硬い桃

梅雨時は当然のことながら雨が多くてうっとうしいのですが、この季節は果物が豊富にあって嬉しい季節でもあります。
私は果物が大好きだったのですが、マクロビオティックを始めてから果物が陰性とのことで避けるような食箋を出されて悲しかったです。
でも、サクランボやリンゴは比較的OKな雰囲気だったので、ホッとした思い出があります。
特にサクランボは一時期の旬を楽しむ果物として、私は大好きです。
お中元にもサクランボが届いてご機嫌な日々です^^
ところで、はいじさんのブログで桃がアップされていました。
美味しそうに写った桃の写真を見て、私はあることを思い出すのです。
それは今となっては笑えるお話なのですが、当時の私には血相を変える出来事でした。
それは私が23歳の時、当時は横浜に住んでいたのですが、箱根の某ホテルで開かれるそうめん流しに招かれ、その後は熱海の花火大会に招かれていました。
そうめん流しが終わってから熱海に向かうのですが、主催者側の手違いの結果、熱海に向かう途中のタクシーが何とラブホテルに入って行くではありませんか!
逃げ出す隙を探しましたがなかなかチャンスがありません。
おかしいなあと感じてはいたものの、その男がその筋の人だと判ったのは彼の背中を見た時です。
必死に抵抗した結果、最後の目的を達することが出来なかった男は、観念したらしく妙に優しい顔つきになって、袋からゴソゴソと何やら取り出します。
無造作に取り出したのは、枝も葉っぱもついたまだ若い桃でした。
男 「俺ね、桃が好きなんだ。ここの桃ウマイんだ。お前も食えよ」
私 「あ?、硬い桃って美味しいよね、香りが良くって」
男 「そうなんだ、だけど硬い桃が好きだって女は初めてだな」
私 「だって、子供のころ北海道で食べたことあるよ。」
男 「ふ?ん、お前北海道かあ、オレ山梨。懐かしいだろ」
私 「うん、昔を想い出すわ?」
男私 「ガリッ バリッ」
                *    *    *    *
なんとまあ、少し前に初めて会った男と女が、ラブホテルで交わす言葉でしょうか?
でも、その時にお互いの胸の中にあったのは、郷愁の想いだけだったように思います。
お互いに故郷には長く帰らず、都会の片隅で生きていたのでしょう。
そんな共通の匂いがあったのかも知れません。
手違いも何かの意味があるのだろうから、この際覚悟して手違いスケジュールを遂行しようと腹をくくり、熱海の花火大会も同行しました。
飛び切り美味しいお料理と共に、特等席で観覧する花火大会。
どうやら幹部だったらしく、沢山の人にエスコートされてのひとときとなりました。
深夜、無事横浜に帰りついて、ホッと一息でしたが、何だか不思議な夢を見ているような一日でした。
今のように携帯電話があれば、こんなハプニングは起こるはずもありませんが、現実にこんな人違いで起きたビックリ仰天な出来事があったのです。
ラブホテルの名前も、その時に着ていた私の服も、硬い桃の香りも、妙に覚えています。
知らないのは男の名前だけ。
もうとっくに死んだだろうな。
硬い桃にまつわるほろ苦い想い出でした。

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コメント

  1. azukki より:

    美風さ~ん 
    映画みたいなストーリー。
    お昼休みにドキドキしちゃいました。
    箱根、熱海、ラブホテル、そうめん流し、桃、郷愁、花火、・・・
    昭和な香りがいたします。

  2. 夏目 より:

    美風さん こんにちは。
    桂剥きの息抜きにお伺いしたら、桃からは想像できない内容が(汗)
    ご無事で何よりでした。でも最後に無理強いしなかったその彼も
    なかなかの方ですね。そのまま花火大会に同行なんていうのも
    彼も美風さんもすごいです。
    本当に今となっては笑えるお話ですが、当時は本当に心臓がはち切れそうだったこととお察しいたします。美風さんは人と接するときにいつも愛を持っていらっしゃるから、こういう結果になったのかもしれませんね。
    でもラブホテルで枝付きの桃って笑えます。
    熱海、花火大会 夏ですね~♪

  3. yukarin より:

    お久しぶりです。
    おっかなビックリ拝見いたしました。
    でも、最後はふるさとを思い、ホッとするエンディングですね。
    私もazukkiさん同様、昭和の映画を見ているような感じがしました。
    美風さんはやっぱり多彩な経験の持ち主ですね!

  4. よつば より:

    美風さん
    コワイ体験をされたのですね。
    私ならどうしただろう…と想像しながら読みました。
    美風さんの事だから、とことん話して理解を求められたのかなぁ~と思いました。
    しかし、その後の男性の紳士的な態度がいいですね。
    最近の男性にそんな人はいるでしょうか?今だったら殺されそうだしコワイ…
    もう桃の季節ですね~♪

  5. マクロ美風 より:

    へ~、昭和みたいですか~?
    なるほど、昭和の時代に起きたことですが・・・。
    な~んて野暮なことを(笑)
    まだまだ熱海が全盛期の頃のお話でアリマス。
    そんな熱海にはその筋の人が多かったんですよね~。

    昨日のazukkiさんはノースリーブでお出かけでしたが、私もその日はノースリーブでした・・・・。

  6. マクロ美風 より:

    あはは。
    ラブホテルで枝つきの硬い桃にかぶりつく初対面の男と女って、何なんだろうね(笑)
    それもコワイ男と。。。

    あのね、この場は愛で接するなんて生易しいものではなく、本気で闘ったのです。
    女でも本気になればコワイ人にも気持ちが通じることを実感した貴重な経験でした。

    花火大会に同行したのは、彼の面子のためです。
    その筋の人は面子をとても気にするので、最後はうまく収めておかないと後が大変なことになるからです。
    それにしてもお恥ずかしい話を披露してしまいました。
    馬鹿な私を笑ってください。

  7. マクロ美風 より:

    お久しぶり~、yukarin!
    ずいぶん会ってないね~。
    あれれ、yukarinも映画を観てるようだったの?
    ぐふふ。
    実際にそんな映画だったら笑えるかも^^
    北野武監督でな~んて(笑)

    その筋の人って、結構寂しがり屋さんが多いのよね。
    だから故郷の話をすると遠い目になります。
    私もyukarinも帰れる故郷があるっていいね。
    「あの山の向こうとこっち」
    これがyukarinとの出会いだった。
    な~んだか、カールブッセの詩を思い出しちゃった。

  8. マクロ美風 より:

    (笑)いやはや話し合いだなんて、そんな悠長なものではなく、闘いです闘い。
    私は死も意識しながら、必死で抵抗したんですから;;
    私の必死さに向こうが根負けしたという感じでした。
    逆上させないように自分の気持ちを瞬時で表わす。
    これしかありません。

    それにしても愚かな20代でした(反省)

  9. はいじ より:

    美風さん こんにちは。

    23歳の美風さんにお目にかかったような記事。
    死闘の結果、二人で硬い桃を食べるなんて、まさしく映画みたいです。
    どこをどうしてそのようなことに巻き込まれた(?)のやらと思いますが、きっと23歳の美風さんには男性がするっと入り込む隙があったんですね。
    って、今もきっと女性としての隙?があると思います。
    私は男性じゃないから口説けないけれど・・・^^;

    色っぽくて可愛い隙がある、そんな女性でいたいです。

  10. マクロ美風 より:

    はいじさん、こんにちは。
    はい、恥ずかしながら23歳の私にはそんな隙があったのです。
    そんなこんなを繰り返して、人生って面白いなあと思います。
    だって私は好奇心の塊だから、体験したことのないことは体験したくなるのですよ~。
    そうすると、これでもかーというくらい色んなことがやって来ます。
    ま、氣が整っていなかっただけなんですけどね。。。
    エラソーに人生訓なんて言える私じゃないのですが、そこから学ぶものもありました。

    ところで、はいじさんは充分に女性としての魅力を備えていますよね。
    だから多くの人の憧れになっているのだと思います。

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