【車海老の具足煮は生きた海老でないとダメなのか?】
先日、「おせち料理三種とおせちの詰め方講座」を開催した。
まだ「秘伝コース」のおせち料理を習っていない人でも、この三種類を詰めれば、初めておせちを作ってもサマになる内容だ。
そのお料理の一つに「車海老の具足煮」がある。
煮る前に海老の下処理があるのだけど、生きた車海老をつかむのに抵抗のある人が毎年何人かいる。
逃げる車海老を追いかけるのも、この講座の風物詩みたいなもの(笑)
本当に半泣きになってしまう人もいる。
過去にもそういう動画をYou Tubeにアップすると、「かわいそうだから死んだ海老でやれ」とコメントがつくことがある。
その人のお気持ちは分からないでもない。
しかし、ここは生きた車海老が必要なのだ。
・活きていないと、紅白の縞がきれいに出ない。
・活きていないと、煮たあとの車海老の形が「つ」の字にならない。
だから、背わたを取ったら大急ぎで煮る工程に移る。
(車海老の具足煮 料理:京料理人 中川善博 マクロビオティック京料理教室 むそう塾)
鮮度の良い海老で作ると、こんなにキュッと丸まる。
このお料理は「腰が曲がるまで」をイメージするものだから、こうでなくては意味がないのだ。
【背わた取りの要領 かぎ針編み】
ちょっと当日の様子をご紹介しよう。
それぞれのお顔の表情が面白い(^^)
中川さんが背わた取りの説明をしているときに、「かぎ針編み」の例が出てくる。
「えっ?」と私は思った。
中川さんはいつかぎ針編みをしたのだろう?
小さい時、お婆ちゃんがしていたのだろうか?
はたまた、高校生の頃の彼女がしていたのだろうか?
「爪楊枝を入れたところから出す」を伝えたかったときの説明だ。
そんな細かい観察力と説明が、京料理人中川善博の世界でもある。
【背わた取りでいじりすぎると】
背わた取りで爪楊枝を入れた部分を広げてしまうと、その穴から海老の体液が出てきて白く、見苦しくなる。
(下の緑の丸の中)
みんなで背わた取りした海老を一緒に煮ているので、それが混じっていたのだろう。
【酸欠注意】
ところで、この講座の開催日は祭日だった。
前日に大阪から、酸素を供給しながら送ってもらっていたが、授業前に電池が消耗したらしく、数十匹の海老が酸欠で死んでしまった。
大慌てで錦市場のお魚屋さんに片っ端から連絡して、やっと活け車海老を入手できた。
材料の鮮度勝負のお料理は、いつもハラハラする。
【過去動画もどうぞ】
・活け車海老の背わたのぬきかた 2014.12.14
・京料理人が教える車海老の背わたの取り方 2017.11.13