4月28日に糠床を発送してから10日ほどで、すでに糠床が危篤状態になっている人が何人かおられます。
その方たちに共通の現象が、次から次と野菜を入れすぎて発酵が間に合わないことです。
発酵が間に合わないのに野菜を入れるとどうなるのか?
そこのところが理解出来ていないんですね。
糠床の発酵が弱まって塩分が少なくなると、酸味もしょっぱさも薄れてしまってSOS状態になります。
ずーっと観察していて思うのですが、新人さんはお漬物を漬けた経験がなくて、お塩の量の見当がつかないというのが正直なところでしょうか。
こんな会話がありました。
中川:塩入れた?
塾生:入れました!
中川:どのくらい?
塾生:小さじ1杯です!
中川:_| ̄|○
糠床を一般のお料理と同じように考えているからこそ、小さじが登場する感覚になるのだと思います。
しかし、糠漬けは紛れもない漬物です。塩蔵です。
ですから当然のことですが、糠床の塩分状態は漬け上がった野菜より濃い塩分状態でなければなりません。
そこに生の野菜が入って浸透圧の作用によって漬物になるわけです。
このことを理解していなかったら絶対糠漬けは作れません。
高校の生物の授業で習った浸透圧の作用をしっかり思い出してくださいね。
このことを頭に入れてもう一度糠床のことを考えると、野菜をたくさん入れればそれだけ多くの水分が糠床に増えることになり、結果として糠床の塩分濃度は薄くなってしまうこともお分かりですね。
それから、糠漬けと塩漬けの違いは、糠床には発酵の力が加わるということです。
その発酵の力が塩漬けにはない旨味となって、独特の美味しさに生まれ変わるのです。
そのために、糠床は絶対発酵していなければなりません。
糠床の発酵の力以上の野菜を入れてしまうと、糠床の微生物のバランスが崩れてしまって、漬ける力が確実に弱まって来ます。
そして、その結果が腐敗に至ります。
中川式糠床をお届けして10日ほどで一気に糠床のバランスを崩した人は、必ず上記のどれかに該当します。
糠床の中はあなたの腸の中と同じです。
良い菌も悪い菌も両方いて、いつもしのぎを削っているのです。
その微妙なバランスの上に成り立っているのが、美味しい糠漬けです。
糠漬けを美味しく漬けるためには、まずこの微生物の世界の構造を理解すること、そして、糠漬けは塩蔵法の一つであること、さらには浸透圧の仕組みを忘れないこと、これに尽きます。
ポイントは酸素を操ることですね。
糠床は生き物ですから、私たちと同じく酸素が必要なのです。
最初は難しく感じるでしょうし、事実難しいのですが、むそう塾では徹底したサポートをしていますから、ぜひ糠漬けを漬けられるようになってください。
あ、そうそう。
お味噌をそのまま舐めるとしょっぱいですよね。
あれより糠床の塩分は薄いのですが、その塩分をキープするにはお料理感覚ではダメで、手づかみの塩分量であることを頭に入れておいてください。
指でつまんだ塩分量ではありませんから、念のため。
過去記事にも糠床に関するものがたくさんありますから、ぜひお読みいただいて頭の中に叩き込んでください。
そして「今、何をすればよいのか?」を判断出来るようになってください。
そうでないと美味しい糠漬けは漬けられません。
<過去記事>
・糠床注意報 塩分不足に注意 2013.7.2
・<必読>中川式糠床の注意情報 2013.6.30
・糠床と塩分の関係 2012.7.2
・糠床の塩分と糠床の表面 2012.5.31
・糠床と塩味の感じ方 2011.7.1
・必読!「糠床の管理方法1 塩加減」 2011.6.27
これらの過去記事は浸透圧との関係で書いたものですが、他にも「中川式糠漬け」のカテゴリーを開いていただくと、220以上の糠漬け関連の記事があります。
この記事の中には混ぜ方についての説明が丁寧に書かれていますし、激混ぜの動画もあります。
ぜひ参考になさってください。
分からないことは、ブログの左側にある「ブログ内検索」を駆使して、必要な記事を引き出してくだされば、必ずあなたの知りたかった情報があります。
中川さんに助けを求めることも良いのですが、ご自分で納得するまで調べておかないと、いつまで経っても自信がつきません。
ぜひ、このブログを活用して糠漬けが得意な人になってください。
あなたとあなたの周りの人の健康のために。
(中川式糠漬け 瑠璃茄子 マクロビオティック京料理教室 むそう塾)
茄子は糠床の酸味と塩分状態を知るために最適な野菜です。
必ず1個はいつも漬けておきましょう。
写真のように外側の青みを帯びた濃い紫から、その内側の赤みを帯びた紫(ボルドー色)を経て、薄いクリーム色がかったゾーンに到達するのが理想的です。
こんなふうに漬かると、何時間経っても何日経っても瑠璃茄子色は変色しません。
美風さん、糠漬け関連の記事を教えてくださりありがとうございます。
小匙一杯のやりとり、ちょっと面白かったです(笑)でも、私も漬物初心者なので、あまり笑ってもいられません…。記事をよく読んだ上で、今日の糠床さんの様子に合わせたお世話をしたいと思います。