まだまだ今のようにマクロビオティックが知られていなかった時代、私はマクロビオティックのことを説明するのに苦労したものです。
イベントのために会場を借りる時、領収証を書いてもらう時、「は? は?」と何度も聞き直されたものです。
公の会場の場合は、怪しげな宗教だと思って貸してもらえないこともあるので、「健康になるための勉強会です」と言って借りるようにしていました。
でも、会場では陰陽の話ばかりしていましたけどね(笑)
最近は、「マクロビオティック」というと、言葉だけは知っている人が増えて来ましたが、食べ方の範囲にとどまっていて、本当のマクロビオティックの愉しさを知らない人が圧倒的に増えて来ましたね。
それはマクロビオティックの広め方にも問題があったわけです。
あるシェフと話をしていた時、そのシェフはマクロビオティックスイーツばかり教えているので、どうしてもっと無双原理の部分を前面に出さないのかと尋ねました。
するとその答えは、「理論的な話をしても人は集まらないので、先にスイーツからマクロビオティックに入ってもらって、それからマクロビオティックの料理を知ってもらい、最後に理論面に行くようにしたいから」ということでした。
これが世の中の現実なのだと思います。
ですから、甘いものやマクロビオティックの食べ方の部分が脚光を浴びて、その背景にある無双原理のことはますます知られなくなっているのです。
実はこれこそがマクロビオティックの骨格部分なのに・・・。
* * *
私の尊敬する高桑智雄氏が、Facebookに書かれていた記事の一部をご紹介します。
<引用はじめ>
しかし、最近こういう会に出ると、マクロビオティックとベジタリアンやビーガンとの違いを説明することが多い。
マクロビオティックとベジタリアニズムは、実際似て非なるものなのですが、我々が「マクロビオティック=玄米菜食」という社会的にも受け入れられやすいキャッチーなコピーとして短縮して普及してしまった弊害として、ベジタリアンの一派として埋没してしまった感があるのです。
つまり、本来は「マクロビオティック=玄米菜食を基本として、陰陽という見方を通じて自然や環境と調和するための生活法」であるところを「を基本として~」以下を、まぁ意図的ではあるのですが、ちょっと誤魔化して普及してしまった時代があるのです(笑)
もちろんマクロビオティックの基本の部分は、玄米菜食が中心となるので、その意味ではベジタリアンと共通する部分はあるのですが、応用の部分では、実際体質や環境、人生設計において陽性が必要な人は、動物性をとることもあれば、陰性な果物や甘味料を必要とする人もいるのです。
その応用の部分が、実はマクロビオティックの醍醐味なのですが、そこをこれからの時代に伝えて行くことが、我々の使命なのかな~とつくづく思います。
<引用おわり>
さらに高桑氏が各人に宛てたコメントのお返事がとても勉強になる内容なので、そのお返事もここに転載しておきます。(抜粋)
【Aさんへ】
あはは、ごめんなさいね~。
マクロビオティックは、環境によって食べ方が決まるので、動物性を否定してしまうと、動物性を食べることしか生きるすべのないエスキモーの人たちなどの「命」を否定することになってしまうのです。人、動物、植物、鉱物すべての事象を「一つの命」と考えるマクロビオティックの立場を何卒ご理解下さ~い(笑)
【Bさんへ】
もちろんベジタリアンやビーガンの考え方は、素晴らしいと思います。特に環境や伝統に影響されないグローバルな時代には、必要な考え方だと思います。ただマクロビオティックにおいては、動物も植物も同じ命だし、それは陽性な命と陰性な命と捉えるだけ。動物でも植物でも同じ命として大切に扱い、陰陽を調和していただくという思想なので、そこはベジタリアンの方にもご理解いただきたいのですね。
【マクロ美風へ】
全くその通りですよね。ベジタリアニズムとマクロビオティックは、似て非なるものといいましたが、実は全く逆の思考方法が根底にあります。それは「絶対的思考」と「相対的思考」ということですよね。
マクロビオティックは、陰陽という見方が基本にあるからこそ、時、所、状況によって常に変化する世界に合わせた最適解(食べ方も含め)を見つけるメソッドです。ですから自ずと南に住んでいる人と、北に住んでいる人では答えが変わる。
陰陽を取り去ってしまうと、その相対的思考そのもものが取り去られてしまうので、絶対的思考であるベジタリアニズムと同じ分野と捉えられてしまうのですね。
今時代が必要なのは、まさにその「相対的思考法」なのですね~
* * *
いかがでしたか?
あなたの思っているマクロビオティックへの理解は、どの辺にありましたか?
むそう塾の幸せコースでは、最初に無双原理を説明した本を読んでもらって、その感想文を提出してもらっているのですが、多くの方が「知って良かった!」「生き方が楽になった!」というような感想を書いてくださいます。
それはまさに、マクロビオティックの考え方が相対的なものの見方や考え方なので、凝り固まった人たちの思考法を解放する力として働いてくれるからですね。
私はその相対的思考法を現実の生活で気づいてもらうために、日々「陰陽」のことを書き綴っているわけです。
このブログが誰かの人生の転機になったら嬉しいな。
(粟麩旨煮 料理:京料理人 中川善博 マクロビオティック京料理教室 むそう塾)
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