今から8年前、陽性な食養がベースにあった私の耳に、逆輸入されて話題になりかけていたクシマクロと呼ばれる新派なマクロビオティックの事が入るようになっていた。
「どんな感じなの?」といろんな人に聞いても「なんだか陰性なの」とか「マドンナがアメリカで実践してからセレブに流行ったの」とか軟弱な意見しか入ってこない。
「ええい!尋ねていては判らん!」と、ちょうど長野に研修施設が出来るとの事だったので一期生として入学してきた。
これはその時にキッチンで撮った写真である。
(講釈師 見てきたような嘘を云い)というのが一番キライな私だ。
内部に入って感じて調べてこそ「あそこはアーダコーダ」と言えるのだとの信念を持って。
3週間みっちり泊まりこみで実習と理論とエクササイズがプログラムしてあり、朝から晩まで休みなく続く授業に陰性な女の子は何人も体調を壊して脱落していった。
「そりゃそうだろう、ふわふわに陰性な体調の子にこんな陰性な食事を教えて食べさせて」と毎日の実習をチェックしながら感じていた。
しっかり学んで最後まで続けるにはやはり「陽」が必要なのだ。と確信したのも覚えている。
とはいえ、この歳になって娘に近いようなお嬢様や昔のお嬢様に混ざってものを習えるという幸せな時間は貴重であった。
自分の今後をじっくり考える(じっくりといっても10分くらいだが)こともできた。
久司道夫さんにも何度かお話ができる機会があり、卒業の時には「あなたはこれから料理でマクロビオティックを広く多くの皆さんに伝えていってください」との言葉を頂いた。
あれから8年、私はマクロビオティック料理と考え方をお教えする「むそう塾」を続けている。
しかし残念ながら「広く多くの皆さん」へでは無く、「少人数で深く強く」伝えていくことを選択した。
「だって陽性だもの」
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