室内温度と糠床の温度の違いは発酵熱 沖縄の面白い風習

北海道生まれ、北海道育ちの私は、この梅雨の季節がとても苦手です。
でも、稲のために我慢する日々です(笑)
しかし、発酵のことを知るようになると、日本が世界で一番発酵食品が多いのは、この梅雨のおかげでもあることに想いが至るようになりましたけどね。

そして、まさに日本人を守ってくれているのは、この発酵食品だったのですが、近年はその発酵食品を摂っている人がとても少なくなりました。
とはいっても、お味噌汁やお醤油を日常的に摂っているから大丈夫と思われるかもしれません。
しかし、それは本物のお味噌やお醤油ならば、という限定付きです。
今やスーパーには安いだけの商品が並んでいるので、購入するときは要注意です。

お味噌やお醤油は本物を購入することはできますが、本物の糠漬けはまわりにそれを売っている人がいなければ購入できません。
6月からはHACCP(ハサップ)対応が求められており、今まで購入できた「道の駅」への出品も激減しています。
ですから、自分で漬物を漬けられる環境を整えるのは、健康に関してとても重要なことなのです。

 
 

***

むそう塾では「幸せコース」の最初に、糠漬けの漬け方をお教えしますが、糠床をキープできるのはごく僅かです。
丁寧に詳しくお教えしているのですが、目の前の糠床の状態を正しく判断できない人が続出なのです。
それほど微生物に馴染みがなかったり、乳酸菌の世界を理解していない人が多いのです。

しかし、昔はもっと微生物と共存した暮らし方をしていました。
各家庭でお味噌を作っていたり、消毒ばかりするのではなく、常在菌と仲良く暮らしていたのです。

そういえば、沖縄の一部には面白い風習があるそうです。
部屋を借りたら、引っ越す1週間前に塩で壁をこすり、お酒で清め、自家製味噌を置いてくるそうなのです。
そうやって自分のまわりの微生物を先に新居に置いてきて、引っ越した時から自分を守ってくれる環境を作るわけですね。
微生物の力を知っている先人の知恵だなと思います。

 
 

***

【発酵熱】
ところで、室温が24度でも、糠床の中に手を入れるとホワホワと暖かいことがあります。
そして、フタの裏には水滴がついています。
これは発酵しているために暖かいのですが、この状態を「発酵熱」だと捉えられない人が多いです。
室温が24度だから、糠床も同じ温度になると思い込んでいるからですね。
でも、こういう時には糠床の底の方は30度前後になっていたりします。

こういう時には、大急ぎで糠床をかき混ぜて、早く糠床の温度を下げてあげないと、発酵が暴走してしまいます。
糠床は生き物であることを認識できない人も多く、それゆえに乳酸菌の餌をあげなくちゃという認識を持っていない人も多いです。
これだと失敗しますね。

酸素や餌、そして温度、すべてが発酵に影響するのですが、その辺が難しくてなかなか糠漬けを成功させられない人が多いのです。
でも、条件が満たされれば必ず糠漬けは成功しますので、頑張って挑戦してほしいと思います。
何度でも挑戦しましょう。

あなたを守ってくれるのは微生物ですから、ぜひ日常的に糠漬けのある暮らしを実現しましょう。
そして、あなたが周りの人に糠漬けをあげられる人になってほしいです。

最後に、糠床の状態を把握するために、必ず底の方に茄子を入れておきましょう。
この茄子が下の写真のように漬かっていたら、この糠床はベストな状態です。
時間が経ってもこの色が変わらないのが「瑠璃茄子」と言います。
そんなふうに漬かったら、ぜひ「瑠璃茄子投稿」をしてください。

 
 

(中川式糠漬け 料理:京料理人 中川善博 マクロビオティック京料理教室 むそう塾)

 
 
カテゴリー: 中川式糠漬け パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です