真のマクロビオティックは動物性と共存することではないのか?

昔私がマクロビオティック指導校に通っていた頃は、そこの1階にある売店には動物性食品を含んだ食材は一切置いていませんでした。
お醤油やお味噌をはじめとして、厳格な品質基準に合格したものだけが並んでいたのです。
そしてその系列の自然食品店は、一般の八百屋さんに比べて地味で、たいてい色黒でしまった感じのする人が経営していました。
反対に新しく海外から逆輸入されたマクロビオティック系列のお店に行くと、一般的にお砂糖も動物性も売っていてビックリしたものです。
あることをリサーチするため、何十軒もその新しい系列のお店を訪問したこともありましたが、どこも同じような感じでした。

それからかなりの年月が経って、冒頭の売店に鰹節やいりこをはじめとする動物性を含んだ食材が沢山並んでいて、腰を抜かすほど驚きました。
何を血迷ったのだろうと思っていたのですが、直接勝又会長にお話をお伺いする機会を得たので、単刀直入に質問してみました。
そうすると、「我々は日々頑張ってくれている自然食品店を守ることも使命のうちにある。地方のお店では動物性のものも置いて売上を確保する必要がある。」という趣旨のことを話されました。
そして、厳格な基準で選んだものと、その次のものと二段階で取り扱うようになったとのことでした。

ここに現実の姿があると思います。
人口的にはマクロビオティックを良しとして買い物をする人が圧倒的に少ないのですから、経営を成り立たせるためにはマクロビオティックの外にいる人にも来てもらわなければなりません。
幸いにして自然食品や安全な食に関心を持つ人が増えてきて、そういった人に育ててもらえるお店も増えてきたと思います。
しかしまだまだ利益を確保するには苦戦が続いているお店も多いと思います。

これは自然食品店だけではなく、マクロビオティックを前面に出した飲食店でも同じことが言えます。
夢を持ってスタートしても、あえなく撤退する羽目になったお店をどれほど見てきたことでしょうか。
世の中は甘くないのです。自分が良いと信じたことでも、多数の支持者がいないと経営的には成り立たないのです。
飲食店なら一般のお店と同じ土俵で勝負しなければいけないわけですから、まずいなんて論外だし、素人に毛の生えた状態でお店を始めるのもメチャクチャというものです。

仮に美味しいものを提供したところで、値段がどうの、お店の雰囲気がどうのとお客はわがままをいうものなんです。
それらすべてに打ち勝つ覚悟がなければマクロビオティックのお店は生き残れません。
多くはベジタリアンを含む自然食志向の人達に支えてもらっているのが現状でしょうか。
そんなこんなで世の中は自然食に無縁の人が圧倒的に多い現実をまず認識しなければなりません。
そのことを考えた時、勝又会長が仰った言葉も納得出来ます。

私達はマクロビオティック村に住んでいるわけではないので、周りとバランスを取りながら生きていかなければなりません。
自分の信じていることが正しいと思い込んで、周りの人に受け売りするのではなく、周りから学ぶ姿勢を常に持ち続けるべきだと思います。
多くの物事には存在理由があり、背景があり、歴史があります。
それらを尊重してはじめて心を通い合わせることが出来ると考えます。
私はマクロビオティックの陰陽の考え方に重きを置いていますが、脈々と伝わる伝統料理に裏打ちされた日本人本来の精神性をこよなく愛しています。
ですから、その日本人を育んだ食生活とその歴史を大切にしたいと思っています。

マクロビオティックという狭い世界の中で物事の結論を得るのではなく、もっと周りを見つめて動物性の問題に限らず、自分を縛っている多くの思い込みから解放されてこそ、本当の生き方が出来るのではないかと考えます。
今回一連の記事を続けて書いた背景には、マクロビオティックの指導校に通いながらも体調の悪い人が後を絶たず、結果としてマクロビオティックを誤解したままの人が増えていることに危機感をもったためです。

マクロビオティックとは特別なことではなく、自然の摂理にしたがって我々が生きていることに気づくツールです。
このようなツールは他にもたくさんあって、まるで登山ルートのようです。
目指す頂上は一つですが、それぞれのルートで登れば良いのであって、マクロビオティックでなければ達成出来ないものではありません。
そのことを踏まえてまずは健康を目指し、健全な心身で何をしたいのか?
その「何」が一番重要です。

私は便宜上マクロビオティックを「する」と表現することがありますが、実際には「陰陽を意識する」という意味で使っています。
何を食べるか食べないかの段階にとどまらず、その向こうにある大きな世界に目を向けて生きるために、陰陽から気づきを得れば良いのだという意味です。
すでに私達は宇宙の一員として存在しているので、その宇宙の営みと二人三脚になった方が調子が良くなるよねという気づきです。
昔の人は自然にそれが出来ていましたが、今は環境がどんどん変わってなかなか宇宙(=自然)との一体化が出来にくいので、それを食べ物から近づけましょうというのがマクロビオティックですね。
ただそれだけのことですから、あまり動物性が良いだの悪いだのと目くじらを立てることはないと思います。
マクロビオティックってそんなふうに肩に力を入れない考え方なんですよね。
だから私はマクロビオティックを愉しんでいます。
あなたのマクロビオティックも楽しいものでありますように。

*   *   *

下の写真はご主人のために奥様が作った愛妻弁当です。
男性は動物性が入っているとテンションが高くなって、午後も頑張るぞ!と思える人が多いですね。
動物性を使う時には質が重要なのですが、ちゃんと地鶏を使って毒消しメニューも入っています。
携帯お味噌汁も自家製糠漬けも持参しての昼食になります。
盛り込みは100点が出たほど完璧で、調った清々しい氣を感じさせます。
こういう愛妻弁当で仕事がうまくこなせて、幸せなご家庭が築けることが真のマクロビオティックではないかと思うのです。

 
 

茹青梗菜、茄子胡麻よごし、地鶏牡蠣油ソテー(裏切目)、胡瓜中華ピクルス、パプリカ玉葱チヂミ(裏レモン醤油)。玄米ご飯(冷まし中、椎茸昆布)、モバ味噌、糠漬】むそう塾 マクロビオティック陰陽弁当

 
 

(マクロビオティック陰陽弁当 料理:むそう塾生 Aさん)

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コメント

  1. しろうさ(As7-2) のコメント:
    美風さん こんばんは。
    記事に取り上げていただき、ありがとうございました。

    夫にお弁当を作るようになってもうすぐ6年になります。
    最初のお弁当講座にも参加させていただき、
    「夫が今日1日無事で活躍できますように」
    と願ってお弁当を作ってきました。

    当初は動物性を使わないおかずがほとんどでしたが、
    幸せコース、上級幸せコースで
    負担のない動物性の食べ方を教えていただき、
    家の食事もお弁当も、動物性を取り入れるようになりました。

    この4月からは投稿にも参加させていただき、
    お弁当作りに、より真剣に向かい合うようになりました。

    毎回の中川さんのご指導が励みになり、
    緊張感と充実感があって、本当に楽しいです。

    自分の本番は最大週5回ですが
    OBENTERSの皆さんのおかげで、
    その何倍も学べるのもありがたいです。

    陰陽についても生きたケースを見ることができて、
    より安心して動物性を使うことができるようになりました。

    先日の講座では、中川さんのデモで
    料理と盛り込みの勢いが
    お弁当を生き生きとさせる、
    ということを目の当たりにできたことも貴重な経験でした。

    今は、少しでもそこに近づくように、
    と手早さや流れを意識しています。

    やってみたいことはたくさんあっても
    夫のお弁当なので、
    ひとりよがりになってはダメなのですが、

    私の思惑と、夫の希望がかみあわず、
    お弁当のことでぶつかったこともあります。

    夫の希望でお弁当箱を変えてから
    勝手が違って盛り込みには苦戦しましたが、
    夫が「以前のものよりも食べやすい」
    と喜んでいるので、
    なんとか、このお弁当箱で、
    開けた時から嬉しくなるようなお弁当にしよう、
    と試行錯誤しています。

    改めまして、むそう塾がこうした学びの機会を
    持ってくださっていることに感謝いたします。

    これからも夫が元気に活躍できるような
    お弁当作りをしていきますので、
    よろしくお願いいたします。
    • マクロ美風 のコメント:
      しろうささん、おはようございます。

      >陰陽についても生きたケースを見ることができて、
      >より安心して動物性を使うことができるようになりました。

      何より安心できるのは、食べた人の感想と体の反応が毎日刻々と伝えられることでしょうか。
      男性の好みの傾向が判ったりして、そんなことも参考になるかと思います。
      しろうささんの作られるお料理や盛り込みにはアイデアがあって、ハッとすることがあります。
      これからもどんなお弁当が登場するのか楽しみでなりません。

      ところで、100点の最多獲得者であるしろうささんのお弁当の凄さは、中川さんが一度指摘されたことを二度と繰り返さないことです。
      さらに、他の人への指導をご自分のものとして吸収されていて、ちゃんとご自分のお弁当に反映させていることですね。
      これが実に素晴らしいです。
      本来は全員がこうであってほしいのですが、なかなか現実にはそうでない人が多くて、中川さんが苦労されています(;´д`)トホホ…

      もうお弁当作りを始めて6年にもなるんですね。
      しろうさ家のお弁当の歴史もマクロビオティックの歴史のような気がします。
      食べる人に楽しさや笑顔がないお料理って、実はあまり体のためにならないので、ご主人様が喜んでくれるお弁当作りを続けていらっしゃるしろうささんは本当に素敵です。

      >今は、少しでもそこに近づくように、
      >と手早さや流れを意識しています。

      さらに高い次元を目指していらっしゃいますね。素晴らしい!
      進化を期待しています!

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