むそう塾では玄米の炊き方を教えていますが、お鍋や玄米そのものに関する諸問題を可能な限り研究して、常に最新でベストであるようにしてお伝えしています。
玄米はマクロビオティックでは基本に据えられているので、多くのマクロビオティック教室で玄米ご飯を教えているのですが、その教室で習った人でも体調不良でむそう塾に来られる人が後を断ちません。
それは陰陽の判断が間違っている場合もあるのですが、玄米ご飯そのものが原因のことが多いのです。
それは玄米の種類がその人に適していないこともありますし、玄米の炊き方が消化吸収に負担をかける炊き上がりになっていることもあります。
いずれにしても、健康になるために始めたはずのマクロビオティックで、かえって不健康になってしまった人がいるのも現実です。
それは玄米のことを深く知らないために起こっていることだと認識しています。
むそう塾では玄米の短所も研究して、それでもなお健康に貢献出来る長所があると思って玄米を採用しています。
それは自分で食べてみた経験だけでなく、多くのむそう塾生とそのご家族の体調を把握して得た結論です。
ですから、玄米の炊き方をお教えする「愛クラス」では、各自が使用する玄米とお塩を持参してもらって、丁寧に玄米を吟味しています。
玄米は白米と違って、その作られ方が炊き上がりと体調に大いに影響するので、この選別過程は大切にしています。
Facebookで医師の内海聡先生が炭水化物との関係で玄米に関する記事を書かれていますが、まったくそのとおりで、特に最後の文章を多くの人に知ってもらいたいと思って転載させていただきます。
「玄米は農薬、放射能などの問題をクリアーし、菜食主義の弱点を知り、炭水化物過剰の問題をちゃんと理解していて、はじめて現代の不健康に対して一つのアンチテーゼとなるのを忘れてはなりません。」
この部分をしっかり理解した上でなら、本来の玄米の良さを享受できると思います。
そうではなく、盲信的にマクロビオティックをされるのは危険きわまりないので、今一度立ち止まって、正しく把握し直してほしいと思います。
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<内海聡医師の記事より>
(転載はじめ)
玄米は健康か不健康か
まず玄米批判に関してはいくつかの論点があります。一つは農薬、一つはフィチン酸もしくはアブシジン酸、一つはミネラルや栄養、一つは菜食主義になります。順に説明していきます。生物毒という観点でいうと、これは玄米にもほかの穀物として大豆などもあてはまります。簡単にいうと大豆をそのままとりすぎるのはよくない、だから発酵系の大豆食品ばかりなのだと。つまり生物毒というか身を守るために活躍している因子がフィチン酸でありアブシジン酸というわけです。
この話が発芽玄米のほうが良いという話につながっていきます。つまり水にさらされ芽を出そうとすることにより、フィチン酸は変化し毒性が薄れるという理屈です。これは部分的には正しいのですが、一説によるとこれ自体が間違いであるという話もあります。発芽により解毒されるのは一部分であって、根幹はそちらではなくフィチン酸とフィチンの差も理解できていないからという考え方です。前者はミネラルを奪いますが、後者はすでに結合状態で体内からミネラルを奪ったりはしません。フィチンによるミネラル欠乏説は古い説を基本としており、現代において問題が指摘されています。
また、古代の玄米は農薬など加味されていませんでしたが、現代の米には農薬が含まれやすくなっています。さらにいうと玄米自体には白米と比べて多くの栄養素が含まれている、これには間違いありません。それに引き替え白米は粕の言葉通り多くの栄養素が欠乏しています。それにGI値の問題が玄米と白米の差では考慮されるべきですが、ほとんどの玄米悪者論ではその話が出てきません。また、放射能防御に玄米が使われたのも、玄米だけでなく味噌汁やごま塩との相乗効果、砂糖排除であることを見抜く必要があります。
ここまで書いたことは玄米だけ食べていればいいということではないのです。現実的に菜食主義は栄養欠乏に陥りやすくなります。これはこれでまぎれもない事実であり、副食や魚、肉なども含めて栄養素を考慮した方が本当は良く、かといって現代の肉食には現代的別問題(抗生剤、ホルモン剤その他)も考慮しなければなりません。古い日本人であれ先住民族であれ、体力豊富であること=玄米を食べていたためとか先住民食だったためと誘導されますが、それだけですべて決定するわけもありません。
ネガティブな要素を検討すると、なによりも平均寿命が低いのは事実です。そして日本人は結核や感染症が多かったですが、それはインフラだけでなく炭水化物過剰によるものも疑われます。なぜなら先住民には結核などは少なかったという研究があるからです。また米が定着したのは明治に入ってからであり、それまではひえやあわやそばや麦飯などを多く食べていたのに、米だけまるで正食だと扱われるのは古くから伝わる洗脳のゆえんでもあります(書くと長い)。
医学者や栄養学者というのは単体論で考えるのが身に沁みついているので、たとえば玄米であれば玄米だけで考える風潮があります。たしかに玄米によって健康を救われた人がいるのは事実ですが、その一方で昨今玄米や玄米菜食によって健康を壊した人の相談が相次いでいます。ほかの社会毒も気にしているのにです。玄米は農薬、放射能などの問題をクリアーし、菜食主義の弱点を知り、炭水化物過剰の問題をちゃんと理解していて、はじめて現代の不健康に対して一つのアンチテーゼとなるのを忘れてはなりません。
(転載おわり)
(玄米ご飯 料理:京料理人 中川善博)