あまり人様の欠点ばかりあげつらうのは、双方にとって気持ちのよくないものですから、誰でも避けて通りがちになります。
私もなるべく言わないで過ごしたいのですが、何かのために言わなければいけないときがあります。
それは技術を習得するときに、どうしてもその姿勢では上達が阻まれてしまう時です。
特にむそう塾ではプロのレベルでお料理を教えていますから、まずは姿勢を整えなければ細かな作業と長時間続けることが困難な場合があります。
先日開催した包丁砥ぎ講座はまさにフォームが大切で、その姿勢が直接砥ぎの仕上がりに表れてしまう判りやすいものでした。
ですから、離れていても包丁がちゃんと砥げるかどうかが、姿勢を見ただけですぐ分かります。
まずは型を覚えてそれから力加減をマスターすることが、包丁砥ぎの近道だと思います。
それから、むそう塾では名物の桂むきがあります。
これも包丁を持ってむき始めるとすぐにレベルが予想できます。
そのくらい「姿勢」は雄弁です。
先日も姿勢の悪い人が立て続けに講座に参加されましたので、その都度中川さんと指摘していました。
普段の生活面でお尋ねすると、そういう人たちはお若いのに腰痛や肩こりがあります。
現代人はデスクワークも多いので、どうしても前かがみになりがちですが、前かがみでは内臓への負担も骨への負担も大きくしてしまいます。
注意すると皆さんがご自分の姿勢の悪さに気づいておられないので、さらにビックリします。
ということは、常々姿勢のことをあまり気にされていないんですね。
でもね、長い間その人達の暮らしぶりや癖や性格を觀察していると、見事に姿勢と一致するんですよね。
姿勢も望診の中に含まれますが、姿勢の望診は的中率が高いです。
今までの人生をすべて語ってくれているようにも感じます。
顔は毎朝簡単に正面から眺めることが可能ですが、身体全体の姿勢や後ろ姿は、意識しなければ見られません。
他人は案外顔よりも全体を見ているものです。
まずは姿勢美人になりましょう。
姿勢美人は心美人にもつながります。
何気ない仕草の時にその人の本当の姿が表れます。
笑っているとき、食べているとき、歩いているとき。
いつも姿勢を意識しましょう。
すっくと立って丹田に氣を集中すると、身体も氣も落ち着きます。
いつも丹田が充実している生活を目指しましょう。
(包丁砥ぎ講座の前に)