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第133回玄米の炊き方秘伝(愛クラス)を終えて
3月1日に「第133回玄米の炊き方秘伝(愛クラス)講座」を開催しました。
参加者の内訳は、埼玉県1名・神奈川県1名・石川県1名・京都府1名・岡山県1名・長崎県1名、新人さん2名・再受講者4名の6名でした。
当日の様子はこちらから。
今回は成長期のお子様を抱えた新人さんがお二人で、その他に子育て大先輩の再受講者がいたり、高血圧の先輩がいたりして、塾生さん同士で話の弾む愛クラスになりました。
それは懇親会でも同じで、懇親会が終わったのが20時50分という盛り上がりぶりでした(笑)
血圧が140でも降圧剤を飲んでいたり、お塩がダメだと思っていたり、アドバイスしたいことが山のようにありました。
でも、この方の問題の大元はストレスだと確信しています。
ストレスからの逃避が始まっているので、ぜひ玄米投稿を通じて、穏やかになれるご自分と向き合っていただけたらいいなあと思いました。
また、お子さんの食物アレルギーがあって、お食事バランスを取るためにいらしてくれた人は、本を頼りに食養料理をされていたようですが、少し古い情報に振り回されているように感じました。
一口にマクロビオティックといっても、あるいは食養料理といっても、それを召し上がる人の体調にピッタリ合っていないと、効果が得られにくいので、独学では限界があります。
特に思春期を迎えた年齢だと、周りのことがすごく気になりますし、精神面のダメージも大きくなりますので、食べ物を制限するのではなく、何を食べたら調子がよかったのか?というプラス面から切り込んでいくとダメージがありません。
これは発想が180度違うので、いわゆる除去食で積もっていた不満を解消するにはよい方法なのです。
何事もそうですが、制限というのは一時的にはよくても、長く続けると効果が薄れるだけでなく、偏りが出てきて、その偏りの方が大きな問題になってしまいます。
不満もたまりますしね。
食物アレルギーで困っている人は、成長とともに心身は変化することを忘れずに、現実に即した解決方法をさぐられることをおすすめします。
それから、朝起きられないお子さんを抱えた人もおられました。
お医者さんに行ったら、塩を摂れと言われたとか。
いいお医者さんですね〜。素晴らしいです!
むそう塾では、そういうお子さんに召し上がっていただきたいお料理をいっぱい教えています。
つまり、体に必要な塩と、害になる塩の区別をして、その摂り方を教えています。
これが物凄く大事なんですよね。
また、すごくお久しぶりに再受講してくださった塾生さんは、玄米から離れて白米を食べているうちに病気になってしまい、慌てて玄米を食べようと戻って来てくれました。
もういちど原点に立ち返って、それ以上病気が悪化しないことを祈っております。
今回は単発講座と連続で再受講してくださった塾生さんが3名もいて、和気あいあいと楽しくおしゃべりされていたのが印象的でした。
新人さんへのフォローもありがとうございました。
懇親会も楽しかったですね。
また、色々なお話をしましょう♬
皆さんの玄米投稿をお待ちしています!
【福ZEN):きなこ南瓜 おからの炊いたん きんぴらごぼう ひろうす伊式煮込み 青菜胡麻和え 手綱蒟蒻 あらめビーフン 菜の花辛子浸け 粟麩田楽
玄米ご飯 ぬか漬け 味噌汁 胡麻豆腐】
(料理:京料理人 中川善博 マクロビオティック京料理教室 むそう塾)
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「手を洗いすぎてはいけない」超清潔志向が人類を滅ぼす
昨日Twitterで、新型コロナウイルスの感染防止のため、石鹸をつけて手洗いを続けている人が、手が荒れて指先が裂けて痛いとつぶやいていました。
そりゃあそうでしょうと思いました。
そういう人にはこの本をおすすめします。
「手を洗いすぎてはいけない」超清潔志向が人類を滅ぼす 藤田紘一郎著
私が30年ほど前に藤田先生にお会いしたとき、それまで大事にしてきた子育ての方針を大いに褒めてくださって、私に「不潔のススメ」をしてくれた先生でもあります。
私の子育ては、もう50年近く前からしていた野口整体の考え方がベースなので、常在菌を大切にする暮らし方をしていました。
ですから藤田先生のお話はとても納得できるものでした。
それから自信を持って「キタナイ」生活を楽しんでいます(笑)
もう60年近く薬は使っていないし、食べ物でも腸内細菌を大事に育てているので、免疫はしっかり働いてくれるはずと信じているからです。
あ、そうそう。コロナウイルス対策って、マスクや消毒の問題より、結局は個人の免疫力が勝負なんですよね。
ということで、コロナ騒動の今の場合、私は次のようにしています。
外出する場合はなるべく換気の良い場所を選ぶ、エレベーターより階段を使う(エレベーターより人が少ないから)。
マスクはなし。(コロナ患者ではないから)
帰宅したら流水で10秒手洗いのみ。
免疫力といえば、さっきの手洗いのこともそうですが、免疫力を応援する食べ物を常々摂っておくことが重要です。
免疫力の鍵は腸が握っていますので、常に腸内環境を意識した食べ物と暮らし方が、いざという時には力を発揮します。
後はメンタル面ですよね。
新型コロナウイルスを恐れている人の情報ばかり入って来て、そちらに気持ちが引きずられてしまっている人が多いのですが、そういう状態だと免疫力も落ちます。
先日も「NHKが言っていたから本当だ」と信じて疑わない人がいました。
いえいえ、今はそういう時代ではないのです。
必ず情報には裏があるのですから、その裏をしっかり考えなくては誰かさんの思い通りになってしまいます。
テレビの情報に踊らされることなく、自分の頭で考えて、自分の身は自分で守りましょう。
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自分を親の介護の犠牲にしてしまわないように
誰しも年をとると、あちこちが若い時と同じようにはいかなくなります。
体の衰えが先に来て、それから精神面が影響を受けることが多いでしょう。
むそう塾には、60代で関東方面から通ってくださる塾生さんが何名かいらっしゃいます。
その方々に共通しているのは、むそう塾に通うようになってからお元気になられていることです。
最初は「毎月京都まで通えるかしら?」と不安に思っていらっしゃいますが、そのうちに楽しくなってきます。
それは、美味しいものを習って、ご自宅でも美味しいものを再現できるようになって、ご家族様に褒めてもらえるようになるので、すっかり気分がよくなるからです。
誰だって美味しいものをいただけばご機嫌になるし、お料理を褒められたら嬉しいものです。
それは年齢に関係ありません。
何歳になっても褒められるのは嬉しいのです。
いや、むしろ、歳を重ねるほど褒められるチャンスが少なくなるから、お若い人より何倍も嬉しいかもしれません。
* * *
そういう方々でも、ご両親の介護のためにご自分を犠牲にされる場面があります。
もっとお若い塾生さんでも、親の介護のために本来自分がやりたかったことを我慢されるのを見てきました。
でも、その後の結果がなんとも良い方向にいきません。
精神的な負担がとても大きいだけでなく、思うようにいかないとき、どうしてもご自分を責めてしまうんですね。
生真面目な人に特にこの傾向が強いです。
でもね、そんなにご自分を責めなくてよいのです。
そんなに親のために犠牲にならなくていいのです。
ここまではできるけど、これ以上は無理、というように区切ってもよいのです。
自分がボロボロになっても、それは自己満足のことだってあるのです。
親の介護には割り切りが必要です。
ある塾生さんと話をしていたら、「割り切ると冷たい人間になってしまう」と恐れている人がいました。
いえいえそんなことはありません。
割り切りとは自分を助けるための思考の整理なのです。
* * *
みんな自己責任で生きています。
体の不自由も精神の退化も、全部その人の責任です。
子どものせいではありません。
これからは親の介護のために、自分の人生設計が狂ってしまう人が沢山出てくることでしょう。
でも、どうぞ自分を完全に失うほど親のことに心を奪われないでください。
子どもに迷惑をかけてまで生きたい親なんていません。
子どもにはもっと自由でいてもらいたいのです。
どうぞ、束の間の休息でもいいから、一日だけでもいいから、あなただけのために時間を使いましょう。
いつもマイナスの氣に接しているのではなく、プラスの氣に接してこそあなたのエネルギーがアップします。
* * *
今は新型コロナウイルスのことに気が奪われて、暗い気持ちになったり、焦りと不安でいっぱいの人も多いことでしょう。
でも、そんな時だからこそ、暗い情報に長時間浸ることを避けた方がいいのです。
情報は把握するけど、悪いイメージばかりを膨らませないこと。
こんな時にも思考の陰陽バランスが大事です。
何かをためらっていた人は、楽しい予定を入れましょう。
それだけで180度気持ちが変わります。
陰から陽の氣に切り替えることを必ずしましょう。
(京都 堀川 戻り橋の河津桜 中川善博によるiPhone撮影 2020.2.26)
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新型コロナウイルスを怖れすぎてすぐ病院に行かないこと
連日報道される新型コロナウイルスで、不安になっている人がとても多いのですが、私の結論は今までと同じく「むやみに病院に行かない」です。
そのためには、もっと自分の体を自分で管理する必要がありますけど、それは当たり前のことですね。
よく、自分の体のことをお医者さんに丸投げしてしまう人がたくさんいるのですが、そういう人は新型コロナウイルスに関してはむしろ危険です。
病院での感染の方が市中感染より圧倒的に確率が高いのですから。
専門家会議メンバーが明かす、新型コロナの「正体」と今後のシナリオ という記事にも、こういうことが書かれていました。
今までのつもりで病院に行くことは、避けた方がよさそうですよ。
<専門家会議メンバーが明かす、新型コロナの「正体」と今後のシナリオ>から引用
今の日本で、一番メガクラスターが起こると考えられる場所は病院です。待合室で多くの人が長時間滞在するのは、感染の可能性を非常に高いものにします。日本ではまだ全体の中で感染している人は非常に少なく、体調不良で診てもらいたい、あるいは心配だから診てもらいたいという人の99.99%以上は、このウイルスには感染していないと考えられます。しかし、医療機関には、残りのわずかの割合で存在する本当の感染者がいるかもしれない。武漢のように多くの人が待合室の中で押し合いへし合いの状況になると、メガクラスターが起こる可能性があります。
いま日本の街中ですれ違って感染する確率は非常に低い。武漢とは違い、感染者が多くの地域にいる可能性はまだ非常に低いからです。けれども医療現場は違います。いま日本国内でリスクがもっとも高い場所です。
2009年の新型インフルエンザの時には、外来で3時間待ちや4時間待ちもありました。けれども、検査してもらえるし、薬を処方してもらうこともできる。でも、新型コロナウイルスは軽症者に対しては薬もないし、治療法もない。検査もなかなかしてもらえない。
こういう現状を踏まえて、適切な判断ができますように。
(京都 堀川 戻り橋の河津桜 中川善博iPhone撮影 2020.2.26)
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再び「マクロビオティックにおける動物性食品の取り入れ方」
こちらは2011年に掲載して、2017年にも掲載した記事ですが、とても大事な内容なので、再びご紹介します。
マクロビオティックを誤解している人に、ぜひ伝わってほしいです。
とても長い記事ですが、マクロビオティックを提唱した桜沢如一(G.O)と、マクロビオティックを広めた久司道夫氏やその他の弟子たちの動物性に対する温度差がわかって、とても参考になる記事です。
この記事にはマクロビオティックの考え方でとても重要なことが書かれています。
排他的でないこと。
それなのに、それを忘れているマクロビオティック実践者のなんと多いことか。
それでは本当のマクロビオティックとは言えませんね。
>マクロビオティックの教えの中核には非排他性、即ち他人を受け入れるという考えがある。
>他人の意志決定に寛容になれることが大切であり、我々の多くが日常肉を食する親戚や同僚を持つという点を考えた場合、この点は特に重要である。
* * *
以下、日本CI協会の記事からリンクします。
How to Include Animal Foods (動物性食品の取り入れ方)
カール・フェレー
マクロビオティックを実践している若者・ジョーは首に違和感を覚えていた。数年間、熱心にマクロビオティックを実践していたが、彼の病状は悪化の一途を辿っていた。ジョーは久司道夫氏のアドバイスを受けるため、テキサスからボストンに飛んだ。道夫氏のアドバイスにもかかわらず、病状の好転は見られなかった。ジョーはさらにヘルマン相原氏にもアドバイスを求めたが、結果は同じだった。結局、ジョーは全身を動かさないと頭を回せない身体になってしまっていた。彼の首は完全に凝り固まってしまっていた。
救いを求め彼は医者を渡り歩いたが無駄に終わった。結局、一人の医者がノースカロライナの専門医を紹介してくれた。この専門医がジョーを診断した結果、彼は非常に稀な骨障害を抱えていることが分かり、彼に解決策を示してくれた。鶏である。専門医の説明によれば、ジョーの骨は悪化し続けており、鶏のある成分(それは鶏にしかないそうである)が彼の病状を治療可能だそうだ。
ジョーは私の友人で、病気の兆候が現れる前の1975年に彼と出会い、共にマクロビオティックをスタートした仲でした。彼はとても社交的で面白く、毎日がパーティのような生活を送っていました。GOMF(George Ohsawa Macrobiotic Foundation)で働くため、私は1978年にカリフォルニアへ引っ越してきました。ジョーに最後に会ったのは、1983年にテキサスへ彼を訪ねたときでした。彼は完全に治癒しており、初めて会った頃の彼に戻っていました。一体どのようにして治癒したのかを聞くと、先に書いたように説明してくれた後、次のように言っていました。「良くなるためにマクロビオティックを諦めて鶏を食べなくちゃいけなかったんだ」
「冗談だろ!」と私は出し抜けに言い、続けて「身体が求めるものを食べるのがマクロビオティック食じゃないか」。ジョーは理解できなかったようだ。マクロビオティックでは鶏は敬遠すべきものだという考えに凝り固まっていたのだ。鶏は食べないものだという「マクロビオティック」の食箋に従っていた時よりも、身体がそれを求めていることを受け入れ、鶏を食べたジョーの話を聞いた時、彼が本当にマクロビオティックを実践しているのだと感じることができた。
BACKGROUND-背景-
現実的に考えてみると、マクロビオティック食に動物性食品を導入している人もいればしていない人もいる。動物性食品を健康に寄与する形で摂るこることは可能だと考えている人もいれば、魚介類以外の動物性食品を摂るのは避けるべきだと考えている人もいる。マクロビオティックの実践をする際の敷居を低く設定している人もいれば、高く設定している人もいるのである。
魚介類以外の動物性食品を制限・禁止するという厳格な規定がある一方、それを摂っても良いという程度の寛容な規定もある。今日、動物性食品を食べることの危険性は以前にもまして大きい。只、より深刻な危険とは、マクロビオティックの理念を病気治しのための食事に限定してしまうことにある。この記事では、魚介類以外の動物性食品をマクロビオティックの理念や実践に導入する際の賛否両論を検討する。尚、これ以後、「動物性食品」とは、魚介類以外の動物性商品全般を指すことにする。
マクロビオティックを実践する際、動物性食品の位置づけに関する混乱は、マクロビオティックの著書に既に見ることができる。1960年に出版された「ゼン・マクロビオティック」は、George Ohsawa(桜沢如一、以下GO)が食箋について書いた最も詳細な著書である。彼はその中で、健康になるための10の食箋を提唱しており、その中の5つはベジタリアン食で残りの5つは動物性食品を含んだ食箋だった。彼が列挙した後者のマクロビオティック食には、鶏、七面鳥、卵、そしてバターや牛乳などの乳製品が含まれていた。
その一方で、健康的な生活には動物性食品を摂る必要がないことGOは書いている。動物性食品が人間の霊的な成長を阻害すると考えていたからだ。動物性食品を全く摂らなくてもよくなるまで自分自身を啓発することをGOは奨励していた。GOが動物性食品をマクロビオティック食に摂り入れた理由は、人々が与えられた食箋を厳格に守り続けることがマクロビオティック食であるという誤った考えを持たないようにすると共に、動物性食品を食べたいという希望を持っているためにマクロビオティックの理念を敬遠してしまうのを避けるためだったように思える。彼は可能な限り包容力のあるものとしてマクロビオティックを望んでいた。排他性を心底毛嫌いしていた。
ヘルマン・コルネリア相原夫妻が著した1970年代の書物では、動物性食品を時々食べても良いとする嗜好品の部類に入れている。事実、コルネリア夫人は何年もの間、感謝祭の日に七面鳥などの動物性食品を料理していたし、そうした料理レシピを『カレンダー料理本(“Calendar Cookbook”)』に掲載していた。GO夫妻も相原夫妻も、動物性食品の適切な摂り方に関するガイドラインを示しており、例えば、ごく少量をときどき摂取すること、オーガニックの飼料で生育され、放し飼いされている動物であることなどが示されていた。さらに両夫妻は、健康体であるためには、動物性食品は必要ないということも指摘していた。
マクロビオティックにおいて動物性食品を完全に禁止する方向に舵を切ったのは、道夫・アベリン久司夫妻により著された1980年代の書物に端を発する。『標準的なマクロビオティック食事法(“Standard Macrobiotic Diet”)』で道夫氏は、魚介類以外の動物性食品を「日常的に避けるべき食べ物」の部類に入れている。アベリン夫人は、週に2・3回ならば少量の魚介類を摂っても良いというスタンスから、1985年までに自著『マクロビオティック食完全ガイド(“Complete Guide to Macrobiotic Cooking”)』の中で、「肉、家禽、卵、乳製品の摂取は厳禁である」と述べている。
こうした厳格な規定に固守するというマクロビオティックの教えこそ、GOが避けようと試みてきたことだった。今日、マクロビオティックを指導する講師やそれを実践する者の多くは、アベリン夫人の食箋に従い、肉、家禽、卵、乳製品の摂取を厳禁としている。さらに言えば、人々の多くは、そうした食べ物はマクロビオティック食ではないと信じ、また指導している。マクロビオティックの実践者がGOや相原夫妻の書物を目にした際に混乱が生じるのである。我々は次の質問が投げかけられている。「マクロビオティックで動物性食品を摂っても良いのでしょうか?」
マクロビオティックとは大きく、偉大な生命という意味であり、それは動物性食品を摂る者も摂らない者も抱合するのに十分たる包容力がある。マクロビティックの原理によれば、反対のもの、あるいは対立するものは全て、同時に相補的でもある。健康的にマクロビオティックを実践できるのであれば動物性食品を摂っても良いと考える人も、それを摂るのは厳禁であると考える人、その両人を統合可能な考えがマクロビオティックである。個人的には両人の考えを尊重する。ただ、そこには問題もあるという点も指摘しておきたい。
PLOBLEMS WITH INCLUDING ANIMAL FOODS
-動物性食品を取り入れることの弊害-
動物性食品を摂っても構わないとすることの問題は、そのような記述が誤解の源泉だからであろう。この号の『マクロビオティック・トゥデイ( “Macrobiotics Today”)』の編集者への手紙で、読者はまさにこの点に関する懸念を述べている。マクロビティックの食事とは主に植物性食品を中心にしたものである。オーガニック飼料で生育された放し飼いの動物、あるいはその動物を元にした製品を時々、少量食べたからといって、それは変わらない。またこの事は、GO、相原夫妻、あるいはマクロビオティックの原理を勉強している者みなが皆、残虐非道な農場経営手法を容認している訳ではない。
動物性食品を避ける人が言うには、ごく少量であれば動物性食品を食べても良いと伝えてしまうと、それを聞いた人は、いつでも、好きなだけ食べても良いと勘違いしてしまうそうだ。これは明らかに誤りである。GOや相原夫妻は共に、特に当時の食品の質を考えた場合、動物性食品を食べることの危険性を指摘している。今日、品質はさらに悪くなっている。動物性食品に対する無知と、それを過度に摂取することに対する彼らによる警鐘は今日にも当てはまるのである。
マクロビオティックの世界には指摘しておくべき神話がある。マクロビオティックの実践者の中には、動物性食品を摂らない自分たちの方が高い精神性を持ち、判断力も高く、その他の点でも優れていると考えている者がいる。マクロビオティックを実践する菜食主義者は、動物性食品の量や質に関わらず、それを食べる人だと知りながらその人と席を共にしようとは考えてない。
動物性食品を食べる・食べないにせよ、その選択の裏にある考えも同様に重要なのである。マクロビオティックの教えの中核には非排他性、即ち他人を受け入れるという考えがある。他人の意志決定に寛容になれることが大切であり、我々の多くが日常肉を食する親戚や同僚を持つという点を考えた場合、この点は特に重要である。
動物性食品を制限することに関する別の議論は、マクロビオティックを実践しようとする人の大部分が、何らかの病を治療する目的でそれを始めるということにある。そのような状態にある人が病を克服するためには、必ずと言っていい程、動物性食品を避ける必要がある。そうした話をしていくと、各人に応じた適切な動物性食品の摂取を伝えるよりも、皆に動物性食品を避けるよう推奨したほうが話として簡単になったのである。動物性食品を制限する理由は多数あるが、それにより誤解が生まれ、様々な意味でマクロビオティックを制限することになったのである。個人的にその最たる例は、マクロビオティックの原理を学ぶことをせず、ただ盲目的に基本食を守るという欲求に駆られるという点ではないかと思う。
PROBLMES WITH EXCLUDING ANIMAL FOODS
-動物性食品を除外することの弊害-
動物性食品を厳しく制限することの弊害の一つは、健康の維持・増進を図るために動物性食品を必要とする人を過度に怖がらせ、それを食べるよう薦めるアドバイスに耳を貸さなくすることにある。友人のジョーは彼の症状を改善するために、動物性食品(彼の場合は鶏肉)を必要としていた。動物性食品のせいで彼はマクロビオティックをやめてしまった。しっかりとマクロビオティックを理解していなかったために、彼はそれを全て放り投げてしまったのである。こうした限定的な物の見方のためにマクロビオティックをやめなくてはならなくなった人が一体何人いるのだろうか?
魚介類以外の動物性食品を食べる必要があるとアドバイスを受けた経験を持つ人を何人も私は知っている。私自身、数年前に同じようなジレンマに直面したことがあり、わずかの間だけ動物性食品を食生活に摂り入れ、体調が改善した。私は、何をどのくらい食べるかを決定する際にマクロビオティックの原理を活用したが、心配されるほど難しくはなかった。
動物性食品を制限することで発生する別の問題とは、マクロビオティックを実践する指導者の多くがそれを自らの食生活に摂り入れていることにある。何年も前に、私は、乳製品を厳しく制限する理由をいくつも挙げレクチャーを開催していたマクロビオティック講師の素晴らしレクチャーを聞いた。大変な感動を覚えたため、講演後、感謝の気持ちを伝えるため、彼の控え室を訪れてみると、なんと彼は、牛乳入りの冷たいシリアルを食べているところだった。私はショックを覚え、彼が講演で謳ったことと実際の行動が違うのは何故なのかと考えてみた。
数年後、マクロビオティックの指導者たちが集まる会合に参加した際、その答えが明らかになった。過去2ヵ月の間、魚介類を除いた卵や動物性食品を食べていないかを聞かれ、6人中一人がYESと答えた。私は混乱した。彼らは自分たちの主張を正当化するために、動物性食品を摂っても良い理由を、自分たち講師はマクロビオティックの原理、例えば、食材の品質、食べる量、適切な調理法などを知っているからだと主張した。マクロビオティックの原理を知っている者であれば動物性食品を食べても良く、知らない者はたべてはいけないのだ、と私は考えるようになった。このことを初めから教えてくれないのはなぜか?単に動物性食品を絶対摂ってはいけないと教えるのではなく、健康に資する形でそれを導入する方法を説明してくれないのはなぜなのか?
マクロビオティックの哲理には、生命のあらゆる領域で活用可能である普遍的な原理が内包されている。ところが、食養との関連が強くなったため、その哲理が疎かにされてきたのである。マクロビオティックは非常に限定的になり、「規模、範囲、能力が非常に大きいこと」と辞書が定義するようなマクロなものではなくなってしまった。マクロビオティックが食事面に限定されてしまったのみならず、その食事そのものも限定的なものとなってしまったのである。
How to Include Animal Foods
-動物性食品の取り入れ方-
このセクションでは、マクロビオティックの原理を使った動物性食品の取り入れ方のアイデアをいくつか提案していこうと思う。但し、以下の提案は、誰もが自分の食生活に動物性食品を摂り入れるべきだと述べているのではなく、また、注意深く熟考せずにそれを取り入れてもよいと述べているわけでもない。
Condition:健康状態
基本的に動物性食品は酸を形成し、植物性食品よりも身体に負荷がかかる。このため、すでに病気を抱えている人は動物性食品を摂取する前に、注意や相談といった正規の医療サービス提供者からのアドバイスを受ける。
全く健康な人ならば、動物性食品を摂る前にその特質や効能を徹底的に学ぶことが助けとなる。
Constitution:体質
ある人たちは、自分たちが積極的に動物性食品を摂っており、ほかの人達はそうではないと見出すが、私たちはみな一人ひとり違う人間である。私たち人間も含め、全く同じものなど存在しない。例えば、血液型がO型だという人たちの多くは、動物性食品を摂った方が身体の調子が良いと話すが、A型の人たちは、植物性食品を摂り、動物性食品を全く摂らない方が良いのだそうだ。
Purpose:目的
動物性食品を摂るかとらないかで、暮らしの中で無双原理やその哲学を使う目的に、直接影響を与えてしまう。心の成長のためにマクロビオティックを実践している者は、植物性食品を多く摂り、動物性食品を減らすことが有効であるといった桜沢や相原の教えを見出してきた。不調を癒すことに関心のある者は、各人特有の健康状態のためにはっきりこれ、と必要な食品がない限りは、前述した教えが同じく当てはまることに気づくだろう。
Attraction:効果
私は、フレンチメドウキャンプでのあるセッションを思い出す。ヘルマンがキャンプの女性参加者たちを楽しませているあいだ、コーネリアが男性参加者たちに話していた。ある男性参加者がコーネリアに、女が男に期待することとは何かと訊ねると、彼女はぐるりと彼らを見回しこう言った。「あなたたちみんな陰性すぎよ!」彼女は我々に、(適切ならば)動物性も含めたより陽性な食品を摂るよう薦めるのだった。彼女が考えるに、我々は女性の陰性さを引きつける陽性さが十分ではなかった。我々は「陽は陰を、陰は陽を引きつける」原則にではなく、コーネリアの助言には同意しかねる。
Quality:質
いずれの食品を摂るときにも、最も重要なことはその品質である。私見だが、選んだ食品の質は、動物性食品の場合は悪化する。化学物質や農薬、防腐剤、添加物等々といったものの入らない食品を選ぶことが重要だ。基本的には、人工的に手が加えられていなければ、それだけ良いということであろう。この原則は大量消費向け商業ベースの食品店からほとんどの動物性食品を排除してしまう。飼育場を自由に駆け回り、オーガニックな作物や飼料だけを食べている動物(やその加工食品)を選ぶのがいいだろう。可能ならばその飼育場を訪れるのだ。野生の獲物の肉は通常、飼育されているものより質は良いものである。
Quantity:量
GOは「量は質を悪化させてしまう」といったが、これは言い得て妙なことである。私の経験では、ごく少量の動物性食品であればそれはとても役に立つ〜たとえばコーンブレッドに入れる卵一つとか。いつものように、各人の健康状態や目的に応じた必要量を摂ることだ。もし健康状態のために動物性食品の摂取が必要で、それが少量なものならば、方法の一つとしては、自然飼育された食肉を扱う肉屋から骨を買いスープストックを作ることだ。このやり方なら、食肉そのものの過剰な脂を摂らずに骨のミネラルを摂取できる。
Yin/Yang:陰陽
陰陽の分類上、動物性食品がより陽性だと考えられている一方で、動物性食品は陽性の性質と陰性の性質、両方を合わせ持っている。肉についている脂肪は陰性であり、その脂肪こそが陰陽バランスを取る際に厄介なものなのである。GOが提唱する食養法ではその人の食事療法に動物性食品が含まれている場合、穀物を控え、サラダや果物、デザートなどをより多く摂るよう助言している。
Change:変化
全ては変化する。マクロビオティックは柔軟性や、適応力をもつことを説いている。釣り合いをとるために、素材に備わっている陰陽を料理法を変えることで調整するのだ。下準備や陰性食品を組み合わせることで陽性食品のバランスをとるといったことだ。マクロビオティックの料理本にはそのための多くのアイデアが載っている。初めあるものは終わりがある。もし我々が動物性食品を食べ始めたならば、それらを食べることを止める時もまた来るだろうし、後に再び食べ始めるほうへと引き寄せられることもあるだろう。
Front/Back:表裏
表あるものはまた裏もあり表大なればまた裏も大なり。効のあるものは害をなすこともあるということ、効能が大きければそのぶん害もまた大きく潜んでいるのだということを、GOは我々に教えてくれた。その理論を理解せずに、ただ闇雲に杓子定規な規則のあと追いをすることこそが最も危険なことだ。適切な理解や予防措置といったことなしに動物性食品を食べることは間違いなくその危険行為に当たる。
CONSEQUENCES
-結論-
マクロビオティック哲学のもっとも重要な概念の一つが、我々が飲み食いしたものが、その結果を引き起こすというものだ。GOは経験はまた偉大な教師であると教えてくれた。彼の助言はつまり「やって、それをよく見ろ」ということだ。我々が飲食に何を選ぼうとも、最も重要なことはその結果を見極めるということなのだ。もし我々がさらなる不調を感じたなら、摂ると自分で決めた(不快さや病気を引き起こす)食べ物を飲み食いする、その欲求を控えることだ。
我々の考え方や指導にも結果はついて回る。この財団が入る建物の大家は、我々の活動が気に入っているといってくれていた。我々が沢山の人たちの健康維持やその回復を助けていることを、自分は知っているんだと話してくれた。しかしながら、彼は、厳格なマクロビオティックダイエットを続けながら30年やそこら生きるくらいなら肉やピザを楽しみながら10年ちょっと生きるほうがましだと、言い続けてもいた。彼はドアの向うへ歩きながら振り返りこういった。「もちろん、10年かそれよりもっとか、病院から君の助けを求めているかもしれないけどね」
あの時、私は絶好の機会を逃してしまった。私はマクロビオティックを治療目的のダイエットへと焦点を絞りすぎてしまったのだ。そして大家はドアの向うに歩き去っていった。彼が寄せたマクロビオティックへの関心は失われてしまったのだ。彼が肉やピザを食べながらでもマクロビオティックの原理を使えることを私は説明出来たはずだったのに、結局それをしなかった。そのドアを閉じる代わりに、その瞬間を捕らえ彼の考え方の方向転換をはかることで別の扉を開けることが出来たはずなのに。
動物性食品を摂ることを選ぼうとそうでなかろうと、我々は動物性食品に対して感謝の念を捧げることはできるし、また我々は食べ方に頓着しない人々を受け入れることはできる。マクロビオティックは頑固な決まり事のセットではなく、人生の全てに当てはまる順応した哲学なのだ。マクロビオティックにおける全ての経験は価値があり必要とされるものである。我々が他者を受け入れる努力をより多く払うことは我々の自由や喜びもまたさらに深みを増すのだ。
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「Macrobiotic and Animal Foods(マクロビオティックと動物性食品)」は日本CI協会・編集部が和訳したものです。
GOMFの連絡先は下記となります。
gomf@earthlink.net
英語版を読みたい方は下記のウェブサイトをご参照ください。
http://ohsawamacrobiotics.com/joomla/index.php
カテゴリー: マクロビオティック京料理教室 むそう塾, 食べたもののようになる, からだ
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