躾け糸

手仕事”の記事で思い出したことがあります。
こんなこと、あなたも心あたりがありませんか?
*    *    *    *
先日、電車の中でのこと。
真新しいコートを着た美人さんが、乗り込んで来ました。
真っ白なそのコートは、生地は上質ではありませんが、デザインが素敵で“いいなぁ”と思いました。
彼女は、向かい側の席に向かって立ち、しきりに髪の毛に手をやります。
ん?
コートの裾が不自然です。
ああ、やっぱり。
あなたもねぇ・・・。
最近多いのです。
躾け糸をとっていない人が。
男性なら、“知らなかった”でも済むでしょうが、女性の場合は、何だか悲しくなります。
最初このような光景を目にしたのは、いつ頃だったろう?
10年くらい前だろうか?
中年の男性が初めてでした。
“きっと単身赴任中に一人で買ったのね”なんて、勝手に解釈しておりました。
それから、若い男性、若い女性と続いたので、おやおやと思っておりました。
ところが、2年前には、ついに!!!
40代後半の女性にも発見!!
あ?あ、世もオシマイ・・・。
だって、お子さんに躾をする年齢でしょう。
その人のお子さんは、きっと同じことをするでしょう。
*    *    *    *
幼稚園や保育園では、通園バックを指定どおりの寸法で用意するように言われますよね。
でも、縫い物が出来ないお母さんのために、それを代行してくれる商売もあるご時世です。
針仕事をしなくなったから、洋服の作られ方も分からず、最後の躾け糸も分からないのでしょうね。

“学校でも塾でも習わなかった”から、知らないのでしょうか?
な?んか、ヘン。
*    *    *    *
話題がガラッと変わります。
世の男性のために。
特にモテモテの男性のために。
和服を着た女性から、“この躾け糸をとって”と、甘?い声で言われたことはありませんか?
その躾け糸は、着物の掛け襟(上襟のこと)についています。
お洋服と違って、和服は仕立て上がると、襟・袖・襟下・裾などに仕上げの躾け糸をします。
そして、その着物に初めて袖を通す時、躾け糸を取るわけです。
袖・襟下・裾などは取っておいて、襟のところだけは一番好きな人にとってもらいます。

だから、もし、あなた(男性)が、和服の女性からそんなことを言われたら、“あなたが一番好きよ”と告白されているのですから、その気持ちを受け止めてあげましょう。
な?んて言っても、今頃こんなことを知っているのは、夜の世界の女性くらいでしょうか。
おっと、この世界の人は、商売としてこの手を使ったりしますので、ご用心、ご用心。
マクロ美風の年齢が推測できる記事でしたネェ。
ヒヤヒヤ。

カテゴリー: マクロビオティックが楽しい♪ パーマリンク

コメント

  1. prosperity_pie より:

    いまは躾糸っぽい糸をつけたままのデザインのコートもあるので「?」なところもありますが、私も針仕事をほとんどしたことがない世代の一人として、この日記は耳に痛いです(冷や汗)。手芸でいろいろなものを作って遊んだのは小学生の頃なので、あの頃のほうがボタン付けも上手だったかも、洒落になりませんね。ちなみにこの着物の風習のこと、知りませんでした。。。

  2. gomapin より:

    こんにちは!手仕事の記事もこちらの話も興味深いです。手仕事をした分、内面のひだのようなものがたくさん刻まれていくのかもしれませんね。
    最近江戸時代ものの小説や映画を続けてみていて、女の子がそろいもそろってお針教室に通う姿が印象的でした。実用面の良さだけではないことを、昔の人は知っていたのかな。

  3. マクロ美風 より:

    prosperity_pieさん、こんばんは。
    あら、耳が痛かったですか?
    ごめんなさい。
    でも、prosperity_pieさんの世代は、違った側面を伸ばせる時代で、それもまた良かったのではないでしょうか?
    私からみたら、prosperity_pieさんの素晴らしい能力は、「宝物」だなぁと羨ましくさえ思えますよ~。

  4. マクロ美風 より:

    gomapinさん、こんばんは。

    >手仕事をした分、内面のひだのようなものがたくさん刻まれていくのかもしれませんね。

    いい表現ですねぇ。
    手仕事をしていると、色々な発見や、考えさせられることが多々ありますよね。
    そんなことのくり返しが、人格形成に結構役立っているのだと思っています。

    ものづくりの道何十年の方々のお顔を拝見すると、とてもいい表情の方が多いのは、そんなことも関係しているのだろうと、以前から思っておりました。

  5. 若葉 より:

    こんにちは

    襟のしつけ糸の話、日本人の奥ゆかしさが感じられて良いですね。

    何かで読んだのですが、帯が崩れていたりすると恋人ができるとかよい縁談がくるとかの兆しだそうで、見つけた人は「それいただきね」と声を掛けるんだそうです。花柳界の話だったかと思いますが、一般的には同なのでしょう?

    場の雰囲気を壊さず、その人に恥を欠かせないようにそれとなく伝える心使いが感じられて、日本人って素敵と思ったエピソードです。

  6. マクロ美風 より:

    若葉さん、こんばんは。

    >場の雰囲気を壊さず、その人に恥を欠かせないようにそれとなく伝える心使いが感じられて、日本人って素敵

    本当に、日本人は奥ゆかしかったですね。
    何しろ「恥」を知る国民だったのですから・・・。
    最近の日本人を見ると、私も含めて「恥じらう」場面が減ったなぁと思います。

    >「それいただきね」

    お互いがお互いを美しくし合う。
    敵・ライバルと看做さないで、一緒に・仲良くフォローし合う。
    勝ち組・負け組とは、対極の世界ですね~。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です