京都の自宅からむそう塾に向かう時、いつも有鄰館(第1館)の前を通るのですが、その有鄰館館長の藤井善三郎さんは、幼いころ、私が昨日お食事をした長楽館の「ル シェーヌ」でハイハイしていたそうです。
藤井さんの御祖父様が、長楽館を建てた村井吉兵衛氏の死後荒廃していた長楽館をもったいないからと譲り受け、「有鄰館」の第3館として美術館にしていたそうです。
しかし、終戦後進駐軍に接収されて、現在のオーナー(土手素子さん)の先代がこの建物を入手したときには、建物にはペンキが塗られ改築までされてひどい状態になってしまっていたのだとか。
それをなんとか元の姿を再現しようと心を砕いて、村井吉兵衛氏が残した写真集を頼りに往年の姿を取り戻したそうなんです。
あの長楽館にはそういう歴史があって今があることに、物を得て失うことの陰陽を感じるマクロ美風なのでした。
人は陰陽を経験しながら生きるのですが、建物もまた陰陽とともに存在しています。
京都にはお寺やお庭という幾時代も手入れされながら保たれている場所がたくさんあります。
その時間という陽性さが独特の京文化をつくり、その陽性さゆえに京都は多くの人を引き寄せるのです。
そこを往来する人が変わっても土地や建物は人の命より長持ちするはずなのですが、今の建造物は下手をすると人間の寿命より短いものが多いですね。
これは建造物としては長い目で見ると陰性になります。
ほんまもん(本物)は寿命が長いです。
ですから、ほんまもんからは陽性の氣が発せられているのです。
私が初めて長楽館を訪れた時に感じたものは、氣の良さでした。
そこにいると心が穏やかになって、日常の細々としたことから解放されて、エネルギーをもらえます。
それが本物の持つ力ですね。
むそう塾で私と中川さんが伝えたかったのも、そのほんまもんでした。
むそう塾はマクロビオティック京料理教室として、お料理を中心に教えていますが、実はお料理を通じてほんまもんの人生を送ることを目指しています。
その考え方、その生き方、その判断・・・、すべてにマクロビオティックの陰陽を当てはめたら、ほんまもんの生き方が出来ることを、お若い人たちに伝えたいと思っています。
そのためには、まず本物に接することが大事です。
ですからむそう塾では、可能な限り本物の食材を使ってお料理を教えています。
長楽館のオーナーである土手素子さんは、「大事な文化財や調度品であっても、見て、使って、触れて、真の豊かさ(ほんまもん)を感じ取ってもらうことが長楽館のモットーです。」と言い切ります。
そこなんですよね。
見栄ではなく、心の真の豊かさのために本物に接するのです。
(長楽館 ル シェーヌ)
こちらの動画にも「ほんまもん」の言葉が登場します。
そして新と古(いにしえ)、和と洋の陰陽もあります。
大画面にしてご覧になると動画の良さが伝わります。
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『Quality HATAGO』#28/長楽館
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