私がマクロビオティックを知ってからずっとお世話になっているT氏はとても魅力的で、彼の頭の中はどうなっているんだろうと思えるほどの知識と発想が詰まっています。
今はすっかり京都にへばりついてしまっている私ですが、T氏と語り合った日々は私のマクロビオティック観に大きな影響を与えてくれました。
彼は一見すると陰性に見えるのですが(笑)、実は相当に陽性を秘めていて、まるで山椒の実の中にダイアモンドを埋め込んだかのように、目立たない光り方をするのです。
まるで黒子のように、出しゃばらないで存在感をなくそうとされるのですが、ちょっと口を開けばすぐ彼の世界に引き込まれる魅力を持っています。
今は自己主張の多い時代であり、そしてまたそうすることが勝者になるための手段であるかのように思っている人も多いのですが、それは広告宣伝時代を意識した考え方なのでしょう。
「売り込む=陽性な行動」ですが、T氏はまるでそういうことをせず、飄々と生きているだけなのに実りのある生き方をされています。(まさに自由人!)
飄々とは彼のためにあると思えるほどピッタリな言葉で、だからこそ一見すると陰性のように思ってしまうのです。
これが実は本物の中庸なんだと私は前から思っています。
マクロビオティックを勉強し始めると、陽性が良くて陰性は悪いかのように思ってしまう人が多いのですが、実は中庸という状態が最も強いのです。
陽性が前面に出ると敵を作ることになって、あまりよい人生になりません。
陰性が過ぎると満たされた思いの少ない人生になってしまいます。
よく私が授業で例えるのですが、枝垂れ柳の枝のように、風のふく方向に合わせて枝をなびかせておく弾力が長持ちする秘訣ですね。
そうそう、肉体にも心にも弾力が必要なのです。
* * *
冒頭のT氏が中庸についてとても解りやすい説明をされています。
気軽な文章で高度な内容を書けるところが彼の素晴らしいところです。
本当の力がおありだからですね。
マクロビオティックの目的は、日々の食べる物を通して、自分の中に中心軸を見いだすことにあります。これを「中庸」と表現するのですが、私は正直この世界のすべての人がマクロビオティックを実践して中庸になればよいとは思ってません。
サッカーで言えば、「中庸」とはいわばボランチ。
チームのメンバーがすべてボランチだったら、面白いサッカーはできません。陰である守備や陽である攻撃的な選手がいてはじめて面白くなるのです。
「中庸」というと、陰にも陽にも片寄っていないという凡庸なバランス論で語られることが多いですが、マクロビオティックの中庸は、どんな陰性も陽性も活かすことができる自由人を言います。
だから中盤を自由に動き回って、陰も陽も自在に活かせる名ボランチが一定数いれば、世界は結構調和がとれるわけです。
とういうわけで、マクロビオティックは地球人類というチームにおける名ボランチを育成するシステムということもできるのです(笑)
(マクロビオティックの陰陽がわかる本 日本CI協会発行)
この本にはT氏の言葉が散りばめられていて、食べることがマクロビオティックだと思っている人にはおすすめの1冊です。
もちろん、むそう塾では教科書として採用しています。
最後に、T氏は「マクロビオティックの陰陽がわかるセミナー」で、日本CI協会の勝又会長と全国行脚されていたので、お話を聞かれた方もいらっしゃることでしょうね。
これからどこかで聴講される機会がおありの方は、「T氏=高桑智雄」さんなので耳を傾けてみてください。
柔らかな語り口に癒やされ、安心されることでしょう。
5月15日には新潟で開催されるようですよ。
(ああ、また土曜日です。私は授業の日。_| ̄|○)