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「パンも甘いものも食べましょう」の後日談

「パンも甘いものも食べましょう」の後日談です。
Bさんがその後のことをメールで報告してくださいました。
嬉しかったです。
マクロビオティックを始めると多くの人が一時は陥ることなので、他のかたにも大いに参考になると思い、再び記事にさせていただきます。
Bさん、快くお許しをいただきましてありがとうございます。
Bさんには私からアドバイスをさせていただきたいこともありますが、今回は長くなってしまいますので後日別記事で書かせていただこうと思います。
Bさんの文章からは学ぶべきことが沢山あります。
たまたまBさんはご主人が日本人ではないのですが、マクロビオティックに理解を示してくださらいご家族をお持ちの方にもこの事例はあてはまります。
深い意味をこの文章から学び取っていただけたら嬉しいです。
<Bさんのメールより> 抜粋

29日にノルウェーからNYに戻りました。
遅くなってしまいましたが、ご報告をさせてください。
メールをいただいたように、出される料理、特に義母の準備してくれたものは、一緒に食べてきました。
でも完全にノルウェー食だけ、はやっぱり出来ない、と思い、梅干、糠漬け(糠どこをジップロックに入れて持参しました)、お味噌汁(小さい街なのですが、自然食品店がありそこでお味噌を買いました)は毎日いただきました。
おコメは5分づき米を3回ほど炊き、ほかはパンが主食か、ジャガイモが主食となる日もありました。
今回、ノルウェーでノルウェーのクリスマス料理を一緒に食べて、ほんとうによかったな、と思います。
いろいろな想いを感じ、発見がありました。

まずは、私が料理を食べて美味しい、と思ったこと。
元は何でも美味しくいただくタイプだったので、当然なのでしょうが、すっかり忘れていました。
そして、意外に食べても大丈夫とも思いました。
これまでは、肉や魚、甘いお菓子やアイスクリームなど、食べたら大変!と思っていたのです。
肌はがさがさしてきて、少し痒みもでてきたけど、それでも自分の許容範囲でした。
これからは旅行などで出かけても、お友だちが持って来てくれるおやつでも、その心を受け止めていただくことが出来る、と思います。
滞在中は、美風さんの過去のブログに妊娠中にみつけた「何を食べても毒さえなければそれでよし。何を食べても健康でいられるからだを作るのがマクロビオティック」と言う言葉がいつも心のなかに浮かんでいました。

そして、もしもかみさまが私を見ていたら、「食べられない、食べたくない、と言っている人」と「なんでもありがたくいただいて、みんなとも調和している人」だったら、どちらをお喜びになるだろう、なんてことを考えたら、絶対に後者だ、と。
少々からだの調子を崩しても、大きなことにはならない、相手のことを想うこと、は神さまがきっと喜んでくださることだ、って、信じていました。
気をつけたことは、てきるだけ、だったけどゆっくりよく噛む、そして感謝の気持ちを持つ、こと。
そうして食べていると、私自身がとても満たされたしあわせな気持ちになっていることに気がつきました。
相手の気持ちを受け入れる、そして同じものを食べるという共有の体験が、そう感じさせてくれたのだと思います。

うれしかったのは、義母が義叔母に「Bは、ノルウェーの料理をたくさんトライしたのよ、トライじゃないわね、ちゃんと食べたのよ^^」といっているのを聞いたときです。
違う国からきているから、と違いを認めてくれていても、やっぱりうれしく思ってくれるのだな、と私もうれしかったです。
そして、作り方や食べものの話を私が尋ねるのもうれしく思ってくれているようで、ニシンのトマト漬けを「美味しい」と喜んだ私のために、作って持たせてもくれました。
また、自分自身が、自分の中に「ほんとうは食べたかった自分」を発見して、驚きました。
お肉も、お魚も、甘いものも・・・ほんとうは食べたい。
でも、マクロビだから、と食べないことを自分に強要してきました。

 

そして夫の食べるものをチェックしたり、それがよろしくないものだと、批判的な言動をしていました。
そんな私の行動の裏にあったものが、「ほんとうは食べたい自分」なんだ、って気付いたのです。
何で私は我慢してるのに、あなたは食べるの・・・って^^;それは心からマクロビオティックを楽しめていなかったしるしですよね・・・
同じものを食べながら、私も楽しく食べてるし、と思っていると、相手の見え方まで違っていました。

(ここまで頑なになった背景には、体のことがあります。
子宮筋腫と内膜症があり手術をしました。
そしてその後の体調改善を玄米と野菜で出来たおかげで妊娠できた、と言う想いが私の中にあり、そこから抜けることは、また体調を崩すことになる、と思い込んでしまったからです。
実際は玄米と野菜のご飯を続けて、妊娠を経過し、産後、体調に変化があったのですが・・・)

そして、もう一つ思うこと、がありました。
それは娘のことです。
子育てをしていく上で、マクロビをしながらほかの方とのかかわり方、をどうするか?ということは、考えるところでした。
そして、それは、こちらで暮らしている人間関係だけでなく、ノルウェーでも同じですよね。
父親の国の伝統料理を食べない母親
それを彼女がどう受け止め、私がどう対応するのか?
クリスマスに再び帰省するのは、数年先のことになると思います。
次にいったときには、自分の体調を考えて、量をコントロールしたり、自分の中にちゃんとしたものを持って、娘にも話が出来ると思います。
来年は私が夫にクリスマス料理を作ってあげたい、そして、あの美味しかったアイスケーキも^^などと思っています。

食事を変えてからだに起こった反応は、ノルウェーを発つ前日に、左胸にしこりが出来ました。
自分で搾乳したり手当てをして、何とかなっていますが、甘いものと乳製品の結果だろうな、と思います。
そして、戻ってから、ひざから下の足が猛烈に痒くなり、ガンガンかきむしりました。
ノルウェーにいるときから予想していたことだったので、向こうでは掻かないように、と気をつけていたのですが、旅も終わりほっとしたのもあってか、もういい?っ!と^^;
腕の接触性皮膚炎や手の主婦性湿疹も出ています。そして、なんとなく全身あちこち痒い感じもしていました。
それも2日ほどひどくなったけど、今は少しずつ引いてきています。
からだにはほんとうに、ごめんなさい、です。
反応のでる体でよかった、ありがとう、とも思っています。

でも、ここで思ったのは、食べるものに問題があったのではなく、食べ方に問題があったのだということです。
目の前にいつでも食べれるように、と置いてある、フルーツ、ナッツ、ドライフルーツ、チョコレートなど・・・かなり食べました。
そして、それ以外にもティータイムに焼き菓子やアイスケーキ
でも、誰も食べろ、と私に強要したりはしていないのです。
私が自分の意思で、弱い意思で食べることを選択したのでした。
自分でその量をコントロールして食べることが出来ていたら、ここまでにはなっていないだろう、と思います。
でもそれが出来なかった私の弱さ、そのことを受け留めて活かしていこうと思います。

戻って翌日玄米を炊きました。
まだまだぶれまくりの私の玄米です。
そして、翌日気付いたのですが、800米に1000米の水加減で炊いてしまいました。
そんなべちゃべちゃに炊けた玄米ごはんでも、玄米を食べられること、炊けることのしあわせを感じました。
主食がおコメでよかった、と。
この経験を通して、まだまだここに書ききれないくらいのことを心としても、からだとしても体験できた、と思います。
そして、夫への気持ち、も違ってきています。
(ノルウェーという国や、その伝統や言葉や・・・多くの点で)長くなりすぎているので書きませんが、夫との関係も私にとっては多くの課題があります。
ここから少しずつ、前に進んでいきたいです。
そして、まだまだわからない陰陽も学びながら、マクロビオティックを愉しんで、しあわせに暮らしていきたいと思います。

ほんとうに、ほんとうに、ありがとうございました。
心より、心の奥底から、感謝しています。

 

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料理の伝承

先日の記事つむぎさんからメールをいただきました。
とても大切なことが書かれていたので、記事にさせていただきます。
間違いなく今つむぎさんは、四女さんにお料理の伝承をされていると思います。
これはとても素晴らしいし、お嬢様の将来を左右する出来事だと思います。
こんなふうに秋田のお料理と中川式料理が次世代に受け継がれて行くことを、私はとても嬉しく貴重なことだと感じます。
ところで、一昨年秋田にお邪魔した時、秋田伝承料理のお店に案内していただきました。
素晴らしいですね?。
たとえばこのお料理、まさに身土不二です。
そして陰陽的にもばっちりバランスがとれています。
これをマクロビオティック料理と呼ばなくてなんと呼びましょう。
このようなお店が繁盛してほしいです。
これからのつむぎさんが、秋田のお料理と京都のお料理をどのように融合してお子様に伝えてくださるのか楽しみです。
では、つむぎさんのメールをご紹介します。
☆   ☆   ☆
<つむぎさんのメールより> 抜粋

美風さんの記事を読んで、母とのことを思い返してみたのですが、残念ながら私の場合は母の後ろ姿を見ながらという機会があまりなかったのです。
そして、その母はどうだったのかなと母の実家の事情等いろいろなことを思い返して推測してみたのですが、多分、母もあまりなかったのではと思うのです。
実家の台所の引き出しに、母が嫁入り修行で通ったらしい料理学校のレシピが置いてあったりもしましたし…。
けれども母にはもちろん感謝しています。忙しい中で家族のためにバランスのとれた食事を作ってくれていたと思いますし、なにより美味しく食べていましたから。

さて、我が家の場合ですが、上の3人の子たちとは最近なかなか時間がとれないのですが、幸せコースに通うようになった頃から四女と一緒に台所に立つ時間が多くなりました。
わたしが食事の支度をするのを何から何まで見たがって、隣にいすを持ってきて座ったり立ったりしながらじっと手元を見ています。
あるとき大根を出したら「くるくるするの(桂剥き)やって!」と言ってきました。
中川さんにさんざん言われていた「回す」をちゃんと見ているんだなぁ。こどもの方が物事の本質が分かるんだなぁと思いました。
またあるときは、おむすびを握るときに「いち、に…」と言い始めたら四女も一緒に数えだし、教えていただいた回数でぴたっと一緒に数え終えました。
「いくつまで数えるか分かってたの?」と聞いたら、わたしいつも見てるもんと言いたげな表情で「うん」と。

わたしはとっても嬉しくなりました。
そして、「あぁ、いまはこんな時間がこのうえなく幸せ」と心から思います。
子どもたちには決して贅沢なことはさせてあげられないけれど、伝えていきたい・伝えていくべきもの、子どもたちと共有するものがわたしにはあるのだなぁと。
そして、上の子達とももっと時間を作れるよう工夫してみようと思いました。

このことに氣付くことができたのも、美風さん、中川さん、むそう塾のおかげです。
幸せコースでの講義はあと4回になってしまいましたが、大事なことを少しでもたくさん吸収できるよう氣を整えて臨みたいと思います。

愛クラスに参加するために初めてむそう塾に伺ってから、もうすぐで一年になります。
この一年はいままでとは比べ物にならないほど、いろんなことがストンと腑に落ちていろんなことが繋がった一年でした。
来年は上級コースには通えませんが、美風さんや中川さん、クラスメイトのブログなどを通じて共に学び続けていきたいと思います。


<マクロ美風より>
つむぎさん、素晴らしい文章をありがとうございました。
上級コースへ通えなくなってしまったことはとても残念ですが、今を大切にされて、4人のお子様と今しか出来ないことをお楽しみ下さい。
そして、また京都の土地でつむぎさんと一緒の学びが出来ますことを、心からお待ちしております。
末っ子さんの将来も楽しみにしております。

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第70次「むそう塾 パスポート取得者」を発表します!

新年も5日を迎えました。
そろそろ通常モードに戻られる方も多いと思います。
と同時に玄米ご飯を炊き始める方も多くなりましたね。
お正月の間は玄米ご飯以外のものが口に入っているため、久しぶりにいただく玄米ご飯は格別の美味しさではないでしょうか?
それは体が要求していることでもあります。
そんな体の要求に従った食べ物をいただくことがマクロビオティックでは大事です。
玄米ご飯も同じです。
体の要求しているレベルの玄米ご飯を胃腸に届けることによって、真の健康をつかみとることが出来るのです。
そのレベルの玄米ご飯を炊けるようになったお友達がまたお一人登場しました。
Toさんは当初から上手に玄米ご飯を炊かれていたのですが、なかなかご自分の炊かれた玄米ご飯を素直に評価することが出来ませんでした。
つまり、炊き上がった玄米ご飯を食べてみて、皮感や粒感を必要以上に感じていたのです。
似たような例は以前に他の人にもありました。
これはご自分の自信のなさから来るもので、判断に精神的な面が影響している場合です。
まだ固いご飯なのに「美味しいです!」という人、パスポート品質のご飯なのに「まだ駄目です・・・」という人、この差は人生にとって大きいです。
でもToさんは中川さんのひと言によって目覚めました。
私もこんな記事でバックアップしました。
そしてご自分でも納得のいかれる状態になりましたので、パスポート取得を発表させていただきます。
なお、このクラスは全員パスポートを取得されました。
おめでとう!
<むそう塾 パスポート取得者>


 

  
Toさん(43−6)

<寸評> 中川善博より
To

(43−6)さん

玄米御飯も鍋もぶれては居なかったのです。

あなたがぶれていたのですね。

それは自信の無さが原因でした。
でももう大丈夫です。
あなたが炊飯で掴んだ自信は生きて行く全ての事への自信となるでしょう。
やっと発芽した自信の若芽を大きく育てて下さい。
おめでとうございます。

*   *   *
(1)絶対美味しい玄米ご飯の炊き方をマスターしていただきたい。
(2)その玄米ご飯を炊く行為を通じて、自分を見つめ気づきを得て、幸せに繋げてほしい。
(3)まわりの人と一緒に幸せになろうとする意識を持ってほしい。
これが「むそう塾」の願いなので、この(1)?(3)をおおむね理解され、なおかつ実践出来ていると思われる方に、パスポートを発行させていただきました。
これからは、ご自身と向き合いながら、日々の心の持ち方を大切にして、中川さんに言われたことを思い出しながら、人間性をより高めて幸せな日々をお過ごし下さることを願っております。
パスポートを手にされても気を緩めないように、引き続き真剣に玄米と向き合ってください。
パスポートは出発点であり、到達点ではありません。
従ってこれは、第三者に教える力を認めたものではありません。
「中川式玄米ご飯の炊き方」は、中川善博本人のみが口伝の形でお伝えしております。
なぜなら、「中川式玄米ご飯の炊き方」はオーダーメイドの炊き方だからです。
パスポートを取得されましたToさんは、これで玄米投稿の目的は達成されましたので、お写真を中川さんに送らなくても結構です。
パスポートの発行は、この記事をもって公表するとともに、個人宛へのメールでお知らせいたします。
このメールにはパスポートナンバーが記載されていますので、もし、届かなかった場合はご連絡ください。
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マクロビオティックを楽しみましょう♪

きょうから仕事始めのかたも多いでしょう。
この日をあなたはどんなお気持ちでスタートされましたか?
多くの皆さんが頑張るお気持ちでスタートされたことでしょうが、中には暗いお気持ちで足取り重いスタートになった人もいらっしゃるかも知れません。
仕事には嫌なことも、思いどおりにならないこともつきものです。
そんな時あなたはどうされますか?
そうそう、私の夫は私より内気です。
ちょっと嫌なことがあっても我慢してしまいます。
というか、正確には呑み込んでしまうのです。
ですから表面的には穏やかに見えますが、心の中では結構つらいものを抱えたりしてしまいます。
そんなことが想像できるからこそ、私はそれを察して口をきくようにしています。
場合によっては夫が何も言わなくても、こちらから核心をついて話の口火を切ったりすることもあります。
結婚した当初はそんなことがありましたが、最近は格段に減りました。
ゼロに等しいです。
お互いに相手のことが解るようになって来たからです。
内気な人は同じ場面であっても、すぐ自分の思いを口にしないことが多いので、仕事や人間関係で思いどおりにならないことが多くなります。
まわりの人がそれを知っていてサポートすれば良いのですが、いつもいつもそれが出来るわけではありません。
するとその人は必然的にストレスを溜めがちになります。
そんな時には押しの強い人に軍配が上がります。
そうしてそこに気持ちの差が生じて行きます。
これが徐々に精神的に影を落とし始めて、身動きの取れない状態にまで進んでしまうこともよくある話です。
もしあなたが内気なタイプだったら、今年は一歩、いや半歩でもいいから前に出てみましょう。
今まで遠慮していたことでも口にしてみましょう。
するとビックリするくらいまわりの流れが変わって、スムーズに事が進むこともありますよ。
一歩踏み出すには勇気がいります。
でもね、失敗したっていいんです。
恥をかいてもいいんです。
そうやって人間は成長していくものだから。
今は失敗を必要以上に恐れる若者が多いです。
まるで「失敗=死」であるかのように、人生がこれで終わりだと思ってしまうんですね。
そんなことはありません。
失敗は学ぶためにするものです。
だから大いに失敗した方が勉強になります。
失敗をどのように活かせるか。
これがその人の器量です。
失敗を無駄ととらえてはいけません。
無駄を避けようとしてもいけません。
実は無駄と思える部分にこそ、成功へのヒントが隠されているのです。
一時的には無駄に思えることも、長い目でみるとちっとも無駄ではないことに気づきます。
どうか人生を長い目でみて、今を溌剌(はつらつ)と生きてほしいと思います。
このように生きられるためには、やはり陽性のエネルギーが必要になります。
陰性のエネルギーが多いと、どうしてもマイナスな発想になりがちです。
こんな時にマクロビオティックを知っていると百人力です。
気持ちのぶれも、落ち込みも、マクロビオティックを正しく理解することによって、脱出できます。
マクロビオティックの陰陽は難しいものではありません。
もし難しいと感じている人は、正しく把握する術を知らないだけです。
もちろん陰陽には奥深くまで探求すべき課題がたくさんあります。
しかし、木を見て森を見ずでは先に進みません。
どうかあなたもマクロビオティックの陰陽を苦手ではなく、楽しむことが出来る人になってください。
そうすると、先に述べたお仕事や人間関係のことも陰陽で考えて答えが出せるようになります。
こうなったらしめたもの。
人生が楽しくて仕方なくなります。
そんな充実した人生のために、ぜひマクロビオティックをお役立てください。
ご一緒にマクロビオティックを楽しみましょう♪

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レシピなしの料理 – – 私の場合 – –

私は小学2年生からお料理を作っていました。
まだ背が低いので、みかん箱を伏せてその上に乗って作業をしていました。
家にレシピはなく、母の手元や後ろ姿を頼りに真似をするところから始まりました。
家には計量スプーンも計量カップもありませんでした。
でも、母の作るお料理は美味しいと近所でも評判でした。
毎晩父とお酒を酌み交わすために、一人また一人と男衆がやって来て、まるで我が家の茶の間は小料理屋のようでした。
毎晩12時ごろまで男達は茶の間で世の中の話をしていました。
そんな環境の中で、私はお料理を覚え、男達の本音を知り、時代に翻弄された父や母の苦しみも知りました。
母は下戸なので、一切お酒の相手はしませんが、男達と話はたくさんしていました。
論理的で愛情があって、いい話だったなぁと今も思います。
父がお酒を酌み交わし、母がお料理と話で心を通わせる、そんな我が家が、そんな両親が好きでした。
現実的には母はお料理や後片付けで大変だったろうと思います。
でも、ひと言も愚痴らず、きちんと正座をして話をしていました。
長い捕虜生活から命だけ持って帰還した父を大事にしていました。
そんな日々の中で、子供心に私は必死に生きることを、空気のように感じたのだと思います。
娯楽なんて何もありません。
家族旅行もありません。
ただ働くだけ。
でも心は満たされていました。
母の後ろ姿を見ながら(これが結構勉強になる)覚えた料理は、私の舌と手が覚えています。
ただ残念なことに、私は中学を卒業すると同時に家を出ました。
9キロ離れた町に一人住まいをして高校に行きました。
だから、母の料理はそれ以降学べていないのです。
今思えば惜しいことをしました。
レシピはなくてもお料理は作れます。
お料理に必要なのは、心であってレシピではないと感じる今日この頃です。
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