桂剥きの高度の技術「大根を引く」状態を理解するために

蒸気機関車

 
 

いきなり蒸気機関車の写真が登場してビックリしましたか?
私が生まれ育った北海道では、当時(昭和30年代前後)は蒸気機関車が普通に走っていました。
通常は1台の機関車が客車や貨物を牽引するのですが、急勾配の峠を登るときには、写真のように後ろからもう1台の機関車が応援のために連結されて、サンドイッチ状態で坂を登ります。
写真は景色からして峠の途中だと思われます。
勾配によっては前後が2台の機関車になることもあります。
ですから、峠の前の駅では機関庫というのがあって、他の駅より要員も多く配置され、それが街の賑わいにも繋がったものです。

さて、本題の桂剥きですが、桂剥きを上質の仕上がりにするためには高度の技術が要求されます。
その一つが「大根を引く」と中川さんが表現している動作です。
これは中川さんがむそう塾を始めて、レベルの高い塾生さんが登場したため、その人を誘導するために使った表現方法であって、一般的に知られている言葉ではありません。
しかし、プロの世界ではその「大根を引く」状態を日常的に行なっているわけです。
ですから、むそう塾で教えている桂剥きがプロレベルの内容になっていることの裏付けでもあります。

昨年の桂剥き投稿の記事はとても内容が濃く、すべての現象が網羅されている感じがするほどです。
今年は幸せコースが2クラスで投稿者の人数は少ないのですが、昨年の桂剥き投稿の記事のおかげでしょうか、レベルの高い投稿者が何人か登場しています。
その人たちへの応援記事として、私からも「大根を引く」状態の解説をしたいと思います。

塾生の舞ちゃんの写真でご説明します。
(ボケていてすみません)
上下する包丁の刃先に向けて大根を送るところです。舞1

 
 

左手親指が包丁の刃先に乗りました。
ここで大根の厚みを感じ取ります。
舞3

 
 

普通はこの辺で包丁を下げてしまう人が多いのです。舞2

 
 

しかし舞ちゃんはもっと左手親指をそのまま先まで伸ばして行きます。
この時に「大根を引く」状態になるのです。
右側から写真を撮ってしまったので余りその差が判らないと思いますが、真正面か左側から写したなら、左手の親指が相当右側に伸びているのがはっきりするはずです。
舞4

 
 

もう一度蒸気機関車に登場してもらいましょう。
先頭の蒸気機関車を左手親指、コンテナを大根だと思ってください。
先頭の蒸気機関車(親指)はコンテナ(剥かれた大根シート)を牽引しています。
牽引、つまり引っぱっているわけです。
「大根を引く」という表現はこのことを指しています。
包丁の刃までは「大根を送る」であり、刃を通過して大根が剥かれると「大根を引く」に表現がかわるのですが、ここが一番解りにくいかと思います。
ちなみに後ろの機関車はコンテナを押しているわけですね。
引くと押す、陰陽だと思いませんか?
マクロビオティックですねぇ。
蒸気機関車

 
 

そんな絶妙な陰陽バランスが取れると、こんなシルクのような大根シートがヌメヌメ〜っと生まれて来ます。
それにしても舞ちゃんは、初めての桂剥き投稿のラストスパートの頃が絶頂期でしたね。
あの頃はもっとヌメ〜っとして色っぽさのあるシルク桂剥きでしたよ。
この写真は当時より腕が落ちています。
頑張れ、舞ちゃん!
頑張れ、みんな!
舞5

 
 

なお、剥かれた大根シートが右手の甲にかかって来るのが正しい姿です。
それがない場合は、
・右側の脇がしまっている
・大根に対して包丁の刃が開いている(午後1時の方向に刃先が向いている)
・包丁のグリップを浅く握っている
のどれかが原因です。
確認してみてください。

 
 

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第184次「むそう塾 パスポート取得者」を発表します

<184次 むそう塾 パスポート取得者>
Ki(81−3)さん

<寸評>

◆中川善博より
一時はどうなることかと思いましたが、なんとか身につけていただけました。
しなくても良い失敗はないと思っています。
上手く炊ける裏には失敗から学ぶ基礎があります。
ブレかけた時にそれが活かせるのです。
100日まずはブレない玄米ご飯を食べて下さい。
おめでとうございます。

◆マクロ美風より
試行錯誤しながらやっとこの日を迎えられて、正直なところホッとしています。
お子さんのことを思うと、一日も早くふっくら玄米ご飯を炊けるようになってほしいと思っていました。
これからは主食をしっかり中心に据えて、おかずの陰陽バランスを整えてみてください。
皮膚は正直なもので、ちゃんと体調を教えてくれますよ。
長い間の投稿、お疲れ様でした。
そしておめでとうございます。
また京都でお会いしましょう。

 
 

パスポート用薔薇

 


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第183次「むそう塾 パスポート取得者」を発表します

<183次 むそう塾 パスポート取得者>
Iw(82−3)さん

<寸評>

◆中川善博より
やっとここまでたどり着きましたね。
毎日の試行錯誤は終わってみれば楽しかったと思います。
氣を抜けば、御飯は簡単にまずくなってしまいます。
それが主食の怖さです。いつまでもこの炊きあがりをキープしてお腹に優しい笑顔のご飯を炊き続けて下さい。
おめでとうございます。

◆マクロ美風より
色々な悩みを抱えての愛クラス受講となりました。
それらを玄米炊飯をしながら正面から向き合っているあなたに、まずお疲れ様でしたと申し上げたいです。
義父母さんのこと、お嬢さんのこと。
自分のことだったらこんなふうに解決するのに・・・と歯がゆく思われることでしょう。
そして精神的負担は相当なものだとお察しします。
そんな中でよく玄米炊飯に向き合われましたね。
でもね、あなたは崖っぷちで辛うじて踏みとどまっています。
あなたが健康を害さないために、今後のことをご主人様とよく話し合われることをお勧めします。
そうしてあなたの心のお荷物をご主人様に一緒に担いでもらってください。
たった一人の理解者がいれば、人間は驚くほど頑張れますし、気持ちが晴れます。
それがこれからもふっくらご飯を炊き続ける最高の鍵です。
困った時、悩み事でおつらい時、いつでもご相談ください。
一緒に乗り越えましょう。
パスポートの取得、おめでとうございます。

 
 

パスポート用薔薇

 


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満足コースの桂剥き光景から幸せコースの後輩たちへ

満足コースの桂剥き光景の中から、幸せコースの桂剥き投稿中の皆さんに参考になる写真をUPします。

まずは桂剥き横綱の一人舞ちゃん。
中川さんが羨ましがる指の持ち主です。
大根が絹のように剥かれて行きます。
包丁のむそう塾の文字が透けて見えるのが判りますか?
中川さんの剥いた桂剥きは、新聞の上に置くと新聞の文字が読めるほどの薄さです。
目指すは「新聞の文字が読める薄さ」を覚えておいてね。
桂剥き 舞1

 
 

右親指の後も左親指の跡も残らず、縦筋も入らずなめらかに剥けています。
指の後もつかない、縦の筋も入らない、これはとても難しいことです、
桂剥き 舞2

 
 

こんなに細くまで剥けました!
桂剥き4

 
 

艶々に剥けました!
桂剥き 舞3

 
 

次は子象ちゃん。
指跡はついていませんが、縦線が惜しい!
桂剥き 子象1

 
 

でも、艶はしっかり出ています。
桂剥き じゅん子1

 
 

次はmaaraさん。
縦線と親指の後が惜しい!
桂剥き まあら1

 
 

次はじゅん子ちゃん。
何と!彼女は、左利きなのに包丁を右手に持っての桂剥きです。
右親指がちょっとお仕事をしすぎるので、それを遠慮させる練習をこれからします。
桂剥き じゅん子2

 
 

こんな感じで先輩たちは頑張っています。
幸せコースの皆さんはたった1か月の桂剥き投稿期間をどのように考えていらっしゃいますか?
一日に何回投稿しても良いと言われているのに、まだ1回も投稿していない人が6名もいらっしゃいます。
2回投稿した人が5名、3回以上投稿した人がたったの3名です。
これは今までで最低の数字です。
一体全体どうしたというのでしょう?
もしかして、上手になってから投稿しようと思っていませんか?
そんなことを思っていたら、間違いなく投稿する時は来ません。

満足コースの先輩たちは、恥をいっぱいかきながらも投稿という経験をしながら成長して来ました。
それでもなおまだ恥をかいても上手になろうと頑張っています。
「いいふり」「見かけを気にする」心が少しでもあると、絶対に上達しません。
1か月間も中川さんに指導してもらえるなんて、最高のチャンスです。
ぜひ1か月間は試験前の受験生モードで、時間を捻出して桂剥きと心中してみましょう。
必ず達成感ややり甲斐とともに、充実感を味わえることでしょう。
それが生きるエネルギーとして、精神的支えにもなります。

幸せコースの桂剥き投稿期間は、次のようになります。
カウントダウンしながら時間を有効に使って頑張ってください。
・土曜クラス:7月17日(木)21:00迄
・日曜クラス:7月18日(金)21:00迄

 
 

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古典マクロビオティックとニュー(new)マクロビオティック

今はマクロビオティックといっても様々な流れがあります。
最近ではニューマクロビオティックとか、newマクロビオティック、あるいはクシ・マクロビオティック、マクロビオティックス、マクロビ、穀物菜食、穀菜食など、さまざまな名前がつけられていますが、源流は桜沢如一氏の提唱したマクロビオティックが始まりです。

マクロビオティックとは、陰陽を操って生き方や暮らし方、食べ方や人間関係、あるいは経済や社会環境までを包括的かつ一元的に考えていくことで、穏やかな日々を送ることが可能になり、結果として健康的な生活が出来るというものです。

では、なぜ色々な名前に分かれるのかということですが、時代とともに伝える人達に微妙な温度差が生じるためだと思います。
ここでは個人名をあげて言及しませんが、その指導者たちの多くは従来のマクロビオティックとは違うということを強調されるために名前を変えているのでしょう。
それらのすべての流れは陰性方向になっています。

一番多いのは塩分と油分を控え目にすることですが、蒸すだけの料理方法や、玄米を控える指導方法まであります。
どれも桜沢如一先生が60年以上前にマクロビオティックを提唱した時に比べて、動物性がたくさん入っている現代人には、陽性信仰の強い古典マクロビオティックは合わないと判断しているからです。

もちろんそのような人も多くいますが、反対に60年以上も前には多くなかった「お砂糖のとりすぎによる陰性な人」が今では多くなっています。
いわゆる米離れ現象が起きた結果、小麦粉と乳製品と油脂類の摂取が増え、さらに甘い食べ物や飲み物が劇的に多くなって、60年以上前とは違った陰性な人が存在します。
これらは食生活の欧米化がもたらした側面もありますが、暮らし方が自然から遠ざかった方向に進んでいる影響も受けています。
たとえば車や冷房の普及、エネルギーの少なくなった食品に囲まれて、人間が本来持っているはずの自然治癒力が発揮しにくい体になっているのです。

そのような陰性な人も、動物性をたくさん食べて陽性になっている人も、同じ食べ方で良いわけはありません。
それぞれの体にピッタリ合ったお食事や暮らし方や人間関係があることを知ろうというのがマクロビオティックの考え方です。
ですから私は、「今はお肉を食べている人が多くなって陽性な人が多いから昔のマクロビオティックは間違っている」と言って、新しいマクロビオティックに舵を切る必要はないと思います。
それは陰陽の適用の仕方で解決できる問題であって、混乱を招くような名前のつけ方をするのは不親切だと考えます。

陰陽を深く知れば知るほど、それは普遍的なテーマにも対応できる力を持っているので、食べ方だけを操作するマクロビオティックの枝分かれ現象は好ましくないですね。
しかしそこに、桜沢如一先生の提唱されたマクロビオティックと異なる内容を提唱して、あるいは特化して「ニュー」や「new」と表現されているのなら、それは一つの流派になりますね。
茶道や華道の世界と同じ現象でしょうか。

しかし私はここで声を大にして言いたいことがあります。
それは時代に合わせて変えていくことを桜沢先生はちゃんと教えているのですから、陰陽の範囲内ですべてはまかなえると。
これこそがマクロビオティックの真髄なのです。

マクロビオティックの指導者たちは、どのようにしたらマクロビオティックを正しく伝えられるかに心を砕いていらっしゃることでしょう。
その過程で表現方法や内容が多少違っていても問題にすることではないでしょうが、これだけネットが普及した今、少しの違いで混乱を生じることにもつながるので、この記事を書きました。
すでに「?」と思っていらっしゃる方のご参考になれば幸いです。

 
 

魔法のメガネ マクロビオティック 桜沢如一

 
 

(魔法のメガネ リメイク版

 
 

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