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お菓子を食べるときの注意点 甘いものの食べ方

むそう塾のサイトにある「なぜむそう塾では魚料理も肉料理もパンもお菓子も教えるのか?」の記事にコメントがありました。
“ささ”さんと名乗る方からですが、何らかの理由で体調が悪そうです。
詳しいことは分からないのですが、私の経験も含めて甘いものに対する考え方を書いてみますので、さささんに届きましたら嬉しいです。

 
 

【私と甘いもの】

私はもともと甘いものが大好きタイプではありませんでした。
食べ物の好き嫌いはまったくないので、何でも自由に食べていましたが、20代で野口整体に出会って初めて、白い食べ物は体によくないことを知りました。
今から50年近くも前のことです。

野口整体を1か月違いで始めた友人の激変ぶりに驚き、そこから東洋的なアプローチに関心を持ちました。
世田谷の本部道場にも通い、「気」というものを友人と共有する日々が続きました。
そこからですね。私の考え方に中心軸が出来て、安定感が出てきたのは。

ですから、私は20代から白砂糖を遠ざけた生活をしていました。
そしてマクロビオティックを知るようになってから、やっぱりそれで良かったんだと思いました。
さあ、そこからが面白いのです。
あらゆる甘味料を遮断していくと、穀物や野菜の甘味に敏感になって、それはそれで心地よかったのですが、それが長引くとなにか違うような気がしてきました。

端的にいうと、楽しくないんですね。
生活にメリハリがないというか、平坦すぎて私の苦手な日常でした。
(私は刺激が好きなタイプなんです^^;)
もちろん、平坦で楽しいと思っている仲間たちはいましたし、今もそれを良しとしている仲間たちがいるので、私だけの好みの問題でしょう。

 
 

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【むそう塾と甘いもの】

さて、2008年から京都で「むそう塾」を始めることになりました。
塾長としてお料理に腕をふるってくださる中川善博さんは、京料理人として40年近く(当時)の実績がありました。
京都の老舗料亭で培った料理技術と、ご自分で経営されていた料亭で、お客さんの好みを知り尽くしていたのですが、マクロビオティック路線の調味料と妥協しながらスタートしました。

もちろん最初は動物性抜きのメニューが並んでいて、甘いお菓子なんて私がNOと言いました。
煮物にもお砂糖は使わないでほしいと要望したほどです。
当時の中川さんは「なんだかなあ」と思われていたことでしょうが、可能な限り応えてくれました。

しかし、だんだん年月が経ってきて、多くのむそう塾生さんが私ほど甘いものに目くじらを立てていないことが分かって来ます(笑)
それどころか、案外甘いものがお好きなんだということが分かってきて、それだったら体に負担にならない食べ方を教えなくては、ということになりました。

そんなふうにして、「満足コース」で初めて「白玉ぜんざい」や「わらび餅」を教えることになりました。
今では「自由人(びと)コース」で、和菓子はもちろんのこと洋菓子も教えるようになりました。

でも、皆さんが口を揃えておっしゃいます。
「中川さんのお菓子は甘すぎなくて、くどくなくて、食後の体がラク!」と。
ということは、一般に売られている甘いものが、いかに体に負担のかかるもので出来上がっているかよく分かりますね。
やはりそういうのは食べてほしくないです。

むそう塾で教えるお菓子は、材料や作り方をめちゃくちゃ吟味してあるので、この結果になったのですが、これをお店で売るとしたらかなり高い値段になってしまうと思います。
ですから、安いお菓子にはやはりそれなりの理由があることを、私たちは知らなければなりません。

 
 

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【甘いものの食べ方と注意点】

では、最後に甘いものの食べ方ですが、甘いものは絶対食べてはいけないものではなく、食べたい時には食べればよいと思います。
(マクロビオティック原理主義者だった私がこんなことを言うなんて、人は変わるものだなあとつくづく思う。)
ただし、食べたいものが本当に甘いものなのか、他のものでもよいのかちょっと考えてみましょう。

甘いものは体をゆるめる作用があるので、勉強前とか、仕事前とか、これから集中したいときの前には摂らない方がいいです。

ですから、休日であるとか、緊張から解放されたいときには甘いものを摂ってもいいのですが、毎日はいけません
もし毎日食べたいようなら、それは毎日のお食事の内容に問題があります。
それと、精神的にストレスの抱えすぎが考えられますね。

また、甘いものは常習性がありますので、癖になっていることが考えられます。
意識的にどのくらい甘いものから距離を置けるか、試してみるのもよいですね。
1週間くらい我慢できるなら、中毒ではありませんのでご安心ください。

割と多いのが、お食事に動物性が多いと甘いものが欲しくなりますので、そういうときは野菜のおかずを増やしたり、しばらく動物性をお休みします。
あるいはご飯の量が少なくても甘いものが欲しくなります。

お子さんはこれから色々な味に目覚めていくので、最初から市販のどぎつい甘さに慣れさせない方がいいですね。
そのためにも、むそう塾でお教えしているくらいの甘さにしておいた方が、将来的にも安心です。

それから、これがとても大事なのですが、甘いものは体に入ると燃焼の際にミネラルをたくさん消費します。
マグネシウムや亜鉛もいっぱい消費されますから、それらを含む食品を意識的に摂るようにしましょう。
そうしないと、ミネラル不足になって、色々な症状が出てきます。

代表的なものに次のようなものがあげられます。
鬱、低体温、貧血、肌荒れ、肩こり、口内炎、体重増加、免疫力の低下。
疲れやすい、集中力がなくなる、イライラしやすい。
骨粗しょう症など。

書けばきりがないほど、甘いものはいっぱい問題を含んでいます。
ですから、上手に甘いものとつき合って、陰性の良さを楽しんでください。

 
 

(抹茶のホットケーキ 料理:京料理人 中川善博 マクロビオティック京料理教室 むそう塾)

 
 
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適度なゆるみはあなたを助けてくれる よい陰性のススメ

私がマクロビオティックを始めたとき、それまでの生活が一変しました。
もともと調味料は厳選していたし、食材もかなり選んで購入していたのですが、限られた料理方法と食材の中で、とても窮屈な感じは否めませんでした。

でも、息子のアトピーを治してあげたい一心で、厳格に実践したのです。
その結果、体も考え方も結構陽性になって、その変化が面白かったのですが、恩師から見れば陽性になりすぎていたようです。

そこからですね。陰性の必要性を強く認識したのは。

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むそう塾では、「自由人コース」で洋菓子をお教えしていますが、これが物凄く好評で、ご家族の皆さんで喜んでくださっています。
(満足コースや秘伝コースでは和菓子をお教えしています。)
それらのお菓子は陰陽はもちろんですが、体に負担のない食材や作り方なので、本当に体が楽なのです。

私は中川さんの生クリームなら食べられます。
でも、一般的な生クリームは気持ちが悪くなるから嫌いです。
そうしたら、実際に習った塾生さんやご家族さまの反応が同じでした。
多かったのですね、生クリーム苦手という人が。

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マクロビオティックの飲み物に「穀物コーヒー」や「たんぽぽコーヒー」があります。
これらはカップに注いだときの色は一般のコーヒーに似ているのですが、お味や香りは当然のことながら別物です。

そして何より、原料が異なるので陰陽も異なります。
一般的に「もどき料理」といわれるものと同じように、陰陽が異なるところが私は気になるのです。

ですからむそう塾では、本物の食材がもつ陰陽をちゃんと知って、体に負担のないような形で楽しく取り入れることをお奨めしています。

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ある人の事例です。
食べ物や生活環境を最高の状態にしたのに、今ひとつ体調が完全ではない人がいました。
そこで、もしかしたら勤務先で飲むコーヒーが原因ではないかと考えました。

それで、自宅から中川さんのコーヒーを持参して、会社のコーヒーは止めてもらったところ、体調がよくなったのです。
会社では福利厚生として設置している自販機が、社員の健康にあまり役立っていなかったということですね。

体の反応にはもちろん個人差がありますが、自販機設置会社の利益も考えれば、その内容は推して知るべしだと思います。

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お菓子もコーヒーも陰性の代表格で、マクロビオティックでは避けるものとされていますが、それを好きな人はいっぱいいます。
じゃあ、それらが持つ悪いところを極力減らしたらどうなるの?
そんなところからむそう塾のお菓子やコーヒーはスタートしています。

物事も体も心も、急に変えると反動が来ます。
それは陰陽の理を考えれば容易に想像ができます。

じゃあ、今のすべてを受け入れて、それを少し良くしたらどうなるのかな?
もう少し良くしたらどうなるのかな?

そんな楽しみを伴った変化のあり方もよいのではないかな?
ここまでゆるやかに考えられるようになった私は、結構陰性を意識して暮らして来ました。
恩師の言葉を大切に実行して。

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ここまで至るのに、16年以上の歳月を費やしました。
一つひとつ周りの人の反応(肉体的・精神的ともに)で確認しながら進んで来ました。

その結果、「適度なゆるみ」はかなり多くの場面で必要だと感じました。
そして、これこそが陰陽そのものであることを、何度確認したことでしょうか。

特に新型コロナウイルスで2年間も不自由を強いられている私たちは、かなり悪い陽性が積もっています。
意識的に良い陰性を取り入れるようにして、陰陽バランスをはかるようにしましょう。

それは飲食だけでなく、精神面を解放することによっても達成できます。
オミクロン株に惑わされることなく、人間本来の陰陽バランスで乗り越えましょう。
私たちの内側には秘めたる力があるのです。

 
 

(ブッシュ・ド・ノエル 料理:京料理人 中川善博 マクロビオティック京料理教室 むそう塾)

 
 

「ブッシュ・ド・ノエル」は、「自由人コース2」の12月の授業でお教えしました。

 
 
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災害に備えて食べ物を見直しましょう

今朝は山梨県と和歌山県で地震がありましたね。
今のところ、どちらも大きな被害はなかった模様ですが。

しかし、災害はいつやってくるか分かりません。
私の実家がある北海道も、大荒れの天候で電気や水がストップしたところがありました。
この寒い季節に電気のストップは、さぞつらかろうと思います。

実家は酪農をしているので、何万頭もいる牛のために、自家発電装置を備え、井戸も掘ってあるので大丈夫でした。

今は電気に依存した生活が普通になっていますから、ひとたび電気がストップすると、パニックになってしまう人も多いことでしょう。

でも、過去に東日本大震災を経験したときの塾生さんが、暗闇でご飯を炊いたことを教えてくれました。
下の記事には3つの記事をリンクしていますので、それもお読みいただけると詳しく分かります。
震災時に暗闇でも玄米ご飯を炊いたむそう塾生 2016.4.16

このときは、仙台で被害に遭われた塾生さんもおられたので、大急ぎでカセットボンベや梅干しを送ったのでした。
塾生間の連携プレーがお見事でした。

 
 

今は電気製品のスイッチ一つで簡単に食べ物が出来上がる時代ですが、アナログに食べ物を作る方法も知っておいた方が不安が減ります。
災害は滅多に遭うものではありませんが、いざというときに役立つ方法を知っているのは心強いです。

たとえば、何でも冷蔵庫に入れようとする人が多いのですが、冷蔵庫に入れるのが最適な保存なのか知っておくのも大事です。
(鶏卵を冷蔵庫に入れる人、多いですね。)

今は冷蔵庫に入れることを前提にした食料品が多いのですが、常温でも大丈夫なものを身近に置いておけば安心ですね。
そして、そういうお料理が作れることも貴重なことです。

たとえば梅干し。
マクロビオティックでお馴染みの梅干しは、とても酸っぱいし、しょっぱいのですが、そういうのは嫌われて、今では蜂蜜入りが好まれたりします。
あるいは減塩仕様の梅干しですね。
それだけ日本人にお肉が多く入っているということなのでしょう。

それでも、梅干しはいざというときの助けになります。
非常食品としても用意しておきましょう。

 
 

それから「梅干しの黒焼き」
これもマクロビオティックのお手当てでお馴染みのものですが、作るのが大変です。
でも、昔のマクロビオティック指導者は、これを作って常備していたそうですよ。
私が教わった田中愛子先生は、海外に行くとき、この黒焼きをフィルムケースに入れて、いくつも持って行ったと話しておられました。

自然食品店に並んでいるのは、「ムソー」や「オーサワ」の商品が多いでしょうね。
和歌山にある「てらがき農園」では、「梅の黒焼き」を作っています。
作り方を教えたのは、あの若杉ばあちゃんです。
殺菌効果も期待して、極陽性の食品として常備されておくのもよいでしょう。
(現在品切れ中のようですが。)← 在庫が復活したそうです!(12/4現在)

それから「梅ぼしさん」もおすすめです。
(かつてはこちらの記事のような携帯用の容器に入っていたのですが、現在は品切れでした。)
私はこれのおかげで一日3食から2食になりました。
ダイエットや食事のコントロールをしたい人はもちろんですが、災害でお腹がすいてもすぐ食べられないとき、これを舐めているだけでも落ち着きます。

色々ご紹介しようと思ったのですが、コロナの関係で買い漁られてしまっているのでしょう。
品切れが多いですね。
日本古来の食べ物に力を借りようとしているのは、それはそれで良いと思いましょうか。
(きっとデトックス目的なんだと思います。)

 
 

(てらがき農園さんが無農薬の梅に移行する話にウルッとします。)

 
 
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私の精神面のルーツを少し 情報の質は人生を変える

【羊羹の想い出】

私は16歳で家を出て自炊生活に入った。
だから、母親がお料理をする姿は、15歳までの記憶しかない。

先日、中川さんが羊羹を切り分ける場面を見ていて、ふと昔の光景を想い出した。
母は羊羹を切り分ける時、予め定規できちっと計っていた。
いつもは計量スプーンとか計量カップを使わない人なので、子供心に不思議に思っていた。

我が家は子どもが4人いたので、羊羹の大きさに差が出るといけないと考えていたふしがある。
子どもというのは、誰しも自分が一番大きいのをほしいと思うから。

 
 

【漬物の想い出】

母は95歳で亡くなったのだけど、その3年前に父が95歳で亡くなるときまで、三食をきちんと作っていた。
さすがに漬物石が重くて、晩年は昔のような漬物の漬け方はできなかったが、自分の体に見合う漬け方を工夫して、漬物を欠かさなかった。

しかし、父が亡くなると、自分のためだけだと三食はいらないといって、食事の回数が減ったらしい。
誰しも食べるのが自分だけだと、作る意欲は失せるものだ。

それでも、亡くなる直前で入院するまで、母の自炊生活は続いた。
なんでもよく作った人だったけど、やはり母の漬物はすごかった。

子どもの頃からそれを手伝わされたので、うろ覚えに記憶がある。
細かい分量は知らないけど、手順は憶えている。

秋になって、大量の大根を干す光景は、近所の人もビックリ!
何しろ1,000本超えなのだ。

なんでそんなに大量の漬物が必要なのか?
それは、近所の男性たちが、父のもとに一升瓶を下げて夜な夜な飲みに来るからだ。
男たちは、母の漬物を「旨い旨い」といって、嬉しそうに食べていた。

 
 

【商家と武家】

母は酒や塩の販売もする大きな商家に生まれた。
その家は大地主でもあったが、農地改革を境に土地は小作人のものになった。
それでも祖父は、13人いる子どもたちに平等に財産を残してくれた。
男の子が11人、女の子が2人。
(3人目〜13人目は後添えさんの子ども。)

母は、実の母を5歳の時に亡くしている。
2番目の弟を産んで、産後の肥立ちが悪く、入院先の病院から帰宅できるというその日に。
それで母は、母方の祖父母(私からは曽祖父母)に尋常高等小学校を卒業するまで育てられた。

曽祖父母は、鹿児島出身で武家教育を母に施した。
だから母は男尊女卑の考え方が強く、私はそれがイヤだった。
私が早く家を出たいと思ったのは、そのせいなのだ。

そんなわけで、母の中には武家の教育と商家の教育の両方が混在している。
そして、私もまた両方の端っこを感じながら生きている。

 
 

【平坦ではないのが人生 あなたの情報は?】

女性としての実務は母から学び、人間としての哲学部分は父から学んだように思う。
そして、夫婦としてのあり方は、父母双方がよいお手本を示してくれた。
途中で戦争を挟んで、不完全燃焼の一生だったと思うが、曽祖父母にしても、祖父母にしても、父母にしても、とんでもなく大きな変化のある人生だった。

まさに天地がひっくり返るほどの激変であるにもかかわらず、全員が95歳超えまで生き抜いた。
それらの体験は、あらゆる面で参考になる。
北海道という地域の面でも、食事という面でも、住まいという面でも、病気という面でも、考え方という面でも。

 
 

今は新型コロナのことで大騒ぎをしているが、テレビのスイッチを切っただけでも、環境は大いに変わる。
野や山や海に出て、人工的な情報に距離をおいてみたら、グンと心が穏やかになることだろう。

ふと思う。
ご先祖さまたちは、いずれも変な情報に毒されていなかったと。

人は、情報過多で死ぬこともある。
あなたの情報はどうだろうか?

 
 


(栗蒸し羊羹 料理:京料理人 中川善博 マクロビオティック京料理教室 むそう塾)

 
 
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マクロビオティックの指導現場から お菓子が必要なときもある

【虎屋さんとお菓子】

お菓子に関する記事が目に入りました。
誰でも知っている「虎屋」さんです。

コロナで気づいた和菓子の価値  未曽有の逆境で虎屋のトップが考えたこと(前編)
先のことはわからない 与えられた場所で最善を尽くす 虎屋会長が語る500年の歴史をつなぐ心構え(後編)

前篇の記事「ゆるるか」というお菓子のことが書かれています。
お客様が、食が細くなってしまったお母様のために購入したお菓子が「ゆるるか」なのですが、それが人生の最期に口にしてもらったお菓子になったそうです。

この記事を読んで、私は父の最期の頃を想い出します。
2005年9月23日に95歳で父は亡くなったのですが、病院から自宅に戻っていたとき、旭川からやって来る姉が「夕張メロンゼリー」を買って来ました。
当時の私はストイックにマクロビオティックをしていましたから、「そんな甘いものを!」と思い、本当は父に食べさせてほしくなかったのです。

でも、姉は自分が39歳で乳がんになったにもかかわらず、甘いものは好きなのです。
父が美味しそうにゼリーを口にしている姿を見て、私はとても複雑な気持ちになりました。
その後のある日、姉と交替で父の看病をしていたとき、埼玉から北海道に向かった私は、千歳空港で「夕張メロンゼリー」を買って実家に向かいました。

食べることが大好きで、好き嫌いが何もなかった父なのに、母は「最近はあまり食べてくれない。ほしくないっていうの。」と寂しそうに言います。
それで、「ゼリー食べる?」と父に声をかけると、こっくりと頷きます。
嬉しそうに目を細めて口を動かす父は、まるで離乳食をもらっている子どものようでした。

「うまいな」

私がマクロビオティックを知ってから避けていたお菓子を、父は「うまいな」と言って喜んでいるのです。
帰りの飛行機の中で、あれこれ考えたのはいうまでもありません。

その次に北海道に行ったのは、葬儀に出席するためでした。
まさに私が父に食べさせてあげた最期の食べ物はお菓子だったのです。

 
 

【塾生さんとお菓子】

むそう塾では最初はお菓子を教えないのですが、コースのレベルが上ってくるにしたがって、「餡」の作り方を教えます。
おはぎなどで餡を使うことがあるためです。
マクロビオティックでは塩餡を作ったりしますが、伝統的なお料理方法を教える意味もあって、甘い餡を作ります。

幸せコースの頃から、甘いものは要注意と叩き込まれている塾生さんたちは、恐る恐る手を出すのですが、一口食べると嬉しそうな笑顔になります。
甘いものはこんなにも人を喜ばせる魔法で、やはり麻薬なんだと思ったりします。

「桜餅」「柏餅」「小豆ぜんざい」「パウンドケーキ」「ロールケーキ」「シフォンケーキ」などと進むと、笑顔が倍増します(笑)
「甘いものはダメ」と言って、子どもを純粋培養で育てるのは限界があります。
それならむしろ、本物の味を教えてあげた方が良いかもしれません。
そして、それは毎日いただくものではないことも教えてあげましょう。

お菓子作りは、作る人も癒やされます。
ふわふわとした手触りや、やわらかな口当たりは、癒やしそのものですが、それに頼ってはいけません。
陽性があっての陰性であることを、肝に銘じておきましょう。

そのうえで、お菓子が必要なときには、体に負担にならない作り方と食べ方を選びましょう。

 
 


(桜餅 料理:京料理人 中川善博 マクロビオティック京料理教室 むそう塾)

 
 
カテゴリー: マクロビオティックの指導現場からシリーズ, こころ・想い, 食べ物あれこれ, 体験談 | コメントする