野口晴哉氏が残された言葉は、まさに私の生き方の土台となっているものが多い。
その中でも、これほど真実を言い当てている言葉はないと思う。
多くの文字を使わなくても、健康や命の究極を見事に言い表している。
「食わなければ健康 食えなければ餓死」
先生は関東大震災(大正12年)をきっかけに、病気の人を治すべく必死だった。
この頃すでに治療法は確立していた。
しかし、やがて治療をやめて、「社団法人 整体協会」を設立された。
「食わなければ健康 食えなければ餓死」という言葉は、治療をしていた時代に書かれた本「治療の書」に登場する。
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この本は治療のために書かれたものではなく、むしろこの本を機に先生は治療を捨てるのである。
治療を捨てる理由は依存関係を断ち切るためだ。
治療する側、される側に生まれる依存関係を先生はよしとしなかった。
からだが発する痛みや病をすべて自分が引き受けてこそ、真の回復があるし、それが真の生き方だと思うからだ。
先生の生命観や人生観に関する語録や随想は、私にとって大変学びになっているし、読むと心が落ち着く。
文体が古いので読みにくさもあるが、読み終えると必ずや筋の通った生き方をしたくなるだろう。
私が世田谷の本部道場で知った話を一つ。
先生の死後、医師が先生を解剖をしたところ、120歳の臓器だったという。
ずーっと超陽性な生き方をしてきた野口先生は、それほど濃密な時間の使い方をしていたわけだ。
(京都市左京区のお寺にて 2025.4.2)