京筍と地鶏の焚き合わせ 焼き菜の花添え 料理方法の陰陽

京筍と地鶏の焚合焼菜花添え マクロビオティック京料理教室 むそう塾

 
 

(京筍と地鶏の焚合 焼菜の花添え 料理:京料理人  中川善博 マクロビオティック京料理教室 むそう塾)

先日の夕食に中川さんがササッと作ってくれた焚き合わせがとても美味しかった。
旬の京都塚原の筍が口の中でホロッと崩れるやわらかさで、そこに添えられた焼き菜の花の美味しいこと、美味しいこと。
茹でた菜の花が一般的だけれど、焼いた菜の花はこんなにも美味しいものだったのか!というくらい美味しかった。

筍はマクロビオティックでは言わずと知れた陰性な食材である。
しかしそこに地鶏という陽性な食材を組み合わせ、さらに菜の花を「焼く」という陽性な料理法でまとめたこの一品は、見事に陰陽バランスが取れていて素晴らしかった。
菜の花から立ちのぼってくる焼いた香りが何とも野趣あふれたダイナミックさがあって、野の息吹をそのまま体に取り込んでいる感じがして、まさに命をいただいている躍動感があった。
旬の持つエネルギーは凄いものだ。

マクロビオティックでは食材の陰陽表を手にして、あれダメこれダメという姿が多く見られるが、肝心なのは「口に入る時の陰陽はどうなのか?」ということである。
もっというなら、それを食べた結果、体の中でどんな陰陽の働きをするのかということが大事である。
そこに思いが至らず、食材の段階で陰だ陽だといってもそれは不完全である。
料理方法の陰陽はとても大きく心身に影響し、同じ食材でも食べる人の体調を左右する。

巷では食材の良し悪しに関心が集まっているが、私はその食材をどのように料理するかもとても重要だと思っている。
それはむそう塾をしていて、まさに「人は食べたもののようになる」現実を毎日見ているからである。
揚げ物の多い人、炒め物の多い人、茹でた物の多い人などなど、それぞれの特徴が外見からも透けて見えて来る。

一番少ないのは、煮物の多い人である。
煮物は料理方法の陰陽でいうなら、中庸ゾーンに属するものが多いので、それを食べるとお箸を置いた時の表情が違う。
実に落ち着いた良い表情をする。
それは煮物にあるあの煮汁が一つの役目を果たしている。
体の中の水分と煮物の水分が同期するかのようにしっくりと融け合って、心の渇きを補ってくれるのである。

そのことを10年以上前に、陽性すぎて悩んでいる人に試したところ、見事な結果が出て納得した。
いかに料理方法が人の心のありように影響するのかを知った私は、料理方法の陰陽をもっと前面に出した講座をしたいと常々思っていた。
昨年の秋から始めた「煮物講座」は、塾生すら最初は地味な印象だったと思うのだが、それを召し上がってくださったご家族様からは、絶大なる感動の嵐が巻き起こった。

それもそのはず、むそう塾で料理を教える中川善博は、超一流の料亭料理を作る人間だから、美味しくするノウハウを沢山持っているのである。
そこにマクロビオティックの陰陽を添わせて料理をすると、驚くほどの美味しさになるから不思議だ。
いや、それが宇宙の法則どおりの美味しさなのかもしれない。

本当に体に必要な美味しさは中庸であって、陰性や陽性に偏ったものが美味しいと思うときは、心身も偏っていると思っても良いだろう。
ふだん口にする食べ物であなたの健康も病気も作られていくのだから、まずはお料理が出来る人になってはいかがだろうか。
そして、最終的には心を潤わせる食べ物で命を紡いでいけたら理想的だと思う。

最後に、写真のお料理は煮汁がとても美味しくて、煮汁のおかわりをして飲み干したほどだ。
余談だが、このお料理は「京筍と地鶏の焚合 焼菜花添」と料理人は書くのだそうだ。
そんなの今の人には通じないよ〜と言って、私が勝手に送り仮名を加えたのだが・・・。

 
 
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