レシピなしの料理 – – 私の場合 – –

私は小学2年生からお料理を作っていました。
まだ背が低いので、みかん箱を伏せてその上に乗って作業をしていました。
家にレシピはなく、母の手元や後ろ姿を頼りに真似をするところから始まりました。
家には計量スプーンも計量カップもありませんでした。
でも、母の作るお料理は美味しいと近所でも評判でした。
毎晩父とお酒を酌み交わすために、一人また一人と男衆がやって来て、まるで我が家の茶の間は小料理屋のようでした。
毎晩12時ごろまで男達は茶の間で世の中の話をしていました。
そんな環境の中で、私はお料理を覚え、男達の本音を知り、時代に翻弄された父や母の苦しみも知りました。
母は下戸なので、一切お酒の相手はしませんが、男達と話はたくさんしていました。
論理的で愛情があって、いい話だったなぁと今も思います。
父がお酒を酌み交わし、母がお料理と話で心を通わせる、そんな我が家が、そんな両親が好きでした。
現実的には母はお料理や後片付けで大変だったろうと思います。
でも、ひと言も愚痴らず、きちんと正座をして話をしていました。
長い捕虜生活から命だけ持って帰還した父を大事にしていました。
そんな日々の中で、子供心に私は必死に生きることを、空気のように感じたのだと思います。
娯楽なんて何もありません。
家族旅行もありません。
ただ働くだけ。
でも心は満たされていました。
母の後ろ姿を見ながら(これが結構勉強になる)覚えた料理は、私の舌と手が覚えています。
ただ残念なことに、私は中学を卒業すると同時に家を出ました。
9キロ離れた町に一人住まいをして高校に行きました。
だから、母の料理はそれ以降学べていないのです。
今思えば惜しいことをしました。
レシピはなくてもお料理は作れます。
お料理に必要なのは、心であってレシピではないと感じる今日この頃です。
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コメント

  1. つむぎ より:

    美風さん こんにちは。
    コメントのお返事と別に、素敵な記事を書いて下さいましてありがとうございました。

    コメントを書き始めたら長くなってしまったのでメールさせていただきました。
    どうぞよろしくお願いします。

  2. マクロ美風 より:

    つむぎさん、こんばんは、

    お忙しい毎日の中、このように貴重な文章をお寄せいただきありがとうございます。
    とっても嬉しかったので、早速記事にさせていただきました。
    http://blog.goo.ne.jp/macro21/e/bf4feb7e0a5d8cf662e23926433dfd97
    お子様の成長を我が子のように楽しみにしております。

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