先日シャンソン歌手の若林ケンさんのお店に行った。
12月27日で閉店するということなので、想い出の場所を目に焼き付けておくために。
マイクを持つケンさんは、70歳を過ぎた人とは思えないほどエネルギーがある。
声量が相変わらず素晴らしいうえに、前にも増して色っぽくなっていた。
それは世間一般でいわれる単純な色っぽさではなく、魂から絞り出すような強烈な色香だ。
女の色気と違って男の色気に私は弱い。
女は女であるだけで色気を出せると思っているが、男の色気はそうではない。
男の場合はそこに人生のすべてがかかっているのだ。
ふと思う。
世の中からこの色気を除いたら、なんとつまらないことだろうか。
デキル男には色気がある。
なぜかというと、デキル男は人の心をつかむのがうまいからだ。
物事は心をつかまれて初めて動く。
本来のビジネスはそういうものだ。
物にも色気がある。
ジョブズが生きていた頃のMacやiPhoneにはまさに色気がたっぷりあった。
まるで美術品のように。
お料理にも色気がある。
これがあるかないかで美味しさの感じ方が異なってくる。
色気のない人生は悲しいな。
この場合の色気は心意気とでもいおうか。
ありきたりではなく、意外ななにか。
それが私の思う色気だ。
思わぬ場面で色気を感じると、人生が何倍も愉しくなる。
感動する。
ケンさんのお店が終わってから、一緒にお食事に行った。
ワインをいただきながら、ケンさんとの出会いは私に色気の奥深さを教えるためだったのかと思った。
もしかしたら、本物の色気ってこういうものかもしれない。
安っぽい色気ではなく、本物の色気に出会えたことに感謝。
ケンさんはお店を閉めてもコンサートは続けるので、着々と次の仕事の準備をしている。
毎日唄う環境を維持するために、新しくスタジオの用意もした。
ケンさんは毎日練習を欠かさないのだ。