毎日暑いですね。
こんなに暑くなると、冷たく冷やした果物が美味しいのですが、あなたはどんな基準で果物を選ばれますか?
マクロビオティックをされている人なら、なるべく輸入物の果物は避けるでしょうが、国内産の果物でも栽培方法によっては避けたいものがありますね。
消費者のニーズによって次々と品種改良されるだけでなく、薬品処理が施されている果物も多くなりました。
昔、種なしスイカを売りだしたところ、見た目に違和感があってさっぱり売れなかったという話を聞いたことがあります。
絵に描いたときのあのスイカの種が無意識にインプットされているからでしょうか?
それと似たような話で、無音の掃除機を作ったけれどそれも売れなかったとか。
なんでも、吸っているか吸っていないか分からないからだそうな。
世の中では常に何かの改良を研究しているのでしょうが、その改良が良いものばかりなら結構なのですが、中にはしない方が良い改良もありますね。
単にズボラ人間を増やすだけという改良も多々見受けられるからです。
ところで、Facebookに種なし果物についての記事がありました。
吉富さんは家業が青果業だけに情報もたくさんお持ちだと思うのですが、マクロビオティックの視点もお持ちなので、「いのち」を大切に考えた記事になっています。
種なし果物。あなたは買いますか? 召し上がるのをやめますか?
ちなみに私は息子を育てるときに種なしは選ばず、買い物を頼むときには「種ありを選ぶように」と言って行かせましたが、最近はその買い方では買える物が少なくなって来ました。
今はお世話になっている京都の自然食品店から果物を送ってもらっていますが、ここから届く果物には種がデーン!と大きな顔をして入っています(笑)
見かけと食べにくさより「安心と美味しい」が嬉しい果物です。
<種なし> 吉富信長さんの記事より
流通されているバナナはすべて種なしバナナです。原種の本物のバナナって見たことありますか。原種のバナナは、実の中にぎっしり種が詰まっています。本来なら次の世代の子孫たちがそこには入ってるんです。
年々種なし果実の需要が高まっています。それは食用としては仕方のないことでしょう。単価も、本来の「種あり」より、「種なし」の方が高いので、農家さんも技術を駆使して作るところが年々増えています。
種なしぶどう、種なし柿、種なしすいか、種なしライチ、種なしびわ、種なし桃、種なしいちじく、種なしザクロ、種なしカボスにその他種なし柑橘類など。種なしという概念は、消費者が食べやすいように考えられた技術のひとつです。
そもそも、種なし果実はどうやってできるのでしょうか。
種なしを作る方法は果実の種類によって違います。
種なしぶどうは最初から種がないのではなく、あくまで種なしにしやすい品種に、栽培において植物ホルモン剤の「ジベレリン処理」をすることで「種なし」にします。
ジベリン処理とは、天然成分由来の薬品であるジベリン液を使用して、受粉しなくても、房をジベレリン液に浸すことで実を作ることができ、結果、受粉していないので種なしブドウができるという処理です。
具体的には、ジベレリンを水に溶かして、開花する約2週間前にぶどうをひと房ひと房にこの水に浸していきます。ジベリン処理をすることで、同時に、果実を肥大化させることができ、とても見栄えのいいブドウができます。
本来であれば、受粉するめしべの中で植物ホルモンが盛んに作られますが、ジベレリン処理をすることによって、受粉と受精が終わったとぶどうに錯覚を起こさせ、種なしにするわけです。
種なしバナナは、遺伝子の突然変異が起こり、偶然の産物として生まれたといわれています。種なしバナナの繁殖方法ですが、種がなくても茎の根の脇から出てくる新芽を選び出し、その苗を育て、ある程度大きくなったところで大きな畑に植えかえるようです。
種なしの温州みかん、種なし柿の場合は、こういった人工的な処理は行わずできます。
果物には、受粉しても受精ができず、そのため種ができないまま果実に成長するものがあります。(単為結果(たんいけっか)といいます) 単為結果の果実は、種なしの温州みかん、種なしの柿(の一部)、種なしいちじくなどがあります。
温州みかんは花粉の発達が悪いため、受粉しても受精できず、種が出来ないのです。そして温州みかんは「雄性不稔(ゆうせいふねん)」という花粉が発達しない異常性質を持っています。
しかし、果実に種が無いと、本来、木はその実には栄養を送ろうとしません。そうすると、味ももちろん種ありに比べて落ちますし、大きくならないのです。果実が大きくならないと商品として価値がありませんので、そこでホルモン剤と化成肥料の登場です。これらにより、人工的に果実を肥大化させます。そして、店頭にならべてあるような見た目が立派な大きさの果実が出来上がるわけです。
※ただし一概には言えません。子房内の植物ホルモンが多いと、種がなくても子房が成長するパターンも多々あります。
種なしすいかは普通のすいかの芽に「コルヒチン」という物質の薄い水溶液をつける処理をします。コルヒチンは染色体異常(染色体の倍加)を誘発する作用があるため、これを利用して種なしスイカを作ります。
種ができない理由は、コルヒチンにより、通常の染色体である2倍体から4倍体に変化します。そしてその4倍体のめしべに2倍体の花粉を受粉させることで子どもは3倍体になります。この3倍体のすいかの種を育てると種なしすいかができるのです。
種なしびわ「希房」という品種も3倍体です。希房は「田中(4倍体)」と「長崎早生(2倍体)」を掛け合わせた品種です。しかしそのままでは実がつきませんので、種なしぶどうのようにジベレリン処理を行い、果実を着果・肥大させます。
さて、これらのホルモン剤などを使用した果実は、一般的に人体には全く害がないとされていますが、実際にはどうなんでしょうか。人間が効率よく果実を食べるための知恵であり生産技術といえばそうなるでしょう。私たち動物は本来「いのち」あるものを食べて生きていきます。種なし果実はいのちのないものなのでしょうか。そこに良いも悪いもないかもしれませんが、自然界では異常種であり、不自然なものであることは変わりありません。それが主流になった今、消費者として私たちはどう考えるべきでしょうか。
(京都 つる家)