の表れにもなります。
ただ満腹になればよい食べ方ではなく、質の良いものを最小限いただく生き方、そんな暮らし方、それが一体となる源が食べ物です。

改めて、どんなふうに生きたいか?を、月の初めに確認するのも良いかも知れません。

 
 


(中川式糠漬け 料理:京料理人  中川善博 マクロビオティック京料理教室 むそう塾)

 
 

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お料理における色気とは?

お弁当投稿の指導で、あるいは盛付けの指導で、あるいは切り方の指導で、むそう塾ではなにかの折に「色気」というのを要求されることがあります。

一般的に色気というと、艶っぽさとか、女性らしい雰囲気とか、セクシーにつながりそうな連想をすることが多いと思うのですが、お料理における色気とは、微妙にニュアンスが違っていると思います。

なぜなら、中川さんは男性のお料理に対しても「色気がある」と評価していることがあるからです。

私流に解釈するなら、気遣いがある、繊細な気配りが出来ている、緻密である、切れ味が美しい、その結果うっとりするようなことを、お料理における「色気がある」というのではないかと思っています。

ですから、もともと気配りができる人や、繊細さを持ち合わせている人は、色気に近い距離にいるでしょうね。

*   *   *

そういえば、中川さんから食材をいただくことが度々あります。
開けてみると、1枚1枚使いやすい形にカットされていて、冷凍しても味が落ちないものはきちんと冷凍されています。
しかもこれから使うときのことまで考えた冷凍の仕方で、仕事が綺麗です。

こんな時、そのきめ細やかな思いやりに心が温かくなるものです。
私はこういう時もその人の色気を感じます。

ですから、総合的な意味で、色気とは、人をほのぼのと心地よくさせるものかなあと思うのです。もちろん、そこにはやわらかな優しさも含まれます。

 
 

(鯵寿司 料理:京料理人  中川善博 マクロビオティック京料理教室 むそう塾)

 
 

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主食を変えると体も心も変化しますので、上手に使い分けてみましょう

あなたの主食は玄米ですか? 白米ですか?
もちろん、白米の方が圧倒的に多いでしょうね。
でも、最近では「マクロビオティックをしていないんですけど・・・」と、「玄米の炊き方秘伝講座(愛クラス)」に申し込まれる方がおられます。
玄米ご飯に関心があったり、体調のことで心配を抱えておられるようです。

あれ? マクロビオティックをされていなくても全然平気なんですよ〜。
「美味しいものを食べたい!」、それだけでもいいのです。
そして、後々「美味しいもの大好き!」な人は、お料理をマスターする上での原動力になることを知っています(^o^)
食べることに関心のある人は、エネルギッシュなところがある人が多いためだと思うのです。

ところで、玄米を食べるか、白米を食べるかは、体や気持ちの状態で決めれば良いと思います。
私は玄米を食べている期間が長くなったせいか、白米を食べると物足りなさを感じますが、自由に両方を使い分けています。
つまり、軽い主食がほしいときには白米にして、原則は玄米としているだけです。

これは私が特別な病気を治そうとしているわけではないし、今体調不良を感じているわけでもないからです。
皆さんもパスタを食べたいとき、お蕎麦を食べたいとき、パンを食べたいとき、ごはんをしっかり食べたいときなどがありますよね?
それと同じく、白米にしたり、玄米にしたりしているだけです。

*   *   *

よくあるのが、マクロビオティックをしているから玄米でなければいけないと思いこんでいる人がいることです。
そうではなくて、なぜ玄米を食べるのかを理解して、玄米を食べて心身の変化を体験したいのだったら玄米を試してみれば良いだけなのです。
もし体が白米や分づき米を求めているのだったら、それに対応する柔軟さがほしいですね。

玄米には、白米だったら失われている栄養分が残っていますので、その分おかずも少なめでよいし、なんといっても玄米の持つ排出効果が素晴らしいのです。
この点が最近一般の方にもジワジワと認知されつつあるのかなと思います。
マクロビオティックは知らないけれど、健康のために玄米を食べてみようかなと思われる方が一昔前より増えたように感じています。

そろそろ新米の収穫が始まる季節ですね。
新しいエネルギーをびっしり内包した新米を、美味しく炊き上げて、感謝しながらいただくことは、あなたの幸せにつながる行為です。
白米であっても、玄米であっても。

*   *   *

もし、玄米の炊き方が分からなかったら、むそう塾にいらしてください。
驚くほど美味しい炊き方をお教えします。
電気を使わない炊き方なので、停電のときでもいつもどおりに炊き上げられます。
2011年の東日本大震災のときも、今回の千葉の大停電でも、電気を使わない炊き方は威力を発揮してくれました。
暗闇の中で玄米ご飯を炊いてくれたむそう塾生がいます。

なお、玄米の炊き方講座は、こちらの記事からお申し込みいただけます。

下の写真は、玄米ごはんで作られた稲荷寿司です。
白米で作るよりコクがあって美味しいんですよ。
玄米の嫌いな人でも、玄米が入っているとは思わないで、喜んで召し上がってしまう美味しさです。

 
 


(玄米稲荷寿司 料理:京料理人  中川善博 マクロビオティック京料理教室 むそう塾)

 
 

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あなたの周りに「会食恐怖症」の人がいたら、理解してあげられるといいですね。

今の時代は「会食恐怖症」という人がいるそうですが、私の経験でも30年ほど前にそういう人とお食事をしたことがあります。
こちらの記事に書かれていますが、「安心できる場所にいたり、信頼できる友達と一緒にいたりっていう条件が揃えば食べられるけど、そうじゃないときには食べられない。」そうなんです。

私がご一緒できたその人は、夫の同業者の奥様だったので、心を許してくださったのでしょう。
でも、お一人だと外食ができないので、「パンを買って車の中で食べるんです」とおっしゃっていました。
裕福なご家庭のお嬢さんなのですが、幼い時になにか心に傷を負う出来事があったのかもしれません。

もし、あなたの周りにそういう人がおられたら、理解できる人であれたらいいですね。
以下に記事を引用させていただきます。

*   *   *

<引用開始>

「食べられない自分」を肯定するのが克服の第一歩 人前で食事ができない「会食恐怖症」のこと

人前で食事をすることができない「会食恐怖症」。会食に対して耐えがたい不安や恐怖を抱き、吐き気やめまい、胃痛、動悸、嚥下障害をはじめとするさまざまな症状が表れてしまう精神疾患です。

日本会食恐怖症克服支援協会の代表理事をつとめる山口健太さん。自身が会食恐怖症を克服した経験を活かし、同様の疾患に悩む人々へのカウンセリングや、学校や保育施設への給食コンサルティング活動を行っています。山口さんの活動や、著書『会食恐怖症を卒業するために私たちがやってきたこと』(内外出版)についてお話を伺いました。


こんな悩みは自分だけかもしれない

——「会食恐怖症」という疾患はまだ認知度が低く、この言葉を初めて目にした、という方も多いかと思います。

山口:これまでに「会食恐怖症」を単体で取り扱った本ってなかったんですよね。社交するあらゆる機会に大きな不安を感じる「社交不安症」というものがありますが、会食恐怖症はその一つとして分類されていて、そういう疾患についての本の、それこそ200ページに1ページくらいの分量で説明が載っているくらいでした。

そこで書かれている症例も「食べているところを見られるのが嫌な人がいます」というサラッとしたもので。実際には見られるのが嫌な人もいれば、嘔吐してしまうことへの恐怖や、「全部食べ切らなきゃ」「おいしく食べなければ」という強迫観念がある人もいる。不安を感じる部分にも、出てくる症状にもかなり個人差があるんですが、そのあたりの認知がまだ広まっていないですね。精神科のお医者さんでさえ「そんなものはない」って言う人がいるくらい。

——山口さんは高校時代、所属していた野球部の合宿をきっかけに発症されたそうですね。

山口:もともと少食な方だったんですけど、高校の野球部は「食べて体を作るのもトレーニングのひとつ」みたいな感じで、量を食べるようかなり厳しい指導をしていたんですね。合宿の張り詰めた空気の中で、周りの人たちと同じ量を食べなければならない。そういうプレッシャーもあって残してしまったら、監督に部員みんなの前で怒鳴られてしまって。そこからどんどん会食に対する恐怖が高まっていって、食事のことを考えただけでも気持ち悪くなってしまうほどでした。「周りに合わせられない」とか「みんなと同じように食べられない」とか、やっぱり食事そのものというより、人との関わりに対する不安があったんだと思います。だから安心できる場所にいたり、信頼できる友達と一緒にいたりっていう条件が揃えば食べられるけど、そうじゃないときには食べられない。

——当時はどんな気持ちでしたか?

山口:気持ちの面では「孤独」っていうのがすごく強かったです。普通の感覚だったら、ご飯って楽しく食べるものじゃないですか。でも、自分はそれができないし、できないという実感を分け合える人もいない。こんな悩みを持ってるのは世界で自分だけ、って思っていたんですよね。

どっちのほうがつらいという話じゃないですけど、これがたとえば拒食症とかであれば、一つのジャンルみたいなものが確立されているし、当事者の人たちもその旗を頼りに集まれるじゃないですか。僕の場合、完全に食べられないわけではないから病院に行くのが正解なのかも当時は分からなかったし、「なんでこんなことになっちゃったんだ」っていう寂しさと絶望感がありましたね。

 
 

「食べられない」ことを自分の中の正解として受け入れる

——著書の中には、会食恐怖症を発症する要素として「自己肯定感の低さ」「ノンフロー状態」「恐怖の学習」という三つのキーワードが出てきています。

山口:僕はどちらかというと、遺伝などの先天的な要因よりも、後天的な要因の方が大きいと考えています。「恐怖の学習」は、食に対する一種のトラウマですよね。僕だったら、合宿での出来事がそれにあたります。小学校の給食で先生に無理やり食べさせられたとか、人と食事をしているときに気持ち悪くなって吐いちゃったとか。特別なきっかけは覚えていないという人がいますが、そういう人も食事に対して小さい頃からプラスのイメージがなかったという場合が多いです。

「ノンフロー状態」というのは、自分がリラックスできていない状態。その人の状態と症状の出やすさにはすごく密接な関係があって。たとえば受験や就活でストレスを感じていたり、家族との関係がよくなくて、家が安心できる場所ではない、という状態だったりすると、症状も出やすくなる。だからサポートする立場としては、その人の普段の状況を見てあげないといけない。

——本書を読んでいると、三つの中でも、「自己肯定感」というものがとくに重要な要素として挙げられている印象を受けました。

山口:「ありのままの自分でいいんだ」という実感があるかどうか。僕が会食恐怖の症状が出ていた当時って、やっぱり自分のことを受け入れられていなかったんですよね。自信もないし、鏡で自分の顔を見るのさえ嫌だった。その拒否反応としていろいろ症状は出ていたなって思っていて。それまでの生き方とか考え方って、本当に自分がそうしたいと思って選ぶというよりは、家だったり学校だったりの教育によるところが大きくて、結構心は悲鳴をあげていたと思うんですよ。

——カウンセリングでは、具体的にどのようなアドバイスをすることがありますか?

山口:本人ができるのであれば段階的に練習を、できないのであれば「まずは行ってみる」っていうことをお勧めしますね。「食べられなくてもいいので、とりあえず行ってみてください」と。この場合、自己評価の仕方が大事なんですけど、食べられたか/食べられなかったかではなくて、「行けた」っていうことを見たらいい。それだけであなたは十分成長しているんだからすばらしいんですよ、と。

——著書にも「減点方式ではなく、加点方式で自分を見る」と書かれていましたね。

山口:そうですね。あとは、その人のメンタリティ的に可能なようであれば、「残してきてください」ってアドバイスすることもあります。あえて残すことで、“食べられない”を自分の中の正解にしてきてもらうんです。同じように「変な食べ方やマナー違反をしないか不安」という人の場合も、むしろ「マナー違反してやろう」ぐらいの気持ちで行った方がいいなと思っています。あえて間違えて、誰かに突っ込まれるのを待つとか。「残さないように頑張る」「変なことをしないように勉強する」っていうのが普通の考え方ですけど、逆の発想をしてみるんですね。ミスすることをただ受け入れる。そうやってリラックスすることで、かえって食欲が湧いて食べられたりもしますし。

——反対に、「もう人と会食はしない」という選択肢もあるのでしょうか。

山口:たまにいらっしゃいますね。そのときは「じゃあ治さなくていいと思いますよ」みたいなことは言いますよ。突き放すわけではなくて、そういう人って、お医者さんや周りの人の意見なり、社会的な価値観なりっていうのに従おうとする時点でつらいんだろうと思うので。なので「自分は人とご飯を食べないけど、これが自分にとって一番いい生き方なんです」っていう世界の閉ざし方は、全然ありじゃないですか。どんな方法を選ぶにせよ、自分自身の基準で生きることが大事なのかなって思います。

——「自分はどう生きたいのか」という基準を見つけ出すのも、難しい作業ですよね。

山口:「こうしたい」という意欲を持つステップって、自身が満たされていない状態では出てこないんですよ。基盤ができていないのに階段を登ることはできないし、自分の中からも意欲が出てこない。「今の自分でいいんだよ」っていうところから、やっと克服のためのステップが始まるんだと思います。

僕は自己対話っていうのをすごく大事にしているんですけど、人って一日一万回ぐらい脳内で独り言を言っているらしいんです。もし他人から一日一万回「お前はだめだ」って言われていたとしたら、精神が病むじゃないですか。でも人って、同じことを自分に対してはやってしまいがちなんですよね。それから変えていかないとやっぱりしんどい。最初は言葉からでもいいんです。「自分には価値があるんだ」って、たとえ腑に落ちていないとしても、とりあえず先に言った方がいいと僕は思っていて。

——なるほど。

山口:「生き方を変える」っていうと、つい力を出して頑張る方向に考えがちじゃないですか。でも、僕の場合はどちらかというと自分を許すとか、言いたいことを言うとか、肩の荷を降ろすとか、気楽に生きるとか……。そういう意味での変化ってすごく大事なんだという結論に至ったんですよね。もっと自分を出していいな、みたいな。
(聞き手・構成/餅井アンナ)


<引用終了>

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