マクロビオティックの理論と現実(2)料理の真実と食箋

昨日は「マクロビオティックの理論と現実(1)玄米ご飯」について書きました。
今日はお料理の出来上がりの差について書きます。
お料理の出来上がりの差って、そんなに重要なことだと思われない人が圧倒的多数だと思います。
私も以前はそんなに気にしていませんでした。
しかし「むそう塾」を始めるようになって、皆さんが作るお料理を見ているうちに、その差があまりにもあることに驚くとともに、頭を抱えてしまいました。
これではマクロビオティックが正しく伝わらないはずだと思い知ったのです。
しかし中川善博さんは、そのことを充分知り抜いた上でお料理教室のスタイルをマンツーマンと主張されたのでした。
多くの弟子を育ててこられた中川さんにしてみれば、お料理が同じように伝わらないことは百も承知のことでしたから、私の驚きは当然想定内のことだったと思います。
同じことをお伝えしても、受け止め方が人それぞれで、お料理の出来上がりが実に微妙に違います。
これは欠点ととらえるのではなく、むしろ個性ととらえて、それを考慮した上で教え込まないと本当の伝わり方はしないわけです。
切るだけでも個性が出ますが、火加減は実に個性があって面白いくらいです。
よくお料理の本に強火とか弱火とか書いてありますが、人によってその火加減が見事に違うのです。
その差はその人の陰陽差に比例します。
また計量もその人の陰陽差に比例します。
材料の切り方もしかりです。
こうしてお料理は受け取る人の個性によって、どんどん温度差が生じるのです。
*   *   *
マクロビオティックでは食箋なるものがあります。
これは病気や体調の改善を希望する人が、マクロビオティック指導者から食べ物のアドバイスを受ける処方箋のことで、料理名や飲食可否の食品が書かれています。
通常は有料で、某有名な先生になると、一枚の食箋に10万円なんていう話も耳に入って来ます。
しかし食箋の有効期間は最大で3ヵ月未満、通常は1ヵ月くらいです。
体調が深刻な場合は、1週間はおろか、1日や1食のこともあります。
ですから、どんなに高い食箋でも、大事にそれを長期間使ってはいけないのです。
その辺のところは桜沢如一先生の本にも書かれているので、ご存知のかたも多いと思います。
この食箋は指導者がそばにいれば良いのですが、食箋だけを頼りにお料理をするのは、極めて危険性をはらんでいることになります。
理由は、指導者の考えたとおりのお料理を再現できていない可能性がおおいにあるからです。
とはいっても現実には指導者のところに寝泊まりして改善を目指すのは困難な人が多いでしょうから、そのような場合はお料理がきちんと問題なく作れていることを確認する必要があります。
それを怠って安易に食箋だけを乱発する指導者は無責任だと私は思っています。
そうはいっても、あまり深刻でない体調の人は、大まかな食事の方向がつかめるだけでも体調に変化が見られたりして嬉しいものです。
今月の幸せコースで行なった食事日記のアドバイスは、口頭でする食箋と同じ意味を持ちます。
辛口のアドバイスだった人もいますが、私の指摘を実践すると間違いなく体の変化を感じるはずです。
お料理には楽しさもある反面、食べ続けることによる弊害もあります。
そこのところをよく理解されて、出来上がったお料理が体に及ぼす影響をイメージできたらかなり成功だと思います。
これらの現実を見逃して、マクロビオティックの理論だけを振りかざしても、体調は今ひとつだったり、マクロビオティック料理の効果を実感出来なかったりするのです。
くどいようですが、マクロビオティックは実践あってのものですから、陰陽がお料理にもきちんと反映されているかどうかを、もう一度確認する必要はあると思っています。

カテゴリー: マクロビオティックが楽しい♪ パーマリンク

コメント

  1. おはる より:

    美風さん、こんばんは。
    この記事に、なぜ、幸せコースなのか、が、伝わってきます。
    同じ材料、分量、手順で作るのに、仕上がりが全く違う。
    仕上がりで、お料理のお味も、体調に及ぼす効果も、全く違う。
    そんなことを、日々、感じてます。
    仕上がりの違い、個性の違いを知って、何を食べたいか。どう、生きたいか。と向きあうこと。
    一食一食が、実践であり、生きるためのエネルギーだと、感じてます。

  2. マクロ美風 より:

    おはるさん、こんばんは。

    むそう塾でお料理をする度におはるさんは感じていらっしゃるでしょう。
    個性によってお料理の出来上がりが違うことを。
    それが人間の面白いところであり、それを踏まえてマクロビオティックをしないと、陰陽のバランスがとれないのです。
    一食一食を大切にしましょうね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です