お料理って舌に残っている味を再現することの繰り返しなんですよね。
だから、食べたことのないお料理は作りようがないわけです。
お料理の本を片手に作ってみても、それは似たようなお料理であって、そのレシピを開発した人の味ではありません。
ですから私は、一種類でも多くほんまもんのお料理を味わっておくことをお若い人にお勧めしています。
もしあなたが不幸にも母親からお料理を作ってもらえない育ち方をしていたとしても、これからあなた自身が自分の舌に覚えこませれば良いのですから、過去を振り返らずに将来に向かって希望をもってください。
ところで、「第5回 日本語検定」で文部科学大臣賞を受賞した森田悠生くんの作文をネットで読みました。
その作文にはまさにお料理の真髄ともいえる原点があって感動しました。
お母さんが病気前に作っていたお料理の味を覚えていて、それを再現しようとする悠生くんの姿に涙がこぼれました。
小学4年生だと思えないほどしっかりした文章とその内容に、教えられることがもう一つあります。
「お母さんは家族をあまり頼りにしないで一人でなんでもやってしまう。でもね、お母さん、ぼくがいるよ。」のくだりは、広く人間一般の生き方として当てはまる視点です。
私もそうですが、誰かに頼ることをよしとしない生き方をする人が多いです。
それはそれで良いのですが、相手とのバランスを考えた時、頼った方が良い結果につながることがあります。
マクロビオティックではそれを人間関係の陰陽バランスとして調整することが可能ですが、一般的には性格として片付けられることでしょう。
悠生くんはこんなにしっかりしておられるのですから、お母様は悠生くんを育てるおつもりで頼ったら良いですね。
きっと悠生くんは立派な料理人になる才能があると感じます。
そして、お母様を健康に導ける力も持っていると思います。
彼の20年後を期待しています。
(ぼくがいるよ:森田悠生くん @kazueDEAFさんの写真から)