産婦人科医院でのお食事やマクロビオティックのこと

むそう塾のサイトから次のようなお問い合わせがありました。
もしかしたら同じようなところで引っかかっている方もおられるかも知れませんので、記事にしてお返事をさせていただきます。

<Aさんからのメール>

マクロ美風様

いつもブログを拝見しております。

5月の東京マクロビオティック陰陽講座に参加し、冷えとりについて質問した者です。

さて、私は今40歳独身です。
大学を卒業してから社会人として会社員、派遣社員、パート、と仕事してきました。
ここ何年かは会社にうまくなじめず、転職を繰り返しています。
単にこらえ性がないだけなのですが…。
ずっと事務職でしたが、
机に座っている仕事から離れたくて仕事を探していたところ、
産婦人科医院の厨房で働くことになり、勤め始めて2週間ほどになります。
ちなみに調理師免許は持っておりません。
職種は配膳係です。

お食事がとても豪華、です(そこが「売り」らしいです)。
妊娠は病気じゃないし、栄養をつけなければいけないからかもしれませんが、
ガッツリこってり系、ふだんおうちじゃ作らないような手の込んだお料理のオンパレードです。

マクロビオティック的にどうなの? と思わざるをえないところは多々あります。
もちろん白いごはんです(たまに五穀米を使うらしいです)。

お昼はまかないで妊婦さんのお食事と同じものをいただくのですが、
私はベジタリアンということにしてお肉は遠慮させていただいております。
動物食を避けるのがマクロビではないとは思いますが…。
お魚の日もあるのですが、それはいただいております。

いままでずっと玄米を食べてきて(パスポートレベルとはいかないかもですが)、
今後、この仕事をしていく上で暮らし方、食べ方に気をつけることはありますか?
体を動かす仕事がしたかったので、頑張りたいと思っています。

今は朝を抜き、夜も玄米ごはんとお味噌汁などで、軽めにすますようにしています。

仕事が早く上がれたときに、先輩と話したのですが、
玄米餅、(イキナリ玄米だと厳しいかもしれないので)胚芽米を提案してみたら、
興味をお持ちのようでした。
朝食は女性陣が考えるそうなので、うまくいけば採用されるかもです。
新しい風を吹き込めれば、とも思います。
別のトコですが、マクロビの教室に2年ほど通ったので、そのことも活かしたいです。

以上、長くなってしまいましたが、アドバイスいただけるとありがたく思います。

以下、短い質問です。

塩糀やあま酒について美風さんはどのようにお考えでしょうか?

また、私も中川さんのおっしゃる「塩大豆」を作るひとりですが、
素人が味噌を作ることについてはいかがですか?
ブログのどこかで読んだ記憶があるので、その記事を教えていただければと思います。

それではよろしくお願いいたします。

 
 

<マクロ美風より>

東京での陰陽講座にご参加いただきましてありがとうございました。
その際のご質問もよく覚えております。

さて、産婦人科医院で働き始められたとのことですが、私が28年前に息子を出産した当時でも、お産は女性の一大行事だからと豪華なお食事(フランス料理のフルコース)を出して、出産のための入院費用が100万円なんて医院がありました。
結構人気で予約が殺到していたようです。
私がお世話になった産婦人科医院のお食事は、普通のメニューですが量は全体的に多めで、夕食は食べきれない量なので、立ち寄ってくれた夫に半分食べてもらったほどでした。

その時の病院の方針をお聞きすると、お産で消耗した体を早く快復させることと、授乳するとお腹がすくのでそのために量を多くしているということでした。
授乳したことのある人なら誰しも口を揃えて「おっぱいを飲ませるとお腹がすくよね〜」とおっしゃいます。
私の場合はむしろ退院して、息子の飲むおっぱい量が増えてから空腹を感じるようになりました。

しかし、助産師さんのところで出産すると、あまりカロリーオーバーのお食事はむしろ乳腺炎の原因になったりすることを知っているため、玄米ご飯を採用されているところも多いですし、体験した塾生さんを通じてそのような情報も入って来ます。
それでむそう塾には助産師さんも何人か通われていて、熱心に勉強されています。

新しい風を吹き込めれば、とも思います。
別のトコですが、マクロビの教室に2年ほど通ったので、そのことも活かしたいです。

それはちょっと待った方が良いと思います。
まだ2週間ですよね? 今はお仕事を覚えて、先輩たちにご迷惑をおかけしないだけのお仕事を出来るようになることが先決だと思います。
そして、良い仕事をする中で信頼関係も築けて、あなた自身の言葉に耳を傾けてくださる環境が調うまでは、マクロビオティック云々は口にされない方が良いです。
どうもマクロビオティックの教室には、習ったその日から広めることを促すようなところもあるようなので危惧しています。
それではまるで新興宗教の勧誘と同じになってしまいます。

まずはご自分で体験してみて、確実にそうだと思える経験や説得力を蓄積した上でなければ、安易にマクロビオティックの理論だけを第三者に振りかざすのは良くないと思います。
決して頭でっかちのマクロビオティックをしないでくださいね。

今後、この仕事をしていく上で暮らし方、食べ方に気をつけることはありますか?

あなたは2年間マクロビオティックの教室で学んだと書かれています。
それならば、ご自分でそれを実践されてはいかがでしょうか?
その上で暮らし方や食べ方を調整して行くのがマクロビオティックなのです。
私はその調整ができないうちは、第三者にマクロビオティックを説く資格はないと思っています。
資格とは、教室や指導校が発行した紙切れではないのです。
実力です。
ぜひこれからご自分の体を実験台にして、たくさん勉強してみましょう。
そして最高に調子の良い状態で働きましょう。

そうこうしているうちに、あなたのその元気さとパワフルさに感動して、「どうしてそんなに元気なの?」と聞かれた時に初めてマクロビオティックのことを口にすることが可能だと思います。
まずは実力をつけましょう。

塩糀やあま酒について美風さんはどのようにお考えでしょうか?
素人が味噌を作ることについてはいかがですか?

塩麹・甘酒・味噌ともに発酵食品ですね。
発酵食品は私たち人間より繊細な世界を生きているので、それらを作る場所の環境がダイレクトに影響します。
前段(塩麹・甘酒)のご質問はアバウトすぎるのでお返事に困りますが、発酵食品の陰陽をよく考えてお使いになるのなら良いでしょうが、過信は禁物です。

後段のお味噌を作ることに関しては、結論として「餅は餅屋」に任せましょうと言いたいです。
理由は現代はお味噌にとって最善の環境を整えにくいからです。
でも、その条件を満たせるのなら作っても構いませんが、仕込んでから3年は寝かせてほしいです。
ブログ記事の紹介をとのことですが、過去のブログ記事よりこのお返事があなた向けなので、こちらを参考になさってください。

以上、厳しいことを書きましたが、ご縁を生かしてあなたがより良い体調になって、嬉々として働いてくださることを願っています。
そのためには陽性を意識してくださいね。
あなたは陰性が勝っていましたよ。
お世話になっている職場でせっせと体を動かして、行動の陽性さも注入できるようになれば、こらえ性の問題も変化してくる可能性があります。
毎日暑い日々が続きますが、どうか頑張って乗り越えてください。
少しでも涼しそうな写真を選んでおきますね。

 
 

京都 瓢亭

 
 

(京都 瓢亭)

 
 
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コメント

  1. てんこ より:

    美風さん、こんにちは。
    強く頷きながら上記記事を読ませて頂きました。

    >そうこうしているうちに、あなたのその元気さとパワフルさに感動して、「どうしてそんなに元気なの?」と聞かれた時に初めてマクロビオティックのことを口にすることが可能だと思います。
    >まずは実力をつけましょう。
    本当にその通りですよね。
    マクロビオティックを実践している人が元気で魅力的な人であれば、誰もがそのライフスタイルに興味を持って自然に真似したくなると思います。

    信頼関係が築ける前にマクロビオティックを取り入れるよう提案してもし受け入れられなかったら、折角良いことをしようとしたのに受け入れられなかったという不満を感じてしまう恐れもあります。
    私は患者さんとお話していて、相手に受け皿がないとどんなに言葉を尽くしても響かないという感触が有るので、相手が求めていないと感じることは無理に話さないようにしています。
    逆に、この人(私)の話は聞く価値があるかもしれないと患者さんに感じてもらえた場合は、どんな小さな提案もきちんと耳を傾けて頂けるように思います。
    結局自分の言葉に説得力をもたせるためには、日常のなかで信頼を得るような行動を少しずつ積み重ねるしかないというのが私なりの結論です。

    正しくマクロビオティック的なお食事が産婦さんに提供されることはとても安心なことです。
    Aさんのお仕事によって妊産婦さんの生命力が生かされる日がきますよう、私も応援しています。

    • マクロ美風 より:

      てんこさん、おはようございます。

      >マクロビオティックを実践している人が元気で魅力的な人であれば、誰もがそのライフスタイルに興味を持って自然に真似したくなると思います。

      そうそう、そうなんです。
      生き方も含めて納得してもらえる材料が揃っていないと、なかなか理解してもらえないのがマクロビオティックですね。

      >私は患者さんとお話していて、相手に受け皿がないとどんなに言葉を尽くしても響かないという感触が有るので、相手が求めていないと感じることは無理に話さないようにしています。

      そうですね。その感触は目つきでも分かりますね。
      私は相手が求めた時だけ話すようにしています。
      そして、それは家族に対しても同じです。

      >結局自分の言葉に説得力をもたせるためには、日常のなかで信頼を得るような行動を少しずつ積み重ねるしかないというのが私なりの結論です。

      これが一番大事ですね。
      私も常にそのことを心に留めて生きています。
      恩師もそのことを徹底しすぎるほど徹底されていましたので、私の中にはその姿が当然のように存在しています。
      まずは自分から。これは不文律ですね。
      これは単にマクロビオティックだけのことではなく、世の中で尊敬出来る人にはこのような生き方をしている人が多いので、私の生き方の基本としています。
      と同時に、自分への戒めともなっています。

      • てんこ より:

        美風さん、お返事ありがとうございます。

        >まずは自分から。これは不文律ですね。
        >これは単にマクロビオティックだけのことではなく、世の中で尊敬出来る人にはこのような生き方をしている人が多いので、私の生き方の基本としています。

        私にとってはまさに美風さんと中川さんが素晴らしいお手本です。
        他の人からは無駄と思われるような行為でも、お二人を思い浮かべると意味のあることとして自信をもって行うことができるのです。
        人生の師と思える方に出会えることは非常に幸運で、今の世の中ではまれなことかもしれないですね。
        むそう塾に出会えた幸運を思うだけで、自分の人生がどんなに満たされた物か分かります。
        ですので何のためらいもなく、自分の幸運を他の人にもお分けしたい心境になるのです。

        まずは自分から。
        足がしっかり地についた心地のする言葉をありがとうございます。

        • マクロ美風 より:

          再びのコメントをありがとうございます。

          身に余るお言葉をいただいて恐縮してしまいます。
          私も中川さんも男女の違いはあるはずなのに、妙に生き方の基本が似ています。
          時々そんな話をして笑うのですが、きっと私に男度が多いためだと思います。
          私の思考パターンが男っぽいので、打ち合わせをしてもスムーズに進みます。
          反対に中川さんの中には女性のような繊細さが隠れているので、それが私の思考の隙間を埋めてくれます。
          かなり陰陽バランスの取れた組み合わせかなと思っています(笑)

          >人生の師と思える方に出会えることは非常に幸運で、今の世の中ではまれなことかもしれないですね。

          そうですね、なかなか自分が目指したい人に出会うのは難しい時代だと思います。
          でも、私は良き人生の師に恵まれました。
          ですから、目指す方向ははっきりしています。
          そして中川さんとも目指す方向が一致しています。
          その方向はかなりハードな内容ですが、ともに「子供に顔向けの出来ない生き方はしたくない」という大枠があります。
          かなり地道で毎日(毎分)努力が必要な生き方ですが、満足度はあります。
          自分の身の丈にあった生き方をする。
          それでいいんじゃないかなと思う今日このごろです。

  2. A より:

    美風様

    記事にしてくださりありがとうございます。

    そうでした。
    まだ勤め始めて間もないのに思いあがりでした。
    まずは職場で力となれるよう頑張ります。

    マクロビオティックを学んだときに、
    「人に無理に勧めないようにしましょう」
    と言われたことも思いだしました。

    妊婦さんはかわいらしい方が多く、娘を見守るお母さんの気持ちになります。
    廊下から新生児室の赤ちゃんを見られますが、
    通るたびに笑顔になっている自分がいます。
    独身の私、母を通り越して、イッキにおばあちゃん? です。

    この仕事についてから、笑顔でいることが増えたように思います。
    また、休日でも普段通り起きて、家事ができるようになりました。
    少しずつでも変わっていけたら嬉しいです。

    • マクロ美風 より:

      Aさん、こんにちは。

      >妊婦さんはかわいらしい方が多く、娘を見守るお母さんの気持ちになります。

      私も同じ気持ちになります。
      塾生さんが妊娠されると、私はすっかりお母さんを通り越してお婆ちゃんの気持ちになったりします。

      >廊下から新生児室の赤ちゃんを見られますが、
      >通るたびに笑顔になっている自分がいます。

      そうなんですよね。赤ちゃんを見ていると多くの人が吸い込まれるように笑顔になって行きます。
      これが「陽性」の力ですね。
      Aさんもここを目指しましょう。

      >この仕事についてから、笑顔でいることが増えたように思います。
      >また、休日でも普段通り起きて、家事ができるようになりました。

      素晴らしいじゃないですか!
      それは環境から陽性をもらえているってことですね。
      食べ物だけではないマクロビオティックの陰陽を、この職場でしっかりと検証できるといいですね。
      私も応援しています!

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