「動物性と共存するマクロビオティック生活」の提言

私ね、いつも思うんです。
何をするにしても現実を直視したいと。
どんなに理想を高く掲げても実現できなければ再考の余地ありだとね。
だから、いつも目の前の現実をさらに良くするにはどうしたら良いのかということを考えながら生きているの。

そんな私がマクロビオティックにのめり込んだのは、「実用弁証法」という言葉に惹かれたからです。
毎日の生活の中に具体的に反映できる哲学があるって素晴らしいことだと身震いしました。
そしてマクロビオティックの勉強をしましたが、違和感をもった記述がありました。
それは、動物性を摂らないために、お蕎麦屋さんに行く時にお醤油を持って行くという話です。
そばつゆにはご存知のように削り節やザラメが入っていますので、それを避けるためであることは理解できるのですが、二つの点で気になりました。

一つは、お蕎麦のみを食べてそばつゆを残すことと、お醤油を持ち込むことの非礼さです。お店の主の気持ちになって考えてみると答えは簡単ですね。
もう一つは、お蕎麦をいただく時に麺にからむそばつゆの量はそんなに多くないのに、そこまで徹底することが私にはない感覚でした。
その後勉強を進めて行くにつれ、現実生活との不協和音は多くなりますが、健康のためにはこれが良いのだと信じて突っ走っていました。
そのうちに私自身や家族にも体調の変化が現れ、嬉しいことや困ったことなどがあって大忙しの状態でした。
いわゆる排毒現象ですが、家族で私が一番強く長い間出ていました。

マクロビオティックを冷静に考えることが出来るようになったのは、私の排毒現象が過ぎて、息子のアトピーも良くなって、精神的にもゆとりが持てた頃からです。
人間って体に問題点があると、それを治したい方向に気が行くものなので、マクロビオティックにすがる思いがどこかにあったのだと思います。
おかげさまでマクロビオティックの陰陽理論と食べ方で、家族全員が確実に健康体になった実感を得られました。
何より嬉しいのは精神面での変化でした。生き方がグンと楽になって夢や希望を現実化しようとするエネルギーが満ちて来るのが分かりました。

しかし私はマクロビオティックを手放しで礼賛しているわけではありません。
一見修行僧のようなその食事内容は、一般社会のお食事に慣れた人からは奇異な感じがしますし、新興宗教のように思われているのも事実です。
それは適用場面を考えないで、単純に動物性を排除することを強調するから問題なのであって、もっと丁寧に原則と例外を説明する必要があると思います。
私は現実を直視して、次のような指導方法を取っているのですが、その結果ご主人もお子様もみんなが笑顔でマクロビオティックを楽しんでくれています。

動物性の摂取が多くて体調が悪い人は、しばらく動物性を控えれば良いこと。
もし動物性を摂りたい時には毒消しをしっかりすること。
排除食を一定期間続けて体調が良くなったら、陰陽バランスが取れるていどに緩めること。
排除食は徹底した方が効果は早く出るけれど、本人の意志を再優先すること。
白砂糖に限らず甘味料の使用は極力控えること。スイーツは癖である認識をもつこと。
外食は食材の質を意識してお店を選ぶこと。もし体調に合わないものを食べた時には帰宅後毒消し(陰陽バランスを図る)をしておくこと。
家族や人間関係を壊してまで貫くのはマクロビオティックの目指すところではないこと。

本当は各項目について詳しく陰陽理論を含めて解説したいのですが、長くなりますので割愛します。
この中で私がマクロビオティック指導校で特に力を入れてほしいと望むのがです。
このがきちんと伝わっていないために、排除一辺倒の食生活をして体調を悪くしている人がいる現実を指導者は知るべきです。
病気治しとしての食べ方を多くの人が夢と期待をもって始めた結果、むしろマクロビオティックを知る前より体調も人間関係も悪くなった人がいる現実に目を向けてほしいです。
ですから私はあえて「動物性と共存するマクロビオティック生活」を提言します。

*   *   *

下の写真はご主人が奥様のために作った愛夫お弁当です。
堂々の100点をしょっちゅう叩き出すなかなか腕の良いハンサムボーイです。
家事は得意な方がするのがこのご夫婦の暮らし方で、お料理はご主人が担当しているのだそうです。
他に同僚のお弁当二人分と自分の分も作ってリュックに詰め、自転車で出勤する自由なライフスタイルを楽しんでいます。
彼の作るお弁当は評判で、「サラメシ」でも取り上げられました。

秋刀魚 竜田揚げ、小茄子と万願寺揚げ浸し、胡瓜中華ピクルス、プチトマ時雨煮、南瓜炊いたん。】
むそう塾 マクロビオティック陰陽弁当6
(マクロビオティック陰陽弁当 料理:むそう塾生 Mさん)

 
 

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コメント

  1. kamome より:

    お弁当写真を載せてくださってありがとうございます。驚きついでにコメントさせてください。

    私も何も考えず動物性を排除した食事をしていた時期があります。昼のお弁当にもそれを反映していたので、妻も同僚もその弁当を数年経験しました。その時は何も文句言われませんでしたが、今作っているお弁当の反応から比べると、ずいぶん寂しい食事をさせていたなあと反省しきりです。

    理論を踏まえた上で、元気に実社会で結果を出せること、笑って楽しく食卓を囲めることを大事にこれからもマクロビオティックを学んでいきたいです。

    • マクロ美風 より:

      kamomeさん、こんばんは。

      お写真を拝借しちゃいました。
      お野菜だけでもkamomeさんの料理力なら美味しいと思います。
      ましてやむそう塾で習ったお料理がかなり基本部分を占めていたでしょうからね。
      お野菜だけだと体が楽なので、取り立てて文句はないでしょうが、変化に乏しくなる可能性はありますね。
      お料理でのサプライズもまたエネルギー源になるので、たまには動物性で変化をつけてあげるのも陰陽バランスとして良いかと思います。

      実社会と同じ土俵で勝負できるものしか残らない厳しい現実の中では、ご家族との幸せが最も強力なエネルギー源になってくれるでしょう。
      食べ物と心と体と環境と生き甲斐とすべてが陰陽バランスの取れたものとなって、さらに素晴らしいお仕事が出来るよう応援しております。
      コメントをありがとうございました。

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