「生命は」 詩集『風が吹くと』より

生命(いのち)は

生命は
自分自身だけでは完結できないように
つくられているらしい
花も
めしべとおしべが揃っているだけでは
不充分で
虫や風が訪れて
めしべとおしべを仲立ちする

生命はすべて
その中に欠如を抱(いだ)き
それを他者から満たしてもらうのだ

私は今日、
どこかの花のための
虻(あぶ)だったかもしれない
そして明日は
誰かが私という花のための
虻であるかもしれない

作:吉野弘
(詩集『風が吹くと』所収)

 
 

紅花 1

(紅花)

 
 
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コメント

  1. より:

    美風さん

    こんばんは。
    ご紹介してくださいました詩を読ませていただきました。
    桂剥きをしている時に同じような感覚がありましたのでコメントさせていただきました。先月の幸せコースでスタートした桂剥き。
    Twitterでつぶやいたり、
    ブログを拝見したりする中で、
    中川さん、美風さん、
    塾生さん、幸せコースの皆さんの、
    優しさや、丁寧さ、真摯さ、
    頑張り、強さ。
    沢山の事柄から…励まされました。
    大根を剥いて行く中で、自分に欠けている事を皆さんから学んでいる感覚がありました。
    丁寧さを学べたり、
    優しい気持ちを学べたり…
    いつか、自分の頑張りも誰かを励ませたらいいなぁなんて思ったり。
    (皆さんに比べたら私の頑張りは、まだまだと気付きましたが 笑)

    いつも皆さんから学ばせていただくばかりですが、信頼しあえる人間関係のなかで素直で、優しく、強くありたいです。

    • マクロ美風 より:

      好ちゃん、こんばんは。

      桂剥きでは色々なことを経験しましたね。
      きっとご自分でも知らなかった一面を知ってビックリされたことでしょう。
      そんなふうに私たちは誰かに教えられながら人間として成長して行くのだと思います。
      もう一つの「生命は」もご紹介しておきますね。

      <吉野弘 生命は>

      生命は
      自分自身だけでは完結できないように
      つくられているらしい

      花も
      めしべとおしべが揃っているだけでは
      不充分で

      虫や風が訪れて
      めしべとおしべを仲立ちする

      生命はすべて
      そのなかに欠如を抱き
      それを他者から満たしてもらうのだ

      世界は多分
      他者の総和

      しかし
      互いに
      欠如を満たすなどとは
      知りもせず
      知らされもせず

      ばらまかれている者同士
      無関心でいられる間柄

      ときに
      うとましく思うことさえも
      許されている間柄

      そのように
      世界がゆるやかに構成されているのは
      なぜ?

      花が咲いている
      すぐ近くまで
      虻の姿をした他者が
      光をまとって飛んできている

      私も 
      あるとき
      誰かのための虻だったろう

      あなたも 
      あるとき
      私のための風だったかもしれない

  2. より:

    お返事をありがとうございます。
    まだ自分の中が整理できていないのか、恥ずかしながら二つの詩を読んで何故か涙が。
    他人と関わることを心のそこで小さい時から怖く思いながら、他人と心から関わることに憧れをもっていました。みなさんの優しい風のおかげて、
    また美風さんのブログから学んで、
    何かがかわってきたかもしれません、まだわかりませんが。

    最近、会社の電話で
    「声が明るくなった」と色んな方から言われます。自分では気がつきませんがそれも小さい変化なんでしょうか。

    美風さん、二つの詩を
    ご紹介してくださってありがとうございます。今の心に染み渡るものでした。

    • マクロ美風 より:

      好ちゃん、まだ起きていたのね(笑)
      お互いに夜更かしだこと。

      むそう塾は心から安心して関わっても大丈夫ですよ。
      どこまでも深く、どこまでも熱く関われます。
      深いおつき合いをして、生きていて良かったと思える人生にしましょう。

      >「声が明るくなった」

      私もそのように思いますよ。
      もう愛クラスの時の好ちゃんではありません。
      きっと毎朝のお弁当投稿が少しずつ生きる自信をつけてくれているのだと思います。
      好ちゃんの生命、大切に生きようね。

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