「中川善博の盛付秘伝」器に景色を描こう

先日じっくりコースの最終日にお二人の塾生さんが玄米のちらし寿司を持参されました。
むそう塾ではお馴染みの光景で、習ったお料理を自宅で復習して、当日また作って京都まで持参して中川さんからお味や盛り込みの確認指導を受けるためです。
この日は奇しくも同じお料理が登場したのですが、もう一人のNさんは残念ながら写真を撮っていなかったため、ここで参考にすることが出来ませんが、Sさんのお写真を使って盛り込み(盛付け)の勉強をしてみたいと思います。

まず、こちらはSさんの玄米ちらし寿司です。
中川さんに改めて講評してもらいました。
<中川善博より>
上手に出来ています。口中環境を慮るセンスがあなたにはあります。
しいたけを2個で抑えられるところにセンスを見ました。

覚書やメモで料理をする人は鰻3個に椎茸も3個ね。と何も思わずに盛ってしまいます。
それは私が教える料理じゃないのです。

直すところはほとんどありませんが、私なら、というところを1点。
絹さやを両端落として3つに切り分けたでしょう?
私ならこの大きさの絹さやでこの大きさの弁当箱ならば2つに切って鰻の1辺の8割の長さにしました。
そんなところで少し伸びしろ分を残して95点。

むそう塾生 玄米ちらし寿司
(玄米のちらし寿司 料理:むそう塾生 Sさん)

一方、Nさんは写真がなかったので、Sさんの写真をお借りして◯印をつけました。
上質の木の芽を使っておられたため、木の芽の大きさが◯内に収まるくらい小さかったのです。
そのため、全体のバランスが悪くなってしまいました。
原因はNさんが木の芽の大きさを葉の枚数で覚えていたためです。
教室では確かに中川さんが木の芽の大きさをその時のバランスとして目安を葉の枚数で教えたのですが、そもそも元の木の芽の大きさが違う場合は、数字だけ覚えているとこのようなことになります。
ここはぜひ景色として木の芽の大きさを把握していれば、対になった葉の枚数を数えるのではなく、もっとバランスの良い盛り込みが出来たことでしょう。

ちらし寿司 むそう塾生 Hさん
(玄米のちらし寿司 Nさんの場合 Sさんと似ているが木の芽が◯印の大きさ)

ということで、同じ授業をしても塾生さんがどんな受け方をするかで大いに結果が異なってきます。
これは愛クラスの玄米の炊き方講座から口を酸っぱくして話していることなのですが、いっこうに受け入れてもらえません。
たま〜に「そんなに言うなら」と取り組んでくださる人がいるのですが、またいつしかメモを取る習い方に戻ってしまう人が後を断ちません。
そのくらい人間はメモする覚え方に毒されてしまったのでしょう。
しかし、メモを出来ない習い事はたくさんあります。
踊りだってスポーツだって、いちいちメモを取るでしょうか?
特に動きのあるものは文章に置き換えにくいものです。
お料理もそういうものと同じだと思って下さい。

現在むそう塾の最高コースである満足コースであっても、メモを離さない人がいます。
もう何年も言われ続けていることなのに・・・。
このメモを手放さない限りそれ以上の上達は望めないと断言します。
仮に秘伝コースに進まれても。
秘伝コースはもっと動きのある工程が含まれるそうですから、メモをしていると絶対見逃すと思います。
今月の満足コースでも、ある人が大事な工程を見逃している瞬間を目撃してしまいました。
中川さんの動作はわずか2秒ほどのことでしたが、その人はメモに13秒ほど費やしていました。
中川さんのその動作を見逃したために、必ずあとで苦労するだろうなあと思って見ておりました。

私は中川さんの手元を見続けて8年目になりました。
その間にずっと思っていたことは、瞬きするのも惜しいということでした。
目の前で展開される動作の一つひとつがとても洗練された動きであると同時に、それが一番美味しく出来上がる秘訣なんだなといつも感心するのです。
皆さんはお料理をする時、今まではメモを取っていても許されることしかしなかったのかも知れません。
でも、今までしていたことをしない(陰性)ことによって、新たな何かを得られる(陽性)と思いませんか?
多くの人が忘れてしまうと心配されていることでしょうが、それは陰陽を意識していないからです。
得ることしか考えていませんね。

世の中には文字で憶えるものと目で視覚的に憶えるものがあること、あるいは耳で聴覚的に、あるいは手で触覚的に憶えるものがあることを、しぶしぶでも認めてほしいです。
今までしなかったことをする(陽性)ことによって、あなたのお料理が別次元に進めると思うのですが、まだメモりますか?
工程でもし理解できなかったりあやふやな時には、すぐその場で質問しましょう。
質問をして納得した上で帰宅しましょう。
そしてすぐ復習すること。これが重要です。
復習してもまだ解らない時にはメールをしましょう。写真や動画も送りましょう。
その場でなければ出来ないことをする。これが最も陽性な学び方であり、無駄のない時間の使い方です。

*   *   *

長くなってしまいましたが、大事なことなのでもう少し書かせてくださいね。
お弁当投稿(OBENTERS)をしていても、中川さんのアドバイスを活かせる人と活かせない人がいます。
その違いはアドバイスを自分のところに持ち帰っているか、いないかなのです。
まずアドバイスを持ち帰っていない人は、投稿してそのままか、続けていればいつか上達すると単純に思っているだけです。
しかし、持ち帰った人は「二度と同じ指摘は受けないようにしよう」とします。
その具体的な方法で一番多いのが、投稿時の写真と中川さんのアドバイスを日付順にまとめる方法です。
そして、同じお料理を作る時にはそれを事前に読んでから取りかかるのです。
またある人は、お弁当の計画段階から独自に記録しておき、イメージ図も残して出来上がったお料理と比べ、投稿写真と中川さんのアドバイスの文章、それにアドバイス後に手直しした写真も残していました。
これを日々繰り返しながら同じ間違いを二度としないことを意識しているのです。

そこまですれば完璧だ!と思いきや、盛付けの世界はそれだけでは駄目なんですね_| ̄|○
白いキャンバスに絵を描くように、あるいはその器に小宇宙(自然界)を再現するように、景色を描く感性が必要になります。
美しいものを観た時に感じるあのバランス感覚が盛り付けの世界でも要求されるのです。
いつもバランスの取れたものを目にしていると、知らず知らずにその感覚は育ってきますが、これは個人差が大きいですね。
少なくてもメモをして育つものではありません。
「あれ? なんか違うなあ?」と思える感覚がスタートです。
真贋力を養うためには本物しか見せないといいますが、それと同じだと思うのです。

こんなに長く書いてもまだまだ盛付けのことは書ききれません。
そのくらい奥が深いのです。
逆に言うと、だからこそ楽しいと思えませんか?
私は中川さんがTwitterで毎朝指導している内容を書籍化したいと思っています。
高度で深い内容をこのままにしておくと、Twitterがなくなったときそのまま消えてしまい、あまりにも勿体ないです。
書籍化して辞書のように料理別・食材別・季節別・お弁当箱の型別にまとめられたらいいなと思っています。
ネットの時代ですがあえて紙で残したいです。
タイトルは「中川善博の盛付秘伝」です。
しかしそれは気の遠くなる膨大な作業であり、人海戦術でも取らない限り不可能です。
むそう塾生の有志でそんなことが実現できたらどんなに嬉しいことでしょうか。
不可能と思わないで、いつか実現させたいと思い続けて行きます。

 
 

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治部煮の盛付け 手直し後

先の記事にコメントを寄せてくださった皆様、ありがとうございました。
あ、私も! と思われていながらコメントをされないうちに答えが出てしまってガッカリされた方もいらっしゃるかもしれませんね。
でも、たまにはこんな一瞬のお勉強会があっても楽しいかもしれません。
いくつかの細かな問題点はあったのですが、一番違和感のある治部煮を中川さんが仲居さんに見つからないように手早く手直しをしてくれました。
その写真をアップしておきます。
あなたの頭の中の盛付けと同じでしたか?

 
 

加賀屋 京都店

 
 

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北陸新幹線開業記念メニュー 「加賀屋 京都店」

伊勢丹京都店の8階にある「加賀屋 京都店」で、「北陸新幹線開業記念メニュー」がありました。
盛付けの参考になると思ったので、写真をアップしておきます。

加賀屋 京都1

 
 

加賀屋 京都2

 
 

加賀屋 京都3

 
 

加賀屋 京都4

 
 

加賀屋 京都5

 
 

この中でご飯物は最後の鱒寿司が3貫のみです。
これではバランスが悪いので、「本日のご飯」をセット(お味噌汁・お漬物付)で注文しました。
きょうはわらびご飯でした。
手の込んだお料理のお味はどれも納得の美味しさでしたが、とにかくきょうは忙しい日であったためか、今までで最も厨房が混んでいた模様です。
OBENTERSの皆さんが見ると、中川さんの指導とあまり変わらない盛付けの雰囲気ですが、ちょっとこれは直したいねというところがあります。
あなたならどこを直しますか?
お勉強のためにみんなで考えてみましょう。
どうぞご遠慮なくコメントをしてください。

 
 

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マクロビオティックの陰陽を活かした家事アドバイス講座(9)

お片づけというのは物を捨てたり、整理することだと勘違いされている人がいますが、実は整理するのは心の方なのです。
生き方も含めて心の整理が出来ていないから家の中が散らかるのです。
ですから、暮らし方を見ればその人の心の中が透けて見えます。
住まい方に最初から悪い氣を発していないお宅は、そこの奥様か、もしくはご家族に良い氣の持ち主がおられます。
そのご家庭にマクロビオティックの陰陽でもう一度洗い直しをかければベストの状態になります。

<Ni(79-1)さん>
時間をかけて丁寧に文章をまとめてくださって、ありがとうございました。
ご主人様の生き方に感動して涙が流れました。
そして、今も涙をこぼしながらこの記事を書いています。
ご主人様は本当に強い人だなと思います。
そして、そのご主人様にしっかり支えていただいた半生でしたね。
これからは、その素晴らしいご主人様の健康面を確実に支えてあげられる奥様になりましょう。

私ね、ご主人様の生き方ってすごくマクロビオティックだと思うの。
多くの人は出世に一喜一憂するのに、冷静に全体を視野に入れた思考で生きておられるから。
弱肉強食の世の中で出世を目指して生きるのと、土に根ざして穏やかな心で生きるのとでは土俵が違うのです。
ですから、マクロビオティックを知っていると自然に土に触れる生活をしたくなるのです。
仮にマクロビオティックを知らなくても、陰陽の理から考えても陽性な生き方から中庸な生き方に軸足を移したくなるのは自然な姿ですよね。
生き方に陰陽の変化を持つことは素晴らしいことです。

Niさんご夫妻のお考えもきちんと把握できました。
これからは細かな点に入りますが、今度は一番この家に長くいらっしゃるあなたが、今気になるところ、あるいは不満に思っているところがあれば、それをまた文章に書いてメールをしてください。
あなたへのアドバイスは他の人とちょっと違って、文章でのやり取りが多くなるかと思いますが、どうぞお付き合いくださいませ。
どんなに長くても気にすることはありません。

 
 

胡麻豆腐の雲丹載せ マクロビオティック料理教室 むそう塾 中川善博

 
 

(胡麻豆腐の雲丹載せ 料理:京料理人  中川善博)

このお料理に関心を示してくださったご主人様へのプレゼントです(^^)

 
 

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マクロビオティックの陰陽を活かした家事アドバイス講座(8)

人は常々気分で行動しがちですし、それで良いのですが、何か問題があってそれを解決する時にはいつもと違った気持ちになって対応した方が良いです。
マクロビオティックでいうなら、陰陽を考えて対応するということになります。
その場合の陰陽は、人間関係の陰陽や環境の陰陽を調えてあげると、とても無理なく解決に至ることが多いです。
それは陰陽バランスが取れれば物事は座りよくおさまるからです。
逆に言うと、陰陽バランスが取れた暮らしをしていると、そんなに厄介なことを抱え込まなくてもよい日々になるということでもあります。
これをマクロビオティックでは「氣」としてとらえ、「氣の流れ」がまるで体内を流れる血液のように、スムーズに流れるのが理想なのです。
人間の体も何か問題があって血液の流れが滞れば、たちどころに問題が発生してあっという間に死に至ることもあります。
「氣」というのも同じなので、家の中に血液がスムーズに流れるイメージで家全体の陰陽バランスを考えてみましょう。
それが一般的には「気持ちが良い」という言葉で、マクロビオティックを知っていない人でも普段から表現しているわけです。
常に「氣」の存在を意識しながら生きること。
それが自分の力を存分に発揮でき、人生を何倍も充実させられる方法です。

<Ni(79-1)さん>
PDFで綺麗にお送りくださいまして、ありがとうございました。
見やすい図面に感謝です。
昨日Twitterで「記事を拝読した夫が、自らの人生観について話してくれた朝でした。」というツイートがありました。
もしよろしければそのお考えをメールで教えていただけないでしょうか?
家の中はそこに住まう方の哲学を反映させるのが一番落ち着くので、ぜひご主人様のお気持ちも反映させたいのです。
次回は文章だけでもよいですから、お二人の考え方をメールしていただければありがたいです。
お片づけの細かい点はそれからにしたいと思います。
どんなに長くなってもよいですから、あなたの想いもどんどん綴ってください。
なぜなら、そのお家に一番長くいらっしゃるのは奥様なので、奥様が居心地よいようにするのが重要だからです。

<Sa(83-1)さん>
昨夜メールでやり取りしましたが、こちらでも少し書いておきますね。
初めてのことばかりがドドーッと押し寄せて面食らっていると思いますが、人生ってそんなものです。
私も夫もそんなことが何度もあって、「物事って重なるよね」とよく話しています。
それは「大変」というより「転機」が訪れたのだと解釈して、サササッと楽しくこなしましょう。
忙しいお仕事の合間をぬって進めるのは時間的に大変だと思われるでしょうが、毎週末していたヨガをお休みすれば少し時間が作れますよね?
すでにお休みする旨のご連絡をいただいているので大丈夫だと思います。
物件探しで分からないことも一緒に解決して行きましょう。
お部屋探しにはいくつもポイントがありますが、仲介形態でその物件の裏事情がある程度分かります。
あの世界はあなたのお仕事の世界とは異なった空気が流れていますので、それを計算して動かなければなりません。
何でも気軽にメールしてくださいね。
お急ぎの場合はお電話もどうぞ。

<Sa(64-5)さん>
あなたが出された結論は「亡くなった方のように夫に合わせて体を毀すような事はせず、しかし、寄り添って一緒に世界を作って行く事は諦めない、と言うのが私の歩む道かなと思います。」ということでした。
あなたの人生ですから私は外部からとやかくは言いませんが、周りを支配したがる強烈な個性の持ち主はとても陽性が強いので、その人に対して自分と一緒の世界を作ることはかなり大変です。
不可能とは言いませんが、部分的にでもあなたの方が陽性になれる時がないと達成できません。
もしくはご主人が病気になって、あなたとの陰陽バランスが崩れるかです。
今のままですと誰のための人生なのか分からなくなって、いつも満たされない想いを抱える人生になってしまいます。
その満たされない想いが生活の随所に顔を出して来て、端的にいうと良くないエネルギーになってしまいます。
それでも今回の家事アドバイスを進めたいとのことなので、あなたの持ち物だけの範囲内でアドバイスをしますが、それでは大きく変化には結びつかないことを覚悟してくださいね。
それは陰陽バランスを変えるところまで行けないからです。

自分の整理が進んで、夫に自分のも片付けて欲しいと言って貰える事を目指したいと思います。

そうなるためには、あなたがご主人様より陽性にならなければ無理です。
すべてを支配して何十年も生きて来られ、さらに想いも過去にある人に対して、その目標はなかなか厳しいものがあります。
あなたに初めてお会いしてから一貫して感じている「氣の流れの悪さ」は、あなたが幸せコースに通われても解決しないと思います。
それは、月に6時間だけ京都に来られても、その他の圧倒的時間が支配下にあるからです。
そこの打破を目指すにはあなたは陰性すぎます。
陰陽バランスで物事を考えるマクロビオティックだからこそ、この先が手に取るように分かってしまうのです。
占星術師に言われたことも納得されているようですから、なおのことその傾向は強くなります。
限定付き人生という感じですね。
良い内容を書けずに申し訳ないのですが、今のあなたはこんな感じです。
ここから少しでも良い方向に進んでくださることを願っています。

 
 

京都御所の桜

 
 

(京都御所の桜)

 
 

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