初体験の旨味

先日糠床のお手入れをしていた時のこと。
小さな大根の切れ端のようなものが出てきた。
柔らかいので大根という確信もなく、ちょっとかじってみた。
それは大根ではあったけれど、お味は今までにないものだった。
糠だらけのままかじったその大根は、糠漬けなんだけれど別世界の味だった。
う?んとしょっぱいことを覚悟で口にしたのに、全然塩辛くなくて、それはそれはトロケそうな美味しさだった。
糠床のお守りを食べるときは、紙のように薄?くそぎ切りにしなければ塩辛いけれど、この小さな大根は、むしろ崇高な旨味を感じるのである。
あまりにも美味しくて、ついつい、少しずつ味見をしながら全部かじってしまった。
後日中川さんにこのことを話したら、それはきっと3年ほど糠床に入っていたものでしょうとのこと。
ある程度のところまで漬かると、野菜と糠床の濃度が飽和状態になって、どっちへの移動もおきなくなるらしい。
その結果、上に書いたような旨味が熟成されるのだとか。
それはもちろん、美味しい糠床だからこそ出てくる味である。
それにしても、あのような旨味は初体験だ。
恍惚とするようなウットリしてしまう美味しさだった。
中川式の糠漬けを知る前の私は、浅漬けタイプが好きだったけれど、中川さんの漬ける糠漬けを色々いただくと、じっくり漬けた糠漬けの美味しさに魅了されてしまった。
瑠璃茄子はもちろんのこと、件の3年ものの大根は、身体を揺さぶられるほどの美味しさを感じる。
発酵の力が生み出す旨味を、恥ずかしながらこの歳まで知り尽くしていなかった。
あの小泉武夫氏が嬉しそうに発酵の話をされるのは、きっと彼は発酵に恋をしているに違いない。
私も遅まきながら発酵にキュンとなった。
あのひとかけらの大根を口にして。

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コメント

  1. kaekuru より:

    美風さん こんにちは。

    3年ものですか!
    それはウットリなお味だったことでしょう。

    私も先月、1年前に中川さんから分けていただいたぬか床に入っていたお守りを食べました。
    我家にくる前に中川さんが熟成してくれていたので1年数ヶ月モノ。

    しょっぱーい味を覚悟して口にいれたら、アレ?とろりとしている。
    家族も、ぽかんとした顔をしていました(笑)

    twitterで中川さんに報告したところ、「陽きわまりて・・・」と。
    スゴイなぁ。

    ここ数日、こちらも気温が上がってきました。
    この夏も ぬか漬けの助けをかりて乗りきりたいです♪

    ただ、我家のぬか床、美味しいのですが、中川さんのところで頂くような深みが少ないような気がします。
    冬の乳酸菌家出疑惑の際に
    中川菌が減って、kaekuru菌が幅を利かせているのでしょうか・・・

  2. マクロ美風 より:

    kaekuruさん、こんにちは。

    >しょっぱーい味を覚悟して口にいれたら、アレ?とろりとしている。

    うんうん、そうです。そんな感じ。

    >ただ、我家のぬか床、美味しいのですが、中川さんのところで頂くような深みが少ないような気がします。

    私は毎週何回も中川さんの糠漬けを食べられ、糠床の味のチェックも出来る恵まれた立場ですから良く違いが判るのですが、確かに中川さんの糠床には深みがあります。
    その深みは旨味につながります。
    単なる糠漬けと違うのはその旨味だと思います。

    皆さんに送るべく熟成中の糠床は、今でも普通の糠床以上に美味しいんですよ。
    でも中川さんはこれだけでは満足せず、その上のレベルである旨味を出してから皆さんにお届けしたいと言ってお時間をいただいているのです。
    ですから、中川さんからいただいて1年半以上も経って、中川菌の家出騒動があれば、中川さんの糠床と同じ旨味はないと思った方が正しいと思います。

    普通の美味しさの糠床を大事な塾生さんに送るのは、男中川善博が許さないのだと思います。
    普通以上でないと、むそう塾レベルではないとの思いがあるからでしょう。
    私はそばで見ていて、「糠漬け道」と呼びたくなってしまいます。

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