「京料理人中川善博の仕込み人生 46年間もこんな生活を!」の記事に対して、コメントやメール、あるいは教室で、もっと細かく知りたいというご意見がありました。
私はついつい記事が長くなってしまう傾向にあるので、この「料理は呼吸と同じ」のカテゴリーでは、短い記事にすることを意識しています。
ということで、たくさん盛り込むと、結果として長くなってしまうので、いくつかの記事に分けて書いていきたいと思っています。
前回の記事では、仕込みのために長時間立ち続けることを書きました。
でも、これはまだ良い方で、お料理屋さんを経営していたときは、夜遅くまで仕事をして、さらに早朝市場に仕入れに行くのですから、営業時間以外に費やす時間はとても長くなります。
それが毎日続くのですから、飲食業というのは肉体的に過酷な仕事だと思います。
そんな経験があるので、中川さんは「昔に比べたらこんなの大変じゃない」といって、キッチンに立ってくれます。
呼吸をするように。
先日も4日間連続講座のときには、72時間前に仕込むお料理がありました。
そうなると、3日前から仕込みが始まるわけです。
料理というのは、つくづく段取り力が問われる分野だと思います。
【責任感の強い男】
その日の講座が終わったらそれでお終いではなく、連続講座の場合は次の講座のために夜中に仕込みをしています。
それをしながら、塾生さんからのメールやiMessageにお返事をし、講座の記事を書き、復習投稿も記事にし、さらに、Twitterのお弁当投稿にもお返事をします。
パソコンに届くメールだと、いちいちパソコンの前に行かなくてはならないけれど、iPhoneのiMessageだと、お料理をしながらちょっとのすきま時間でお返事ができるからと、中川さんはiMessageでの質問を歓迎しています。
お湯が沸くまでのちょっとした時間、煮詰まるまでのちょっとした時間。
そんな細切れの時間を使って塾生さんへのフォローをしています。
どうしてそんなに頑張れるか?
それは中川さんの責任感の強さだと私は思っています。
自分を頼って「お料理が上手になりたい」と来てくれる人たちへの責任です。
(中川さんって、本当に責任感が強いのです。)
そのためには、教えっぱなしでは絶対上手になれないことを知っているからこそ、徹底的にフォローするのです。
完全なるフォロー体制。これを守っているのです。
簡単なレシピをもらって、家で作っておしまいというのでは、似て非なるものが出来上がる現実が多いので、確実に再現できるようにフォローしているのです。
そして、それだけ内容の濃いお料理を教えているのですから、出来るまで面倒をみるという責任感でもあります。
本当はここで続けて書きたいことがあるのですが、長くなるので、次の記事にまわします。
あ〜、短くするのって難しい(泣)
糀屋さんを尋ねるために、2009年6月に仙台から山形に向かうときに撮影したものです。
仙山線にて 2009.6.5
この後、秋田に向かいました。
好奇心に満ちた少年のような目が印象的です。
(実は、中川さんは鉄ちゃんだったそうです。)
責任感でいっぱいの中川さんに、たまには少年の時間を作ってあげたいと思う私です。
再び石をつくらないために。