赤かぶと京都に日本文化を想う

先日モバみそ講座の時に福ZENのお漬け物を盛ろうとしたら、赤かぶの糠漬けだった。
何切れ盛るのか、向きはどうなのかを中川さんに確認すると意外な指示が。
おや?
不思議に思って理由をつぶやき風(^^)に口にすると、中川さんが「京都だからじゃないですか」とおっしゃる。
そのひと言でははーんと思った。
話は20年前に遡る。
念願の家を建てて庭を造るとき、京都で修業された庭師さんに依頼した。
500坪ほどの土地に3ヵ所(100坪程度)の庭を造るため、庭師さんとは何度も何度も打ち合わせをして、実際に現場に座ったり立ったりして、視線を確認しながら私も図面を描いたりした。
この作業はとても楽しくて大いに勉強になった。
最初に庭に盛り込みたいテーマを決め、それを表現するためにどんな配置にするか、傾斜はどうするか、大きなところから絞り込んで行く。
大きなシンボルツリーを決めた上で、小さな木々の選定になるのだけれど、そのときにししおどしの話が出た。
庭の中で水の扱いは家相的にも慎重にしなければならないので、充分に話し合っておく必要がある。
その延長線上での話だったのだけれど、その庭師さんがおっしゃるには、関東のししおどしはむき出しになっていて下品だそうな。
京都のししおどしは目立たぬように、そっと蔭に隠れたような造り方をするのだと言う。
これだ!
これと中川さんの盛りつけが繋がったのだ。
たかがお漬け物だとお思いだろうが、このお漬け物をどのように盛るかによって、日本人の日本人たるゆえんを垣間みることができる。
つまり、京都では派手に目立とうとはせず、控えめである。
恥じらいを知っている。
奥ゆかしさがある。
これは今の日本人に失われつつあるものばかりではないだろうか?
まだ京都に出入りして年月の浅い私がこのようなことを書くのは僭越きわまりないことだけれど、中川さんやそのまわりの人達を観察していて、一番感じたのがこのことだった。
つくばいを目立たぬように配置する庭づくりと、赤かぶの赤さをあえてそっと裏に向ける盛り方に、ふっと着物のはっかけ(裾まわし)を連想した。
一瞬だけ見える部分におしゃれを楽しむ粋な文化。
それが日本の和服であり、文化であったはず。
でも今は、胸の谷間も二の腕も見せてしまうむき出しのファッションが溢れる。
裾まわしの色っぽさも、肌を見せない恥じらいも、そこにはない。
中川さんの赤かぶから学んだことは、日本の文化だった。
ああ、京都に都が置かれたままなら、日本人はどんなふうになっていたのだろう?
そんなことをふと思った盛りつけだった。

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コメント

  1. Hi(43-5) より:

    美風さん、こんにちは。
     今朝、この記事を読み、フッと思い出したことが
    ありました。小学生の時、父にお茶を淹れたのですが
    私は、たくさん飲んで貰おうと
    お湯のみ一杯にお茶を入れて出しました。
    父から、
    「なんか、こがんいっぱい入れて、色気がない。」
    と、怒られました。小学生に色気を求められてもと
    思いつつ、何でもやりすぎたらダメなんだと
    その時思いました。

     赤かぶの糠づけ、ここ一週間食べていました。
    手前にかぶの葉を刻んだもの、奥に赤かぶの赤が
    見えるように盛りつけていました。
    「赤かぶの赤さをあえてそっと裏に向ける盛り方」
    そこまで、控えめにって驚きました。
     秘すれば花の世界がお漬け物の盛りつけの中に
    凝縮されています。見たかったです。この盛りつけ。
    でも、この記事を読んでいなければ、私はこの
    盛りつけの意図に気付かなかったと思います。
    いろんな事象を見て、気付く感性を磨かないと
    いけませんね。
     美風さん、中川さん、学びの機会を
    与えて下さり、ありがとうございました。

  2. マクロ美風 より:

    Hiさん、おはようございます。

    お父様のお茶の件で私もひとつ思い出しました。
    古いのですが、新田次郎氏の本の中に奥様がお茶を並々と淹れて閉口する話が登場します。
    お嬢様もそのことを本に書かれていて、よっぽど嫌だったんだなぁと思いました。
    新田次郎氏は美的センスがないと捉えていましたね。
    それをお父様は色気と表現されたのでしょう。
    思わず微笑んでしまいました。

    それにしてもHiさんの会話文は面白い!
    ぜひTwitterデビューなさってください。
    早起き組のむそう塾生が朝の2時過ぎから起き出して、玄米を浸水中にピーチクパーチク呟いております。
    一緒に愛クラスを受講した人も呟いておりますので、どうぞいらしてください。
    お待ちしております♪

  3. マクロ美風 より:

    Hiさん、もう一つ。
    すっかり盛りつけのことを書くのを忘れていました^^;

    中川さんの盛りつけは実に綺麗です。
    盛りつけされたお料理が綺麗なのはもちろんなのですが、盛りつけている時の中川さんの動きが綺麗なのです。
    まるで踊りを踊っているかのようです。
    ですから、中川さんが盛りつけている時には、よく塾生さんが立って見学している姿があります。
    思わず「踊っているみたい」と口にされていますので、そのように感じるのは私一人ではなさそうですよ。
    無駄のない動きと美しさは、修行中からも定評があったらしく、「速くて綺麗」と言われたそうです。

    ぜひもう一度福ZENを召し上がりにいらして、中川さんの盛りつけを見学なさってみてください!

  4. Hi(43-5) より:

    美風さん、こんにちは。
    コメントのお返事ありがとうございました。美風さんのお返事を読み、来年の目標が決まりました。ツイッターデビューをする、中川さんの華麗な盛り付けの舞を見に行く、です。
    ツイッターは、設定から分からないのですが、お正月休みの間になんとかします。中川さんの美しい動きって、本物といわれる方々がもっている、無駄なものを全て削ぎ落とした、研ぎ澄まされた美しさなんでしょうね。(惚れ惚れ)でも、踊っているみたいというところで、着物姿やレオタード、はてはチュチュ姿の中川さんを想像してしまいました。相変わらずのばかっぷりです。
    思えば、今年の元旦に決めた目標の中に愛クラスに行くというのがありました。唯一都合がついた11月に運よく受講でき、パスポートをいただいたことで、親友にせっせと玄米を届けることができる喜びを今、かみしめています。伸ばした手をしっかりとつかんで下さった美風さんと中川さんには感謝の気持ちでいっぱいです。また、京都でお会いできるのを楽しみに新年を迎えます。ありがとうございました。

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