マクロビオティックの指導現場からシリーズ」カテゴリーアーカイブ

マクロビオティックの指導現場から(12)土鍋と圧力鍋の差と玄米の炊き上がり

一口に玄米ご飯と言っても色々な炊き方があります。
お鍋の種類と炊き方によって玄米ご飯の陰陽度が変わってきます。
その結果、その人にとって食べやすい玄米ご飯だったり食べにくい玄米ご飯だったりすることになります。

私が初めてマクロビオティックの存在を知った時、玄米ご飯の炊き方がそんなにも重要だとは認識していませんでした。
それよりも動物性を摂らないことの方がインパクトがあったのです。
マクロビオティック指導校で教えられたとおりの炊き方と食べ方を何年もしているうちに、段々「ちょっと違うかな?」という感覚が生まれるようになりました。

それは「食べる人の体調にピッタリ合った」玄米の炊き方でなかったことと、陰陽バランスが偏っていたことが原因でした。
つまり、体の陽性化に対して、食べるものの陰性化がうまく出来ていなかったのです。
途中からそれを意識して自分の知識の中で陰性化を試みていたのですが、今ひとつ何かが違うような気がしていました。

当時の私は、大阪にも足繁く通っていて、その度に京都の中川さんが炊かれる玄米ご飯をいただいては感動しておりました。
ある時中川さんに口頭で教えていただいた玄米ご飯の炊き方は、私の盲点を突いていました。
「そうかあ、その方法があったのかあ!」

中川さんの炊き方はまさに陰陽を忠実に反映した炊き方であったにもかかわらず、私の玄米の炊き方はマクロビオティック指導校で教わった炊き方の範囲から出ていなかったのでした。
それは最も陽性に炊く方法でした。
陰性にしたくて玄米に小豆を混ぜて1年間も食べていたこともありました。
押し麦を混ぜていたこともありました。
あるいは色々な土鍋で炊いていたこともありました。

しかし土鍋での炊き方は白米には向いていても、玄米になるとどうしても皮の部分の問題が解消されず、さらに炊き上がりが一定しない不都合がつきまといました。
そうこうしているうちに、やはり土鍋炊きの玄米ご飯を長く食べていた知人が階段を昇れなくなってしまいました。
その人は完全に動物性を摂っていない人でした。
そんなこともあって、私は中川さんの玄米の炊き方は救世主のように思えました。

それまではおかずの陰陽でバランスを取ろうとしていたのですが、その方法は小手先であって、常におかずの陰陽に神経質になってしまいます。
しかし、主食を中庸の炊き上がりに持って行くと、根幹部分が狂っていないので安定感が出てきます。
その安定感は以前私が感じた「今ひとつ何かが違うような気」の答えでもあったのです。
主食の炊き方はコロコロ変えてはいけないんだ。
季節と体調に合わせるための(ほんの少しの)微調整はしても、最終的には「一生食べ続けられて、腸が喜ぶ炊き上がり」であるべきなんだ。
それが私の答えでした。

*   *   *

2008年に初めて「中川式玄米ご飯の炊き方」をお伝えする教室を始めてから、受講者がそれまで玄米を炊いていた鍋の種類をすべてチェックしていますが、土鍋で炊かれている方の体調に今ひとつの人が多い傾向がみられました。
それは土鍋だけが直接の原因ではありませんが、少なくても圧力をかけて炊いた玄米ご飯なら避けられたであろう症状も見受けられました。
現に土鍋炊き玄米ご飯と野菜(動物性なし)を食べていた人が杖をついてむそう塾にいらして、入り口の段差を越えられなかったのに、その後圧力鍋に変えたところ、杖なしでむそう塾まで来られるようになりました。

私はここで土鍋炊きが悪いと言っているのではありません。
体が陰性になっている時には、総じて消化吸収力も落ちていることが多いので、そんな時には確実に消化吸収できる玄米ご飯を炊き上げるために、圧力の力を借りた方がその目的を達成できることをお伝えしたいのです。
そして、体が陽性化している人には、限りなく陰性だけれど土鍋ほど陰性でなく炊き上げるために中川式の目からウロコの炊き方をお伝えしたいのです。
さらに、今ちょうど良いという体調の人には、過去の私のように陽性化してしまわないように、一生食べ続けられる玄米ご飯の炊き方をお伝えしたいのです。

そんな陽性・中庸・陰性の3パターンの人に食べていただける玄米の炊き方は、シリット社の圧力鍋で可能です。
私も中川さんも入手できる圧力鍋はすべて試した結果、この鍋に行き着きました。
自然派志向の方からは、土鍋の方が自然素材で作られているし、最後は自然に還るから圧力鍋より環境的に良いのだと言われることでしょう。
あるいは自然界にない圧力をかけるのは不自然だと言われることでしょう。
しかし玄米の硬い皮は、水分と時間と温度だけではバランス良い軟らかさにできないのです。
さらに食べ物ですから美味しくなければ意味がありません。

中川式玄米ご飯は、中の胚乳部分と外の皮の部分が一体となって皮感なく炊き上がります。
それはまるで白米のような炊き上がりです。
ここまで一体感が出てくると、体内での消化吸収も格段に良くなるらしく、この炊き方の玄米ご飯で体調が良くなったというご報告が数々届いています。
一番顕著なのはお子さんが喜んで召し上がってくれるというものです。
お子さんは正直ですから、体に良いものは美味しく感じるんですね。

この美味しそうな稲荷寿司。
これも中は中川式玄米ご飯なんですよ。

中川式稲荷寿司 マクロビオティック料理教室 むそう塾

(中川式玄米稲荷寿司 料理:中川善博)

このちらし寿司も下は中川式玄米ご飯なんですよ。

玄米のちらし寿司 中川善博 マクロビオティック

(玄米ちらし寿司 料理:中川善博)

お寿司を玄米ご飯で作るには、しっかり中に合わせ酢が入ってくれるだけのふっくら感がなければ駄目です。
硬い玄米ご飯ではお寿司はまずくなります。
健康志向の方もグルメ通の方も納得出来る美味しさ。
それがむそう塾の玄米ご飯です。
玄米の炊き方講座はただいま受付中です。

<参考記事>
マクロビオティックの指導現場から(6)間違いだらけの玄米選び
マクロビオティックの指導現場から(7)お鍋の陰陽と玄米の炊き上がり

 
 
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左利きなのに右手で出汁巻き玉子の練習!

出汁巻き玉子 むそう塾

 
 

(出汁巻き玉子 塾生作品 じゅん子さん)

むそう塾での授業の難関は二つ。
桂剥きと出汁巻き玉子です。
どちらも練習を要する内容なので、その練習でボロボロと脱落する人が出てくるからです。
でも中川さんはいつも言います。
「練習は嘘をつかない」と。
練習は「正しく」することが必要で、我流ではいくら回数をこなしても効果が出ないだけでなく、変な癖がついてかえってマイナスになります。
それを避けるため、むそう塾では動画指導をしています。

その動画指導の利点を遺憾なく発揮して、こんなに上手に出汁巻き玉子が巻けるようになった塾生さんがいますので、その上達ぶりをご覧ください。
なお、彼女は本来左利きですが、右手にお箸を持って巻いています。
ここまでの道のりの長さと努力に頭が下がります。
なお、じゅん子さんは包丁も右手に持って桂剥きを練習しています。
じゅん子さんのメールには次のような言葉がありました。
皆さんが同じ気持ではないでしょうか。
差は「やるか、やらないか」です。

動画を見ていただくと思うだけで手が震えます。でも、これが実力だと思うので慣れるまで撮り続け練習したいと思います。

[youtube width=”550″ height=”344″]

<中川より>

利き腕でも難しいだし巻き玉子の練習を左利きのあなたが右手でやると聞いて「大丈夫かいな?」と心配していたのですが、今日の動画を見て驚きました。
動きを見れば私には判ります。 ずいぶん練習しましたね。 偉かった。
頭で考えてその通りに手や身体を動かすのも大変なのに、練習を重ねてはやくも身体が覚えて勝手に焼いていくステージの入り口にまで到達しています。
細かいところはまだまだ直す箇所があります。 でもそれは美味しいをより美味しいにする僅かな箇所ですからすぐに直ります。
次の満足コースが楽しみです。 リンナイの都市ガスコンロで焼いてみましょう。 お見事でした。

 
 
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マクロビオティックで泣く時 本物の自由人になるために

昨日は「夏の特別料理 涼麺と賀茂茄子のピザ」を開催しました。
最初は麺つゆにするお出しの取り方から始まりました。
一般的なマクロビオティックの出汁の取り方とはまったく異なる方法なので、すでに他のマクロビオティック指導校で何年も学んでいた人はビックリ!
すでにその段階で相当ショックだったようです。
むそう塾で教えているのはプロの料理人であること、そしてその一流料亭の味を家庭でも素人が再現出来るように工夫されていることが、独特の料理法につながります。
お料理の途中で目をまん丸くして、「全然違う!」と私に語りかけて来るNさんの表情が可愛かったです。

涼麺も悶絶しながらいただいて、今度は賀茂茄子のピザです。
マクロビオティック料理では乳製品を使用しない点が特徴の一つとして伝えられていますが、むそう塾では本当に美味しいものは陰陽を駆使して体に負担のないお料理にしてお伝えしています。
その一つが「賀茂茄子のピザ」なのです。
ピザの商品開発を何年も手がけてきた中川さんの手にかかると、一般のピザよりも美味しいピザが出来上がってしまいました。
もどき料理ではなく、元のお料理を超える美味しさになったものだけが講座になるため、このピザも小麦粉を生地に使ったものより美味しいのです。
そして、ちゃんと毒消しができているのです。
つまり一品の中で陰陽バランスが取れているということですね。

その美味しさと考えぬかれた陰陽に感動して、それまで実践して来た自分のマクロビオティックは何だったのかという思いが胸を去来したのでしょうか。
ピザの試食をして泣き出す人がいました。
マクロビオティックで泣く時3

 
 

あれ?
壁の方に向いちゃったよ。
マクロビオティックで泣く時1

 
 

涙を拭いて食べ直しています(^^)
マクロビオティックで泣く時2

 
 

私は彼女を抱きしめたくなるほど、お気持ちがよく理解できます。
なぜなら、私がかつて歩んだ道だからです。
あれダメ、これダメと排除のマクロビオティックを何年もして、何か違うんじゃないかと模索した経緯があるからです。

マクロビオティックとは自由になるための考え方であるにも拘らず、実際は不自由な考え方にとらわれてしまってがんじがらめになっている人をよく見かけます。
それは一にも二にも伝え方が悪いと思います。
お料理の末端部分だけが伝えられて、マクロビオティック本来の実践的哲学の部分が理解されていないためです。

さらに言えば、マクロビオティック料理は健康になるための手段であって、料理が最終目的ではありません。
健康でない体の人は、マクロビオティックの考え方で陰陽バランスの取れたお食事をして健康になり、その体で自由な生き方をしましょうというのがマクロビオティックの目的です。
その自由というのは一般的に考えられているような気ままなものではなく、「無双原理十二の定理」や「健康の七大条件」を踏まえたものでなければなりません。

手段と目的を取り違えてしまって、マクロビオティックをしているのに体調が悪いという人は後を断ちません。
動物性を食べたから、白砂糖を摂ったから、乳製品を摂ったからといって体調の変化に神経質になるのではなく、「何を食べても大丈夫」な体になることが本来のマクロビオティックの考え方です。
もしあなたがミクロな考え方をしているなら、もっとマクロ(大きい意味)な視点で考えましょう。
本物の自由人になるために。

そして一番大事なこと。
それは、健康な体になって「どんなふうに生きるのか?」「何をしたいのか?」ということです。
単なる病気治しのマクロビオティックではなく、生き方の哲学としてマクロビオティックの本来の意味を知ってほしいと思います。

講座を受講された皆さんの楽しい笑顔はこちらから。

 
 
カテゴリー: マクロビオティックの指導現場からシリーズ, マクロビオティックが楽しい♪ | 4件のコメント

包丁の持ち方とまな板への向かい方 立つ姿勢

幸せコース恒例の桂剥き投稿が始まりました。
すでににっちちゃんが一番乗りで投稿されています。
彼女は陽性を目指して頑張るそうです。
それで彼女を中心として、応援のために意識すべきことを辛口で記事にしておきます。

綺麗な姿でまな板に向かっています。
で、でも、この前はひどかったんです。。。
むそう塾5

 
 

こんなに背中が丸かったのです。
これじゃあ自慢のおっぱいもまるで台無しです。
何かにもたれる、背中を丸くするというのは陰性な証拠です。
姿勢はその人の心(陰陽)を表します。
ビシッと立ちましょう。
むそう塾4

 
 

ちゃんと背中を伸ばしたら、ほら、こんなに綺麗なお胸です。
もっと堂々と胸を張って生きましょう。
むそう塾6

 
 

包丁を使う時に姿勢はとても大事です。
出汁巻き玉子の時にも姿勢は影響して来ます。
お料理上達のための第一歩として、姿勢を正すところから入りましょう。
一番右側の彼女が綺麗な姿勢で包丁の持ち方も正しいです。
才能が見え隠れします。
むそう塾1

 
 

にっちちゃんは左足に重心をかけ過ぎですね。
人差し指が伸びきっていません。
一番奥のチェックさんは、包丁の持ち方が間違っています。
むそう塾2

 
 

桂剥きのときの写真がないのですが、私もせっせと皆さんのそばに行って間違っているところを指摘していたためです。
mikayanは桂剥きの時の右手親指の尺取り虫を必ず直しましょう。
全体としては、ほとんどの人が右腕と脇の間がくっつきすぎです。
ここを離さない限り桂剥きの上達はありません。
たった今から姿勢を正しましょう。
桂剥き投稿を頑張ってください!

 
 
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プロが個人指導するマクロビオティック陰陽弁当100点!

Twitterのお弁当Tweetのうち、中川さんから100点をもらったお弁当を、塾生の舞ちゃんがtogetterで集めて公開してくれました。
「参考にするなら100点のお弁当を」と中川さんが指導していたので、コツコツと集めていたようです。
さすがに100点をもらったお弁当は気持ちの良い出来上がりでした。
Twitterに登場するまでの投入時間を数えると、設計段階から日をまたいでの膨大な時間になります。
そこに投入した氣は達成感のある氣となって、写真を通じて訴えるものがあります。
と同時に写真の上手下手も氣を左右するほどの影響力を持ち始めます。

2月17日から始まったこのお弁当Tweetは、4カ月が過ぎました。
徐々に100点が増えてきて、継続することの意味が形として解りかけて来たところではないでしょうか。
ここまで頑張って続けてくださった塾生さん、そして奉仕で指導にあたった中川さん、皆さんの頑張りに敬意を表します。

むそうべんとう -今日の100点

 
 

マクロビオティック弁当

 
 

(塾生作品 子象さん)

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