前回の記事から時間が経ってしまいましたが、靴下の重ね履きについて考えてみたいと思います。
そもそも靴下を重ねて履きたくなるのは、冷えを感じているからです。
では、冷えはどうして感じるのでしょうか?
それは単純にいうとその部分の代謝が悪くなっているからですね。
では、なぜ代謝が悪くなったのでしょうか?
それにはまず人間の歴史から考えてみなければなりません。
そもそも人間の先祖は4本足で歩いていて、長い間の進化で2本足歩行をするようになりました。
二足歩行をするようになると、全体重を2本足で支えなければならず、その足が心臓から最も遠くなってしまったことが問題なのです。
心臓はギュッと収縮したときに動脈を通して細胞の先端(毛細血管)まで酸素と栄養を届け、今度は弛緩したときに細胞の先端で静脈の毛細血管と連携してガス交換をして、代謝すべき残留物(老廃物)を心臓に送り返すためのポンプの役目をしています。
血液が再び心臓に帰ってくる間には、あらゆる器官や臓器が働いて血液を綺麗にし、栄養を蓄えます。
しかし、心臓から一番遠くになってしまった足には老廃物が溜まりやすく、いわゆる老化した足になってしまうのです。
では、老化した足というのはどんな足をいうのでしょうか?
代謝残留物(つまり汚れ)が溜まった足は、化合物なので「固く」なります。
次に、固くなった老廃物は血管やリンパや神経を圧迫します。
それぞれの循環や経絡(連絡通路)を阻害します。
特に血液の循環を阻害されると、血液は体温も同時に運んでいますから、「冷たく」なります。
ということで、老化した足というのは「固い」「冷たい」状態をいうのです。
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赤ちゃんの足はつるつるして柔らかいですよね。
寒い真冬でも冷たい床をハイハイする赤ちゃんは、冷えとは無縁の世界にいます。
赤ちゃんはまだ老廃物とは無縁なので冷え知らずなのです。
ですから、老廃物だらけのお爺ちゃんやお婆ちゃんがお孫さんに厚着をさせたり、熱いお風呂に首までつからせようとするのは、赤ちゃんにとっては拷問みたいなものなのです。
マクロビオティックで陰陽を知ると、そのへんのことが良く理解できますから、赤ちゃんを無駄に不機嫌にしなくて済むようになって、子育ても楽になります。
冷えの仕組みが分かったら、あとは老廃物を除去出来るようにすれば良いのですが、その方法はいろいろあります。
食べ物の陰陽を考えながらお食事内容を改善することも必要ですが、それだけで十分とは思いません。
もっと身体を動かすことも必要ですし、こわばった精神面を解きほぐすことも必要です。
温泉やお風呂で体を温めることも効果的ですし、デトックスで積極的に毒出しのお手伝いをすることも良い方法です。
靴下の重ね履きで冷え症から脱出した人もいますので、この方法が合う人もいるのは事実ですが、私はあまりおすすめしません。
それは先の記事に書いたように、氣の問題とも関連して考えると不自然な感じがするからです。
外側から何重にも重ねるのではなく、内側から老廃物を除去出来るように誘導した方がスッキリすると思います。
身体には反射区というのがあって、下のような反射区図表をご覧になったことのある人も多いと思います。
この反射区の概念は、2500年以上前の中国で原型が作られたとされ、時代を経て各地に広まり、ヨーロッパでは「フット・リフレクソロジー」として20世紀に広まっていました。
足の冷えはまず指先から始まり、足の裏、甲部、踝(くるぶし)、ふくらはぎ、膝、太股、股関節というように、徐々に上部に向かって固く冷たくなります。
この状態が踝まで来ると下の血圧が高くなり、膝まで来ると上の血圧が高くなって、高血圧の人は膝の裏に固いしこり(卵のような塊)があり、そこをもみほぐすととても痛がる傾向にあります。
膝まで詰まった状態の血液循環の阻害は、心臓からの圧力を強くしないと下方まで下がりませんので、それが高血圧だとも解釈できますね。
怖いのは、こうして循環を阻害された血液がどこに行くかということです。
結論として、下半身が詰まると、行き場のない余分な血液はどんどん上半身に突き上げてきますので、各臓器に次のような影響が出ます。
【腎臓】濾過が間に合わずに、汚れを他の臓器に回す。
【脾臓】血液の成分とそうでない成分を分けるのが間に合わなくなる。→再生不良の血液を他の臓器に回す。
【肝臓】解毒が十分にできない。
【小腸】栄養が吸収できない。
【大腸】水分を身体に回せない。
【心臓】東洋医学で瘀血(おけつ)、西洋医学で高コレステロールの高い血液が心臓を弱らせる。
【頭部】毛細血管を詰まらせたり破ったりする。
【肺】空気中の酸素を充分に取り入れられなくなる。
【脳細胞】酸素の足りない血液によって、脳細胞が死滅する。
こんなふうになったらイヤですね。
ですから、重ね履きだけで寒さを凌ぐのではなく、ぜひ根本的なところから改善するようにして欲しいと思います。
それが出来たら、血液の循環が良くなることで、各臓器に負担がかからなくなります。
そして、細胞に酸素と栄養が届くようになって、弱った細胞を健康な状態に戻すことが可能になります。
また、足(正確には脚部)をもむことで、静脈のそばを走っているリンパ腺のマッサージができ、身体に抵抗力がついてきます。
台湾の官有謀先生は、戦争で例えるなら「血液が食糧、リンパが兵隊、神経が通信部隊」といっています。
これら3つがすべて揃っていないと、病原菌に負けてしまい、健康な状態を維持できなくなり、病気で悩んだり、痛みで苦しんだりすることになると。
反射区というのは素人には難しく感じられますが、そんなときには足の裏とふくらはぎを揉むだけでも違いますし、足湯をするだけでも違います。
とにかく下半身は冷やさないこと、ただし締め付けて血流を阻害するような服装はしないこと。
そんなことを考慮しながら、下半身をたくましく弾力ある状態にしましょう。
下半身が強ければ生命力に溢れます。
それが一番自然で無理のない健康法につながると思います。
なお、マクロビオティックでは同じ冷えでも、陽性の冷えと陰性の冷えがあると考えていますが、それについては別の記事で書きたいと思います。