紫陽花を眺めながら





京都から帰ると、マンションの庭には紫陽花がこぼれるように咲いていた。
先週も夫から「紫陽花がきれいだよ?」と言われていたけれど、いつも夜遅くの帰宅で街灯に照らされた姿しか見ていなかった。
昨日は久しぶりに昼間の帰宅となって、雨に濡れた紫陽花を見ることが出来た。
(でも私は雨に濡れずに帰宅!)

狭い我が家(マンション)でも、こうして季節の花が手入れされて咲いているとホッとする。

かつて広?い庭のある一戸建てに住んでいたときは、毎月庭師さんが1週間ほど手入れに来てくれた。
お茶をお出ししながら庭や花木の話をするのは、とても楽しく勉強になった。
京都で修業されたその庭師さんは、京都の庭の特徴を色々教えてくれた。
たとえば「つくばい」の設え方も京都と関東では異なる。
その理由も教えてくれた。
その時には「へぇ?」と思っていたけれど、今こうして1年の半分以上を京都で過ごすようになってみると、その京文化の「氣」を少しは理解できつつあるように感じる。
お料理においても然り。
京都の方法はやはり「洗練」を感じる。
東京と京都は同じ日本でありながら、気質の違いがあってそれが文化に反映されている。
東京は肉体的、京都は精神的、そんな感じがする。
多くの人を集めるという点では東京も名古屋も京都も大阪も陽性だけれど、名古屋と大阪の陽性の間で京都は陰性な要素もいっぱい併せ持つ。

その陰性さを求めて世界からも多くの人が集まる。
実はその陰性を生んでいるのは凄い陽性であることを忘れてはいけない。
陰陽のイメージを静と動だけの視点でとらえていると思わぬ間違いを犯すことになる。
北海道生まれ北海道育ちの私は、学生の頃から東京のエネルギッシュなところが好きで、関東あたりをウロウロしていたけれど、こうして京都にご縁をいただくと、じわじわと京都の良さが伝わってくる。
それは単に私が年齢を重ねたせいだろうか。
それとも日本人だからだろうか。
 

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