今年の1月10日に「ロームシアター京都」がオープンしたとき、京都ホテルオークラが経営する「ザ・ガーデン岡崎」はきっと閉店の道を歩むだろうなと思っていたら、やはり9月25日をもって閉店しました。
2013年7月2日にオープンしたそうですが、3年で閉店とは早いですね。
去年の段階ではまだ京都ホテルオークラからシャトルバスが運行されていましたし、オークラのサイトにも「ザ・ガーデン岡崎」のサイトがリンクされていたのですが、今年に入ってシャトルバスの運行も止めていましたので、そろそろ終わりかなと思っていました。
オークラのサイトからもリンクが外されていましたしね。
「ザ・ガーデン岡崎」の東側にはお蕎麦屋さんの「権太呂 岡崎店」、北側には毎日行列が途絶えないうどん屋さんの「山元麺蔵」、そしてこれまた行列のできるお蕎麦屋さんの「岡北」が並び、道路を挟んで少し離れた西側に「京都モダンテラス」がオープンという状態になって、経営の方向性が見い出せなかったのでしょう。
しかし、「京都ホテルオークラ」と「ザ・ガーデン岡崎」の両方を利用していた私としては、どちらも間違った方向を向いているから当然の結果かなと思います。
どちらにも共通のこととして「味が落ちた」のです。
いち早くそれを感じたのは、毎月懇親会の会場として利用しているオークラの方が何段階も味が落ちたからです。
厨房の中では仕入れ段階や作り方まで見直しをしたようで、味気ないメニューに変わってしまいました。
きっと現場の声を無視して、経営者サイトが数字だけを見て判断した結果なのでしょう。
一方、ザ・ガーデン岡崎の方は、メニューに御膳ものがあって、それにはお味噌汁もついていたのですが、そのお味噌汁がとてもまずくて、お店の人に不味いよと伝えたことがありました。
すると、支配人がペラペラとお喋りを始めて、和食の板前さんがいなくなったので以前と同じようには作れないと言うではありませんか。
もう開いた口がふさがりません。
さらに、お店の賃料や売上のこと、お客にそんな話までするなーという内部のことも話しましたので、その時点で間違いなく閉店を予測しました。
余談ですが、京都モダンテラスのオープン当初、お味噌汁がまずかったのでお店の人に伝えました。
その後お味噌汁の中身も少し変わって味も前より良くなっていましたので、お店の人にちゃんと伝えておきました。
お店はお客が育てる面もあるので、こうして小さな感想でも伝えて行くのは大事なことです。
それに耳を貸さないお店はいずれ淘汰されるだけですが。
* * *
話題は変わりますが、かつてはホテルオークラのロビーにあった豪華なお花も、今ではすっかり小ぶりで貧弱になりました。
他のお店でもこういうところに手をつけるようになったら、そういうお店は採算が悪くなって来た証拠ですね。
しかしお客はそういうところを良く見ているものです。
経営者からみたら無駄に思えるその部分が、実はお客にとっては大事なサービスの一環になるのです。
ちょっと贅沢に思えるその空間の氣にお金を払っているのです。
私が今日の昼間に行った「長楽館」は、まさに空間料みたいな面があって、それにありがたくお金を払うのです。
お財布から出るお札の枚数が値段ではなく、それに相応しい空間を生み出しているかどうかが値段なのです。
そういう意味では、ホテルオークラもザ・ガーデン岡崎も真逆を向いてしまったのですから、尻すぼみになるのは当然かなと思います。
飲食業にあっては絶対やってはいけないこと。
それは味を落とすことです。
食材の仕入先を変えたりして、一時的には利益が上がるように思えるのは現場を知らない者の浅はかさですね。
お客の舌は敏感です。
値上げをして客離れを怖がるより、値上げをしても文句を言われない味を提供すればよいのです。
つまり、飲食業はたゆまぬ味の追究が必要不可欠なのです。
空間を含めてお味とともに全体に満足をしてもらった時、初めてお客はそのお店は高いのではなく安く感じるのです。
今はお客の立場である私ですが、むそう塾を通じてお料理つながりで想うことが多々あって、このような記事を書きました。
公然と店名を出しましたが、立地の良い場所にあっても閉店に追い込まれたお店に惜しいなぁと思う気持ちがあってのことでした。
どうかオークラのお味が元の美味しさに戻ってくれますように。
(無理とは思いつつも願う私です。)
(さようなら ザ・ガーデン岡崎 2016.10.18撮影)