「吉兆」のコース料理における始まりと終わりの陰陽

マクロビオティックな生活をしていると、外食で困るという話をよく聞きます。
あるいは食べる楽しみがなくなってしまったという声も。
でも、じっくり観察していると、巷にも陰陽を無意識に使ってお料理をしているところがあります。
作り手が陰陽だと意識していなかったりするところが面白いのですが。
それは、長い経験から食事が美味しくなったり、食後の体調が良いという経験に基づいてそのお料理になったのだと頷けるものがあります。
たとえば「吉兆」さんのあるコースの始まりと終わりを見てみましょう。

最初はおしぼりとお茶がどこでも通例ですが、この日の吉兆さんでは最初にあられ入りの塩番茶でした。(写真なし)
どんな体調の人も塩番茶で体調を整えてから、美味しさを判断出来るようにとの気遣い(笑)でしょうか。
コースの途中で出てくるものは主を陽性食材で、脇を陰性食材でバランスを取りますが、八寸などはまさにお酒なくして本当の味は楽しめないといっても過言ではないでしょう。

そんなときのお酒はやはり「吉兆貞翁」が合います。
お料理の邪魔をしない味に唸ります。

吉兆グランヴィア店 吉兆貞翁 マクロビオティック

 
 

お料理を堪能して終わりが近づいて来ました。
爽やかで実にさっぱりとした口当たりのよい柑橘です。
(水物 柑橘ジュレ いちごのソルベ)

吉兆グランヴィア店 マクロビオティック料理 はるか

 
 

華やかな饗宴が終わると、静寂の世界へ。
(薄茶 海鼠手 茶碗)

吉兆グランヴィア店 マクロビオティック料理 薄茶

 
 

これで最後ならただのコース料理として、この記事を書く気にはなりませんでした。
しかし、最後は塩番茶で締めくくりとなったのでした。
なあるほど!
今度はあられなしです。

吉兆グランヴィア店 マクロビオティック 塩番茶

(写真はすべて吉兆グランヴィア店にて)

 
 

一般的にコース料理は陰性で始まって陰性に終わります。
しかし、このコースでは中庸に始まって中庸に終わりました。
もちろん、食後の体調も気分も安定と満足の陽に満たされました。

マクロビオティックを知っている人は、お食事の終わり方を大切にしてほしいと常々思っています。
夜は陰性に、朝とお昼は陽性寄りに終わりましょう。
解らない時には中庸に。

 
 

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認知症と診断されたらそれで諦めますか?

Nさんからメールがありました。
こちらの記事を踏まえてのご相談でした。
Nさんだけでなく、これから同じような立場に立たされる人も多いと思い、記事にさせていただきます。

<Nさんからのメール>

先ほど母の付き添いから帰ってきてブログを拝見したら
母が呟いた言葉と美風さんのブログの内容とがリンクしてしまいました。

歳をとるって喜びも希望もどんどん取られていってしまうのね…
今の私にはもうなんの喜びもない…

この言葉を聞いて、愕然としてしまいました。

でも今の彼女には正直な気持ちなのかもしれません。
40年以上も大好きで続けていた運転を「認知症」発症のために
やめざるを得なくなってしまったからです。
手足をもぎ取られるような感覚だとも言いました。

昨日も今日も車買取業者の方が家に来ます。
そうすると母はいつも涙目で車の話をします。
見た目はごくごく普通なのに、MRIや脳の血流検査で
少し異常が見られたために下された診察結果。
てんこさんがおっしゃるように、検査を受けても不安、受けなくても不安。
どちらにしても不安だらけだったから検査をうけたのですが、
いざ検査を受けて前に進みだそうと周りが動き出した途端の彼女の呟き。
戸惑う家族。
どう接してあげたらいいのか、残りの人生を少しでも明るく生きていってほしい
毎日を笑って過ごしてほしい、どうしたらいいんだろう。
発症したからと言って人格まで失うわけではないから新しい希望を見つけてあげたい。
それにはどうしたら…

てんこさんや美風さんが仰るように、私たちは一日一日死に向かって生きているだけに
今日の母の呟きが私に重くのしかかってしまいます。

美風さん、私は彼女にどうしてあげればいいのでしょうか?
申し訳ありません、こんなことメールにして…
でも美風さんとお話したかったのです。スミマセン…

 
 

<マクロ美風より>

Nさん、こんばんは。
誰しも老います。
誰しも死にます。
でも、死の瞬間までなるべく崩壊が少なく苦しむことなく、暮らして行きたいと誰しも思います。
では、それを現実に可能にするにはどうすれば良いのだろう?
ここが一番の問題ですね。

Nさんのメールを拝見してふっと私の父のことを思い出しました。
父は60歳を超えてから車の免許を取り、仕事や買い物など毎日運転していました。
93歳の頃、たまたま私が北海道に帰って母の買い物を頼まれたので、父の運転する車に同乗したときのことでした。
ウインカーを出したまま戻すのを忘れて運転していたので、父に教えてあげました。
夜になって何気なく兄にウインカーの件を話したところ、「そうかあ」と渋い顔をしていました。

それから何か月か経って、母と電話で話していたら、父が車に乗れないので不便だとこぼしていました。
具合でも悪いのかと聞いてみると、高齢でもあるし、万が一人身事故を起こしては取り返しのつかないことになるので、もう車を降りるようにと息子(私の兄)に言われたそうです。
父はそれまでゲートボールやカラオケをしょっちゅう楽しみ、老人会の集まりにも車で他の人を送り迎えしていたそうです。
しかし、それらが出来なくなったので、すっかり楽しみが減ってしまい、毎日寂しそうにしていると母が話していて、父のために兄はまずい判断をしてしまったなぁと思いました。

それからはつるべ落としの秋の太陽のように、父は一気に活気がなくなり、2年後に95歳で亡くなりました。
もしあの日に私が兄にウインカーのことを話さなければ、父はもっとハンドルを握っていられたのだろうかと思うと、何とも複雑な思いがこみ上げてきて、事故の被害者を出さないための対応とはいえ、父に申し訳ない気持ちになるのが正直なところです。

Nさんのお母様は、認知症とのことですが、一説によると認知症なんて病気はないとおっしゃるお医者さんもいます。
製薬会社が背景にいて、認知症という病気を作って薬を投与すれば儲かるだろうという程度のものかもしれません。
何しろこれからはお年寄りがどっさりいる時代になるのですから。

先日お母様のことをお聞きしていてとても気になったのが、甘いものが大好きということです。
お若くても甘いものが大好きな人は、どちらかというと緩慢な態度の人が見受けられます。
それはまさにマクロビオティックの陰陽でいうところの陰性な状態ですよね。
Nさんもマクロビオティックのお勉強をされているのでご存知でしょうが、そんな時には陽性な方向に持って行ったら何らかの変化が見られないだろうかと思われませんか?

認知症とひと口にいっても様々な段階があるし、果たしてその検査が妥当かどうかも分かりません。
お母様は本当に車を手放すべきなのかどうか、もう一度検討する余地はないものなのでしょうか?
お母様が運転をされて、Nさんが助手席に座るドライブがあっても良いかもしれませんよね。

私たちは確かに一日一日死に向かって生きているのですが、それは長いスパンで考えた時の言い方であって、「今」を諦めの方向に導くものではありません。
あくまでも「今」を充実させる生き方のために、もっとマクロビオティックの陰陽を活用してみませんか?
今こそあなたの知識を活かすべき時のような気がするのですが。

 
 

中川式鉄火味噌 むそう塾 マクロビオティック

(中川式鉄火味噌 料理:子象さん)

 
 

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誕生は死へのカウントダウン 崩壊は完成への第一歩

先日開催した「マクロ美風の陰陽落とし込み講座 各論特集@京都」を受講されたてんこさんから、感想の文章をいただきました。
きちんとWordにまとめてくださっているので、そのまま記事にさせていただきます。

 
 

<てんこさんのご感想より>

先日は、陰陽落とし込み講座・各論特集に参加させていただきありがとうございました。
実際の生活に沿ったお話で納得!の連続でした。

私は、人はなぜ陰陽バランスのとれた赤ちゃん時代を忘れてしまうのか?と質問させていただきました。
陰陽バランスが崩れる(変化する)ことはゆらぎの世界で生きる上では必然であると教えていただきました。
人間は生きる事で酸化し続けているという中川さんのお話もありました。
美風さんと中川さんのお話を伺い、人が死に向かって生き続けていることを忘れてはいけないという思いを強くしました。

最近医療を否定する主旨の本をよく見かけるようになり、これが元で不安が増幅している方がいます。
私は読んだ事がありませんが、病院に行くと結果が悪くなる(例えば抗がん剤を投与すると返って予後が悪くなる)という内容のようです。
そういった本を読んで、医療行為に不安を感じる人がいます。
そのような方の多くは、病院にまったくかからないことも不安に思います。
病院に行くのも行かないのも不安。(なんと陰性なことか〜)
でも、病院に掛からない方がいいとう意見の通りにしてみても、病気が勝手に治るわけでも不死身になるわけでもありません。
考えてみると、どんな道を進んでもいずれ人生が終わるという点では同じです。
その点で、病院に掛かるのも掛からないのもどちらも正解とは言えないのではないかと思うのです。

例えば、CTという画像検査がありますが、放射線被爆のリスクがあります。
しかしお腹の中で起きていることやがん患者さんの転移の有無などが分かり、有用な面もあります。
むやみにどんな患者さんにもCT検査を行うとしたら問題ですが、何か症状がある方や他の検査で癌の転移が疑われる方の精密検査として行うなら有害な検査とは言えない、と私は考えています。
一方で、癌が再発しても積極的な治療をするつもりがない方には、再発を発見する目的での検査は必要ないという考えには共感できますので、そのような方には望まない検査はしません。
しかし中には、CTの被爆は怖いし、検査をしないで再発・転移の発見が遅れるのも怖いとウロウロしている方がいます。
ウロウロ心配しているうちに確実に1日分死に近づきます。
CT検査をしようとしまいと、死に向かっている事には変わりありません。
何もかも不安に思う人は、どこかに正解があってそれが見つからないのが不安であるように見えます。
どちらかに進んだら、全てが上手くいくような回答があって、そちらに進みたいと思っているのではないでしょうか。
そんな正解なんてないのです。
どちらに進んでも何らかのリスクは必ず背負わなくてはいけません。
でもそれは絶望ではなくて、そんな中でも人は生を充実させたり成長したりできるという希望と共にあるのだと思います。

中川さんがブログのコメントのお返事に、人間なんて『産膜酵母』みたいなもの、と書いて下さったことがありました。
宇宙の中の自分、長い歴史のなかの自分を俯瞰すれば、その不安なんて『ちっちゃいな〜』って簡単に笑い飛ばせそうですよね。

今回お話を伺って、どうせ人は死ぬんだよ!と投げやりになるのではなく、どんな状況でも『今』を充実させる事が生きる意味なのだと理解して、確実に終わりに向かっている有限な生を大切にしたい、そうできる人になりたいと思いました。
これからもひとつでも多く、無駄なく、美風さんと中川さんから受け取れるよう頑張ります。

濃厚な1日をありがとうございました。

 
 

<マクロ美風より>

私がまだ20歳のころ、知り合いの詩人にお子さんが生まれました。
「おめでとうございます」と言葉をかけましたら、意外な言葉が返って来てとても印象に残っています。
「生と同時に死を与えてしまって、実のところ複雑な心境なんだ」とおっしゃったのです。
もちろん彼はマクロビオティックの陰陽を踏まえて発したわけではありませんが、「命」というものを考えるとまさに「生まれた時から死に向かってカウントダウンしていることになります。
詩人ですから、宇宙規模で物事を考えているとそうなってしまうのでしょう。

ですから私は20歳のときからずっと「死に向かって生きている」と意識していました。
それは人生にタイムリミットを設ける意味で非常に有意義な思考になりましたが、マクロビオティックの陰陽で物事を考える時に、まさに核心はこれだと感動しました。
日々私たちは死(陰)に向かって生きよう(陽)として、その陰陽バランスを取ろうとするのが人生だと思うと、なんだか滑稽な感じがするくらい人生が愉しく思えて来ます。
マクロビオティックを知らないで生きることと、マクロビオティックを知って生きることの違いは、こんな点でも歴然とすることでしょう。

ですから私はマクロビオティックに惚れているのですが、この講座でそんなことを共有できて嬉しく思っています。
いつも専門的立場からのご感想をお寄せいただき、たくさん学ばせていただいております。
ありがとうございました。

 
 

陰陽落とし込み講座 マクロビオティック

(マクロ美風の陰陽落とし込み講座 京都会場より)

 


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「玄米の炊き方秘伝(第79回 愛クラス)」を終えて

昨日開催した「玄米の炊き方秘伝(第79回 愛クラス)」は新人さんがお二人でした。
お二人とも他のマクロビオティック教室で学ばれており、玄米ご飯をもっと美味しく炊きたいとのご希望でご参加くださいました。
さあ、実際にむそう塾の玄米ご飯の炊き方を知っていかがだったでしょうか?
他で学ばれた陰陽理論を中川式の玄米炊飯に当てはめた場合、あなたの中のマクロビオティック理論は納得の行く結果になりましたか?

新人さんはこんなに素敵な笑顔です。
陰陽の個性が見事に分かれているので、お二人を足して2で割ったらいいのになあと思ってしまいました(笑)

愛クラス1

 

他の8名は再受講してくださったのですが、懐かしいかたもいらして、愛クラスも懇親会も和気あいあいで良い雰囲気に包まれた一日でした。

愛クラス8

 
愛クラス2

 
愛クラス7

 
愛クラス5

 
愛クラス6

 
愛クラス4

 
愛クラス9

 
愛クラス3

 
 

皆さん、玄米投稿頑張ってくださいね!

 
 

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マクロビオティックの指導現場より 妊娠・出産・母乳・離乳食の陰陽

これから妊娠・出産・授乳・離乳を経験するであろう女性たちだけでなく、ぜひ男性たちにも知っておいていただきたいお食事のことを書きます。
一般的なお食事は空腹を満たすためと、喜びや癒しのためにいただくことが多いのですが、マクロビオティックのお食事はその他にもう一つ目的があります。
それは「質の良い血液をつくる」ことです。
この一点のために陰陽を駆使してあれこれ模索するわけです。
しかしどんな場合でも忘れてならないのはバランスであって、何かを排除することではありません。
排除の論理は正しいマクロビオティックの考え方ではありません。

女性の体はとにかく冷やさないことです。
妊娠時期は特にその意識が重要で、体を冷やす食べ物や環境は羊水が増えるだけでなく、赤ちゃんに体脂がついてしまいます。
動物性脂肪が多い場合も赤ちゃんに体脂が増えます。
いつも少し陽性になる食事を心がけますが、あまり動物性が多いと子宮口が締まりすぎて、出産の時になかなか赤ちゃんが出て来れません。
反対に陰性な食べ物が多いと、出産の際に微弱陣痛で、こちらも赤ちゃんが出たり引っ込んだりすることになってしまいます。
妊娠中にしっかり陰陽バランスを取っておけば、痛みもほとんどなく、お産に要する時間も少なく、出血も最低限に抑えられます。

そしていよいよ授乳になっても、乳腺を詰まらせる要因が少ないので、スムーズな母乳ライフが楽しめます。
この母乳を飲ませることが、実はママにとっても大変重要なことで、妊娠で大きくなった子宮を収縮させたり、ホルモンを活性化させたりして、ママ自身がどんどん美しくなるのです。
よく、子供を一人産んだくらいの女性が最も美しくて色気があるというのは本当で、出産と授乳のご褒美でもあるわけです。
授乳中は乳腺を詰まらせる原因になるようなお食事は控えるようにして、母乳の質にいつも気を配りましょう。

さて、いよいよ離乳の時期がやって来ます。
断乳なんて寂しいことは言わないで、自然にバイバイできるようになりましょう。
だいたい母乳は生後1年くらいで乳糖の分解酵素がなくなって、澱粉の分解酵素がメインになりますので、歩けるようになったら離乳完成が照準です。
それ以後の母乳はスキンシップ目的のことが多いので、さっさと授乳を切り上げても構いません。
ただしこの離乳は個人差が大きいので、月齢に惑わされないようにしましょう。

一方離乳食ですが、育児本にとらわれずに、あくまで赤ちゃんの反応を優先して進めます。
赤ちゃんは自分にとって必要な食べ物とそうでない食べ物を本能で見分けますから。
最も注意すべきは、大人より薄めの味を心がけることです。
大人が味見してちょっと物足りないくらいでも良いのです。
なぜなら、赤ちゃんは大人より陽性だからですね。
食材や料理方法も陰性寄りで構いません。
大人の感覚で動物性のものをせっせと摂る必要はありません。
陽性が過ぎると大きく育ちませんので注意しましょう。

ああ、また時間がなくなってしまいました。
きょうは愛クラス(玄米の炊き方秘伝)があります。
ではこの辺で。

 
 

妊娠・出産・授乳・離乳食 マクロビオティック 

 
 

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