数あるマクロビオティック料理教室の中でも、むそう塾はかなり独特のスタイルで運営しています。
マクロビオティックの料理教室なのに動物性のお料理も教えたり、玄米ご飯やお料理を投稿させたり、包丁砥ぎや桂むきの特訓期間があったり、初めての人は何がなんだかお分かりにならないかも知れません。
でも、それらはすべてお料理を教わった人が正確に再現できるようにするための方法なのです。
お料理は教えただけではなく、実際に作ってもらってその結果を確認しなければ正しく伝わったとは思っていません。
間違ってもレシピをもらっただけではお料理は習ったことにはならないのです。
確実に伝える。
それを貫くためにこのようなスタイルになりました。
では、以下にむそう塾の入門クラスである「愛クラス」の背景をご説明しましょう。
<中川善博の履歴>
中川善博は京都生まれの京都育ちです。
高校を卒業すると同時に京都の老舗料亭「萬亀楼」で7年余り修業を積み、その腕の良さと研究熱心さには定評がありました。
その後自分のお店を持って16年間大繁盛のお店を営業するも、最愛の妻をスキルス性胃癌で亡くし、乳飲み子と病気の母親を残されました。
ここから彼の運命は変わります。
子育てと親の介護のため、彼はお店をたたんでピザのデリバリー店に就職しました。
ここでは商品開発部長として、持ち前の研究熱心さで次々と新商品を開発するのですが、その時の恐ろしいほどの試食がたたって体はボロボロになり、健康診断ではいくつも引っかかるようになって、体重も3桁になってしまいました。
<中川善博とマクロビオティックの出会い>
ちょうどその頃、お嬢さんが「私、こんなの食べたい」と一冊の本を持って来ました。
それがマクロビオティックの本だったのです。
またここで彼の運命の歯車が一つ進みました。
彼はその昔、妻を何とか助けたいと思って、実は食養を勉強して桜沢如一の本を何冊も読んでいたのでした。
玄米もさんざん炊いたのでした。
しかし、その玄米を当時小学生だった息子さんは食べたがらなかったのでした。
そんな過去がある彼はここで持ち前の研究心にスイッチが入ったのです。
そうこうしているうちに母親の容態は悪化してきて、もう昼間も留守に出来ない状態になったため、ピザのお店を辞めてしばらくマクロビオティック料理の研究をしていました。
まずは最新のマクロビオティックを知る必要があると思い、小淵沢にある某マクロビオティック指導校に行ったのでした。
そこで出された玄米ご飯があまりにも不味いことに衝撃を受け、玄米の炊き方を本腰を入れて研究し始めました。
玄米の種類や鍋や炊き方を変えながら研究は続き、200通り以上の炊き方を研究したそうです。
研究していたマクロビオティック料理をブログに載せているうちに、あまりにも美味しそうで実際に食べたいという声があちこちから届くようになったので、住まいの1階に小さな玄米菜食のお店を出しました。
また歯車が一つ進みました。
<マクロ美風と中川式玄米ご飯との出会い>
そこで出された玄米ご飯は、一般的に私達が玄米ご飯だと思っていた概念を軽くくつがえし、「え? 白米なの?」と錯覚するほどほんわりとやわらかくて色白でした。
私が初めてこの玄米ご飯をいただいた時、申し訳ないのですが何割か白米を入れているのかと思ったほどです。
そして玄米独特の臭さがないので二度びっくりでした。
何度通ってもまったく同じ炊き上がりの玄米ご飯に唸るとともに、彼のプロとしての意地をみた思いがしました。
「どうしたらこんなに美味しい玄米ご飯が炊けるのだろう?」。
ずっと私の頭から離れないその秘密を知りたくて、ある日思い切って彼に訊ねてみました。
(企業秘密だからきっと教えてくださらないだろうと思いながら。)
すると彼はタタターッと早口で手順を話してくれました。
私はそこで「!!」とウロコが落ちたのです。
「私が今まで炊いていた方法よりもっと陰陽を踏まえた炊き方だったのだ!」これに尽きました。
あれほど陰陽を勉強していたのに、玄米ご飯の炊き方については手落ちがありました。まさに盲点でした。
<なぜ玄米ご飯が嫌われるのか?>
私はそれまで某マクロビオティック指導校で教えられた炊き方をしていましたが、その炊き方だと夏になると玄米ご飯が入らなくなるので、麦や小豆を混ぜたり土鍋で炊いたり、炊き方をもう少し陰性にしたりしながら調整していました。
しかし玄米ご飯を食べる年数が長くなると、どうしても重く感じるようになって、玄米の美味しさが今ひとつになっていたのです。
現に私より長い間玄米を食べ続けていた先輩は、もう土鍋炊きか白米か麺類でなければ体が受けつけない人が何人もいました。
美味しさ以前に長い間食べ続けられない玄米の炊き方というのが問題であることに私もそろそろ気づいていたのでした。
彼のお店に通いながら玄米ご飯のことを話す機会が増えて、その時に彼の話した言葉が私を大いに納得させました。
「一生食べ続けられるものでないと主食とは認めません。」
そうだ! そうだったのです!
白米なら毎日食べても飽きないし、一生食べ続けられるではないか!
それが出来る炊き上がりの玄米ご飯でなければいけないんだと、やっと腑に落ちた私なのでした。
しかし玄米はそんな生易しいものではありません。
玄米を嫌う人がいるのはなぜか?
特に子供はなぜ嫌がるのか?
それをマクロビオティックの先生に質問したことがありますか?
きっと次のような答えが返ってきたのではないでしょうか?
・「それはその人が陽性なのよ〜」
・「子供は陽性だから、白米より陽性な玄米を嫌うのよ〜」
といったところでしょうか。
しかし、答えは簡単。まずいから嫌がるのです。
子供は特に正直なので、まずいと食べてくれません。。
その他の玄米嫌いの人は、過去にパサパサとして不味い玄米ご飯を食べたことがあるか、玄米独特の臭いが嫌なこと、そして炊き上がりが硬いこともあげられます。
人間は正直なもので、美味しいものは能書きを言わなくても食べてくれます。
食べるスピードも速いです。
健康のために我慢して玄米を食べるのではなく、美味しいから玄米を食べる。
体調がいいから玄米を食べる。
そんな食べ方が出来るのが京料理人中川善博の編み出した玄米の炊き方です。
お年寄りも子供も男性も女性も、金属アレルギーのある人も、みんなで一つ釜の飯を笑顔で囲める炊き方は、気の遠くなるほどの試作を繰り返した結果です。
<白米と玄米では体への影響力が異なるので注意点もある>
ご飯を炊いた経験がおありの方はよくご存知だと思いますが、少量のご飯を美味しく炊くのは難しいものです。
それが玄米となるとさらに難易度は高くなります。
そんなにしてまで玄米を食べなくても良いという声も聞こえて来そうですが、やはり玄米の力は特筆すべきものがありますし、この中川式で炊いた玄米ご飯は白米に勝る美味しさがあります。
深みと旨味が一体となっているので、白米を食べると物足りなさを感じます。
それは当然かと思います。なぜなら米糠部分が全部なくなっているのが白米ですから、その部分の旨味が不足するのも納得できます。
そしてそれは美味しさだけでなく、確実に栄養面でも体に与える影響が白米とは格段に違います。
しかしそれは、玄米の良さがすべて体に吸収されて初めて効果が出ることであって、頭で栄養価だけを考えて食べても炊き上がりが不完全だと玄米のマイナス面が前面に出て、かえって体調を悪くしてしまいます。
もしあなたが今、玄米を食べているのに体調が良くないなら、それは玄米の炊き方が間違っているのかもしれません。
その場合は玄米の炊き方を変えるか、無理をしないで白米か分づき米にされることをお勧めします。
そのまま続けていると、間違いなく胃腸を傷めつけてしまいます。
<中川式玄米の炊き方は責任ある独特の指導法>
こだわり屋で研究熱心な京料理人中川善博が追究した玄米の炊き方は、亡き妻のように病気になる人を出さないため、病気の人も健康な人も一緒に食べられるため、そして、それを食べた人に幸せになってもらいたいための方法でした。
教えっ放しにしないで、きちんと炊けるようになるまでマンツーマンで直接メールと写真や動画のやりとりをするのは、どこまでも責任ある指導をするためです。
他のお料理教室に比べて面倒くさい方法だと思われることでしょうが、ここまでしなければお料理は正しく伝わらないということをプロとして知り抜いているからです。
ましてや難易度の高い玄米ですから、一方的な教え方では習った人のその後の健康に責任が持てません。
どこまでも責任のある仕事をしたい。
それがむそう塾スタイルです。
特異な指導方法ですが、ご理解をいただけましたら嬉しく思います。
<玄米の炊き方教室 愛クラス>
なお、むそう塾では玄米の炊き方を伝授する「愛クラス」をほぼ毎月開催しています。
開催予定日はサイトの「これから開催予定の講座」でお知らせしています。
直近の開催予定は6月28日(日)になります。
(中川式玄米ご飯 料理:京料理人 中川善博)