(夏から秋の極上お弁当講座のひと品 小茄子の田楽 料理:中川善博)
茄子は陰性だから。
そのひと言で私はどれだけナス科を避けたことでしょう。
ナス科ということですから、トマト・ピーマン・ししとう・じゃがいも・パプリカ・ほおずき・ハラペーニョ・たばこ・クコ・唐辛子・胡椒などを含みます。
もちろん、トマトジュースもトマトケチャップも避けました。
マクロビオティックの陰陽を知ってしまうと、そんなもう一つの目を持って食材を判断するようになります。
しかし、食材だけで判断するのはある種の危険性も伴います。
すべてを生のままで食べるわけではなく、料理方法でいくらでもそれらの成分は変化するからです。
例えばナス科の食べ物で関節炎が悪化するという情報があります。
しかし、それは料理の仕方がどうだったのか? どの部分だったのか?
そんなことも含めて考えなくては片手落ちになります。
例えばじゃがいもはナス科ですが、一番悪さをするのは芽の部分なのでそこを取り除けば良いのですが、皮を食べてはいけないという情報もあります。
食材によっては、生なら毒性があるけれど加熱すれば消えるから大丈夫というものもあります。
さらに、ある人は平気だけどある人はアレルギー症状が出たというように、その人の体質や消化力が影響する場合もあります。
ですから一概にこの野菜は駄目でこの野菜は良いと短絡的に決められません。
すべては自分で食べ続けるか避け続けるかして答えを見つけるしかないのです。
実験の目安は最長で3週間です。
毒性の強いものほど短時間に答えが出ますが、体に害があるかどうかが分からないものほど時間がかかります。
ある意味では犯人探しをして健康にもって行くのが食養生でもあるのですが、理想的な健康というのは「何を食べても平気」という体になることです。
自然界はそのときに必要な野菜を私たちに届けてくれます。
それが「旬」というものですが、夏には当然のことながら体をクールダウンする食材が多くなります。
本体ならそれらを食べても健康が損なわれない体調になっているべきですね。
大事なことはそれらの野菜で体を涼しくすることであって、クーラーで涼しくするのが健康に貢献するのではないことを認識すべきです。
しかし今はどこに行っても冷房の効いた環境なので、そこに長くいる人は夏野菜のいただき方を工夫する必要があります。
そこに陰陽理論を活かさずしていつ使うのかと私は思います。
写真の小茄子の田楽は、陰陽的にもバランスの取れたお料理で、作り方はさすがの料亭料理でした。
お弁当講座に来られる方は、「あ!」と思われることでしょう。
これが一つお弁当に入るだけでグンとお弁当の格が上がりますね。
そこには「体に良い悪い」を超越した氣の高揚があります。
その氣の高揚が免疫力を高めることにもなるので、あまり食材の陰陽や成分にとらわれすぎて、人間丸ごと見ることを忘れないようにしてほしいなと思います。
先人が残してくれた伝統料理は、長い間の人体実験がなされたことになるので、新しい料理方法より安心して食べられます。
そんな引き出しを多く持っていると、あなたの食生活は豊かになるし心も安定します。
むそう塾ではそんなお料理をとびきり美味しくしてお伝えしています。